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教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

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【地方を】日本の林業はこうすれば活性化できる【元気に】

2007年05月22日 14時11分41秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  参院選を睨んで、各政党がいろいろ動き出しているようですが、その中に筋としては悪くない提案を見つけました。

林業活性化で雇用100万人増、民主が参院選1人区対策で
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070520ia01.htm

--------引用--------

 民主党が参院選の1人区対策の目玉政策として検討している「森林・林業再生プラン」の原案が19日、明らかになった。

 林業活性化を「地域格差是正の起爆剤」と位置づけ、10年間で中山間地域での雇用を100万人増やすと打ち出す。森林保全の財源として、道路特定財源を「森林環境税」とすることも検討する。プランは、過疎地は林野比率が高いことに着目し、菅代表代行らが主導してまとめた。6月上旬にも最終案をまとめ、参院選公約に掲げる方向だ。

 それによると、2005年で20%の木材自給率(国内の木材消費量に占める国産材の割合)を、10年後に30%、20~30年後に60%に向上させる、という目標を設定。木材生産の効率化のため、〈1〉林道などの道路網を10万キロ・メートル整備し、情報技術(IT)を駆使した輸送体制を整備〈2〉森林組合による私有林管理の促進〈3〉森林技術や森林経営の専門家養成――などの対策を盛り込んでいる。

--------引用--------

  お、このブログの管理人は珍しく民主党をほめるのか?と思った方もいるかもしれませんね。その通りです。「林業」を地方の産業として取り上げた点については大変高く評価します。

  しかし、さもしい感じがするのは、

>参院選の1人区対策の目玉政策として

  などと記事に書かれてしまっていることです。自民支持者やネット右翼にアドバルーンに過ぎないと批判されかねないフレーズです。こんなのを取っ払って、純然たる産業振興と位置づければよかったのですが・・・民主党にはPRのセンスがある担当者がいないんですかね?

  とりあえず、中身を見てみましょう。

>10年間で中山間地域での雇用を100万人増やす

  地方で雇用対策を採ると言っても、今時は工場を誘致する位だったら中国に移転するという選択をする企業が多いので、産業というと農林水産業しかないのが現状です。
  しかし、逆に言えば都会では出来ないことなので、地方の雇用を増やすには第一次産業のパイを増やすしかありません。目の付け所としては悪くないと思います。

>2005年で20%の木材自給率
>(国内の木材消費量に占める国産材の割合)を、
>10年後に30%、20~30年後に60%に向上させる、
>という目標を設定。

  これも悪くないですね。

  私から言わせれば、保守だと自認している、または愛国的な態度を採っているブログが、自給率の問題に触れないのはおかしいです。
  愛国心だの美しい国だのと言ってさんざんホシュの人々を煽っていらっしゃる安倍首相も、自給率に関する話は全くしません。代わりに、「アジア・ゲートウェイ構想」というものをぶち上げて、農産品を高級化して中国などに輸出しようなどと提唱しています(●こちらのリンクを参照)。この人は、国民の食生活を何だと思っているんでしょうか。日本人が日常口にすることができなくなるような高級化などしたら、自給率がどんどん下がるに決まっています。
  愛国心を国民に要求している彼のような人に、日本国民をいたわる姿勢が全くないというのも変な話です。まあ、彼と彼の支持者にとっては、食べ物より憲法改正の方が「重要」で「高尚」な問題なんでしょうね。

  さて、我が国は実のところ、森林大国です。その証拠に、少し山の方に入ると、山肌にはほとんどスギやヒノキが植えてあります。
  これらの木々は、一応手入れはされていますが、伐採される予定も特にない放置状態にあるところがほとんどです。日本の木を伐採するより、輸入材を入れた方が安いというのが常識になっているからです。
  しかし、変な話だと思いませんか。確かに切り出す人件費はかかるに違いありませんが、木材を輸入している相手国はアメリカ、カナダといった日本並みに人件費が高い国も含まれているのです。もっと、何か違う原因があるのではないでしょうか。
  その疑問に答えてくれるのが、記事の最後に紹介している『だれが日本の「森」を殺すのか』という著書です。
  この著書の素晴らしいところは、国産材は建築業者にとって相当評判が悪いという現実に焦点を当てているところです。

