日々是勉強

教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

【参戦回避】ついに始まった?文明の戦争②【自主外交】

2007年02月25日 23時00分14秒 | 地政学・国際関係
  前回扱った「アメリカvsイランの戦争勃発」ですが、それが近いことを伺わせる出来事がありました。

(以下引用)

英、アフガンに1000人増派へ=メディア報道
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/meast/070223085505.8yg4rzao.html

【ロンドン23日】英ガーディアン紙などは23日、英政府が近くアフガニスタンへの軍部隊1000人増派を発表すると伝えた。ブラウン国防相が26日に下院で詳細を明らかにするという。(中略)

アフガンには現在、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)3万5000人が駐留。このうち英軍は南部ヘルマンド州を中心に5000人を派遣しており、雪解けを待って春の攻勢に出る見通しのイスラム原理主義勢力タリバンと衝突する可能性がある。

英国防省スポークスマンは同紙などの報道について確認を避けながらも、「軍は常に再検討を行っており、調整する必要があれば行い、公表する」と述べた。

ブレア英首相は21日、イラク駐留部隊7100人のうち1600人の撤退計画を発表したばかり。NATO内部では、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどがアフガンに増派すべきかどうかをめぐり議論が続いている。

(引用以上)

  イランの東隣にあるアフガニスタンは、2001年以来アメリカが支配する地域になっています。ここをきちんと押さえておくことは、イランとの戦いを進める上では重要です。アメリカとしては、同盟国にとって抵抗の少ないところからテコ入れを図ったのでしょう。
  当然、今後は同盟国である日本に対しても、何らかの要求をしてくる可能性があります。当然、以下の会談でも、それに向けた「強い要請」があったものと推測ができます。

首相と米副大統領が会談、北の核放棄に向け連携確認
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070221it15.htm

(以下引用)

安倍首相は21日、首相官邸で、チェイニー米副大統領と会談し、北朝鮮の核放棄に向けて日米両国が連携していくことを改めて確認した。

 副大統領は日本人拉致問題について日本の立場に理解を示した。

 (中略)

 副大統領の「北朝鮮シフト」は、首相への側面支援であると同時に、北朝鮮に融和的な動きも出てきた米国内向けのけん制との見方がある。

  (中略)

 一方、日本側では、当初、6か国協議の共同文書に米国のテロ支援国家リストから北朝鮮を削除する作業の開始が明記されたことや、イラク戦争を批判した久間防衛相と副大統領の会談が実現しなかったことなどから、日米関係への懸念も出ていた。しかし、米上院議長も兼ねる副大統領が議会休会中の短い機会にあえて日豪両国を選んで訪問し、「2国間関係は最もよい状態だ」と明言したことを評価している。

 ただ、副大統領の影響力には、イラク政策の失敗や側近の起訴などで陰りも見られる。残り任期2年を切ったブッシュ大統領自身の求心力が低下する中、「今回の訪日が成功しても、日米関係の先行き不透明感は、完全には消えない」(政府筋)とも指摘されている。

(引用以上)

>日本側では、当初、6か国協議の共同文書に米国の
>テロ支援国家リストから北朝鮮を削除する作業の
>開始が明記されたこと

  ここまで譲歩しているとなると、北朝鮮に対する金融制裁の解除も時間の問題でしょう。なんともまあ、頼りにならない同盟国です。

>副大統領の「北朝鮮シフト」は、首相への
>側面支援であると同時に、北朝鮮に融和的な
>動きも出てきた米国内向けのけん制との見方がある。

  どうせ朝日新聞だと全く別の「見方がある」のでしょうが、この読売の記事も楽観的すぎますね。チェイニーの頭の中も、イランのことでいっぱいのはずです。そのことは、

>議会休会中の短い機会にあえて日豪両国を選んで訪問

  という部分でもわかります。要するに、これからイランとの間で(ヤクザ風に言えば)出入りが始まるから、ちゃんとご主人様を支えろと、日本と、イラクに積極的なオーストラリアに釘を差しにきたに違いありません。

  前回の繰り返しになりますが、アメリカの現在の国際戦略は、「石油決済通貨としてのドル防衛」「イスラエル防衛」という二つの大きな要因にひきずられています。
  そして、これは本来の米軍の国際戦略ではありません。冷戦時代のアメリカは海軍力でソ連を陸に封じ込めるという作戦を採用していました。1991年の湾岸戦争でも、米軍が展開したのはペルシア湾沿岸のクウェートだけに留まり、イラク本土に駐留はしませんでした。From The Seaというドクトリンを採用していたわけです。
  そういう観点からすれば、アメリカが本来の戦略に立ち戻って、「ペルシア湾を封鎖して、イラン上空の制空権を取るだけに留める」という作戦を採ることも考えられます。しかし、それではイラクへの武装勢力の流入を止めるのに不十分です。
  また、こういう懸案では、「アメリカはまさか~しないだろう」というような希望的観測をするべきではないというのが私の考えです。最悪の事態に、心理面でも備えておいて損はありません。

  では、本当にアメリカvsイランの地上戦に突入したとして、日本はどうすればよいのか。

  まず、アメリカが求めてくるのは「戦費の拠出」です。これは間違いありません。地上戦のなかった湾岸戦争でさえ、日本は90億ドルの出費を強いられています。
  結論から言えば、これを断ることは至難の業でしょう。安倍内閣というのは、集団的自衛権を認めようという方向で動いている内閣です。そんな内閣が、「同盟国の戦争に、金も出さないのか?」という突っ込みに、抗えるわけがありません。
  したがって、何らかの出費は致し方ないところでしょう。

  次に考えられるのは、「日本に何らかの立法をさせて、ペルシア湾に展開するアメリカ海空軍の支援をさせる」ことです。
  これは、すでにアフガニスタンで海上自衛隊が米軍の補給を支援しているという実績があります(●こちらを参照)。安倍内閣の路線が、この実績を作った小泉内閣と基本的に同じである以上、これも断るのは難しいでしょう。
  ここも、我慢しなくてはいけないようです。

  では、問題は「何らかの地上部隊をイラン本土に出す」かどうかです。
  確かに、イラクには陸上自衛隊が展開しました。また、その活動はつつがなく行われ、自衛隊の能力の高さ、規律の正しさも証明されました。
  しかし、あれはあくまで「復興支援」であったことを忘れてはいけません。アメリカが一通りイラクを叩きのめした後の整地作業みたいなものだったのです。前回の記事でも書きましたが、国土が広く、山地の多いイランを制圧することはかなり困難です。
  そうだとすると、占領段階で自衛隊を使いたいというのがアメリカの本音でしょう。「自由と民主主義を防衛するのに、日本はいつも自分の血を流さない!」とでも言えば、アメリカ国民を煽るのも簡単に出来ます。

  正直、安倍内閣がこれを拒否できるのかは微妙なところです。

  安倍内閣の対応について、少しシミュレーションしましょう。

  開戦時期がいつになるかはわかりませんが、どちらにしろ日本に「派兵」の要求をしてくるのは参議院選挙の後になるでしょう。
  その際にエクスキューズになるのは、「我が国の生命線であるペルシア湾の平和と安全のために」ということでしょう。じっさい、日本は中東から90%近くの原油を調達しています。それを守るために戦うのだ、という理屈は一応立ちます。もちろん、ドルの価値やイスラエルの防衛という目的は言いません。そのために、きっと、「イランというのはこんなにひどいやつらだ」というニュース(プロパガンダ)も流れることでしょう。もしかしたら、「イラン軍の船」が日本のタンカーを襲うかも知れません。
  そうした上で、安倍内閣が取りうる対応は、以下のようなものです。

  1.憲法を改正して、自衛軍を派遣する

  2.憲法改正無しに、自衛隊を派遣する

    a. 他国同様、戦闘に加わる
    b. 後方支援のみに加わる
  
  3.派兵せず、間接支援に留める

  まず、1.ですが、これを可能にするには参議院選挙で大勝しなければなりません。
  つまり、憲法改正には「両議員の総議員の3分の2」が必要です。与党である自民党・公明党の改選しない議席は57ですから、参議院(242議席)で3分の2にあたる162議席を取るために、今年の選挙で105議席取らなくてはいけません。なんと改選議席の86%に当たる数字です。
  しかも、安倍内閣の人気は正直落ち目です。そうだとすると、このオプションは、まず不可能ということになります。

  これに対して、2.は実現可能性の高いものです。
  駒が欲しいアメリカ軍としては、a.の方を要求したいのでしょうが、さすがにこれは世論を考えると難しいものがあります。前任者の首相であれば、「自由と民主主義を守るには、痛みを共有しなければいけない!」と、ことあるごとに絶叫して開き直る(笑)のでしょうが、安倍首相はそれをできるキャラクターではなさそうです。
  そうだとすると、安倍政権の今後のことも考えて、あくまでb.後方支援に留めるというところに落ち着くでしょう。
  しかし、それでも、補給部隊を担当して、イランの内陸部まで自衛隊員が赴く可能性はあるでしょう。米英やオーストラリアが矢面に立つと、どうしてもそこまで人が足りなくなるからです。
  そうすれば、「武装勢力」や「テロリスト」に間違いなく狙われます。

  ペルシア湾の安全という分かったような分からないような目的のために、ペルシア湾ではない土地で自国の兵士が死ぬのです。私は他所で「保守派」として紹介されることもありますが、そういう私でもそんなのは絶対に許せないと思うでしょうね。

  ただ単に、人が死ぬのが嫌だというのではないのです。自国の独立維持とはほとんど関係のないところで、貴重な兵力が失われるのが嫌なのです。そんなことをするくらいなら、竹島を奪い返したり、原発の警備をしてもらったり、日本のためにやってもらえる仕事がたくさんあるはずです。

  アメリカとの同盟関係の維持が大事だというのなら、なぜアメリカは同盟国日本の直接の脅威である北朝鮮にあそこまで譲歩したのかと、逆に私からその人に聞きたいものです。
  まさか、冒頭の読売新聞のように、「チェイニーさんが来てくれた。日本を大事にしてくれているんだ」という脳内お花畑状態になっている人がいるんでしょうか。「右翼」とか「保守」とかブログやホームページで自称されている方に限って、そういう人が多いのかも知れません。情けないことです。

