日々是勉強

教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

国旗・国歌を否定する「画期的」判決に対する反論

2006年09月27日 14時17分01秒 | 憲法の話題
  ※以下の小話はフィクションです。(笑)

  私は常々「受験というのは若者に丸暗記を強制し、創造性を殺す」ということで、入試制度には疑問を抱いていました。こうして塾の講師をやっていますが、それは「子どもが好き」なのと、時間に余裕のある仕事がそれしかないからなのです。
  そんな私は、塾で決められたカリキュラムの授業をやりながら、生徒たちの前で繰り返し「勉強なんて大事じゃない」「人生の価値は入った学校で決まるもんじゃない」と、自分の考えを述べています。
  ところが、どうやらある日、生徒から私の発言を聞かされた保護者が、塾長さんにクレームの電話を入れてきました。それも、一人ではなく複数です。塾長さんは私に、妙な発言はしないようにと釘を差しますが、私は頑として聞きません。
  とうとう、会社の人事責任者がやってきて、私をそのクラスの授業から外すと言ってきました。それに対して、私がした反論は、

 「受験に向けて生徒を洗脳するのは、
  ボクの思想・良心の自由に反します。
  苦痛を感じたので、慰謝料をください」  

  みなさん、私の言っていることは、常識的に見てオッケーですか?
  
  許されるはずがありませんよね。ところが、公立学校の教師だと、これと大して変わらない主張をしても、支援者がわんさか付いて、あまつさえ裁判で勝利してしまうようです。

国旗国歌の強制は違憲~東京地裁判決 都の教職員処分禁じる(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20060922/mng_____sya_____000.shtml

(以下引用)

  東京都立高校などの教職員ら401人が都と都教委を相手取り、入学・卒業式で日の丸掲揚と君が代斉唱に従う義務がないことの確認と、都教委による懲戒処分の禁止を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は「国歌斉唱などを強制するのは憲法が定めた思想・良心の自由を侵害する違法行為。都教委の通達や指導は、行政の教育への不当介入の排除を定めた教育基本法に違反する」と述べ、原告側全面勝訴の判決を言い渡した。  

(引用以上)

  「この左翼教師め!!」と叫びたい人がいるのはわかりますが、それほど熱くなる必要はありません。 今回の判決は「地方裁判所の判決」であり、裁判官が先例として参考にすべき「判例」でも何でもないのです。
  司法権は馬鹿ではありません。これまでの裁判例を見ても、「良心的」な「市民」の方々が喝采するような「画期的」判決は、最終的には最高裁で常識的な結論に落ち着いています。例を挙げると、在日米軍が憲法第9条に触れると判断した「砂川事件」も、学力テストを暴力で妨害した日教組教員を正当行為として無罪にした「旭川学力テスト事件」も、郵便局のポスターに労働組合員が社会党のポスターを貼るのを処分するのは憲法違反だとした「猿払事件」も、全て下級裁判所の判断が覆されているのです。
  そうなると、今回の判決も高裁、または最高裁で覆されるのはほぼ確実でしょう。

  こういう最高裁の態度を「権力寄りだ」と批判する人がいますが、それは司法権というものをわかっていない証拠です。
  仮に、裁判所が違憲判決を出しまくったとします。法律は、国民の代表が集まる国会でいろんな手続を経て成立しているのに、それを国民の利害や政党政治の駆け引きと無縁の立場にいる裁判官がダメ出ししたら、選挙や議決などやる意味がなくなってしまいます。だからこそ、国会は「唯一の立法機関」(憲法41条)とされているわけです。
  しかも、裁判官はそもそも国民に選ばれた人間ではないわけで、司法権の側がその気になれば、特定の思想を持った人間だけで裁判官を固めて、それに反するような国の法律を全て違憲にしてしまえるのです。
  こういった点を踏まえれば、最高裁がなるべく法律を違憲にしたがらないというのは、三権分立の観点からは当然だといえます。(司法消極主義という)それを批判する人は、議会政治を否定しているのと大差はないわけです。

  もっとも、だからといって、上告審の判断が出るまで、●こういう方とそのお仲間たちがデカイ面をするのが気にくわないという方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回は、上に挙げた東京地裁の判決とは異なる「常識的な考え」というのは何か述べておきたいと思います。

  このブログをご覧になっている方であればすぐ気が付くでしょうが、私は日の丸・君が代を学校で教えることは賛成です。それゆえ、今回の判決にも納得がいかない一人です。
  しかし、だからといって「国旗を敬い、国歌を斉唱するのは国民として当然だ」という論理だけで押し切ろうとは思っていません。そういう考えは私も良い考えだと思うのですが、結局「良心的な」方々と平行線を辿るだけに終わってしまうからです。だから、結局水掛け論で終わってしまう。
  また、国旗・国歌の強制とやらに反対してくる人間が、憲法上の権利をもちだしている以上、いくら馬鹿げた考えとは言え、その点をきちんと反論できないといけません。
  ネット右翼と言われる方が、正義感からこの事件の教師や裁判官をなじる気持ちはわかりますが、もう少し冷静になって、きちんとした論拠を示さないと、この問題に関心のあまりない人々に納得してもらうのは難しいと思います。

  では、私の考えを述べていく前に、今回の地裁判決をおさらいしてみましょう。前文は●こちらのリンクに判決の要旨があります。
  「要旨」のくせに細かすぎるんだよ!!・・・とお思いの方のために、少しこの判決の論理についてまとめてみたいと思います。
  

「国旗に向かって起立したり、国歌を伴奏したりするのは、良心の自由を密接に結びついた外部的行為であり、それらは保護されるべきものである。日の丸・君が代は軍国主義を想起させるものであり、価値中立であるとは言い難いから、それに対して起立したり、伴奏をしたりするのは、思想良心の自由の侵害に当たりうる。
  もっとも、このような外部的行為は、他人の人権等との衝突を避けるために、必要最小限の制約に服する。教育指導要領は法規としての性質を持つが、その内容が一方的な一定の理論や理念を教え込むようなものである場合は、教育基本法10条における「不当な支配」にあたる。上のような行為を強制するのは、「不当な支配」と言うべきであり、これの拒否を理由とした処分は違法だ」


  司法試験に5回落ちて、受験生ですらない私(笑)が言うのも何ですが、この判決の重要な点はズバリ言うと、「国旗に起立・礼をしたり、国歌の伴奏するのを強制したら、思想良心の自由を侵害する」という部分と、「一方的に一定の考えを教え込むようなやり方は、教育として相応しくない」という部分です。