  たとえば、「転売が多く、中間マージンがかかりすぎる」ことです。実は国産材は山元(単に木が生えている状態)価格では欧米よりずっと安いのですが、その間に業者が複数入るので転売の度余計なコストがかかってしまうわけです。
  林野庁や農林水産省、さらには造林業者といった当事者は、こういった仕組みを改善して面倒が増えるくらいなら、外国から輸入してしまえという発想だったのでしょう。さらに、高度成長期の終わりから円高が進んだことで、木材の流通にメスを入れる機運は全くなくなってしまいました。
  また、「製材工場の生産性が低い」というのも挙げられます。欧米では消費者のニーズに応えるために秒単位で加工速度を競争し、改善していますが、日本ではいまだに分単位でしか考えていません。これに、工場ごとに木材の部位の規格が異なることが追い打ちをかけます。
  国も補助金をつけて工作機械を買わせたのですが、その機械のスピードが遅くて話にならないというあたり、まるで社会主義国の工場のようです。
  さらに、「サービスという意識が希薄」という点もあります。たとえば、木材を乾燥させるように頼んでもやろうとしなかったり、製材の寸法が頻繁に狂っていたり、一番ひどい例としては期日通りに納入されなかったりします。
  全ての製材所がそうだとはいいませんが、欧米の製材会社はそこをきちんとやっています。仮に外国との競争がなかったとしても、殿様商売というのはお客さんに対する礼儀を欠いていると言わざるを得ません。

  こうやって見てみると、実は単に輸入品が安いので価格競争で負けているという単純な図式ではなく、我が国の林業には改善すべき点がたくさんあるということがわかってきます。
  民主党の案も、

>森林技術や森林経営の専門家養成  

  というところに踏み込んでいるのはいいのですが、問題は「森林」そのものの経営ではなく、木材が山を下りてからのお粗末な「流通」なのです。そこを改善することを怠ってはいけません。
  そうでなければ、ただでさえ、

>林道などの道路網を10万キロ・メートル整備し

  というところから、「ただの土建屋対策ではないか」と言われて足元をすくわれる可能性が高いと言わざるを得ません。
  
  ハッキリ言って日本の地方には建設業者が多すぎるのです。ビルや再開発などの建設需要が大都市周辺より少ないに決まっています。だから、みんな生き残るために談合をしてしまうのです。
  それを潔癖に取り締まれば問題が解決するというものではありません。農業や林業を地方の主産業にするという気持ちで、本気で産業構造の転換に取り組まなければなりません。これこそ、巷で喧伝される「カイカク」とは異なり、本当に必要な「改善」なのです。

  手始めにまず、流通販売の合理化を指導することから始めるしかありません。林野庁に、森林の重要性を理解できる経営の専門家を招き、少しずつやっていくしかないでしょう。業者のニーズに応えて乾燥させる、寸法を間違えない、納期は守る・・・当たり前のことをきちんとできるように指導するのです。うまく行っている事業所には、「優良事業所認定」を与えて、税金を優遇するというのもいいでしょう。