  それならば、日本が取るべき道は一つ、3.の「派兵はしない」というものです。

  それは難しいのでは、という人は、思い出してほしいものです。我が国には、平和主義の憲法という実に便利な言い訳があるのです。
  いずれ憲法第9条を含む現行憲法は改正されるでしょうし、私もそれ自体反対ではありません。しかし、今度の「イラン戦争」に限っては別です。この戦争は泥沼中の泥沼になることは確実です。イラクのような、いやそれを上回る規模の武装勢力の蜂起、散発的なテロが起こり、派兵した国は確実に疲弊します。だからこそ、9条をダシにして参戦を避けるより他ないのです。
  幸い、我が国と共通の立場にいる国があります。イギリスやオーストラリアのような、アメリカの「同盟国」です。
  この2カ国と日本の共通点は、自国の国益とイラン戦争が直結していないという点に尽きます。イギリスはヨーロッパの勢力均衡や大西洋の平和さえ守れればいいわけですし、オーストラリアは太平洋の自由航行さえ確保できればいいのです。別に、イラクの米軍が維持できなければおしまいだ、というわけではないのです。
  特に、イギリスはイラク派遣軍の縮小を明言している国であり、日本とイラン問題で協調できる可能性は高いといえます。

  そして、これは本来、アメリカも同じはずなのです。戦争が必要なのは、ドル支配を守りたい国際金融資本とイスラエルだけなのです。そういう雰囲気があるからこそ、こんなニュースも出てきたということです。

開戦承認決議見直しへ法案 民主党が策定作業開始
http://www.usfl.com/Daily/News/07/02/0223_009.asp?id=52565

(以下引用)

  ロイター通信によると、上院民主党の実力者、レビン軍事委員長とバイデン外交委員長は22日までに、議会がイラク開戦を承認した2002年の「対イラク武力行使承認決議」を見直す法案の策定作業を開始した。米軍の任務をイラク軍訓練などに限定することにより、戦闘部隊を08年初めまでに撤退させるとの内容になる見通しだ。

 休会明けの27日に開かれる上院民主党総会での協議を経て本会議提出を目指す。

 法案は決議と違って拘束力があるため、民主党が多数派を握る上下両院で可決された場合、ブッシュ大統領が拒否権を行使するのは確実。AP通信によると、拒否権行使を防ぐため、大統領が議会に成立を要請している反テロ法の付帯条項としてこの法案を提出する案などが民主党内では検討されているという。

(引用以上)

  日本やオーストラリア、イギリスといった国がこの辺の動きと連動して、ブッシュ政権にプレッシャーをかければ、あるいは今回の戦争は回避できるかも知れません。これこそが、本当の「主張する外交」でしょう。

  そのためにまず、日本で我々が出来そうなことがひとつあります。  

  それは、参議院選挙で安倍自民党を負けさせることです。
  この選挙で自民党が敗北すれば、安倍首相は退陣するか、少なくとも身動きが取りづらい状態に陥ります。そうそう期待できませんが、そうなれば、「派兵したら次の選挙で野党に負ける」と言い訳をする口実にはなります。
  自分は保守なんだが、という方には、とりあえず維新政党新風はどうでしょう。この党は、「北京オリンピックをボイコットしろ」「武力行使してでも竹島を奪還しろ」と主張している唯一の政党なので、お勧めできます。
  残念ながら「新党21世紀」は参議院選には候補を出しません(笑)。

  最後に、最終的にイラクがどうなるかという点について、多少考えを述べておきます。
  米軍はイラクから撤退すべきでしょう。しかし、中東に軍事力の空白が出来てしまうというのも、それはそれで考え物です。
  そこで、アメリカとイラクが安全保障条約を結び、南部の「バスラBasra」にだけ米軍を駐屯させるというのはどうでしょうか。

イラクの地図


  なぜなら、バスラさえ押さえておけば、イラクの石油がペルシア湾から運び出すルートはひとまず押さえられるからです。こうすれば、アメリカ国内の石油資本にも、我慢してもらうことが出来ます。シリア経由で地中海に向かうパイプラインは、放棄するしかないでしょう。
  この案の狙いは、地上軍を大幅に削減しつつ、なおかつ中東の軍事バランス(ペルシア湾の制海権保持)を崩さずに済むことです。イラクのシーア派とイランが結びつく危険はありますが、そうなればかえってサウジアラビアやヨルダン、UAEといった穏健派イスラム諸国がアメリカ側になびいてくる可能性が高くなります。「国王」「首長」といった人々が、イスラム革命で自分の地位を追われたくないと思うはずだからです。

  とにかく、アメリカは自ら破滅の道を歩みたくなければ、振り上げた拳を「同盟国に諭されて、渋々下ろした」という方向でイラン戦争を回避し、イラク「撤退」に動き出すべきです。我が国が率先して、泥沼の戦いに手を貸す必要などありません。
      

【絶滅戦争】ついに始まった?「文明の戦争」①【中東決戦】

2007年02月19日 23時31分44秒 | 地政学・国際関係
  先日終結した六カ国協議の内容に、私としては非常に不満が残りましたが、アメリカがあれだけ「譲歩」した(日本にさせた)理由が何となくわかってきました。以下の記事は非常に重要な意味があります。

米の「陰謀」に結束確認…シリア・イラン首脳会談
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070218i212.htm

(以下引用)

  イランを訪れているシリアのアサド大統領は18日、イランの最高指導者ハメネイ師と会談し、イラク、レバノンでの米国の「陰謀」に対抗するため関係を強化することを確認した。(中略)
  ハメネイ師は会談で、「敵(米国)は、イラクとレバノンで宗派間戦争を起こそうとしている」と指摘、「イランとシリアはこの陰謀に立ち向かうため最善を尽くすべきだ」と述べた。
  アサド大統領は「米国は反米国家の士気を下げようとしているが、シリアとイランの協調により、米国は目的を達することができないでいる」と応じた。

  また、アサド大統領は17、18の両日、アフマディネジャド大統領と会談。18日、イラン核開発への支持をうたった共同声明を発表した。アフマディネジャド大統領は会談で、シリアを「友人、兄弟」と呼ぶなど親密な関係を強調。イラクやレバノンでの宗派対立をめぐり、イランとシリアが武装組織を支援していると非難する米国をけん制した。

(引用以上)

  この二カ国は、先にイスラエルと戦った「ヒズボラ」というシーア派民兵組織を支援している仲間でもあります。しかし、ここまで表だった共闘ぶりをアピールすることは今までありませんでした。

  本来、この二カ国はイスラム教でも宗派が異なります。シリアは多数派の「スンニ派」中心であり、イランは少数派である「シーア派」の国です。
  両宗派は、誰を指導者として認めるかという点が異なります。「スンニ派」はムハンマド(マホメット)の死後、後を継いでイスラム社会の指導者(カリフ)になった人物全てをムハンマドの後継者として認めるのに対して、「シーア派」はムハンマドの娘婿であるアリーのみを後継者として認めています。
  もっと有り体に言えば、「スンニ派」はアラブ人、「シーア派」はイラン(ペルシア)人の宗派です。中東というとみんなアラビア語を話すと思っている人も多いのでしょうが、ペルシア人はヨーロッパ系の民族です。日本でも、茶髪にして欧米人のふりをしているイラン人が、渋谷や原宿に行くと結構います(笑)。肌の色や顔の骨格がヨーロッパ系だからできるのです。
  そもそも、シーア派が起こす騒動を、中東のスンニ派(アラブ人)諸国はあまり快く思っていませんでした。サウジアラビアなどは、シーア派の武装勢力「ヒズボラ」がイスラエルと戦った時も、公然とヒズボラを非難しています。

  しかし、そういうイスラム世界の世論が、微妙に変化しているように思えます。だからこそ、スンニ派の国の大統領が、シーア派の最高指導者と会見できたのでしょう。そして、その変化の原因は、間違いなく「イラク問題」です。
  イラクと言えば、アメリカによる占領後、いまだに治安が回復していないことは良く知られています。最近も、こんなニュースが入ってきました。

シリア・イランとの国境閉鎖へ…イラクが新治安対策
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070214id25.htm
(以下引用)

  イラクのマリキ首相は14日、同国中部のイスラム教シーア派聖地カルバラで演説し、イラク治安部隊と駐留米軍が展開している大規模掃討作戦の一環として、隣国シリア、イランとの国境閉鎖を含む新たな治安対策を開始したことを正式に発表した。
  掃討作戦の指揮官を務めるイラク国軍のガンバル中将が、13日発表した新治安対策の内容によると、シリア、イランとの国境についてはすべて閉鎖し、72時間後にシリアとの2か所、イランとの4か所に限って再開する。バグダッドについては、午後11時から午前6時までの車両通行禁止時間を午後8時から午前6時までに延長。また、掃討作戦展開にあたり、首都を10地区に分け、武器の不法所持や、武装組織などの摘発を強化する。
  イラク政府やブッシュ米政権は、シリアが武装勢力の越境を黙認し、イランがシーア派民兵への武器供与などを行っていると批判を強めてきた。米軍はイラク治安部隊とともに2月から、首都でシーア派民兵やスンニ派武装勢力に対する大規模掃討作戦を展開しているが、その後も爆弾テロなどが頻発、12、13日の2日間で計100人が死亡する事態となっている。

(引用以上)

> ガンバル中将

  すごい名前
ですね・・・(笑)。

  すみません、そういう問題ではないですね。要するに、上の記事の言いたいことは、イラクの治安悪化は、シリアとイランから武装勢力が流入していることが原因だとアメリカが主張しているということです。
  そして、この二カ国が、共同戦線を形成することを、大々的に宣言したわけです。イラクの治安は、おそらく今以上に悪化するでしょう。
  
  アメリカとしては、北朝鮮どころの話ではなかったのです。日本としては良い迷惑ですが・・・。

  ところで、この国境封鎖とやらはうまく行くんでしょうか。

  

  私は無理だと思います。理由は、イラクとシリア・イランの国境線が長いことと、イラクの中にも「シーア派」のイスラム教徒が多数存在していることです。
  そうだとすれば、アメリカはシリアとイランを攻撃し、武装勢力の「巣」を壊滅させるしか手はありません。

  ここで、はっきり指摘しておきましょう。この戦争は「アメリカの史上希に見る大敗北」に終わることは確実です。

  なぜなら、上の地図をご覧頂ければわかりますが、イランというのは国土の大部分が山岳地帯なのです。そうなると、アメリカ軍の得意とする空爆作戦の威力が半減してしまいます。
  もし、地上軍をイラン本土に派遣するとなると、もっとひどい事態になるでしょう。
  イラク南部と国境を接する平野部は簡単に制圧できるはずです。なぜなら、ペルシア湾がすぐそばなので、アメリカ軍は容易に補給線を確保できるからです。
  しかし、首都のテヘラン(地図のTehran)まで進撃するとなると、山岳地帯が邪魔をしてしまうのです。こういう地形は、迎撃側に圧倒的に有利なのです。歴史的には、第二次世界大戦中に、スイスがアルプス山脈という地勢を利用してナチスドイツの進撃を許さなかった例があります(詳しくは●こちら)。
  仮に、死ぬ気でアメリカ軍がテヘランを攻略したとしても、東部の大都市ケルマーン(地図上のKerman)に退却したイラン軍に簡単に補給線(AhwazからTehranに至るルート)を寸断されてしまいます。そのためにアメリカ軍がケルマーンを叩きに行けば、今度は西部のタブリーズ(Tabriz)からイラン軍が・・・という感じになるでしょう。もちろん、制圧した地域で、イラク以上にゲリラやテロリストに悩まされながらの戦いです。
  こんな作戦を実行するのは、狂気の沙汰としかいいようがありません。無茶苦茶です。いくらアメリカ国民に「テロとの戦い」や「悪の枢軸」という魔法の呪文を繰り返し唱え続けても、説得するのは無理です。ただでさえ、反戦ムードが盛り上がってきてしまっているのに、火に油を注ぐ結果になります。
  そんなことはない、という方は、こちらのブログ記事をご覧になって下さい。

