ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

220612「京の伝統野菜調査」②鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年07月29日 | 保存会の現地研修会
 振り売りのトマトやえんどうを見た後、樋口家の細い路地を入っていくとビニールハウスが並んでいました。そして樋口さん登場です。山根さんとじゃれあった後、ハウスの前で仁王立ちで説明です。



昔からある鷹峰とうがらしは、肉厚で辛いのが出ない美味しいとうがらしであり、周辺に他のとうがらしをつくらないようにして昔からこの地で採種を続けられているそうです。暑くなると尻腐れがでたり、なりがわるくなったり・・・だからといって温度を下げるように遮光すると果肉が薄くなる・・・つくりにくいとうがらしのようです。
「適当にかじって」、とのうれしい言葉に早速かじってみると、肉厚! 万願寺よりかなり小さいのに万願寺並みに厚いですね。辛くない。最近の品種は肉厚が多いけど、この造形美、野趣、今でもありですね。これらを特A、A、B、C・・・とかランク分けして種を残してらっしゃるそうです。というのも、最近、万願寺や他のものがかかったような大型のものがみられ、本来の鷹峯じゃない血が入っているようである、と。「元々、少々かわったものが多いが、ほんまもんはもう少し小さい。ししとうを少し大きくした程度。先は尖がらず肩がくびれない。ほんまもんを知っている人は少ないので、私が20年で元に戻す。」とすばらしい発言。これには大変な手間ですが、「種を守ると経営は別。」とおっしゃるのも、在来種の維持ということを考えると、「隔離栽培」や「採種」、「選別」などの手間は経営上成り立たない。実際、京都で伝統野菜が残っているのも、野菜農家皆が採種してきたのではなく、京都に採種を請け負う人がいたからである。樋口さんのお父さんも京都市からお願いされて種を守ってきた一人だそうである。「自家採種を当たり前とする父の背中を見て、自分もこの種子を伝承していこうと強く思った」そうである。



「種は必要な量の3倍はとらんとあかん」、「使うときは新種と古種を半々にして播く」、「種場は危険分散せんとあかん」、「種採るほどしんどいことはない」、「種採ったことの無い奴が一人前にしゃべるな」、「守らんなん!」・・・・素晴らしい!樋口語録だけで酒が呑める!
ハウス内のとうがらしを案内していただいている間も、「あの株のはええなぁ。これはちょっとあかん。」と既に選別作業は始まっています。(続く)




220612「京の伝統野菜調査」①鷹峯とうがらしの樋口さん

2010年07月26日 | 保存会の現地研修会
最近、保存会の活動は県内に留まりません。「ひょうごの」って付いているのに、「近隣産地を勉強して県内の在来種を・・・」と言って動き回っています。前には「なにわの伝統野菜」を見に行ったし、お米の勉強会と一緒に京都北部の西村先生を訪ねました。今回は伝統野菜という言い方をすれば知名度の本丸、京都の伝統野菜をおじゃましました。

「上賀茂神社前に10時集合」という暴力的なスケジュールで始まった研修なのに、なんと集まった会員は27名。豊岡の北村わさびさんもいるではないか!5時代には家を出なくては着けないはず。
「(今日の研修先は)なかなかみれない方ですから、わさびは親に任せてきました。」とテンションがあがっています。そうですよね、私も樋口さんはテレビや雑誌、ネットで何度も見ましたが、ご本人直接は初めてです。
集合場所の上賀茂神社周辺を回ってみると、主要道路(北山通りか)の両側はマンションやビル。中に入ると住宅地。「かつて伝統野菜の産地だった」というところか・・・と思うと、住宅地の中に「賀茂なす」のノボリがある。見回すと、ところどころですが、家と家の間にビニールハウスや畑があります。ビニールハウス内はきっちり美しく野菜をつくっておられて、未だ現役産地なんですね。。

さて、早速樋口さんのところに向かいます。
同じような住宅地。さっきと違うのはちょっと坂を上ってきたことと、さっきより道が狭く、静かになり「住宅地度合」が高まりました。
すると、あーテレビで見た野菜の振り売りが! 樋口さんの家の前です。



1 樋口昌孝さん(鷹峯とうがらし)
京都府のホームページには「鷹峯とうがらしは、京都市北区鷹峯で昭和18年頃から栽培が始められました。伏見とうがらしより太く、万願寺とうがらしとも少し形の違う、辛みがなく、肉厚で大変美味しいとうがらしです」とあります。また、いろいろなHPに、「昭和18年頃、北区鷹ヶ峰の島本啓一氏が、知人から譲り受けた品質の良いとうがらしを栽培、選抜し、固定種を育成したもの」とあり、この鷹峯地域が発祥の地ということでした。
実は私の知人がかつて京都府庁に勤めており、「いろいろ京都にあるけど、鷹峯とうがらしはすごく美味しい」と、万願寺や伏見なら未だしも、手に入れることが出来ない私を前に自慢したとうがらしであり、本当に楽しみにしていました。(続く)






220709オランダトマトが神戸新聞に載ってましたね~

2010年07月23日 | 会員の皆様
7月14日の神戸新聞に、オランダトマトが掲載されていましたね~。美味しそうだ。
この春から神戸新聞が料理研究家の白井操さんと一緒に取材されて掲載されている連載。
北村わさびやハリマ王も掲載されていました。
(ネット上では載せないのかな~)