  同時に、国産材を買うことが「環境にいい」というイメージアップ戦略も必要です。そこで役に立つのは「森林認証制度」です。
  ●こちらのホームページに説明がありますが、簡単に言えば森林認証制度とは、環境に配慮した持続可能な森林経営をしていることを第三者機関が認めるというものです。認定機関として有名なものにはFSC(森林管理協議会)という国際NGOがあります。
  これに農水省が関与するのです。参考になるのは。有機JAS認定制度●農水省のHPを参照)です。農水省の監督を受ける民間の認定機関が一定の基準を満たした食品を「有機食品」として認定する仕組みになっていますが、優れているのはきちんと罰則が伴っているという点です。
  森林認証を取得した山林については、税制上の優遇措置を与えてもいいでしょう。逆に、そうでない山林については、林野庁からの補助金をカット、もしくはうち切るというようにしてもいいかもしれません。そのくらい思い切ったことをやらないと、日本の林業や森林環境は間違いなく衰退します。
  針葉樹ばかりで下生えもない人工林は環境に悪いのではないか・・・という人は、●速水林業さんのような例を知らないだけです。速水林業さんの所有するヒノキ林は、FSCの森林認証を日本で初めて受けた山林で、除草剤を木が若い時期に一回撒くだけで、下草の処理をしません。だから、ヒノキの合間にシダ植物や広葉樹が生い茂っています。
  もちろん、速水林業さんはヒノキを切り売りしている立派な造林業者です。ちゃんと管理された森林の方が、動植物も育ち、環境にもいいという好例です。
  この速水林業さんのような例がほとんどになれば、「国産材は環境にやさしい」ということになります。そうすれば、森林経営が日本の森林環境保全に不可欠ということになり、それを阻害する輸入材に税金をかけるという方法も採れるのです。

  え??そんなことをしたら、日本に輸入材を売っているアメリカやカナダが困る?

  だからどうしたというですか?アメリカの造林業者は、日本に税金も払っていません。私たち日本人は全く困りませんが?
  それに、外材には国産材と違った用途で用いられるものも多く、国産材のシェアが大きくなったと言っても、外材が全く入ってこなくなるというわけではありません。それに、木材資源が枯渇している中国や朝鮮という市場があるのですから、日本向けの木材はそちらに向くはずです。
  アメリカやカナダの業者(とアメリカ政府による圧力)の心配をする人は、憲法9条を変えると中国や韓国が困るなどと言う人と全く同じ精神構造です。我々が何処の国に住んでいて、誰の利益を図るべきか、もう一度考えるべきでしょうね。

  これをご覧になった民主党関係者やサポーターのみなさん、単なる選挙対策にとどまらない本気の林業改革をアピールするようお願いします。


★推薦図書★
だれが日本の「森」を殺すのか

洋泉社

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【HONDA】燃料電池車、ついに市場へ【よくやった】

2007年05月20日 13時35分40秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  ついに、世界が劇的に変わる「あの発明」が第一歩を踏み出しました。

水素燃料電池車を08年に発売へ
http://www.usfl.com/Daily/News/07/05/0514_019.asp?id=53549

--------以下引用--------

  ホンダは2008年、水素を動力とする燃料電池セダン「FCX」を限定生産して市場投入する。

(中略)

  一方、ゼネラル・モーターズ(GM)も今年、スポーツ多目的車(SUV)「シボレー・エクイノックス」100台を燃料電池車に切り換える計画だ。

 水素の大半は、北米に十分ある天然ガスから作られる。しかし、国内で水素燃料の補給所を設置しているのは12州程度にとどまっており、カリフォルニア州だけが複数設置している。ただ、石油会社大手が導入に消極的でも、エア・プロダクツなど産業用ガス供給業者が提供を開始する可能性はある。

 米燃料電池評議会のロバート・ローズ代表は、「市場が小さすぎるため大企業は無理でも、水素販売企業を引き付けることはできる」と語る。

 ホンダは、燃料電池セダン「FCX」の販売台数は公表していないが、現在は2台だけ(月額500ドルでリース)が市場に出ている。同社は、08年型の高速走行での燃費をガソリン車にして1ガロン当たり68マイル相当を見込んでいる。最高速度は時速100マイル。燃料電池スタックはこれまでより小型で、リチウムイオン電池が搭載される。