アメリカで広がるイラク戦争・占領中止の運動
http://kuropanda2006.jugem.jp/?eid=92

(以下引用)

  現役のアメリカ軍の兵士が、イラクからの米軍の即時撤退を求める署名に1098人(2007年1月時点)も賛同していることが公表された。(中略)
  イラクをはじめ、戦争の最前線に立つのは、戦争を好む軍人より、経済的な理由で軍隊に志願した一般市民だ。州兵とよばれる予備兵役に登録することで、お金がもらえたり大学の奨学金をもらえる。経済的理由、貧困から、しかたがなく登録した市民だ。戦争になると法的に州兵から外れることはできない。しかたがなく戦場に行き、少なくない人々が命を落としている

(引用以上)

  「しかたがなく」なのかどうかは分かりませんが、イラク派遣軍の40%を占める「州兵」というのは、普段は普通の社会人として地域社会で生活している人たちです。もういい加減にしてくれ、という声は、そういうところから上がり始めています。
  朝日新聞や左翼政党が「イラクせんそーはんたーい」とか頭の悪そうなアピールをしているのを見て、反発したくなるのはわかりますが、この現実を無視するわけにはいきません。

  地上戦がダメだとすると、アメリカ軍にとって死者を出さずにイランを屈服させる手段は、「イランの主要都市全てを核攻撃する」ということになってしまいます。要するに、絶滅戦争です。そんなことをして、同盟国(日本やイギリス)がついてくるのでしょうか?

  要するに、アメリカにとって、イラクのためにイランを叩くというのは、何をやっても袋小路に陥るわけです。

  そうなると、アメリカ軍がイラクを撤退することが最も合理的な選択ということになりそうですが、今のアメリカ政治には、冷戦の頃とは違い、「イスラエル防衛」「ドル以外の通貨での石油決済阻止」という変な判断材料が入ってきてしまっています。従って、あえてアメリカが地上戦という地獄道を歩む可能性は否定できません。

  ただでさえイラクで人が足りないのに、イランまで?

  そうです。だから、アメリカは何としても、地獄道にイギリスや日本を引きずり込もうとするに違いありません。極端な話、日本人やイギリス人が何人死のうが、アメリカの大統領選挙には影響がないのです。

  はっきり言えば、地上軍に、陸上自衛隊が使われるということです。それも、日本にとっては何の利益にもならない戦争のために・・・!!

  ちょっと待てよ、とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、次回は日本の置かれた立場や取りうる選択について書いてみたいと思います。

「やったるい」がオッケーなら、俺も政党作ったるぃ!!(笑)

2007年02月15日 02時50分42秒 | バーチャル政党「新党21世紀」
  政治家の質の低下・・・ということがよく言われます。私はその意見には必ずしも賛成ではありませんが、「これ」を突きつけられたら、頭を抱えてしまうでしょうね。

参院選にアキバ系参上…“RPG風HP”に勇者で登場
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007021310.html

  樽井さんのホームページhttp://www.yattarui.jp/を見てみましょう。

  のっけから、ものすごい飛ばしっぷりです。

>TARUI QUEST


  副題が「総理大臣への道」です。ロールプレイングゲームよろしく、日本国の総理大臣に上り詰めるまでの物語というわけです。
 
  政策も、WEB2.0にあやかって「2.0」などと付いていますが、どうにも泥縄的な印象が否めません。

  断っておきますが、彼は落選中です(笑)。とりあえずゲームソフトを買いに行けよ、と言ってあげたくなります。
  いや、「国民(麻生外務大臣のファン?)を馬鹿にするのもいい加減にしろ」というべきでしたね。

  おっと、そこの、これだから民主党はダメなんだ・・・と言っているあなた!

  では、代わりにどこの政党を支持するつもりですか?

  「拉致問題は国家主権の問題」と言いながら、その問題が解決しないうちに日朝国交正常化を目指す文書にサインしちゃった●あの人がいる我が国の第一与党ですか?

  それとも、選挙になると「あいつ誰だっけ」という人から電話がかかってきて、投票するように頼まれる連立与党ですか?

  それとも、いまだに平和憲法を守れとか言っている、感覚ずれまくりの左翼政党ですか?

  一番ましだと思えるのは、「維新政党新風」でしょうか(ホムペは●こちら)。なにしろ、特定の利権団体がバックにいないので、「占領憲法の改正」や「外国人不法滞在労働者の摘発強化」、さらには「親への教育」「日台関係の強化」のといった思い切った事柄にまで言及しています。
  「今の自民党も、なんか変だ」と思う方は、次の参院選挙でこの政党に議席を取らせることをまず考えるとよいでしょう。こういう政党が議席を取ることに、大きな意味があります。

  しかし、新風の政策にもまだまだ突っ込みの足りないところ、不十分な点があります。

  そこで、考えました。

  私はもう30歳を超えているので、衆議院・参議院共に被選挙権があるわけです。

  そうだ、じゃあ、自分の政党を作ろう!!

  とはいっても、いきなり政党を作って選挙に出ても、供託金没収(笑)がオチでしょうし(たとえば、●2005年衆院選で話題になったこの人)、なにより「政党なのに一人」というのままずいです。

  そういうわけで、まずはバーチャル政党を作ってみることにしました。

  名前は、20世紀中から考えていた(笑)「新党21世紀」で行きます。  

  わが党の設立趣意は、暫定的に以下のように定めておきます。

-----------------

  我が党が達成すべき政治目標は、ただ一つ「日本国の永久の独立維持」である。

  確かに、各国が国益の追求に汲々として、他国をないがしろにするということは、結果として戦争等不幸な事態を招くこともあろう。
  しかし、人類の歴史はいまだかつて一度たりとも、いわゆる「世界平和」を達成したことはなく、これからもないであろうということは容易に予想できる。その中にあって、国民がその生命や財産を脅かされず、日々平穏に過ごすためには、やはり国家という枠組みが必要である。
  そうだとすれば、国家の独立を永久に維持することにより、国民全体の福祉を図ることができると我々は確信するのである。

  21世紀に入り、世界は多極化しつつある。我が国を取り巻く国際情勢は複雑化しており、従来の思考・行動様式が通用しない新しい局面に入りつつあると言える。
  ことに我が国は、太平洋の西部に位置する海洋国家として、周辺の大陸諸国から常に圧迫を受けてきたという歴史がある。それにも関わらず、戦後60年我が国は日米同盟に安易にもたれかかり、領土侵犯や日本人拉致に代表される主権侵害を甘んじて受けてきた。
  多極化し、各国が自国の利益を追求する中で、これらの懸案を放置することは許されない。我が党は、懸案となっている国際問題について、国益に即した主張をし、あらゆる外交的手段を用いて我が国の独立を脅かす他国の干渉を排除すること、また、それに向けた、防衛力の強化を含む国家体制の整備について、あらゆる努力を試みることを誓う。

  また、21世紀の世界は「グローバル化」「ボーダーレス化」が進行しており、我が国の誇る経済力もその地位を脅かされつつある。
  このような状況では、日本としての産業競争力を維持発展させるとともに、一歩先の未来を見据えた科学技術の進歩が不可欠である。とみに、今世紀中にも訪れるであろう大幅な気候変動、地球環境の激変に備え、従来の枠組みにとらわれずに資源開発を行い、環境問題へのアプローチを試みることが重要である。
  もっとも、国民が成長の果実を享受できず、豊かでないと感じるような経済システムでは、いずれ国家は破綻する。競争での勝利が、国民の犠牲のもとに成立するものであってはならない。そこで、競争力の維持発展を図りつつ、国民に豊かさを還元できる税制や社会保障制度、さらには公平な経済システムが必要である。
  これらの課題を達成するための国家体制の整備に、我が党は尽力する。

  さらに、我が国の国内では、経済的競争の激化や価値観の多様化に伴い、社会の各部で摩擦が生じているという現状がある。
  もちろん、個人は一個の人格として尊重されなければならないが、人間は社会的な生物であり、社会の中で他人と共に生きていくという姿勢は重要である。我が党は、個人の利益が強調されるあまり、社会全体の調和が失われてはならないと考える。
  社会において必要とされる能力や態度は、教育を通じて養わなければならない。戦後の我が国の初等教育においては、自己抑制や他人の話を聴く姿勢といった、一般社会で必要とされる要素をないがしろにし、いたずらに自由や個性といった題目を追及してきた。これらは改められなければならない。
  我が党は、既存の教育システムの良さを生かしながら、カリキュラム構築や人材育成に重点的に資源配分し、社会で最低限必要とされる能力や態度を身につけさせ、そこからさらに発展して知性や才能を高めることのできる教育制度の構築を目指す。

  上記のような諸課題を解決・調整し続け、国家の独立を維持することが、我が党の存立の目的であり、このような原則に合致する行動をとることが、党員には要求されるものである。


---------

  政策の各論は、次回以降書いていきます。もちろん、党員(まだ1名)の意見は十分に斟酌します。

  「新党21世紀」に入党希望の方は、コメント欄にその旨ご記入下さい。体験入党も大歓迎です(笑)。

言葉の暴力?

