ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

托鉢僧

2012年06月16日 | 宗教
昨日、居間にいると、りーん、りーんという音がしました。何の音かしら、風鈴?でも、ちょっと時期が早すぎるし。と思っていると、段々、音は近づいて来るようでした。南部風鈴の音に近いけれども、もっと高貴な感じがしました。

音は、外から聞こえ、段々、我が家の前に来たように思えました。ふと、托鉢のお坊さんかも、と思い、そっと、門の隙間から覗くと、やはり、黒い衣を着たお坊さんが一人立ち、お経を唱えていらっしゃるようでした。

一瞬、新興宗教の方かも、という思いもよぎりましたが、それでもいい、なにがしかを差し上げたいという思いが強くなり、急いで、500円玉を握り、外に出ると、お坊さんは、すでに隣の家の前に経ってお経を唱えていらっしゃいました。

年配のお坊さんのようであり、新興宗教の方のようには思えませんでしたので、近づいてゆき、手を合わせ、持っていらした黒い入れ物(呼び方がわかりません)にお金を入れると、驚いた様子で私のことを見て、それから、お経を唱えてくださいました。ほんの短いお経でした。般若心経ではなかったと思います。

ご宗旨をお聞きすればよかったな、と後から思いましたけれども、手を合わせさせていただいたことだけで、十分な気がしました。黒い入れ物には、何も入っていませんでした。

托鉢僧が我が家の近辺を回ってくるのは、めずらしいことです。一軒一軒の前に立ち、黙々とお鈴を鳴らし、お経を唱えていらっしゃる姿に心打たれた私でした。こんな時代です。宗教を否定し、お坊さんにすら懐疑的な目を持たなければならない時代とは哀しいですけれども、お鈴の澄み渡る音は、不安に満ち溢れる昨今のもやもやした空気を一瞬でも、振り払ってくださったような気がしました。

勇気を出して外に出て、お坊さんに会えてよかったと思っています。


ユラーナ
コメント
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