--------引用以上--------

  改めて紹介しますが、燃料電池というのは、酸素と水素が結合した時に生じる酸化還元反応を利用した発電装置です。
  採掘地が偏在している石油や天然ガスと異なり、世界中で手に入る「水素」をエネルギー源にしているという強みがあります。また、空気も汚さず、反応のおまけとして「水」まで得られるという優れ物です。



>燃料電池セダン「FCX」

  この写真の車のことです。



  私も、●新エネルギー世界展示会の会場で全く同じものを見ました。担当者の方も親切に対応してくれ、ホンダが子の分野に本気で取り組んでいるということがよくわかる展示でした。   

>最高速度は時速100マイル

  時速だと約160キロです。私の車(スバルの2000cc)と大して変わりませんね。これなら、実用に耐えそうです。

  惜しむらくは、

>水素の大半は、北米に十分ある天然ガスから作られる。

  という部分ですね。これでは日本や、同じように資源不足に悩む国々の悩みを解決することはできません。

  しかし、要は水素を得られればいいのです。

  一番有望なのは、エタノール(エチルアルコール)ですがそのために画期的な発明が動き出しました。

海藻からバイオ燃料 東京海洋大、三菱総研など
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200703230010a.nwc

--------引用--------

養殖した海藻から石油代替燃料として注目されるバイオエタノールを大量に生産する壮大な構想が22日、明らかになった。東京海洋大、三菱総合研究所を中心に三菱重工業など民間企業が参画する研究グループがまとめたもので、日本海に1万平方キロメートルの養殖場を設け、ガソリンの年間消費量6000万キロリットルの3分の1に相当する2000万キロリットルのバイオエタノールを海藻から生産する計画だ。政府は2030年度に国産バイオ燃料を600万キロリットル生産する目標を掲げており、今回の構想は目標を実現する有力な方法として注目されそうだ。

 (中略)

 バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなど植物を原料に生産されている。これまでに、海藻を発酵させてつくるといったアイデアもあったが実現していない。今回の構想では、海藻を分解する酵素を利用したバイオリアクター(生物学的反応器)と呼ばれる特殊な装置で糖に分解し、エタノール生産を目指す。

 構想は、日本海中央にある浅瀬の「大和堆」に、ノリやワカメを養殖するような大型の網を張り、繁殖力の強い「ホンダワラ」を養殖し、バイオリアクターなどの装置を搭載した船で分解し、生産したエタノールをタンカーで運ぶというもの。能登谷教授は「大陸から日本海に流れ込む過剰な栄養塩を海藻で除去することも期待できる」としており、バイオエタノール生産と日本海浄化の“一石二鳥”の効果がありそうだ。

 海藻の主成分はフコイダンとアルギン酸で、フコイダンを分解する酵素はすでに見つかっている。研究グループは、アルギン酸を分解する酵素を発見したり、遺伝子組み換え技術を応用すれば実用化が可能とみており、プラントの開発や投資額なども含め総合的な研究に入る。

--------引用--------

  海水を利用して海藻を育て、そこからエタノール【下注】を作ろうという壮大な計画です。

>大陸から日本海に流れ込む過剰な栄養塩


  日本海沿岸で●こういう愚かなことをする国がいるからです。本当に救いようのない国です。距離を保っても、こんな形で迷惑をかけられてはたまったものではありません。

  おそらく、これを燃料電池と結びつけるとなると、エタノールから水素を取り出す作業(改質という)が必要になってきます。しかし、それでは効率がよろしくありません。
  それならばいっそのこと、

>海藻を分解する酵素を利用したバイオリアクター(生物学的反応器)と
>呼ばれる特殊な装置

  この段階で水素を取り出してしまうか、エタノールを直接燃料電池に投入できる仕組みを開発すればいいのです。
  前者はまだなんとも言えませんが、後者は荒唐無稽な発想ではありません。このようなものがすでに開発されているからです。

ダイレクトメタノール形燃料電池の開発について(東レ)
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr051216.html