2007年02月14日 01時43分30秒 | 子供の教育
  最近の教育をおかしくしている原因は何か、よくわかるニュースを見つけたので、それについて少し論じてみたいと思います。

女子生徒に「勝手に死ね」発言の教諭停職
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070206-152758.html

(以下引用)

福岡県教育委員会は6日、「文部科学大臣に手紙を書いて自殺する」と言った女子生徒に対し「勝手に死ね」と不適切な発言をしたとして、北九州市の県立高校に勤務する英語の男性教諭(49)を停職1カ月の懲戒処分にした。

 県教委によると、教諭は昨年11月8日に2年生のクラスで授業中、女子生徒の私語を注意したところ口論となり、「自殺する」と言った生徒に「勝手に死ね」と発言した。同月7日には文科省が伊吹文明文科相あてに自殺予告の手紙が送られたことを公表していた。(以下略)

(引用以上)

  最初に断っておきますが、この教師が、他の生徒に体罰を行っていたという問題はとりあえず置いておきます。

>「勝手に死ね」と発言した

  正直、これは言ってはいけませんね。相手の存在を否定する言葉を言った時点で、教育する側としてはアウトです。たとえば、「おまえなんて要らない」「何をやってもダメだな、おまえは」などというのがそうです。
  私も、さすがにこういった文句は口にしたことはありません。

  しかし、最大の問題点は、この発言自体ではないのです。

>女子生徒の私語を注意したところ口論となり

  この部分の方が、はるかに問題です。

  確かに、資質に欠けていたり、配慮の欠ける言動をする教員がいるのは事実でしょう。教える側が、それを改善する努力をすべきなのは間違いありません。
  しかし、それを理由に生徒側に抗弁を認めてしまったら、子供はますます図に乗り、本当に必要なことを教えようとしても「つまらない」「興味がない」という理由で、知識・理解の伝授を拒絶しようとするでしょう。そうなれば、本当に努力して子供のためになろうと考えている教師まで被害を被ることになります。

  よくこういう議論をすると、「そもそも子供を引きつける話術や人格のない人間は教員になる資格はない」という反論をしてくる人がいます。
  これは、もっともなように聞こえる指摘ですが、残念ながら公教育の性質を無視した暴論です。
  公教育は、その性質上、多数の教員を雇わざるをえません。その中には、それほど能力がないという人間も混じってくるでしょう。小学校の教員だけで30万人以上いるのです。全ての教員が人格者であり、子供を引きつける技術の持ち主でなければダメという方が、現実的ではありません。
  もちろん、社会に適応できるだけの知識や理解能力の育成をするために、授業技術の向上や知識の蓄積、人格の陶冶には勤めなければなりません。しかし、それを、これだけ沢山いる教員たちに要求するなら、そのような向上を図りたい(図らざるを得ない)ような仕組みという担保を設けることが絶対に必要です。
  たとえば、それが教員の免許制だったり、校長による勤務評定の充実であったりするわけです。
  あるいは、もう少し現実的に考えて、教員がカバーすべき範囲を狭くするべきです。指導要領を改定して、もっと基礎教育(読み書きそろばんや、物事を着実に実行したり、我慢して話を聞いたりできる能力の養成)に重点を置いたカリキュラムにすることなどがそうです。そうすれば、多少資質に欠ける人間や、もともと教員を志していなかった中途採用の社会人でも、きちんとした成果が出せます。
  どうせ教員の資質云々を非難するなら、ここまで考えてほしいものです。私から言わせれば、ここまで考えることすらせずに、正義の味方づらで日教組を叩いているような人間の方が言語道断です。

  それでも、「つまらない授業を拒絶する自由があっていいじゃないか」などとおっしゃる方に一言申し上げます。

  それで
  子供の理解者にでも
  なったつもり
  なんですか??


  授業を聞きたくないという子供の言い分を理解する人間など、私に言わせれば大人失格です。

  私は子供を実際に教えていて常々思うのですが、絶対に子供の世界に下ろしてはいけない本音というものがあるのです。
  たとえば、「嘘を付くのはしかたがないときもある」という言葉です。大人の世界では暗黙の了解が成立しているのでしょうが、子供がこれを聞いたらおしまいです。子供には、「しかたがない」というのがどのような場合なのかわからないからです。あげく、都合のいい解釈をして、「不誠実でも結果がよければいい」という風にねじ曲げられてしまいます。
  「つまらないことは聞く必要がない」という理屈も同じなのです。
  いかに「聞く必要がない」とはいえ、まともな大人であれば、曲がりなりにも相手の言い分を聞き、その上で判断するという作業を行っているはずです。その上で、価値の有無を判断しているのです。それなら、問題はありません。もちろん、立場や状況を考えて、聞くふりくらいはしておいてもいいでしょう。
  しかし、子供に初めからその理屈を教えると、少しでも子供自身にとって不都合がある事項は、「つまらない」とみなされ、初めから遮断されてしまうのです。
  だから、どんなに妥当な本音であっても、「つまらないことは聞く必要がない」という理屈を子供に教えてはいけないのです。

  どうも、今の世の中で見られる子供の乱れというのは、大人自身が野放図に「本音語り」をしてしまっていることも大きな原因ではないかと思います。
  そういう姿勢をただすためにも教育委員会にはがんばってほしかったです。せめて、「ことの発端となったのは、生徒の話を聞こうとしない態度であり、当該教員がカッとなったことも理解できなくはない」と言うべきでした。その上での停職処分なら、周囲にいる真面目な教師もどんなに救われたことでしょう。
  残念ながら、教育委員会がそのようなメッセージを発した形跡はありません。ただ、不穏な言葉が出たので処分した、というだけです。

  私語を注意した人間だけが(本人の落ち度はあったにせよ)不利益をこうむったというわけです。

  そういうところに来て、果たして、

>文部科学大臣に手紙を書いて自殺する」と言った


  ような子供が、真摯に反省するのでしょうか。

  そうだとしたら、これこそ、教育上よろしくないと思うのですが・・・。

【竹島は?】安倍首相は「保守」なのか!?【パチンコは?】

2007年02月11日 16時37分38秒 | 社会と教育
  安倍晋三首相に対する支持が、当初より弱まりつつあるようです。

安倍不支持40%超、支持を逆転
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070129/shs070129003.htm

>FNN(フジニュースネットワーク)が27、28の両日に
>実施した「政治に関する世論調査」で、安倍内閣の支持率は
>39・1%で、不支持が40・9%と逆転したことが
>29日、分かった。
>不支持が支持を上回ったのは小泉内閣当時の
>平成16年7月以来。事務所費問題など相次ぐ閣僚らの
>不祥事が影響したとみられる。

  このブログをご覧になっている方でお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は安倍首相を全く支持していません。

  「税調会長の愛人問題」「防衛大臣の事務所が麻雀屋」「産む機械発言」など、マスコミが喧伝している不祥事が原因ではありません。以下に理由を列挙します。

●具体的な進展が全くない「教育改革」

  教育基本法は改正すべきでした。安倍内閣が改正に手を付けたことも支持しています。これは今でも変わりません。
  しかし、その後教育改革を最優先に掲げているはずの内閣が、具体的施策を何も打ち出せていません。教育バウチャー、教員免許更新制度、何も実現に向けて動いていません。
  いじめ「問題」というものに対しても、対応が泥縄式です。

いじめ問題緊急提言(pdf)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/dai3/siryou3-1.pdf

大リーグの松井選手が内閣メルマガでメッセージ
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/mlb/33388/

  口で言うだけなら誰でも出来る・・・普段私は共産党や左翼によく言っていますが、そっくりそのまま安倍内閣にも送りたい言葉です。
  いじめが多発しているのは、「教師の指導力・管理能力不足」「社会秩序に反する行動(同族殺し)をする子供と、明らかに周囲と協調できない子供がいること」が原因です。そういう認識は、再生会議や安倍首相にはないようです。
  そもそも、福岡であったような事件は以前にも起こっているわけです。それにも関わらず、教育改革についての持論を徹底せず、マスコミの煽りに見事に乗っているあたり、安倍首相にはビジョンを実行に移す力が欠けていると言わざるを得ません。

●日本周辺の「ならずもの国家」に対する姿勢の弱さ

首相は所信表明演説で「主張する外交」という言葉を出していましたが、ここに来て馬脚が出てきています。
  たとえば、●ロシアによる漁船乗組員射殺事件ですが、安倍首相の名前では一度も「主張」していません。
  これはまだ目をつむれるとして、売り物の「北朝鮮による拉致問題」が全く進展していないのはかなりの痛手です。
  経済制裁したじゃないかって?「贅沢品の輸出禁止」「北朝鮮国籍の船舶の寄港制限」「外為法に基づく15の企業の資金移転禁止」・・・この程度で北朝鮮が音を上げると思っている方は、相当おめでたい思考の持ち主でしょう。

  安倍内閣の制裁とやらが「ザル」なのは、この例一つでも明らかです。

山口・下関港 北朝鮮輸出目的の船が入港へ
http://www.news24.jp/76158.html

(以下引用)

  山口・下関港に27日に入港する予定のカンボジア船籍の貨物船が、北朝鮮へ向け中古自動車などを運ぶことがわかった。去年10月の経済制裁以降、下関港から北朝鮮へ輸出品を載せた船が向かうのは初めて。

  下関港に入港を予定しているのは、カンボジア船籍の貨物船「KENYO」(900トン)。下関市港湾事務所によると、韓国・釜山港から27日に下関港に入港し、中古自動車などを積み込んで、今月30日に北朝鮮・興南港に向かうという。下関港には、北朝鮮に運ばれるとみられる中古のバスやトラックなど約30台がすでに置かれている。

(引用以上)

  船の国籍が違うだけで手を出さないわけです。しかも誰かさんの地元の下関の出来事です。抜け穴だらけというわけです。安倍政権って、やさしいんですね(笑)。
  
  何より、私が不満なのは、安倍首相が朝鮮によって不法占拠されている「竹島」について何の主張もしていないという点です。
  これを簡単に裏付ける方法があります。グーグル検索で「安倍 竹島」を入れてみて下さい。同じページに二つのキーワードがあるサイトが引っかかるだけで、安倍首相が竹島について何らかの発言をしている形跡は全くありません。
  なお、竹島周辺での海洋調査を安倍氏が指揮しているような記事もありますが、朝鮮日報の「飛ばし記事」でした。首相になってからは、それすらありません。
  どうやら、安倍という人物は、南の朝鮮に対しては強い姿勢を見せられない事情があるのではないでしょうか。北に対する強硬姿勢は、それを隠蔽するためのポーズかも知れません。
  ここから先は憶測が先行するので書きませんが、もしよろしかったら●安倍首相の祖父である元首相について調べてみると、朝鮮と彼の家の関係がわかってくるかもしれません。

  ここまで書いたので、中国に対してどういう姿勢で臨んでいるかは言わずもがなでしょう。東シナ海ガス田の「盗掘」が始まっても抗議もせず、「共同開発しましょう」などと言い出す始末(●こちらを参照)です。まあ、卑屈な提案でも「主張する」ことには変わらないんでしょうが(笑)、彼を消極的であれ支持した私のような人間は、失望を禁じ得ません。