  一つ目のポイントに付いて言うと、東京地裁は上に挙げたような行為を「思想と密接に結びついた行為」であると判断し、それを強制してはいけないという論理を展開しているということです。
  しかし、仕事をしている大人の視点から見れば「なんか変だ」と思わざるをえません。
  別に「教師は国旗・国歌を尊敬しろ」などと言う必要はありません。国旗や国歌を尊敬していなくても、あからさまに否定するような態度を採らなければ良いだけの話です。私も、受験制度に必ずしも全面的に賛成してはいませんが、受験を否定しません。だってそうでしょう?そういう仕事なんですから。
  教員の仕事に国旗や国歌について教えるなんていう項目はない!!という人は、勉強不足です。文部省令である学習指導要領は、「国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮する」ことを明記しています。(●こちらを参照)指導要領に法的拘束力があるのは、この判決も認めています。
  地裁判決は、積極的な妨害でなければいいんだ、というようなことを述べていますが、教員の立場というものをわかっていません。卒業式などの場で、国旗に向かって起立・礼をしないのを、生徒が見たらどう思うでしょうか?
  もっとも、上の指導要領は平成10年に成立しているので、それ以前からいる教員は「そんなのは後から作った決まりだ」と言うかもしれませんが、それも反論になっていません。誰も、教員個人に思想を強制してはいません。心の中など覗けるわけがないのですから、国旗国歌を尊重するフリをしていればいいだけの話です。行動と思想が一致していないと生きている気がしないという、学生運動家のようなピュアな方(笑)は、教員などやめればいいのです。生活のためにやめられないなら、仕事に対して文句を言ってはいけません。
  純主観的な思想に反する行為をやらなくてもいいんだ、としたら、世の中の職業の大半は成り立ちません。その最たるものが、警察官、検事や裁判官です。
  「俺は自由競争を肯定している。騙される奴が悪いから、詐欺師を逮捕しない」という警官がいたらどう思いますか?凶器準備集合罪で逮捕された学生運動家を「俺も安田講堂には胸が熱くなった」などとマスコミに公言して不起訴にする検事がいたら、即刻懲戒処分でしょうね。それに、裁判官が「被告人は無期懲役。人格矯正は困難だが、私が死刑に反対だから」などと言っている裁判官がいたら、きっと裁判希望者が殺到してしまうことでしょう。(笑)
  国歌の伴奏はまあ代わりがいるからいいとして、イベントの場で、君が代斉唱のとき座っていたり、 国旗に向かって起立・礼をしない教員の姿を、生徒が見たら同思うでしょうね?「尊重する態度を育てるよう配慮」するどころか、教育効果がマイナスです。
  どうも、こういう運動を行っている人々や、それを支援している人々は、教員というのは、何か特別な職業であると勘違いしている人が多いように思います。「聖職者」(近頃は「生殖者」と言うべきか)という言葉がありましたが、雇い主や上司の意向は無視して、崇高な理念を教えてやろうというような、思想・良心の自由を振りかざすところに、驕り高ぶった考えがにじんでいると思うのは私だけでしょうか。
  公立学校の教員は公務員であり、それ以前に社会人です。地方公務員法32条には「職務上の命令」が定められているのですから、東京都の通達はきちんと履行すべきなのです。上司の命令を聞かないで、現場に勝手に振るまうのが正義だと思っているとしたら、仕事というものをナメているということです。

  では、二つ目の「一方的に一定の考えを教え込むようなやり方は、教育として相応しくない」という点についてはどうでしょうか。
  はっきり言いましょう。この主張は、一見まともなことを言っているようですが、完璧に間違っています。
  試しに、「教育」という語を、辞書で引いてみてください。大辞林という辞書には、

 「他人に対して、意図的な働きかけを行うことで、
  その人間を望ましい方向へ変化させること。」

  と、定義されています。そうだとすると、教育には何らかの「意図」が必要なわけです。つまり、教育には一定の指向をもって「強制」する側面が必ず存在するのです。それがないなら、教育とは言えません。
  では、公立学校でやっている教育の意図とは何なのか、この点を曖昧にしてきたことこそが、この判決に象徴されるような馬鹿げた事態を生んでいる元凶だと言っても過言ではありません。
  公教育はまず「国民教育」です。そうだとすれば、国家が、自国民にこうであってほしいという価値判断を伴うのが当然です。国旗や国歌に対して否定的な人間を育てたいと思う国家は存在しません。そうでなければ、国旗や国歌を持つ意味がありません。日教組が大好きな北朝鮮にも、ちゃんと国旗や国家が存在します。(国歌は●こちら
  日の丸や君が代は軍国主義に染まっている歌だからダメだ、というのなら、そもそもどうして国旗・国歌法というものが制定されたのでしょうか。単純です。日の丸や君が代を否定する勢力が支持されていないから、多数派を取れないというだけです。それは取りも直さず、日の丸や君が代に対して、普通の国民がイデオロギー的な拒否反応を示していないことの現れです。
  だいいち、民主党も社民党も共産党も、その場しのぎで政権批判をしているだけで、国旗や国歌の問題をマニフェストに載せて選挙の争点になどしていません。彼らや日教組は「国民的議論」という言葉が好きですが、選挙の度に年金だのイラクだの憲法9条だの、猫の目のように争点を変えている野党ばかりで、「国民」は一体どうやって国旗・国歌について判断すればいいんでしょうね?
  国民教育が嫌なら、別に公立学校に無理をして通わなくてもいいのでは、と思います。私立に行くには金が・・・というなら、別に不登校ということで、フリースクールに通えばいいだけです。なぜ共産党や日教組の有志が、ボランティアで経営する私学校を作ってそこで自分たちのやりたいような教育を実践しないんですかね?運営資金は、それこそ「良心的な人々」のカンパで賄えばいいのです。生徒がいないなら、まず日教組教員が自分の子どもを通わせればいいだけです。それとも何ですか?「死んだ知識」や、学歴が無いと不安なんですか?(笑)
   また、「一方的な理念の伝達」が許されないとしたら、論理的には、「人権尊重」だとか「男女平等」だとか、「民主主義」だとかいった、日本で現在反論がほとんど許されないような「理念」を教えることも、教育としてNGということになってしまうでしょう。「人権や平等は正当、君が代は不当」というのでしょうが、何が不当で何が正当かなどというのは、それこそ「思想・良心の自由」の問題です。
  たとえば、公民の時間に民主主義や人権の歴史について教えていて、ある生徒が「先生、僕はヴァンデで30万人を虐殺し、ナポレオンという独裁者を生んだフランス革命に起源を持つ『平等』思想は間違っていると思います。」と言われたらどうするのでしょうか。そんなことはない、平等というのは真っ当な考えだと説得するのではありませんか。対話という作業こそありますが、「一方的に教え込んでいる」のは確かです。
  まあ、日教組の教員の方は個性を尊重するのが大好きですから、きっとそういう発言もさぞかし真摯に対応してくれるに違いありませんが。(皮肉です)
  上に挙げた議論を「なんと些末な」とお思いでしょう。しかし、「一方的な理念の伝達」を否定すれば、そういうことになるのです。「君が代反対」と「民主主義反対」とは、価値判断を抜きにすれば、論理的に全く差がありません。(注:筆者は別に民主主義や人権の「価値」を否定しているわけではない)

  では、とりあえず何を教えていくかといえば、やはり国会で決まった法律に従っていくしかないでしょう。ただし、教育が重要な問題である以上、政治の場で争点にすることは必要です。文部科学省の官僚が勝手に切り盛りしていいというものではありません。
  そういう意味では、教育基本法の改正は急務でしょう。このブログでも何度か主張している「利他精神の涵養」や、国民教育の正当性を明記することが必要です。「愛国心」も入れておいていいと思うのですが、連立与党を構成している某政党が激しく反対するのは目に見えているので、今回はこだわる必要はないかもしれません。(そんな政党と、安倍晋三首相のような保守主義者が連立しているのがよくわからないのだが)
  今回の判決で都の処分を違法とした根拠になっている「不当な支配」という文言(同法10条)も、「以下に述べるような」という感じで、例示列挙くらいはしておくべきです。そうでないと、いかなる関与が不当なのか、全て裁判官の胸先三寸で決まってしまいます。
  安倍新首相は教育改革に並々ならぬ熱意を持っているようです。教育担当の首相補佐官に、このブログでも名前を挙げた山谷えり子氏を任命したのも、その現れでしょう。文部科学大臣の伊吹文明氏も、人権擁護法案や女系天皇容認といった、在日外国人団体や社民党が賛成している政策に全て反対している人物です。
  いろいろ良くない噂(大抵は中傷だが)もある安倍首相ですが、是非とも今回の判決に象徴されるような「ふぬけた公教育」を、まともな方向に向けてほしいものです。