--------引用--------
 
  東レ(株)は、この度、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)1)の主要部材である高分子電解質膜とそれを用いた膜電極複合体(MEA))の性能を実用化レベルまで向上させることに成功しました。従来のフッ素系電解質膜)と比較して、伝導度を損なうことなくメタノール透過性(MCO)を1/10以下に低く抑えた炭化水素系電解質膜を世界で初めて開発しました。さらにMEAでも、よりエネルギー密度が高い高温、高メタノール濃度での発電性能を大幅に向上することができました。

  本技術を用いることで、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル電子機器等の小型化、長時間使用に大きく貢献できるものと期待され、東レは、今後、この分野への本格展開を推進していく計画です。さらに、本技術を応用して、自動車用電解質膜の開発にも取り組んで参ります。

 (中略)

1)ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)
 DMFCは、次世代のモバイル電子機器用電源として期待されています。自動車用や家庭用として用いられる水素を燃料とする固体高分子形燃料電池(PEFC)と比べて、システム全体の小型・軽量化や携帯性が期待できることを特徴としています。

--------引用--------

  メタノールは「毒物及び劇物取締法」により「劇物」に指定されているので、はっきり言って危ないです。それなら、いっそのことエタノールから水素を取り出すことができないのかということです。
  だったらエタノールを燃やして電気を取ればいいだろうという方もいらっしゃるでしょうが、私は反対です。なぜなら、エタノールを燃やして内燃機関やタービンを動かすとなると、「熱エネルギー→運動エネルギー→電磁誘導」という過程を経るため、エネルギーロスが大量に生じるからです。
  エタノールは、あくまで自動車のガソリンの代替物だと割り切った方がいいでしょう。発電には、やはり燃料電池が切り札なのです。

  そのためには、何よりも燃料電池の実用レベルのデータがたくさん手に入ることが必要です。第一歩を踏み出した燃料電池車を、これからも注目していきたいと思います。

【注】 エタノールというと「サトウキビ」と考えている方もいらっしゃるでしょうが、それは大変危険な考えです。この点については、別途で記事を書こうと思っています。
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【遅れて】新エネルギー世界展示会に潜入してきました!!②【スンマセン】

2006年11月26日 20時03分20秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  みなさん、どうもお久しぶりです。

  実は私は、「自動四輪免許」をこの年まで持っていなかったので、つい最近まで教習を受けていました。その後、中古で車を購入したり、駐車場を借りたり、勝ったばかりの車に不具合が出たり(笑)で、なかなかブログに手を付けられませんでした。
  更新が滞って、こちらのブログのファン(いれば・・・だが)の方に迷惑をおかけしました。ここにお詫び申し上げます。

  さて、最近気になるニュースがいろいろあって、かえってネタに困るくらいなのですが、面白い記事があったのでここで紹介しておきます。

科学者目指す女子中高生支援
http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku/kyoiku.html

  女性科学者と女子中高生の交流を促進する催しがいろいろ行われているようです。
  女性の科学者を育てようと言うのが目的のようですが、別の観点からこのようなイベントの意義があると私は思います。以下のリンクをご覧ください。

理科離れの背後にある問題
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/7126/rikabanare.htm

  気になるのは、このくだりです。
 
>日本の母親が学校の教育上重視”しない”学科の
>トップを数学や理科が競ってるという現状

  もちろん、ここでいう「重視」というのは、受験の点数とは関係ないと考えるべきです。「世の中で役に立つかどうか」ということです。
  女性は文科系に行く方が多かったという経緯があるので、自分の理解できるもの=重視するものという判断が働いているのかもしれません。そうだとしたら、残念なことです。
  私は男だからよく分かるのですが、男性が取る行動の多くは、女性の視線を意識して行われているのです。お母さんや彼女、お嫁さんだけでなく、同僚の女性などもそうです。
  そういうところにきて、女性が男性に対して偏った要求をしてしまうようになると、「もてたい」「悪口を言われたくない」という心理が働くため、どうしても男性の行動もおかしくなってしまいます。男の生き方は、女の評価が握っているといっても過言ではありません。