●パチンコ業界とのつながり

  安倍内閣の副大臣(岩屋毅氏)、官房副長官(下村博文氏)の二人は、パチンコストアー協会の政治分野アドバイザーを勤めていらっしゃいます(証拠は●こちらのリンク)。下村氏は、あしなが育英会の出身で、教育には一家言ある方なのですが・・・・。
  このブログのパチンコに対するスタンスは、左のリンクを見ていただければ一目瞭然かと思いますが、反社会的な産業なので、すぐにでも潰して欲しいというものです。
  パチンコ業界は「29兆円産業」ということですが、法人税の脱税が多く、公営ギャンブルと異なり還元率の規定や国庫納入金のないため、オーナーだけに利益が集まり、国民一般にとっては何の利益にもならない産業です。同じ規模の「自動車産業」と比べれば、社会への貢献度の低さは明白です。
  しかも、パチンコ業界のオーナーの8割が在日朝鮮人です。自動車のトップ企業であるトヨタ、日産、ホンダの役員が全員外国人だったら、何かおかしいと思うのが普通です。しかし、パチンコ業界についてはそういうことが問題にならないのです。マスコミや政治家がカネで籠絡されているというわけです。
  そして、そのパチンコ業界が、ありあまるカネを敵性国家に対して送っているのです。

6カ国協議の鍵は日本のパチンコ送金だ
http://blog.zaq.ne.jp/tachikoma/article/617/

>ウルフ氏は、日本国内で人気があるパチンコが成人の大衆娯楽
>として定着しているが、韓国人がこの業界のおよそ4分の1を
>掌握しており、ここから出てくる収益金のうち毎年2億ドル余
>が北朝鮮に送金されていると推定される、と明らかにした

参考画像

※拡大したものは●こちらです。

  本来、金融制裁というなら、このパチンコ業界を締め上げるのが正道なのです。ところが、それをやらない。やりたくてもやれないのです。なにしろ、安倍氏自身がパチンコ業界と昵懇なのです。

安倍夫婦…パチンコ利権で「冬のソナタ」
http://tokelog.jugem.jp/?eid=5

  安倍氏の下関事務所は、パチンコ企業の所有物件です。曲がりなりにも、北朝鮮と対決姿勢を示すなら、こういうところをきちんと整理した方がよかったんじゃないかと(笑)。
 
  安倍首相を支持する「保守」のみなさん、この点はどのようにお考えなんでしょうかね?彼に首相をやらせていたら、永遠に竹島は戻ってきませんよ?

●政治センスの無さ

  まあ、政治の世界はドロドロしているということで、パチンコの件は何とか我慢してやるとしても、安倍内閣の打ち出す政策のセンスの無さには、もはや怒りを通り越して笑いすらこみ上げてきます。

  その代表例が「再チャレンジ」と「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。

  再チャレンジ云々については、もうすっかり騒がれなくなりましたが、所信表明演説でも安倍首相は、

>誰もがチャレンジできる社会を目指し、
>全力投球することを約束いたします。

  とおっしゃっています。

  しかし、実際打ち出された施策は?と問われれば、答えに窮するのではないでしょうか。たとえば、

再チャレンジ支援寄付金制度
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07020208.cfm

(以下引用)

  政府が2007年度から導入する「再チャレンジ支援寄付金税制」の概要が1日、明らかになった。再チャレンジ支援に取り組む企業などへの寄付金を非課税の損金算入の対象とし課税所得から控除することが柱。通常国会に関連法案を提出する。(中略)

 「間接型」は、フリーターや出産後の女性などの雇用や自立支援に取り組む企業、NPO法人に助成事業を行う公益法人を自治体が「特定地域雇用等促進法人」に指定。この法人に個人や企業が寄付する場合、寄付額を所得から控除する。

(引用以上)

  再チャレンジ支援に取り組む企業への民間の寄付金に税を免除・・・ずいぶんまわりくどい方法を採るものですね。

  しかも、

>助成事業を行う公益法人

  って何なんでしょうね。新手の天下り先を作ろうということでしょうか。

  こんなことより、派遣業法の規制緩和をやめたり、正社員の割合に応じて法人税を割り引くような仕組みを作る方がよほどいいように思えます。結局安倍内閣になってから唯一前進したのは、パートへの社会保険適用を拡大したことだけと言えそうです。

  そして、ホワイトカラー・エグゼンプションです。

  私がぐだぐだ言うより、こちらのサイトをみていただく方がいいでしょう。

知っていますか?ホワイトカラーエグゼンプション
http://www.geocities.jp/whitecollarexemption/
  
  要するに、「ただ働きを合法化させる」「過労死を自己責任にする」ということです。
  
  こういうことを書くと、「自営には残業がない」「うちはもともとサービス残業」「ただ時間を過ごすだけでカネがもらえると思う方が甘い」といったような反論が必ず出てくるでしょう。それにいちいち再反論するつもりはありません。
  仮に、この制度が導入されたとしても、私自身は職を変えたり、別のアルバイトをして収入を確保するつもりです。
  しかし、これによって国民全体の購買力が低下することは間違いないのです。安倍氏を支持する「保守」の方々は、国益という言葉が大好きなようですが、購買力の低下によって経済が沈滞するというのは、国益に反しないんでしょうか?
  このような施策が実施されるなら、所得税減税なり給与のベースアップなりが購買力を低下させない施策が付帯してしかるべきです。しかし、それすらありません。法人税に至っては、またぞろ引き下げるそうです。景気が上向いてきたと言われているのに、まだ競争力の確保を名目にこんなことをされては、民草は堪ったものではありません。

  何より、憲法改正に向けて参議院で議席の3分の2を確保しなければいけないはずなのに、わざわざ国民の人気を下げるような政策を打ち出しているセンスの無さは何とかしてもらいたいところです。
  まさか、マスコミや広告代理店が作り出した「爽やかイメージ」だけで何とかなると思ったのでしょうか。そうだとしたら、甘すぎるもいいところでしょう。

  国民というのは、為政者や有識者から見て「馬鹿」が多数であることは事実でしょう。しかし、そんな「馬鹿」にも生活があり、政治家はそれを食べさせていかなければなりません。
  首相が伝統や文化を守りたいというのなら、それを支える基盤になっている国民生活にもっと配慮すべきです。

  なにも、保守政党は安倍自民党だけではありません。(たとえば、●こちらの政党


   さあ、ネットの世界に
  多数いらっしゃる
   「保守」のみなさん。

   これでもまだ、
   安倍内閣を
   支持しますか?


【平和人権】日教組と総合学習【洗脳時間】

2007年02月09日 11時49分08秒 | 日教組関連
  教職員組合というのは、「仕事もしないで文句ばかり言っているおかしな人の集まり」という印象があったのですが、たまには良いことも言うようです

3分の2は総合学習削減望む
=「現場の声聞いて」中学教師
-長野県教組


(以下引用)

  ゆとり教育の目玉とされる「総合的な学習の時間」について、中学教師の3人に2人は「見直して他教科の時間を確保してほしい」と考えていることが、長野県教職員組合のアンケート調査で分かった。10日から大分県別府市などで始まる日教組の教研集会で報告される。

  調査は県教組佐久支部が昨年7月に実施。小学校90人、中学校81人の教師が回答した。
  現行学習指導要領に基づき、小中学校で2002年度から本格実施された総合学習について、中学教師の65%は、見直して国語や数学など他教科の授業時間を確保するよう希望。小学教師の38%と比べて否定的評価が多かった。高校受験の指導を抱えた事情も反映しているとみられる。
  学力低下批判を踏まえ、政府の教育再生会議は今年1月、「ゆとり教育見直し」を掲げ、授業時間数の10%増を提言。中央教育審議会は指導要領の改定作業を進めているが、この調査では、中学教師の6割、小学教師の7割が「現場の意見を聞いて決めてほしい」と要望していた。
  また、個別意見では「定着したと思うと改定になり、気持ちが安定しない」「ふらふら内容を変更する姿勢が×」と、一貫しない教育政策への不満も寄せられた。 

(引用以上) 時事通信社 - 02月09日 07:11

  学力が低下しているのは、教科当たりの学習時間が少ないためであり、そのしわ寄せとして学習時間を増やすなら、総合学習という意義のあやしいものを削ってくれ、という主張です。筋が通っていると感じます。
  そんなことはない、というのなら、「総合学習は有意義である」ということを明らかにしなくてはいけません。できるかどうか、やってみましょう。

  そもそも、総合学習というのは何なのか。文部科学省の言っていることを見てみましょう。

総合的な学習の時間の創設
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/sougou/020501.htm  

(以下引用)

 今回(注:平成10・11年)の改訂では、[生きる力]の育成を 目指し、各学校が創意工夫を生かして、これまでの教科の枠を超えた学習などができる「総合的な学習の時間」が新設されます。

  「総合的な学習の時間」は、これまでとかく画一的といわれる学校の授業を変えて、
(1) 地域や学校、子どもたちの実態に応じ、学校が
  創意工夫を生かして特色ある教育活動が行える時間

(2) 国際理解、情報、環境、福祉・健康など従来の
  教科をまたがるような課題に関する学習を行える時間

  として新しく設けられるものです。

  この時間では、子どもたちが各教科等の学習で得た個々の知識を結び付け、総合的に働かせることができるようにすることを目指しています。

(引用以上)

  では、「創意工夫を生かして特色ある教育活動が行える時間」や、「教科を跨るような課題に関する学習を行える時間」にどんなことをしているのかということです。

  私が小中学生を教えていて一番よく耳にするのは「移動教室・修学旅行のための下調べ」です。たとえば、長崎に行くとしたら、長崎の歴史(鎖国や原爆投下など)について調べるとか、班行動の計画を立てるとかいった感じです。
  どうやら、気の早い(ある意味「気の長い」)学校だと、2ヶ月くらい前からそのような下準備をするようです。しかし、意地の悪い見方をすると、総合学習のネタがないので修学旅行を利用していると思えなくもありません。

  もう少し実例を見てみようということで、私の地元の小学校の総合学習を見てみることにします。運良くインターネット上に情報がのっかっていまいした。

田植えから収穫まで「米づくり」を体験する
http://homepage2.nifty.com/shokuiku/subsougou0205.htm

(以下引用)

  休み中の雀による被害や、田んぼへの水の引き込みがうまくいかず一部の苗が駄目になってしまったり、また田んぼの周りの広場は一般開放のため、田んぼの水の調整弁にいたずらされたり…、数々の失敗も経験しました。失敗の中には教師からみて結構予想可能なものもありましたが、子どもたちにはあえて失敗を経験させる方針で進めました。

(引用以上)

  なるほど、日本の主食について学ばせようという企画のようです。社会や理科の実践として非常に面白いと感じます。
  しかし、米作りに1時間目も昼休みもないわけで、それを週3時間なら3時間、カリキュラムとして割り振ってやっていくような性質のものかどうかは少々疑問です。それに、全ての小学校がこのような実りのある学習素材を見つけられるわけではありません。小学生の学習内容の範囲内という制約があるだけでなく、学校によって立地条件などが様々だからです。
  