  次回は、燃料電池の話題の最終回です。ご期待ください。

燃料電池は「現代の方舟」になるか?②

2006年09月20日 13時49分10秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  代替エネルギー分野は、今大きく動き出しているようです。それだけ、昨今の石油情勢が深刻だということでしょう。前回、「ニゲロンパ」さんからコメントいただいたニュースです。

ホンダ、バイオマスからエタノールを製造
http://response.jp/issue/2006/0914/article85920_1.html

  ホンダとRITE(地球環境産業技術研究機構)が開発したのは、特殊な細菌を用いて、「ソフトバイオマス」といわれる素材からエタノールを作る技術です。今までバイオマス・エタノールというと、サトウキビやトウモロコシといった可食植物からのものがほとんどだったのですが、これで稲わらや葉、茎の部分からエタノールを作れるようになったのです。
  エタノールを代替燃料、もしくは燃料電池の水素源として使う際の利点は、燃焼前と後では、大気中の二酸化炭素の量が変わらない(カーボンニュートラルという)ことです。バイオエタノールの中にある「炭素」は、もともとは大気中の二酸化炭素だからです。
  バイオマスについては、いずれ独立のコーナーでかなり詳しく論じるつもりです。ご期待ください。

  さて、燃料電池の話を続けます。

  ●前回の記事で、燃料電池には、「廃棄物が出ない」「温暖化を招かない」といった利点があるという話をしました。抜けていたメリットを付け加えると、「総合エネルギー効率が良い」「分散型電源に適する」という点が上げられます。
 燃料電池は、一般的な発電方法のように、タービンを回すという過程がないため、エネルギー変換に伴うロスがかなり少ないということです。また、ユニットを小さくすることが可能なので、必要な場所で必要な電気を作ることもできます。燃料電池は熱を発生するので、これを使った暖房・給湯(コジェネレーション)も容易です。
  この利点を引き延ばすと、大規模な発電設備や送電線、変電所が不要になりますから、災害やテロによって電気がストップする危険が減るということにもつながります。まあ、そこまで行くにはかなりの時間がかかるでしょうが・・・。

  夢の話ばかりしていてもしかたがありません。今回は、燃料電池がいまだに「実用化」しない理由について説明します。

  燃料電池を買いたい!と思う人もいるかもしれませんが、実はもう販売しています。例えば、●こちらと、●こちらのリンクをご覧頂くと、電源としてすでに「実用化」されています。

  しかし、上記リンクを見てみると、何か気づきませんか?

  そう・・・値段が明記されていないんですね。もしかして、これは「値段を書くと客が逃げる」ということなのでしょうか?

  そこで、リンク先の会社さんに電話で問い合わせてみました。

  どうやら、「実用的」と考えられる1キロワットの出力を出すための据え置き型のユニットで600万円前後かかるそうです。家庭用電源として3~4キロワットは必要になるのですが、それを365日出すというのは難しいようですね。
  しかも、水素ボンベが必要で、1本の充填に5000円ほどかかるそうです。これだけで、私の自宅の電気代を超えています。(笑)

  なんじゃそりゃ、高すぎる!!と思うのは当然ですが、どうしてそうなってしまうのか、燃料電池が電気を作るまでの過程を追いかけてみましょう。

  燃料電池は、水素と酸素の酸化還元反応によって電気を作る発電装置です。前回も出しましたが、下のように作用しています。



  くせ者なのは、燃料になる「水素」の方です。

  水素は宇宙で一番多い元素なのですが、実は単体で自然界に存在していません。だから、水素が入った化合物から、水素だけを取り出さなくてはいけません。これを「改質」といいます。
  また、水素は気体ですから、放っておくと消えてしまいます。それを何らかの形で「貯蔵」しなくてはいけません。さらに、それを「流通」させる仕組みも必要です。
  つまり、燃料電池に使われるまでに、改質→貯蔵→流通(販売)という過程があるわけで、それぞれに問題があります。水素を燃料とされると困る連中(石油業界や、その御用学者)が、あげつらうものでもあるので、詳しく説明しておきます。

  まず、「改質」ですが、ここでの一番の問題は、二酸化炭素を出すような方法では意味がないということです。つまり、天然ガスから水素を取り出しても、結局大気中の二酸化炭素は減らず、温暖化防止という燃料電池の目的から外れてしまうことになります。(政治的リスクの回避だけならばそれでもいいのだが・・・)
  ところが、水素原料として安価に入手できる「メタンガス」の処理に、画期的な方法が編み出されました。「メタン直接改質法」がそれです。

北の大地からクリーン水素 北海道・別海町
http://www.sankei.co.jp/eco/news/2004/11/02-2.html

  家畜の糞尿から燃料を作れて、しかも二酸化炭素を出さないという画期的な方法です。家畜の糞害というのは、結構深刻な問題になっているのですが、需要の限られている堆肥にするよりも、水素源にする方がプラスになるはずです。
  そして、同じく水素原料である「エタノール」からの改質についても、解決の目処は付きました。従来あった水蒸気改質法の確立に加え、二酸化炭素を出さない改質法を、またもや日本人が開発したからです。

週間機械技術
http://www.machine.or.jp/news/latest.html

(以下引用)

第62号 2006年08月18日 (中略)

<新エネルギー> CO2発生せずに、エタノールから水素製造
東京農工大学亀山秀雄教授らは、エタノールから二酸化炭素(CO2)を発生させずに燃料電池向けの水素を製造する装置を開発した。水素を発生させるための触媒層にCO2の吸収剤を付着させることで実現した。CO2を除去する装置が不用となるため、水素の製造コストを低減できるとのこと。5年後の実用化を目指す。

(引用以上)

  次に、水素の「貯蔵」ですが、今までは水素ボンベに高圧圧縮水素を詰めるやり方が一般的でしたが、水素は引火性が高いので、かなり危険だと言われてきました。
  しかし、これも「有機ハイドライド」の開発でかなり前進しました。

産業技術総合研究所・有機ハイドライドについて
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol05_01/p20.html

  何だかよくわからない方も多いと思いますが、要するに「水素を液体に入れて持ち運べるようになった」ということです。ガソリンみたいに、燃料電池自動車に「給水素」できてしまうわけです。しかも、使った有機ハイドライドは完全に再利用が可能です。

  このように見ると、水素供給の問題は、もはや「流通」の段階だけということになりそうです。この「流通」をどう克服するかは少し難しい問題なので、先に燃料電池自体の問題を見ておきましょう。

  酸素と水素の反応時に、エネルギーの一部が消費され、理論電圧に対して電圧降下が生じることがあります。これを「不活性電極」といい、この現象をほっぽらかすと必要とする電力が得られません。それをクリアするために、燃料電池にはッ「触媒」が用いられています。
  また、燃料電池で最も汎用性の高いと言われている高分子固形型(PEFC)では、その名の通り水素イオン(プロトン、H+)を燃料極側に通すための「高分子電解質膜」が必要です。