  そこにきて、「数学なんて役に立たないものより、英語を勉強しなさい!」とか「燃料電池の研究より、クリスマスの方が大事でしょ!」などと女性に言われたら・・・全てがそうだとは言いませんが、そうやって理科離れが進んでいる側面もあるのかもしれません。

  女性の意見が重視されることが多い今の世の中では、家庭(女性個人)をあまり顧みないけれども社会にとっては貴重な人材というものが、育ちにくくなっています。ドラマに出てくる、仕事も家庭(恋愛)も100%という「理想の夫」など、ほとんどいないはずです。
  男尊女卑とそしられるかもしれませんが、ここをご覧になっている(奇特な?)女性の方は、どうか自分とその男性との関係だけで、男性の「価値」を判断しないでほしいと願っています。

  たとえ女性科学者が増えなくても、上のようなイベントは貴重です。科学者・エンジニアをやる男(子ども、恋人、夫)に対する理解が深まるからです。今後も、このような活動が活発になることを期待します。
  


  さて、10月に行われた「 新エネルギー世界展示会」のレポートの続きです。1ヶ月前の新聞を読むような気分の方もいらっしゃるかもしれませんが、どうかお付き合いください。

  この展示会で私が注目したのは、何と言っても燃料電池ですが、その研究の花形と言えば、やはり「燃料電池車」(FCカー)ではないかと思います。
  燃料電池は、水素と酸素の化学反応によって発電するエネルギー源で、排ガスがなく、廃棄物も水だけという超クリーンエネルギーです。(詳しくは、●こちらの記事を参照)環境への負荷が小さい上に、石油の消費を決定的に減らすことができると期待されています。
  展示会で私が実際に話を聞くことができたのは、ホンダさんの担当者の方でした。トヨタや日産も車は飾ってあったのですが、担当の方がいらっしゃいませんでした。ホンダの担当者は非常に丁寧な方で、いろいろな話を伺うことができました。ありがとうございました。

  ホンダは、●FCX-V4という燃料電池車を最近発表しました。こちらが、その画像です。



  見た目は、普通の車と変わりません。私が実際に展示会で見た感じでは、ホンダの売れ筋コンパクトカー、●フィットとほとんど同じような印象を受けました。ホンダの担当者の方によると、幅は同社ののミニバンである●オデッセイと同じとのことです(実証実験がアメリカのカリフォルニア州で行われたので、若干サイズが大きい)。

  まず、興味があったのはスピード です。
  環境にやさしい!と鳴り物入りで開発が始まったソーラーカーが、いまだに●この程度のスピードしか出せないので、心配していたのですが、FCX-V4は現時点でも最高150km/h出せるそうで、公道での加速も全く問題ないとのことです。
  車に乗っていると一番気になるのが燃費ですが、FCX-V4はフル充電で430キロ走れるそうです。実際には、300キロ程度走ったら水素を補給しているようです(高圧圧縮水素による)。これなら、水素の値段が下がれば、ガソリン自動車に十分対抗できそうです。
  安全性についてはどうでしょう。怖い話ですが、水素についた炎は目で見えないので、燃料漏れやそれに続く引火があったら大変です。この点についても聞いてみたところ、「テストを繰り返しているが、実証実験でも問題なし」とのことです。
  また、うれしい誤算としてはエンジン音があります。なんでも、タイヤの音しかしないとのことで、逆に何か音のする装置をつけることも検討しているそうです。音がしないといえば、●こちらの高級車が有名ですが、それを超えるのは間違いないようです。
  燃料電池車は固形高分子型の燃料電池を使っていますが、この電池の弱点は低温での動作と言われています。しかし、ホンダのFCスタックはマイナス20℃でも問題なく作動するようです。