  それならまだ「地域差」でいいのですが、どうも本来の教育目的から逸脱している場合もあるようです。たとえば、次に紹介する小学校の例です。

大阪府松原市立布忍(ぬのせ)小学校
http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/nunose/index.html

  この小学校のトップページ・・・日本語でない文字記号がふんだんに使われています。なにか、ただならぬ予感がします。
  リンクをクリックしてみます。総合学習の紹介です。
  
ぬのしょう・タウンワークス
http://www.e-kokoro.ed.jp/matsubara/nunose/t_works/97kadai.htm

(以下引用)

(1)”ぬのしょう、タウン・ワークス”がめざすもの

 ①継承すること

・自分の生活・親の働く姿・自分史に返して、
 自分の問題として考えることを大切にする。

・地域の人からの聞き取り、フィールドワーク等を通して、
 子どもたちの出会い・体験・感動を大切にする。

・子どもの立ち上がり、一人ひとりの思いを集団に返し、
 共感し合え、お互いの良さを認め合う豊かな人間関係を育む。

 ②問題学習をはじめ多様な人権課題を通した、
  子ども自身の「気づき」を大切に

・多様な人権課題を学ぶことを通して、自分自身の
 「気づき」を大切にする。

 ③知識・態度・スキルの育成

  (中略)

(4)”ぬのしょう、タウン・ワークス”のネットワークづくり

  ①布小校区のネットワーク
    ・福祉・ボランティア活動を通して
    ・労働の学習を通して
    ・生い立ち、自分史学習を通して
    ・進路学習を通して
  ②松原市内のネットワーク
    ・福祉・ボランティア活動を通して
    ・多文化共生教育を通して
    ・進路学習を通して
  ③大阪府下のネットワーク
    ・福祉・ボランティア活動を通して
    ・多文化共生教育を通して
    ・進路学習を通して
  ④ヒロシマとのネットワーク
    ・ヒロシマ修学旅行の取り組みを通して
  ⑤アジアを始め世界とのネットワーク

(引用以上)

  差別というのは差別の存在を教えなければ風化していく一方であり(実際に東京や北海道ではそうなっている)、あえて差別があるということを子供に教え込むのは、それを利用して利権を確保しようとしている勢力があるからに他なりません。
  また、「多文化共生」などと言いますが、日本に入り込んでくる人々(上の小学校の想定例なら朝鮮人)について、日本人が彼らの文化を一方的に受忍するような宣伝がなされるばかりです。なぜ入ってくる連中に、日本の文化や習慣を理解しろという主張がなされないのでしょうか。
  ヒロシマの例にしても、核兵器を無差別に投下したアメリカを非難するならともかく、学校現場で取り上げられると常に「日本が悪い」という結論に強引に結びつけられることがほとんどです。しかも、ケロイドになった被害者の姿などを見せて、理屈ではなく感情で「日本嫌い」の考えを刷り込もうとするのです。
  アジアに至っては、どうせ中国と朝鮮を指しているに決まっています。ただでさえストーカーのようにまとわりつてくる連中に、こちらから近づく必要など100%ありません。
  こういった教育は、百害あって一理無しです。

  大阪と言えば、以前●このブログの記事でも取り上げたように、外国人(在日朝鮮人)を教員として積極的に採用しているということで知られています。
  そういう場所では、総合学習というのは週3時間以上は学校現場の側でカリキュラムを勝手に作れるということでプロパガンダや洗脳をしようとする勢力には非常に都合がいいわけです。
  案の定、危険団体の親玉(笑)も、総合学習の時間を有効に活用しろという指示を構成員に下しているようです。

日教組の総合学習についての考え方
http://www.jtu-net.or.jp/news/05/02/02n1_1.html

(以下引用)

  総合学習は、子どもたちの興味・関心をもとに、地域や子ども自身のくらしと密着した内容について、教科で培われた力を横断的・総合的に生かしながら「ゆたかな学力」を育てることをめざすもので、人権・平和・環境・共生などをテーマにして、全国各地で長年にわたって実践が積み重ねられてきた。文科省も、各地の実践に呼応するようなかたちで、02年の学習指導要領改訂時から正式に導入されることとなった。
  日教組は、現場教職員による教育課程編成運動をまさに実践するものとして、それまでの実践の積み重ねを生かすとりくみとしてすすめてきた。しかし、当時から準備時間の確保や予算的な裏打ちなど、十分な条件整備がない中でのとりくみに、現場の多忙化がすすむとの懸念があったことは事実である。
  さらに00年ごろからの「学力低下」論によって教科学力を重視する声が高まったことに加えて、報告書を求められることの増大、内部会議の増加、教職員定数の未充足、学校予算の縮減など、充分な準備をして総合学習にとりくむことが困難な状況が強まっている。
  こうした現場状況の改善をすすめることが、行政の責務であり、その具体化を強く求める。

(引用以上)

>子どもたちの興味・関心をもとに

  これが本当なら、松原市には差別や在日朝鮮人の暮らしぶりに「興味・関心」を持つ子供が毎年継続的に存在することになります。嘘はいけませんね。正直に「教職員の政治的意図をもとに」と書くべきです。

>人権・平和・環境・共生などをテーマにして

  文部科学省が列挙している例にあてはまるのは「環境」だけです。いかに、この団体とその構成員が、洗脳の機会として総合学習を利用しているかがよくわかります。

>日教組は、現場教職員による教育課程編成運動をまさに
>実践するものとして、それまでの実践の積み重ねを生かす
>とりくみとしてすすめてきた。しかし、当時から
>準備時間の確保や予算的な裏打ちなど、十分な条件整備が
>ない中でのとりくみに、現場の多忙化がすすむとの
>懸念があったことは事実である

  自分で「積み重ね」てきたはずなのに、導入するとなると多忙化ですか。「だったら導入するなよ」という声が聞こえてきそうです。

>さらに00年ごろからの「学力低下」論によって教科学力を
>重視する声が高まったことに加えて、報告書を求められる
>ことの増大、内部会議の増加、教職員定数の未充足、
>学校予算の縮減など、充分な準備をして総合学習に
>とりくむことが困難な状況が強まっている。

>こうした現場状況の改善をすすめることが、行政の
>責務であり、その具体化を強く求める。

  そもそも「多忙」とやらも、本来子供に教えるべきものとして国が定めた項目になかったはずの総合学習が原因のはずです。それを削減しろというなら、百歩譲ってまだ理解できるとして、予算を増やせだの報告書を求めるなだの言い出す。
  この労働組合の加入率が年々下がり、おかしな人々の集団だと認識されるのがわかります。

  もうこの際はっきり言っておきます。

  おまえらみたいな
  馬鹿な労働組合が騒ぐから
  まともな労働運動が誤解されて、
  経団連になめられるんだよ!!


  日教組の言いぐさは子供の駄々です。大人なら、自分の要求が受け容れられそうなものかどうか、もうすこし計算をすべきでしょう。それをせずにただ言いたいことだけ言うなら、反社会的集団とみなされても仕方がありません。
  自民党の中川昭一政調会長が「日教組は悪性腫瘍」と発言したらしいですが、私もその発言は歓迎です。こんな連中が労働者の権利を持ち出すのには反吐が出ます。
  そういう団体が必死になって守っていると言うことは、やはり自分たちの政治的宣伝に使う意図なのでしょう。そういうわけで、このブログとしては、「総合学習は全廃すべきだ」という主張をさせてもらいます。  

  教育について暗い話題に事欠かない中、、長野県教組が総合学習の削減を提案したというのは、貴重なことです。もしかしたら、親玉(日教組)に何か邪悪な意図があって、その前振りとして仕込まれただけなのかもしれませんが、それも含めて日教組の今後の対応に注目したいと思います。

二年前の自分を、あえて振り返る

2007年02月08日 03時11分59秒 | 生き方・人間関係
  ブログの記事を書くためのネタを掘り起こしていたら、2年前自分で書いた日記が見つかりました。
  私という人間がどのような道をたどって今に至ったか、ご理解いただけるかもしれないので、トラックバック無用で記事にしてみることにします。(注:当時は、旧司法試験の受験生でした。また、所属会社を推測可能な部分は表現を変えています)


 今日風呂に入っていたとき、ふとA君のことを思いだした。
 講師になって2年目と3年目、彼とはよく遊んでいた。もっとも、僕が彼の家に押し掛けるかたちがほとんどだったけれど。いわゆる、「ひきこもり」だった。促しても全然外に出ようとしない。俺もいらいらして、とうとう最後は絶縁してしまった。
  あのときは、ひきこもりをする人間の気持ちが全く理解できなかった。人間として弱いだけなのではないかと思っていた。最後の方は、努力すれば世界が開けるのに・・・がんばれよ!という感じの物言いをしていたように思う。今思えば、まるで、「これからの世界は勝ち組だけが生き残る!」とか鼻息を荒くしている、あの落合信彦みたいだったと思う。

  はっきり言って、今日まで彼のことをすっかり忘れていた。それをなぜ、今になって思い返したのか。

  僕は、最近、よく受からなかった後の自分を思う。
  司法試験は難しい試験だ。受からない可能性の方が遙かに大きい。そんな僕は、もう10月で30歳だ。塾の仕事をやってきて、きっと自分は試験に合格すると思いながら受験勉強も5年になる。その間に、仕事の他に、自分の商品価値が上がるようなことはほとんどやってこなかったと気づく。行政書士には合格したが、新規に開業して安定した生活をしていける人間はほとんどと言っていいほど、いない。つまり、僕には塾の先生として教える以外、売り物が何もないのだ。
  そんな自分が、これから何か「まともな」仕事に就けるのだろうか。とても不安になる時がある。「まとも」というのは、結婚をして、子供を育てていけるという意味だ。おそらく、合格しなければそれは困難だろう。
  もし、「まとも」な暮らしがしたいなら、事業を興すにしろ、会社で勤めるにも、また、競争をしなければならない。それにもかかわらず、その競争に勝つための技術や資質は僕にはほとんどない。もちろん、それらを養うことはできないわけではない。しかし、生活していかなければ行けない以上、短期間で何かを身につけるというのは難しい。
  それに、ここで法律を捨ててしまうとなると、一体何のための5年だったのか、何のための勉強だったのか、全てが無駄になってしまう。
  同僚の仲の良かった女性にそれを言ったら、決して無駄にはなりませんよ、と言ってくれた。申し訳ないが、それは精神論に過ぎないと思う。もちろん、僕の法律に対する理解は一般人を遙かに凌ぐだろう。しかし、それだけだ。法律に携わる仕事は、士業として資格を取って初めて自分の事業として成立する。その資格を得るため、受験勉強に膨大な時間をつぎ込み、他の業界に進む可能性やそのために必要な能力は全く養わずに来た。その見返りが、単なる法律の知識だけだとしたら、悲しすぎる。
  知り合いの東大生は、卒業したその年にすぐに司法試験に合格してしまった。彼には、おそらく能力があったのだろう。そして、論文試験を2回受けても、まだ上に4000人もいる僕は、あまり能力はないのだろう。
  以前ならそれでもよかった。論文を5回6回受けるのは当たり前だったし、受かれば弁護士にはなれた。
  しかし、今はそうではない。ロースクールができてしまったからだ。弁護士は年間に2000人単位で増えていく。また、競争だ。それはいい。ボーダーレス化する今の世界では、競争を免れることができる人間はいないからだ。しかし、大学を中退した人間の受験機会が、2010年で(実質的には、2005年で)完全に消滅してしまうことはどうだろう。全く受験のチャンスがなくなってしまうなど、5年前には思わなかった。わかっていたら、受験を思い立ったりなどしなかったかもしれない。しかし、誰もそれを埋め合わせてなどくれない。