  この「触媒」と「電解質膜」は、燃料電池ユニットのコストを押し上げている最大の元凶だと言っても過言ではありません。

  まず、「触媒」ですが、当然ながら、電気を通すと溶けてしまうような金属では話にならないわけで、溶けない(イオン化傾向が低い)金属を使います。実用化しているリン酸型燃料電池(PAFC)も、その一歩手前の高分子固形型も、その触媒に「白金」を使っています。
  白金の価格は●こちらのリンクでわかりますが、1グラム=約4300円です。金よりも高いです。モリブデンやパラジウムなどと同じ、レアメタルだと思ってもらえばいいでしょう。
  そこで、現行の燃料電池では、粒子状にしてカーボンブラックという素材の表面に散りばめるという方法で資源を節約しています。粒子にした方が、接触面が大きくなり、触媒効果が増すからです。
  そうはいっても、本格普及となれば燃料電池ユニットの数も膨大になるわけで、白金の確保が重要になってきます。
  一番良いのは白金に変わる触媒の開発ですが、イオン化傾向が低い金属というのはどれも高価なので、なかなか難しいでしょう。

  次に、「高分子交換膜」ですが、白金ほどでないにしろ、これもかなり高価です。フッ素交換膜は量産ができず、かといって炭化水素をもちいた交換膜は寿命が話にならないくらい短い・・・と、素材ごとに欠点を抱えています。
  幸い、この分野は技術革新で何とかなる分野ではあります。今度は、東京工業大が頑張っているようです。

炭化水素系電解質膜の劣化を抑えて安価な燃料電池を実現へ
http://www.titech.ac.jp/tokyo-tech-in-the-news/j/archives/2006/07/1154304000.html

  上のような交換膜なら、材料が安価なために、かなりのコストダウンが期待できます。実用化まで後一歩でしょうが、良い傾向です。製造工程が簡易化して、量産ができれば、もう怖いものはありません。

  ここまでに見てきたような技術革新は、おそらく燃料電池がどこかで本格的に導入されれば、加速度的に進むことでしょう。そうだとすれば、本当に残された問題は、

 「水素の供給システム」

 「触媒の貴金属」

 そして、なにより、

 「一般人にも手の届くコストの実現」

  ということになりそうです。ここをどういう風に解決していくのか、細かい問題点なども踏まえて、次回述べたいと思います。


燃料電池は「現代の方舟」になるか?①

2006年09月13日 07時05分33秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  中国も、こういう面では一気に先進国の仲間入りをしたようですねぇ。以下のニュースが面白いので紹介しておきます。

北京の大学生、4人に1人がうつ病症状 自殺増も問題化
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060912/K2006091203430.html

(以下引用)

 北京の大学生の4人に1人がうつ病とみられることが、同市衛生局の調査で分かった。適切な治療を受けないで自殺する大学生の増加も社会問題となっており、同市は今月、学校での精神衛生教育の充実などを目的とした対策に乗り出す。

 北京各紙が報じた同局の調査結果によると、北京の大学生の約24%にあたる10万人余りにうつ病の症状がみられるという。04年に自殺した北京の大学生は19人で、うち8人が名門校の北京大学の学生だった。 (以下略)

(引用以上)
  
  やはり、一人っ子政策とやらで、中流以上の中国の若者はひ弱になっているのでしょうか。北京大学というのはエリート養成所みたいなもので、共産党青年団をバックにしているコキントウ氏も頭が痛いところでしょう。
  くれぐれも、「じゃあ、ガス抜きに反日を煽ろう」などという結論を選んでほしくはないものですが・・・。


  さて、今回から「燃料電池」の話に入ります。
  題名を見て、えらい誇大な表現だなと思われた方も、最後まで読んで頂ければ「これはすごい」と納得いただけると思います。

  燃料電池(Fuel Cell、以下略語であるFCも用いる)というのは、水素と酸素の酸化還元反応を利用した電池です。少し詳しく言うと、水素(2個のH2)と酸素(O2)が結びついて、水(H2O)になる時に、電子が移動するので、それを電源にしてしまおうという装置です。
  どのように動作しているかは、以下の画像でイメージしてもらうといいかもしれません。

  


  「水の電気分解」という理科の実験がありますが、あれを逆にしたものだと思ってもらえれば構いません。

  ポイントは、通常の発電方法と異なり、化学反応をダイレクトに利用して発電ができることです。例えば、火力発電のように、石油を燃やす(熱エネルギーを作る)→水蒸気でタービンを回す(運動エネルギーに変換)→電気を作り出す(電気エネルギーに変換)というステップがありません。これは、変換の度に生じるエネルギーのロスが少ないということでもあります。
  さらに、燃料として「水素」を用いていることです。つまり、薪炭や化石燃料と異なり、燃焼の過程で二酸化炭素は生じません。また、水素はいろいろな形で自然界に存在しているので、極端に言ってしまえば資源は無限にあります。

  この二つのポイントが、以下のように、計り知れないメリットを生むのです。

1.地球温暖化を防ぐことが出来る


  化石燃料は、有機物(炭素含有物)を燃やすので、必ず二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素は、太陽の熱が宇宙に逃げていくのを妨げる「温室効果ガス」の一種です。
  温室効果によって南極の氷が溶ける、というのは極端な話ですが、氷河の後退というのは最近よく見られている現象のようです。例えば、NASAのホームページにも以下のような記事が出ています。

  ●Greenland Ice Loss Doubles in Past Decade, Raising Sea Level Faster 

  また、国連の機関であるWWF(世界自然保護基金)は、これを温暖化と関連づけています。

  ●温暖化による氷河の融解で、何十億人もが水不足に苦しむ恐れ 

  もちろん、このような動きに政治的な意図がないとは言いませんが、二酸化炭素が増えすぎていいことはありませんし、温暖化の過程で異常気象が発生するのも困りものです。
  その意味では、現在のように化石燃料をアホみたいに使いまくる生活パターンは変えていく必要があります。燃料電池が火力発電の発電力を肩代わりすれば、その改善が促されるのは間違いありません。

2.廃棄物が水以外ほとんど出ない

  何しろ水素しか燃料として使わないのですから、窒素酸化物や硫黄化合物など出る余地がありません。大気汚染対策として、特に乗用車には朗報です。もちろん、水素を作る過程は別問題なので、後で詳しく述べます。

3.石油への依存度を軽減することができる

  これが、私が考える最大のメリットです。この「環境国家日本」シリーズの冒頭でも「脱石油化」というキーワードを出しましたので、少し詳しく説明します。

  エネルギー源が石油に依存することは、以下のような大変大きなデメリットがあるということは、是非とも認識が必要です。

(1)石油価格の変動によって景気が大きく左右される

  今現在、石油は1バレル(約159リットル)67ドル前後で取り引きされています。第1時石油ショック(1973年)の時は原油価格が一気に4倍も高騰しましたが、インフレ率を考慮に入れると1バレル=80ドルくらいだったということです。
  イスラエルとイスラム原理主義組織ヒズボラとの「戦争」の真っ直中だった7月14日には、原油価格が1バレル=78.40ドルという高値をつけたこともあります。これがずっと続いたら、明らかに景気に悪影響を及ぼしたでしょう。
  次に説明するような要因もあって、原油というのは大きく値動きする可能性がある商品であり、しかもそれは日本という国だけの努力ではどうしようもない面があります。
  石油ショックの時と異なり、日本の企業はほぼ限界近くまでリストラをしています。その結果の業績回復・株価上昇なのです。それに、東西冷戦があった頃と違い、日本のモノを同盟国だからと進んで買ってくれる親分(アメリカ)がいる時代でもありません。
  あのとき大丈夫だったから、今度も・・・では済まされないでしょう。