ちょうど同じ時期に尾部農園に寄ったので、写真だけ。。。
(収穫終わったあとなんで、赤い実はありませんが・・・・・)

そうそう、オランダトマトというのは別にオランダから来たという訳ではありません。
確かにトマトはオランダから日本に入ってきたと言うのが有力な説ではありますが、このトマトだったかどうかは・・・???。日本に入ってきてから長い間観賞用だったとか。
実際食べる品種としてはアメリカから来たとか諸説あります。
昔、トマトが珍しかった頃に「舶来」って雰囲気で自然に名前が付いたとかとも。。

今、店頭でトマトって言えば「桃太郎」がほとんどですが、時々「昔とまと」とか「むかしなつかし」とかある、ちょっと実の上のほうに緑色が残ってて、茎の香りがぷんとしたの・・・が桃太郎の前の世代の「ファースト」系トマト。
オランダトマトはそのファースト系の前の世代。。。。もう我々の世代では「なつかし~」と言うより「あたらし~!」です。

栽培者の尾部さん「横向きにスライスしてソースかけて食べると美味しい!」
確かに!!ゼリーが崩れず果肉がボリューム感ありおいしい!!

http://hyogo-nourinsuisangc.jp/6-mame/saku_engei/16.htm
http://web.pref.hyogo.jp/af11/af11_000000018.html





220710右田農園

2010年07月20日 | 会員の皆様


保存会の皆さんはご存知、右田農園です。
http://www.migitanouen.com/migitanouen/%E5%8F%B3%E7%94%B0%E8%BE%B2%E5%9C%92.html

私は時々、職場近くの「かもめ食堂」のお惣菜にお世話になりますが、そこで右田さんのお野菜をいただいております。(健康的なのに・・・美味しいのに・・・安いのだ!)
http://r.tabelog.com/hyogo/A2801/A280102/28009005/dtlrvwlst/1026819/

優しい右田ご夫妻の間で仕切る息子さん。もう農園の主役です。息子さんとは立ち話程度しかしたことがなかったのですが、なかなか仕事姿がかっこいい。

美しい農園です。お楽しみください。








220710○○のふき④

2010年07月18日 | 調査活動


ここのふきは「根元の赤いの」と「根元も緑色のままのもの」とがあるそうです。
「やせた土のところや、よく日の当たるところは赤いのが生えている。」とかおっしゃっていました。(アントシアンがストレスででたものかな?)
「肥料やったんは、集荷した後、店でふにゃふにゃになっちゃうわ。だから肥料はやらん。」たくさんとろうと肥料やったら味が悪くなるそうです。

収穫ははさみや鎌で丁寧に行われます。引っこ抜くと根が傷つき生えてこなくなるそうです。
村のあちこちに生えていますが、出荷するものなので、他の人の田んぼや山のものは採らないようにしているそうです。この地域には「このふきは共同出荷していますので、採取はご遠慮ください」っとの看板が掲げられております。(このため、ネット上では「○○のふき」の表現にしています。)

4月に生えるのが一番ぶき、6月に草刈った後に生えるのが二番ぶき。2回食べることが出来ます。その後も生えるそうですが、これ以降のは固くなって美味しくないそうです。

このようなすばらしい地元のふきなのですが、今、事態は深刻です。
4~5年前から鹿がでてきて、ふきを食べてしまいます。それも春先のふきのとうも食べてしまうので、その後、ふきがでてこないそうです。また、イノシシは根を掘ってしまうそうで、これも生えてきません。「昔は鹿はフキを食べなかったのになぁ。。。」と村の皆さん。

村は一面、防護柵だらけになりました。獣とのおっかけっこ、知恵比べの戦いです。
農村で農作物を作れないなんて、産業と生活を取り上げられるようなもの。「自給」が閉ざされてしまいます。

在来種は今の時代には合理的な食べ物ではないかもしれないけれど、先人の文化や知恵を気づかせ、今の生活を見直させ、新しい出会いを授けてくれ・・・我々の生活を豊かにしてくれます。村の皆さん、がんばってください。

帰りにおばあちゃんに、
「お米は何をつくっているんですか?」とお聞きすると、「キヌヒカリや。山だからあんまし(単収は)とれんけど、おいしいで。なんせ水がええからな。水だけはきれいなで~。」

村中が、清流なんですよ!


220710○○のふき③

2010年07月13日 | 調査活動


前回おじゃました時はいきなりだったので、再度出直してお話をお聞きしました。
この地域では昔からふきが生えていて、春から夏にかけ、皆で旬を楽しんでおられたとのこと。
20年ほど前、この地域でほ場整備を行ったら、法面を中心ににたくさん生え始め、農協へ出荷も行った。
春に生える「一番ぶき」、6月の草刈りのあとに生える「二番ぶき」と出荷され、多いときは十数人が出荷していらっしゃったとか。当時、農協には「○○のふき」と書かれた箱もあり、皆でL,M,Sなど出荷規格で揃え、農会長がとりまとめ出荷されていたらしい。
「多く出荷する人なら、年間3~40万円くらいの売り上げがあったかな・・・」

ここのふきは柔らかいのがウリで、皮を剥かず(スジをとらず)に炊いて食べられるらしい。ここの株(根)を掘り上げて他の地域で植えても、この柔らかさはでないとか。

集落の中には「ふきのオーナー制」のようなものをしているような方もいるらしい。

(※今回は地名等を伏せさせていただきます。保存会通信には掲載する予定です。)