  いよいよ、追いつめられてしまった。このまま、塾の講師を続けるのか。しかし、ある年齢が来たら、もう今のような条件で働くことは出来なくなる。
  いや、そもそもこの業界が、僕のいる会社が、その時まで今のように存続していけるのだろうか。僕のような非常勤の人間は、沈みゆく船の錘になってしまうからと、切り捨てられても文句は言えない。だからといって、何をすればいいのか。試験に受かるなら、と、今まで続けてきた。その可能性が事実上なくなってしまうまでもうすぐだ。受かるかどうかは、誰にもわからない。もう、泣き叫びたいくらいの心境だ。

  しかし、そんな思いで胸が塞がって、初めて分かったことがある。

  それは、どんなに頑張っても社会的弱者に追い込まれてしまう人間が、必ず存在するということだ。もちろん、道ばたで寝転がっているホームレスのおじさん達が、みんな現代社会の犠牲者などと言うつもりはない。自助努力を怠った「どうしようもない人間」はかなりたくさんいるだろう。
  しかし、全員がそうなのだろうか。保証人になってしまい、債権者に追いまくられて故郷を追われた人も少なからずいる。小泉改革で一方的に地方に配分される金が減り、仕事がなくなってしまった建設業者もいるだろう。そんな人たちが皆、「どうしようもない人間」なのだろうか。今安定した生活を送っている人間が同じ状況に置かれたとき、本当に努力したり、がんばったりできるのだろうか。
  よく言われることは、仕事にあぶれているおじさん達や、フリーター生活を余儀なくされているのは、「努力が足りない」ということだ。自分の能力を伸ばす努力をした人間が「勝ち組」になるのは当たり前だ、「負け組」は自己変革と時代の波を読むことを怠った人間で、そんな人間が社会の底辺にいるのは当たり前だ・・・落合信彦の著作でも読むといい。まるで、日本のアメリカ化を礼賛するかのようなフレーズばかりが並んでいる。

  しかし、そういった考えは、重要な点を見逃している。人間にはもともと能力の差がある。それに、全ての人間に平等なチャンスが保証されているわけではないのだ。運や巡り合わせというものは、必ずある。生まれる家が違うだけで、人生が変わってしまうことも多い。これは、落合信彦や小泉首相も否定はしないだろう。
  そういう運や巡り合わせと縁がない人間は、数少ないチャンスのために、過当な競争に晒される。人間はいつか死ぬし、年を取り衰えて競争に参加することすらできなくなってしまうこともある。 そんな中、本当に訪れるか分からないチャンスをつかむために、金や時間の全てを投げ出さなくてはならない。
  そして、競争に敗れるのは、自分が悪い。努力が足りなかった。自己責任だということになるのだろう。あなたが悪いんです。人生おしまいです。あとはご勝手に・・・。

  なんという、寒々とした世界だろう。能力のない人間を全て淘汰して、完璧な人間だけの住む浄化された世界でも作ろうというのでもない。創造性や英知を駆使して社会を動かす一握りの人間と、奴隷のように機械的作業に従事する圧倒的多数の人間がそこにはいる。
  奴隷がどんなにいい仕事をしても、奴隷は奴隷だ。それに、奴隷達には連帯感がまるでないから、革命も起こすこともできない。最近続発している弱い者を狙った卑劣な犯罪は、散発的なテロにすぎない。宅間や小林薫、イトーヨーカドーの刃物男たちは、体制によって、ゴミと認定されて処刑される。
  恐ろしいことは、もはやそのような連中が例外ではなくなってきていることだ。能力のない人間は、使い捨てされていく。いくら彼らなりの努力をしたところで、単純作業に高い金を払う企業はない。不満だけが溜まっていくだろう。
  そして、犯罪だ。今はまだ、ごく一部のおかしい人間の仕業で済んでいるかもしれない。世の中が変わっても、人を殺したいと思う人間は少ないだろう。だが、その代わりが児童虐待やいじめだ。プレッシャーに押しつぶされ、おかしくなってしまう人も出てくるかも知れない。そして、絶対に、絶対に、 恵まれた人間はその犠牲になることはない。狙われるのは、普通以下の家庭の女子供ばかりだ。弱者同士が共食いをする、悲しい風景ばかりが続いていく。「生きていればいいことがある」などと、陽気に言っていられる世界ではもはやなくなってしまった。
  僕はどう考えても、「勝ち組」ではない。実は崖っぷちにいるのだ。宅間を笑ってなどいられない。もちろん、反社会的な行為などしたくないし、簡単に競争に負けてしまいたくはないが、こればかりはわからないのだ。
  誰が、僕が受験勉強を始めたばかりのとき、「ロースクールが出来るから今は辞めた方がいい」などと言ってくれただろう。「司法試験は受かりやすくなった」と、みんなが嘯いていたはずだ。
  世の中は、変わる。それも、普通の人間がキャッチアップすることが不可能なくらいの速度でだ。だから、今ある生活が、突然ひっくり返されることもあるし、むしろその方が多くなっている。変化が例外ではなく、原則になってきてしまっている。だから、僕がいくら努力をしても、中学生の頃当たり前に実現できると思っていた生活-妻がいて、子供がいて、定職に就いて安心して暮らしていける生活ができるようになるとは限らない。
  全てを投げ出して、挑戦をすればいいと思うかも知れない。しかし、それがうまく行かなかったら、一体僕は何処に戻ればいいというのだ?いつかは肉親である母も死ぬ。それも、そんなに遠くない将来だろう。そんな人間にも、少ないチップを賭け続けろと言うのだろうか?
  確かに、僕の今の生活は、たいした生活ではないかも知れない。しかし、それすらなくなってしまったら、僕は生きていくことが出来ない。飢え死にしなければいいと言う人もいるだろう。人生いくつになってもやり直すことが出来るという人も。しかし、それならまず「あなたが」やり直してみてください、と僕は言いたい。人ごとだから、脳天気なことを言っていられるのだ。
  犯罪が一番割りのいいビジネスだと、本気で考えることもあるし、幸せそうに可愛い子供を連れて歩く夫婦を見ると、殺してやりたいと思うことさえある。受からなければ、僕が一生たどり着くことの出来ないであろう「幸福」がある。理論的には誰にでもたどり着くことが出来るはずの場所だ。いっこうにそこに近づけないと思ったら、ガラスの壁が僕を塞いでいたのだ。僕は幸せそうな夫婦のいる方にいたと思っていたが、本当は宅間や刃物男の側にいたのだ。いつ使い捨てられるか分からない、どうでもいい人間の側に。

  そう、僕も「弱者」だ。やっと、気が付いた。

  もし、今A君が側にいたら、僕は決して努力しろ努力しろと言わないだろう。話をきいてやり、今少しでも出来ることが何か、いっしょに考えたい。いつかは親が死んでしまうという現実を少しずつ受け容れていけるように、根気強く働きかけたい。
  彼が外に出られなくなってしまった理由が、ほんの少しだが僕にもわかるのだ。この社会で、いつかふるい落とされてしまうと感じ、足がすくんでしまった。それだけのことだ。そんなにオーバーなことではない。そして、僕も今、そうなり始めている。

  いろいろなことが、やっとわかり始めた。もし合格することが出来れば、本当に素晴らしい仕事のできる弁護士になる自信がある。平均年収を遙かに上回る家庭で育った東大卒の人間には、絶対にできないことをやってやる自信がある。それは、本当の弱者救済だ。悲しい現実にくじけそうになる人たちのために、少しでも働くことだ。今僕は、「エリート」の奴らには経験しようがない(おそらく、したくもないだろうが)状況を味わえている。ある意味、よかったのかもしれない。
  これから本当の地獄が待っているのかも知れないが、少なくとも今は希望をもって進んでいきたいと思う。いろいろ考えたが、今の僕にはそれしかできないからだ。試験にはまだ、誰も受かっていない。落ちてから考えてみてもいいだろう。そのくらいは、バイクを売って貯金をなくせば大丈夫だ。

  大願が成就せんことを、祈るしかない。本当に、祈るしかない。


  今思えば、相当追いつめられていた自分を感じます。いや、追いつめてしまっていたと言う方が正しいでしょう。

  やめてみて分かるのですが、自分は条文の趣旨や、判例の文言、さらには法制度の相違点などを記憶するのがやはり苦手だったのです。
  しかし、ここまで来たからにはもう後に引けない、という思いで、当時は頭がいっぱいだったのでしょう。今の自分がそばにいて、「彼」に何か言葉をかけても、その思いが他人の言葉を全て遮ってしまうだけに終わったに違いありません。
結局、今まで合格し続けていた択一試験に落ちるまで、わからなかったでしょう。
  仕事の向き不向きは、やってみなければわからない部分が大きいのです。

  幸い、現在は他にやってみようと思うことができました。それが、今後の生活を「ふつうの人生」に導いてくれるかどうかはわかりません。
  ただ、そんなことばかりを考えて何もできなくなってしまうような状態に自分を置くことだけはやめようと思います。そんな臆病な教え手に教わりたい子供がいるはずがありませんしね。

  ブログの執筆にも力を割いていきたいと思います。これからもみなさん、よろしくおねがいします。

【安全保障】対馬を「防衛特区」にしよう!!【生活向上】

2007年02月06日 01時01分27秒 | 地政学・国際関係
  「防衛特区」のアイデアについてお話しする前に、対馬のような離島が共通して抱える問題について述べたいと思います。