(2)政治的なリスクが大きすぎる

  これは、日本の命取りになりかねない点です。

  日本の石油の8割以上はいわゆる「中東」といわれる地域からやってきます。これは、想像以上に重大なことです。
  まず、日本から中東は1万キロ超という遠い距離にあるため、輸送コストと輸送リスクが非常にかかっています。
  コストについては、タンカーを大型化したり、石油会社同士で船舶を融通し会ったりで低コスト化を図る努力をしているようですが、これが半分になるということは絶対にありません。
  しかし、それよりも重大なのは「輸送リスク」です。
  石油にエネルギーを依存し、しかもそれを長距離で輸送するということは、その供給路を押さえられると身動きがとれなくなるということでもあります。日本の石油タンカーが中東からやってくる時も、いくつか危険なポイントがあります。
  まず、「マラッカ海峡」です。シンガポール辺りの海のことですが、このへんは海賊事件が多発している地域なのです。●こちらのブログの記事を見るとわかるように、マラッカを通る船には、保険会社も高額の保険料を要求しています。日本のタグボートが襲われる事件も、2005年3月に起こっています。タンカーというのは、30人くらいしか乗組員がいないので、ヘリコプターなどを使われたら簡単に制圧されてしまいます。
  次に、「台湾海峡」です。もうここについては多言を要しないでしょう。以前の記事でも再三申し上げましたが、この海峡を中国軍に押さえられたら、日本の「シーレーン」は崩壊します。いくら中国との友好や親善をやっても、首根っこを握られているという事実は全く変わりません。
  そして、そこに最近は、原油供給元である「ペルシア湾」まで加わってきました。以下のブログ記事をご覧ください。

  イランによるルーマニアの海上油井への攻撃
  http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006/39119624.html

  こちらの記事にあるように、ペルシア湾でも領土問題が存在するのです。そこに来て、最近のイランの核開発を巡る動きです。日米同盟を押し進める日本が、いつ攻撃対象になるかわかりません。

  では、中東以外の地域から輸入すればいいのではないか?と思うでしょうが、私はそれも決定的なリスク軽減策にはならないと思います。

  実は、昨今の原油高が後押ししているのか、「資源ナショナリズム」という動きが妙に盛り上がっているのです。

  南米で高まる資源ナショナリズム
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/~nisijima/www20060508.htm

  この論考の中にある「ベネズエラ」の動きは注意が必要でしょう。なにしろ、ベネズエラが北朝鮮にミサイルの購入を持ちかけたという話が持ち上がっているからです。そのミサイルが向く先が、チャベス大統領が日頃怨嗟してやまないアメリカだとしたら・・・。
  また、同大統領は「原油価格に天井はない」とさえ言っています。これが、資源を持つ国の本音でしょう。それがたまたま、アメリカの石油会社(ブッシュ政権の閣僚にも石油会社の役員が多い)と利害が一致しているのが現在の状況です。もし、これが抜き差しならない状況になったら、南米が紛争地域になることすらあり得ます。
  
  また、この原油高で、にわかに自信をつけているのが「ロシア」です。ロシアの昨今の基本戦略が、石油・天然ガスを利用したEUの取り込みにあることは、以下の記事でもわかります。

独・露による「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン」建設
http://facta.co.jp/mgz/archives/20051211000009.shtml

  こういった一連の動きを見てみると、産油国がエネルギー資源をテコにして、国際政治の中で発言力を強めているのがよくわかります。
  また、その石油を喉から手が出るほど欲しい国の存在が、さらに世界をややこしくしています。それが「中国」です。

ロシアの石油会社ロスネフチ、中国の買収を警戒
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1520525/detail

中国のCNPC、カナダ石油会社のカザフスタン権益を買収
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/10/html/d92796.html

ユノカル買収を巡る中国とアメリカの攻防
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1224282/detail

  「ロシア」と「中国」・・・このブログの以前の記事を読まれた方ならピンと来ませんか?

  そうです、この2カ国は、典型的な「ランドパワー」(大陸国家)なのです。

  しかも、この2カ国は、石油・天然ガスを通じて一体化を強めています。

プーチン大統領:東シベリア送油管「中国供給を優先」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0908&f=business_0908_005.shtml

  要するに、この記事が言いたいことは、「ロシアはエネルギーの買い手として日本よりも中国を選んだ」ということです。これは、利害が絶妙に一致しているという理由だけでは語れません。
  現在、石油・天然ガスを巡って行われている駆け引きは、もはや「弾丸の飛ばない戦争」とでも言うべき状況です。簡単に言えば、ロシア・中国という「ランドパワー」と、アメリカやイギリスといった「シーパワー」という、二大勢力の激突です。
  それが、見事に現れているのは、イランの核開発を巡る動きです。
  イランは、ロシアとがっちり手を組んでいます。証拠は以下の記事です。

イランのガスがユーラシアに向かう
http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=310&more=1

  この記事に出てくる「上海協力機構」というのは、もう名前からして中国が絡んでいるわけです。もちろんロシアもこれに加盟しています。言うなれば、「ランドパワー同盟」にイランを加えようとしているわけです。
  
  そして、中国はイランに相当な資本を投下しています。次のブログが参考になります。

イランに資本を投下する中国、武力で牽制するアメリカ
http://www.cazoo.jp/blog/archives/2006/02/post_631.html

  イラン-ロシア-中国というラインがはっきり見えてきますね。ちなみに、中ロの2カ国は、核開発を続けるイランに対する制裁はもちろん、日本が主張した北朝鮮への経済制裁にも反対しました。
  その現れか、イラン軍の武器は、ロシア製や中国製がたくさん用いられているようです。レバノンで大騒ぎしたヒズボラが利用していたのも、ロシア製のミサイルや中国製のロケット砲だということがわかっています。ヒズボラはイランで支配的なイスラム教の「シーア派」ですから、こういったイラン経由で流れたと見るべきでしょう。

  しかし、この2つの「ランドパワー」だけが問題を起こしているのではありません。アメリカにも相当問題があります。
  以下の記事がそれをよく説明しています。

中東諸国に見られ始めた「ドル離れ」
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00484/contents/239.htm

  これが進行すると、アメリカは大変にまずいことになります。アメリカは、今までドルを刷りさえすれば、タダで石油を決済できていました。もちろん、アホみたいに造幣して市場に放出したらインフレになります。だから、日本や台湾にアメリカ国債を買わせているのです(ちなみに、当ブログはこのことを全否定するつもりは全くない)。
  逆に言えば、国際貿易、もっと有り体に言えば、石油を決済できる通貨であるという事実がアメリカドルの地位を支えているわけです。これを担保するために、武力行使も辞さない・・・ということで起こったのがイラク戦争という見方もできます。

  声を大にしたいのは、アメリカなど「西側」先進諸国が、エネルギーを石油に依存する限り、上のようなランドパワー対シーパワーの戦いは終わらないということです。EUが石油や天然ガスを必要とすればするほどロシアの発言力は増します。「発展」する中国は尚一層イランへの関与を強めようとします。また、石油決済通貨であるドルを守るためのアメリカの戦争も頻発することでしょう。そして、そのような動きが、資源だけはあるという国の一層の強硬姿勢を生むことになります。
  ●以前の記事でも触れましたが、このような状況下で「アメリカの政治的影響力の払拭」に走ることは適切ではありません。無理にやろうとすれば日本側が多大な犠牲を払うからです。

  それよりも、日本が進むべき道は、石油エネルギーの持つ負の連鎖を断ち切ることです。断ち切るとまでは行かなくても、石油を「相対化」することです。それがアメリカを初めとする「西側」諸国のためでもあるのです。
  そして、そのカギが燃料電池であると私は確信しています。

  そうは言っても、「じゃあ、なぜ今まで燃料電池は実用化しなかったんだ?」という声が挙がりそうです。その辺の疑問を、次回以降で扱っていこうと思います。  


敢えて今、麻生太郎首相を待望する!!

2006年09月11日 00時47分19秒 | その他
  以前、このブログでも、●麻生太郎外務大臣の「ニート」に対する考えを扱った記事を載せましたが、麻生氏は、9月末に行われる「自由民主党」の総裁選挙に出馬しています。
  もはや大勢が安倍官房長官に決まったという声もありますが、政治家としての麻生氏の価値はそれに留まるものではありません。

  偶然ですが、某所で麻生外務大臣が、秋葉原で行った演説が、テキストに起こされていたのを発見しました。是非、前文ご覧ください。
 
麻生、太郎です。
3番目んなったんで大体似たような話するだろうと思って
疲れるよね、こんだけ立ってると
上に立ってる我々も疲れますから多分同じように疲れてると思う。
まず、秋葉原駅前の皆さん
そして、自称秋葉原オタクの皆さん
そしてこの後ろにおられる東京都看護婦連盟の皆さん
お力添え頂きましてありがとうございます。
心から感謝を申し上げます。
もし気分が悪くなったら看護連盟あすこにいますんで
是非頭に入れておいてください。

さて、皆さん。
若い人も多い、いや若くない人もいらっしゃいますが
若い人、キャプテン翼知ってる人(挙手を促す)
ありがとうございます。
これー、中近東に行ったらキャプテンマージトって言うんです。
今年あったワールドカップの世界大会で
フランスのジダンが、イタリアのトッティが
あなたは何でサッカー始めたんです?
聞いたら、皆キャプテンマージトのおかげだ。
これ日本人が書いてる漫画、少年チャンピョンに連載してるかな今
このー漫画を読んで、あの世界一のサッカーのキャプテンになったんですよ。
我々はこの事実を知っていましたから
ジダンという人はアルジェリア出身です。
中近東では翼の事をマージトという名前がついています。
このキャプテン翼のロゴをお~きく伸ばして
日本がイラクのサマワに送った給水車のタンクに
このキャプテンマージトのロゴマークを貼って
自衛隊は全部あの地域で襲われることはありませんでした。
国旗よりよほどこのキャプテンマージトを生んだ国だという事が値打ちなんです。
大事なとこですよ。

3J(スリージェイ)というのがある。

今アジアで3つのJがアジアを席巻しつつある。
これは今から4年前にタイムマガジンという真面目なアメリカの雑誌の表紙に
椎名林檎が載りました。
椎名林檎知ってるよね?
椎名林檎が載った、この椎名林檎を珍しいと思って
何が書いてあんのかと思って読んだら
日本という国をハードの強い国と思っているが実はソフトが強い。
今アジアの文化は間違いなく、この3つのJによって今席巻されつつある。
ちなみにアニメーションを見てくれコミックを見てくれ。
ドナルドダッグ、ミッキーマウスは完全にドラえもん、そしてポケットモンスターに取って食われた。
こちらが完全にアジアにおいてのコミックのスターなんです。
テレビゲームも先に攻略本を勉強しようと思ったら
日本の本を買って日本語を読んで覚えなければ先に覚えることは出来ない。
だから日本語って今もの凄い熱ですよ。
学校で教えてんじゃない。
子供が自分で攻略本を人より先に読みたいが為に日本語を覚える。
結果としてこの十年間、経済が調子悪かった中にあって
日本語を勉強したいという人の数はちょうど2倍に増えています。
これが日本の持っている力です。

また、J-POP、2つ目のJというJ-POP、いうのも出てきました。
もの凄い勢いで日本の、ジャアパニーズポップミュージックというものが広がっています。
その代表として椎名林檎の名前が挙がりました。
我々も昔、我々の世代ではエルヴィス・プレスリー、ジーン・ ヴィンセントなんていうのがえらく受けた時代です。
まだエルヴィス・プレスリーにまだ凝っている人も日本の総理大臣に一人いらっしゃいますが
この方に限らず我々の世代、エルヴィス・プレスリーっていうのは絶対でした。
そしてその後の世代が多分ビートルズ。
世代によって音楽が違うが皆英語だった。
だからこれらの歌を覚えたい、思うんだったら英語で歌わないとかっこ悪かったから
読めないけどカタカナ振ってでも英語で歌った格好して覚えたのと同じように
今、アジアの国々に行ってカラオケに行っても何処に行っても
全部J-POPは日本語で歌うんです、若いティーンエイジャーが。
従って日本語って通じるんです。
今日本語っていうものはもの凄い勢いでアジアの中に普及しています。

そして3番目にJファッション。
これは、こないだアジアで一番古い大学があります。
タイ、バンコクにチュラロンコン大学という大学があります。
壇上ですいません、お尻ばっかり見せまして。
このチュラロンコン大学の女子大生100人に聞きました。
あなたはもし次に生まれ変わるとしたらなに人の何、男か女、に生まれたいですか?
いう質問に対して実に32人が日本人の女と答えています。
次にアメリカ人の女が12%、あとはもっと2桁以下なんですが
そういうなかにあって日本人の女に生まれ変わりたいが32%。
何故なら一番かっこよく、一番金払いがよく、
そして一番颯爽とバンコックの街を歩いているからだと答えています。
ちなみに日本人の男と答えた人は0です。(ややうけ)
これが今アジアの人達が見てる日本人に対する目ですよ。
Jファッション、それが今言われてるものです。
Jファッション、J-POP、そしてジャパニメーションというスリーエー(多分間違い)
これらは明らかに日本が作り出したブランドですよ。
日本というイメージは歌舞伎とかどうとか思ってんじゃない?
大体自分でもあまりわからないんだから人様がそんなに簡単にわかるはずはない。
サブカルチャーと言われたこういった世界のほうが
よっぽど日本のイメージとして広くアジアの世界に伸びているという事実を
我々自身が知っておかねばならない。

何となく中国というと反日感情を煽ってけしからん、という人もいっぱいいる。
教育問題には確かに問題がある。
しかし、よく見てみると日本に行ってみて明らかにわかったことがひとつある。
中国にいる時には日本は軍国化している、軍国主義教育だとずーっと言われてきた。
しかし日本に旅して3カ月間、東京にほとんどいたが
日本の東京で軍服を着た軍人に会った事は1回もない。
そんな国が軍国主義なわけがない。
これが普通の人の感覚っていうもんです。
私らはこういう感覚を大切にせにゃいかん。
4年前、重慶のサッカー場で反日的な暴徒みたいな騒ぎにえらくなりました。
わんわん騒ぎになったがほぼ同じ時期に、同じ時期に
場所は違うが谷村新司、これも歌手だけど知ってると思う。
この谷村新司がコンサートを開いた、野外コンサート。
そこのプロダクションに言わせると10万人を超える観衆だったそうですが
最後に谷村新司は昴を歌ったんですって。
その昴を歌ったら9割の中国人が立ち上がって
スタンディングオベーションで応えて全員日本語で昴を歌った