  まず、ごく一部の例外を除いて、離島は深刻な「人口減」に悩まされています。●こちらのホームページによると、昭和40~45年の人口減少率は対前5年比で12%、最近の平成7~12年も7.2%と高いままです。対馬も、平成7~12年で約5%人口が減少しています。
  さらに、これに追い打ちをかけるのが、「高齢化」です。対馬は高齢者(65歳以上)の比率が23%ですが、北部の上県地区ではでは28%に達しています。これは全国平均より高く、この傾向に歯止めがかかる様子はありません。
  原因はいろいろあると思うのですが、ごく単純化して言えば「仕事がない」「不便」ということで、本土に人が出ていってしまうということでしょう。そして、そんなことは何十年も前からずっと言われてきたことです。

 「海洋国家」である日本にとって、このような状況は好ましいことではありません。

  我が国の国境は全て離島付近にあり、国土の防衛のためには離島が安定した社会状況であることが絶対条件です。
  なぜなら、離島が窮乏すれば、国境を接する外国に身売りをする人間が現れたり、不満が高まったところにスパイや工作員のような人間が活動する余地ができてしまうからです。本土から来た訳の分からない住人が「市民」団体を結成し、何かある度に暴れている沖縄を見ていただければよくわかるのではないでしょうか。
  小さな島一つなどどうでもいいではないか、という人は、ことの重大性をよくわかっていません。
  日本が「海洋国家」だということは、とりもなおさず、海上輸送路(シーレーン)が命綱だということです。
  日本が先の戦争で完全な敗北を決定づけたのは1944年8月のサイパン陥落でした。ここを取られれば、東シナ海の制海権を米軍に奪われるということを意味します。つまり、本土と台湾以南との物資の運搬を、潜水艦攻撃によって遮断されてしまうわけです。
  どんなに小さい島であっても、潜水艦や工作船(●この事件の船など)の活動拠点になります。そうすれば、シーレーンを脅かされることになります。
  そして何より、そこに住んでいる人々は日本国民なのであり、日本政府には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(13条)を保障する義務があるのです。だからこそ、敵国が工作をしかける余地を与えてはいけないのです。

  では、離島を振興する方法として、どんなものがあるでしょうか?

  すぐに思いつくのは「産業振興」「観光振興」ですが、政府や自治体が金をかけてもなかなかうまく行きません。産業を一から作り出しても産物を売らなければいけないわけですし、観光地にそもそも適していないような離島も少なくないのです。だいいち、盆暮れ正月ぐらいしかない休みを、わざわざ離島で過ごそうというのは、そうとうな旅行通しかいないはずです。 
  そうだとすれば、このような既製の離島振興をいくらやっても、離島防衛にはつながらないことは明白です。

  「公共事業」ならどうでしょうか?

  これもほとんどはダメでしょう。橋や道路を造っても、その間だけしか雇用は生み出せません。それどころか、無理な開発は、環境破壊や災害時の被害拡大につながるおそれもあります。なにより、無駄な公共事業にお金を投じることがこれ以上許される風潮ではありません。
  
  しかし、何かあるはずです。橋や道路の建設とは違って「反復性」があり、観光旅行と違って「継続性」があり、しかも、市場原理の影響が少ないものが・・・。

  そう、一つだけあるんです。それは「軍隊」です。

  さすがに100人程度ではたいしたメリットはないかもしれませんが、自衛隊員が1000人規模で駐屯すれば、離島では馬鹿に出来ないだけのお金が落ちることになります。
  たとえば、もし、その1000人の隊員が、「地元の業者から借りた宿舎」に住み、「島の出入り業者によって提供される食糧や生活必需品」を買い、さらに休日は「島の店で買い物をしたりレジャーを楽しむ」としたらどうでしょう。相当な需要喚起につながるのではないでしょうか。
  しかも、自衛隊は「オールインワン」の組織なので、僻地では難しい医療や高速度の輸送といったサービスを提供したり、台風などの自然災害の場合も迅速に復旧活動を行うことができます。
  さらに、平時に置いても、本土の大企業でないとできないような高度な建設作業や、生活必需品のヘリ輸送など、使い道はたくさんあるのです。

  そのようなメリットを享受できる環境として、私が提案したいのは「防衛特区」という制度なのです。

  この防衛特区の特徴は、単なる「基地のある町」に留まらず、地元住民にとって積極的に経済効果や福祉充実をもたらすことにあります。

  対馬をモデルにして話をすると、まず現在の陸自・海自の人員を増強します。ランドパワーの国が本土上陸をする通り道であるとすると、相当重要な地区なので、陸自3000人、海自500人といったところでしょうか。そして、それに見合う設備を作ります。

  ここで重要なのは、できるだけ地元の企業に設備の建設・維持管理を行ってもらうことです。

  自衛隊の基地ができても、その基地が本土から運ばれてくる資材で建設され、本土から輸送される食糧や生活必需品を利用していたら、地元にはほとんど経済効果はありません。
  極端な話、防衛機密に関する部分や、地元の業者には技術的に困難な部分以外は、全て地元企業に委せるべきでしょう。基地内で働く用務員や、基地に付属するコモディティー部門は全て地元住民に任せるべきです(もちろん、スパイが入り込まないように採用は慎重にする)。
  たとえば、隊員の宿舎はアパート形式にして、地元に金が落ちるようにしたり、食材は可能な限り地場ものを使うようにしたりすればいいでしょう。対馬の特産物にはウニやイカといった海産物や、椎茸などがあるので、これらを加工してレーション(戦闘糧食)にするのもいいかもしれません。きっとマニアには飛ぶように売れます(笑)。

  重要なのは、この基地には必ず「病院」と「娯楽施設」を付属させることです。

  まず、「病院」についてですが、自衛隊の強みについて説明してくれているサイトがあるので、そこから引用します。

自衛隊の災害派遣について知ることのできるページ
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/5761/outline2.html

(以下引用、一部省略)
  
  自治体保有のヘリは、予算等の制約により年間300時間までしか飛行しない(メーカー指示による300時間毎の点検と航空法による年1回の点検をあわせて実施)運用をしているところが大半だということですが、自衛隊の場合はたとえ同様の運用であっても、多くの機体を保有しているため活動の制約条件にはならないでしょう。

(引用以上)

  この高度の輸送機能に、高度な機能を備えた病院が加われば、僻地医療の問題のほとんどが解決します。
  たとえば、対馬の基地に「対馬防衛病院」を作り、その分院を各地に配置します。普段は防衛大を出たお医者さんが分院にいるのですが、高度な医療を提供する場合は防衛病院にヘリコプターで輸送するようにすればいいのです。有事や災害の際には被災者の救助拠点として、これほど適当な場所はありません。
  また、この連携システムに近隣の離島を加えれば、防衛特区外の離島も恩恵にあずかることができます。つまり、航空機や宅配便の分野で用いられている「スポーク・アンド・ハブ」という概念を、より小回りにして離島医療に応用するのです。

  「娯楽施設」というのは、隊員の息抜きというのもありますが、何より現地の人々が利用できるというメリットがあります。
  こちらは、純粋な商業ベースだと破綻するおそれがありますから、テナントを出店する大手企業に対して、赤字をカバーして余りある法人税減税措置という特典を与えればいいでしょう。
  余談になりますが、法人税というのはこういう風に運用すべきなのです。つまり、もともと高めに設定して置いて、日本のためになるような活動をする企業については減税をするという風にすれば、企業は嫌でも社会に貢献するようになります。防衛特区がそのモデルケースになればよいと願っています。
  招致する業者ですが、「パチンコ」などという反社会的なレジャーを参入させては本末転倒になるので、基地に入ってもらう業者は、ゲームセンターや本屋、衣料品店、居酒屋などがいいでしょう。要するに、離島に手を出しにくい業種を招けばいいということです。一部で話が盛り上がっている「公営カジノ」なども面白いかも知れません。  

  また、防衛特区における上のような設備や、指定された地域の警備活動を自衛隊が行えるように、関係法令を整備していきます。ここで警察との連携や警備活動のノウハウを確立できれば、原子力発電所の周辺地域も防衛特区にするメリットも出てくるでしょう。テロ防止という観点からも、大きなメリットになるに違いありません。

  そんな面倒なことをしなくても、沖縄がそうしているように、対馬に米軍を招致すればいいのではないか?と考える方もいるかもしれませんが、私はあまり賛成できません。
  なぜなら、あくまでコントロール主体がアメリカ政府だからです。上に挙げた業者の選定や医療システムを、米軍に向かって「ちゃんとやりなさい」と命令することはできません。地域の役に立てるためには、日本の自衛隊でなくてはいけないのです。
  もちろん、これは米軍の駐屯地も併設する場合には当てはまりません。日本の周りは、台湾以外はどこも凶暴な国ばかりですから、たとえ100人でも米軍に駐屯してもらうメリットはあるでしょう。

  私の考えでは、まずこれを対馬で成功させ、その後は同様に防衛上重要な離島を特区にしていきます。例を挙げると、

 対台湾・・・与那国島

 対中国・・・石垣島(尖閣諸島)、大東島(沖の鳥島)

 対朝鮮・・・隠岐(竹島)、佐渡

 対ロシア・・・奥尻島、利尻島

  では、それ以外の島は恩恵に全くあずかれないのか?というと、そうではありません。
  日本には、自衛隊以外にも安全保障に重要な役割を果たしている機関があるのを忘れてはいけません。海上保安庁です。
  海上保安庁の役割として、「密航阻止」や「密輸摘発」、さらには「不法操業漁船の駆逐」(一番厄介なのは朝鮮の漁船だが、台湾の漁船もかなり悪質)といったものがあります。日本は周囲の無秩序な国からすれば相当「おいしい」国ですから、海のガードは堅いに越したことがありません。
  そこで、防衛特区同様、「海上保安特区」も設けるというのはどうでしょう。この場合も、海保の人員配置を、保安管区よりも離島に多くして、防衛特区同様の設備を備えるようにすればいいのです。もちろん、対馬のように密航対策と防衛目的が混在している場合は、合同で設備を利用すればいいでしょう。
  そのために、海上保安庁の予算を5000億円程度まで拡大し、人員も2倍近く増やしていきます。管轄も、国土交通省(●安全保障に不適切な支持母体の人物が大臣になりかねない)から内閣府の直属にするべきです。年間約9兆円かけている男女共同参画局の無駄遣いに比べれば、安全保障のみならず離島住民の役に立つ海保の予算増額など安いものです。

  このように、「防衛特区」と「海上保安特区」は、単に安全保障に資するだけでなく、自然岸壁を消滅させるような護岸工事や、利用者がほとんどいない立派な道路といった「もの」ではなく、防衛・海上保安のための「ひと」を離島に置くことが出来て、しかも住民の福祉増進につながる優良公共事業なのです。
  離島が外国人観光客を呼びまくっていたら、いつの間にか外国企業に不動産を買い占められていた・・・などという事態を招いてはしゃれになりません。是非防衛特区を創設して、海洋国家日本の平和を守っていきましょう。


参考図書:
日本の島ガイド シマダス

日本離島センター

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