ありゃあ感動する場面だったとそのプロダクションの人が言っていました。
私どもは知らない間に、普段はあんまり気が付いていない
普段はあんまり評価していらっしゃらない大人もいらっしゃるだろうが
是非、そういうサブカルチャーと言われる世界において
我々の気が付かない間に、我々が意識しない間に
我々の持っている文化というものは間違いなくアジアの中にひろ~く行き渡りつつある。
それが今現実なんだ、いうことを是非頭に刻みこんで我々はその対応をせねばならん。

なんとなく日本が孤立しているかのごとき話があります。
しかしBBC放送、イギリス国営放送がやった調査で
世界33ヵ国、4万人を対象にやったアンケート調査ん中で
あなたは世界の中で最も貢献している国はどこだと思いますか
いう国に対して、その中の答えとして出たのが
日本が最も貢献している国の1番に上がってるんですよ。
それが世界の国々が見ている日本に対する目です。
孤立なんかしているわけないでしょうが。
それが現実として、我々がやった調査じゃない、イギリス国営放送がやった調査ですよ。
それを見てもわかるように我々は丁寧に、きっちり対応してきた。
イラクのバグダッドという所にもこないだC-130等々に乗って行きました。
イラクの人々も皆、自衛隊員の士気の高さ、極めて高い評価をしています。
無銭飲食ゼロ、脱走兵ゼロ、婦女暴行ゼロ、こんな規律正しい軍隊を見たことがない
そしてイラクの人達に対して、道路工事のしかたを教え、電気が停電した時の直し方を教え
水をキレイに浄化するそういった設備を置き、そのメンテナンスの技術も全部教えて
我々の自衛隊員は胸を張って帰ってきた、5,500名の自衛隊員が出てって。
間違いなく彼らは我々イラク人の為に応援をしている、くれているのだという事を確信させた唯一の国が日本だと。
これが今、自衛隊、サマワに送られた人達の評価です。
我々はこの人達のおかげで日本の地位が上がり、日本のブランド力が上がっている。
是非その点も評価してもらわないと公平さを欠くと私はそう思います。
ドンパチ撃つだけが自衛隊の話ではないのです。
こういう1人1人の自衛隊員の努力によって我々の国の評価が上がり
それが結果として日本の地位を高め外交につながり
日本の好景気につながっているという点も是非頭に入れてください。

高齢者の方もいらっしゃいます。
日本という国は、是非知っといてもらいたいのは
高齢者、という方は暗く貧しく弱々しいか。
とんでもありません。
高齢者の方々の85%は、おじいさんを見るまでもなく元気。
これだけ1時間半立ちっぱなしでいられるの元気な高齢者がいっぱいいらっしゃいます。
ありがたいと思っています。
そういった方々、年金の話をすると一生懸命、高齢者の方々ほど年金の話を真面目に聞かれますが
年金が明日にもなくなるかのごとき話で
今払ったって先はないんだなんて話をわんわ煽る話に乗っかっているのは間違っています。
年金の積み立ては198兆円あるんですよ。
僕はね、時価で199兆円あります。
そんな今日明日なくなる話じゃないんだから。
今から俺達がしている話は30年ぐらい先の話をしています。
従って今払ってらっしゃる方、その頃はほとんどいらっしゃらないんだから
その方たちはあまり気にしなくてええの。
我々、今ちょうどその境目。
我々より若い人達、はお宅らは払うだけ払って貰えないかと思って心配するのは正しい。
しかし、80歳の方が真剣に聞かれると、ちょっとかなり
あなたそんなに長くお生きになるつもりですかと言いたくなるんですが
是非我々はそんないい加減な話をしているのではないのであって
是非国というものはきちんと真面目に取り組んでいます。
自由民主党は開かれた国民政党として日本の30年先、その先を考えて経営をしようかと
そういうのが自由民主党なんであって
目先の選挙をどうするとか、目先の政権を取れたらどうのと、そういった政党とは違うのです。
是非来たる通常選挙、参議院の通常選挙、その前の統一地方選挙、その前の補欠選挙
是非、自由民主党は全力を挙げて戦います。
誰が総裁になっても戦います。
そしてこの国の責任ある政権与党として務めを果たします。
是非力を貸してください、ありがとうございました。



  どうでしょう?

  日本人でよかった、と元気が出る内容ではないかと思います。


  先日秋篠宮妃殿下が親王殿下をご出産なされたのも素晴らしいニュースでしたが、このテキストを読んだときも、ご出産の時と同じように、じんわりと心が温かくなりました。
  中国に対する発言を見ても、非常に現実的な考え方をする人物であり、言葉の持つ力を最大限生かすことができる政治家(statemanであって、polititianではない)だという印象を持ちました。

  麻生氏は、麻生財閥という吸収の企業グループの総帥でもあります。是非今後とも、日本という国の「経営」に携わっていってほしい、そう願って止みません。


  さて、次回いよいよ日本の切り札になりうる「燃料電池」を扱うシリーズを展開します。お楽しみに。

【出てこい!!】外国人労働者は本当に必要なのか?④【本当の良識派】

2006年09月04日 00時57分35秒 | 社会と教育
  前回までの記事からすれば、外国人労働者を受け容れることは相当危険であり、彼らの流入を阻止するには「防波堤」を作るしかないというのが、外国人労働者問題に対するこのブログの見解ということになります。
  しかし、最大の難問は、「現に外国人労働者を必要としている企業・経済界のニーズをどうするか」ということです。●シリーズ第1回の記事で紹介したように、経済界は明らかに外国人労働者を受け容れる気まんまんなのです。これをどう扱えばいいのでしょうか。

  私には来年度の予算も、政治活動のための資金も必要ないので、正直に、本当に正直に結論を申し上げます。

  上記のような企業のニーズをなんとかするための方法はありません。

  乱暴すぎると思われるでしょうが、本当に無いのです。

  確かに、企業側の外国人労働者の受け入れに対する意欲をなくさせる、もしくは抑制について、考え得る方法はあります。しかし、どれも結局は一つの難題にぶち当たることになるのです。

  一応、オプションを検討しましょう。

1.低賃金労働の待遇を改善する

  たとえば、外国人が多く参入している職場(例;食品製造、土木)の労働条件や賃金を向上させて、サービス業のフリーターをしている労働力をそちらに振り向けたりするということです。
  しかし、これが出来るくらいなら、初めから外国人労働者など導入しているはずがないという反論が出来ます。コミュニケーションに難点のある外国人を雇わざるを得ないのは、人件費を抑制して企業間の競争に勝つためなのです。「利益率を低くしろ」と企業に命令しても、抵抗されるに決まっています。

2.外国人労働者保証制度を作る

  私が考えたのは、経団連という外国人労働者受け入れ推進団体に外国人の身分について連帯責任を負わせるという制度です。たとえば、外国人労働者が日本にいる間に犯罪を犯したら経団連に加盟している団体に反則金を課したり、外国人向けの社会保障費用が増大したら、その6~70%を経団連に加盟している企業に負担させたりするという制度を作るのです。「そんな責任は負えません」というなら、外国人労働者を受け容れなければいいわけです。
  しかし、経団連がそんな不利な条件を呑むはずがないのは明白です。そんなことをしたら、人件費削減という目的を達成できなくなってしまうからです。

3.単純作業の現場にロボットを導入する

  日本のロボットの性能はすごいものがあるので、●こういうロボットに人間の代わりをやらせようということです。
  しかし、細かい作業を理解するような技術水準にはまだ達していない上に、企業が導入コストを渋るに決まっています。メンテナンスや故障が起きたときの対応も面倒です。それならば、ロボットの代わりに働かせる人間(要するに奴隷)を初めから使えばいいということになります。

  ところで、上記の3つの解決策についてのくだりは、何か似たような雰囲気がしませんか??

  そうなのです。企業の経済的利益追求というニーズがある限り、結局は外国人労働者の導入に行き着いてしまうのです。
  
  最近のベストセラーに、「国家の品格」(藤原正彦著)という本があります。その中で、非常に興味を引いた記述があったので紹介します。

>どんな論理であれ、論理的に正しいからといって
>それを徹底していくと、人間社会は
>ほぼ必然的に破綻に至ります。(35ページ)


  この記述は、外国人労働者の問題にピッタリ合致します。

  つまり、企業は「利益を出すには人件費を抑制すればいい→日本人は人件費が高い→外国人労働者を導入しよう」という三段論法を用いて、外国人労働者の導入を狙っているわけです。この論理は、少なくとも企業活動の世界においては全く間違いがありません。
  しかし、この論理の「行き着く先」は明らかです。企業のコスト削減の代わりに社会的コストが激増し、日本社会にエントロピー増大が起こることです。繰り返しになりますが、エントロピー増大というのは「文化的な乱雑さ(摩擦)が増すこと」です。そして、これは今の日本が人権を尊重し、人間は平等だという思想を信仰している以上、決してもとの状態には戻りません。砂糖を水に溶かした後、砂糖だけ取り出すことが困難なのと同じです。
  そうだとすれば、我々が選ぶべき道は決まっています。企業には我慢をしてもらうしかないということです。

  上に挙げたような三つの解決策ですが、困難だとは言いつつも、政治家がその気になり国民がそれを支持すればすぐにでも導入が可能なのが1.なのです。また、政治家に信念を曲げない覚悟があれば、経団連とタフな交渉をして、3.やそれと似た制度(=言い出しっぺに真の意味で「責任」を負ってもらう仕組み)を呑ませることはできるのです。
  それができない原因は、外国人労働者問題が選挙の焦点になっていないことにつきます。
  たとえば、●自民党の2005年衆院総選挙のマニフェストには、外国人労働者の是非について全く言及がありません。●民主党のマニフェストも同様です。
  これらの理由を考えると、自民党の場合は財界の意向を汲みたいが、国民の抵抗が予想されるのでコソコソ導入しようと思っている(●内閣府の調査でも、日本人がやりたがらない職業への導入ですら否定的な意見が6割を超えている)のであり、野党が触れていないのは、外国人はいいひとばかりだと勘違いしている能天気が多いか、左翼政党なので、日本の社会をぶっ壊すような制度は大歓迎というところなのでしょう。
  そうとなれば、せめてネットの世界からでも、外国人労働者導入に反対する世論を形成していくことが必要です。
  この世論形成は、マスコミに期待しても無駄です。大新聞は全て外国人労働者導入に賛成しています。(証拠は●こちらのホームページ)。スポンサーである大企業に利益誘導するためでしょう。もう、我が国の大マスコミに、日本社会の利益を考えて言論活動を行うことなど期待しない方がいいということです。
  (一応誉めておきますが)小泉首相が靖国神社を8月15日に参拝できたのは、マスコミの旧来型の報道の枠にとらわれず、自由に情報を流通させるネットユーザーの増加が一因であると思われます。この流れを加速していくことは、それほど困難ではありません。
  しかし、そのネットの世界で論じていることが、いつまでもいつまでも中国韓国に対する非難や、神社に参拝するしないの問題だというのでは、最悪の事態の到来を抑止できないでしょう。ネットユーザーやブロガーの側も、せっかく芽生えた愛国的な感情を、もう少し生産的な話題に振り向けていく必要がある
と思うのです。

  最後に、感情論はこのブログの禁じ手であり、日本が少子化の時代を迎えていることは確かなので、以下で現実的な対処法を挙げておきます。

(1)職業に対する認識を変える教育をする

  このブログでもたびたび批判していますが、今の学校教育の現場には「仕事を通じて自己実現をしなくては人生の意味がない」という偏った風潮が蔓延しています。これを、なんとか変えて行かなくてはいけません。
  たとえば、教育指導要領に「社会的役割に関する教育」という項目を追加して、「夢を実現できる人は少ない」「それでもがんばるなら死ぬ気でやれ」「収入が少なかったり、地味な仕事をするのは決して恥ずかしいことではない」ということを徹底的に洗脳するのです。
  それでも夢を追いかけたい!という若者は、相当やる気のある人間ですから、才能の育成という点からも好ましいでしょう。だいいち、大人に持とうと言われて持つ夢など夢とは言えないのではありませんか?
  これをやっておけば、なりたい自分になれない→絶望→いらいらして犯罪という悪循環を断つことにもつながり、社会的コストの軽減にもつながります。
    「洗脳なんて・・・」という方に聞きたいのですが、「人権は大切です」とか「差別はいけません」というのは、洗脳じゃないんですか?上に書いてあることの方が、万人平等などというあり得ない理想より、よほど普遍的だと思います。

(2)労働組合が頑張る

  私が一番不思議に思うのは、なぜ待遇の悪化を招くはずの外国人労働者導入に、労働組合が反対しないのかということです。外国人のほうがいい、ということになったら、非熟練労働などみんな外国人に取られてしまうのが当たり前です。
  それなのに、●こちらのリンク先の「三」にあるように、むしろ外国人を歓迎しているような節があります。とりもなおさず、多くの労働組合が、日本人労働者のための組織ではなく、単なる「反体制政治組織」であることの証拠でしょう。
  こんな有害な論調をふりかざし、労働環境の改善とはほとんど関連性のない「平和運動」や「反戦デモ」などやっているから、国民の多く(普通の組合員も含む)にそっぽを向かれてしまうのです。世の中がボーダーレス化しているのですから、労働組合自身も、冷戦の頃の無責任なメンタリティーを改めるべきです。
  具体的には、派遣労働者の増加とリンクさせて、利益至上主義の企業の姿勢を追及していき、日本人労働者の待遇を守るための代案を出すべきです。多少の労働強化もやむを得ないでしょう。何でも反対、給料は上げろ、休みは増やせ、などというのは大人の交渉ではありません。

  このブログでも、外国人労働者の問題は機会があったら積極的に扱います。みなさんもどうかこの問題に関心をもってください。

<ぜひ抗議を!!>

  経済産業省と文部科学省が、「アジア人財資金構想」などと称して、学費無料の外国人留学生に毎月12~17万円の奨学金を給付し、はては国内での就職の斡旋までしようとしています。
  日本人でさえ就学や就職が難しい昨今、このような優遇措置を取る必要が本当にあるのでしょうか。みなさんの反対の声を政府に届けましょう。

経済産業省(メールフォーム)
https://wwws.meti.go.jp/honsho/comment_form/comments_send.htm

経済産業省 産業人材参事官室
TEL:03-3501-2259

関連記事:経産省は「大アジア主義」政策を撤回しろ!!