  肝心なポイントが抜けていましたね。値段です。
   これをホンダの担当者の方に聞いてみると、「まだ売値をつけられるような段階ではない」と苦笑されてしまいました。
  このブログの記事でもさんざん述べましたが、燃料電池の最大のネックは「高コスト」であるという点です。しかし、だからといって、いつまでも企業の研究所の中にいる「特別天然記念物」では困ります。アメリカでは、●個人へのリース(500ドル/月)が昨年から始まっているのです。期間限定で、政府が多少下駄を履かせてでも、車を買う人間に燃料電池車を体験させるという試みが必要です。
  日本が進んだ技術を持ち、次の100年をリードすることが出来る技術なのですから、燃料電池向けのベンチャーに大幅減税を施すなど、もっと国家レベルで盛り上げてほしいものです。

  新エネルギー世界展示会でお話を伺ったのはいずれも民間企業でしたが、ようやく燃料電池が実現可能な夢になってきたという印象を受けました。今後も、燃料電池の話題があれば積極的に取り上げたいと思います。

  次回は、本来このブログが扱うべき「教育」の話題を、何回かに渡って取り上げます。
  ここのところニュースで学校だの教育だの目(耳)にすることが多くなっていますが、マスメディアの論調には首を傾げたくなるようなものも少なくありません。私なりの視点で、旬の話題を扱ってみたいと思います。
コメント (2)

新エネルギー世界展示会に潜入しますた!!①

2006年10月12日 01時04分04秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  前回更新から少し経ってしまいましたが、やはり一番熱いニュースはこれなんでしょうねぇ。

北朝鮮核実験 「無謀な暴挙」非難 衆院決議、即時断念を要求
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20061011001.html

>衆院は夕方、北朝鮮の核開発を「無謀な暴挙」と非難し、
>すべての核開発計画の即時断念を求める非難決議を
>全会一致で採択した。

  どうやら、社民党や共産党も「現物」が突きつけられた以上、庇いきれなくなってきたようですね(笑)。
  政府も、北朝鮮に対して制裁を強化すると言っていますが、くれぐれも「抜け道」がないように注意してもらいたいものです。たとえば、以下のブログに興味深いくだりがあります。

モンゴル「船籍」の船に要注意
http://29145491.at.webry.info/200608/article_1.html

>03年4、5月の2ケ月間で、日本の港湾に寄港したモンゴル船は
>24隻しかなかったが、04年4、5月の2ケ月間では115隻も
>寄港している。
  
  ブログで引用されている著書の筆者は、この急増したモンゴル船のほとんどが北朝鮮の船ではないかと疑っているようです。もちろん、北朝鮮も海外のダミー会社を間に入れてモンゴル政府と契約しているはずですから、モンゴルを責めても酷でしょう。
  安倍首相は、北朝鮮に寄港した船舶全てに対して、日本への入港を禁止する制裁案を考えているようですが、それもどれだけ効果があるか。「韓国」や「中国」に寄港する「モンゴル船籍の船」をブロックしなくては意味がありません。
  国連の経済制裁決議においては、北朝鮮に対して融和的な(特に韓国が危ない!)二カ国にも、きちんと責任を負ってもらう枠組みを作るべきでしょう。
  日本の在日朝鮮人組織から金が流れるのでは・・・と心配している方もいるでしょうが、それほど心配する必要はありません。米英の金融当局が金の流れはきちんと押さえています。アメリカの強硬姿勢からすれば、今後それが黙認される可能性はほとんどありません。
  そして、なにしろ注意すべきはポスト金正日の北朝鮮への対応です。ここで、多額の援助など約束させられては、北朝鮮国内の鉱山や港などに権益を持っている中国、そして、日本にインフラを作らせた後に経済進出を狙う韓国の思う壺です。
  海洋国家である日本は、基本的に多民族が居住し、他国と国境を接する「大陸」での国家経営が本質的に下手です。日本と同じやり方でやろうとして、破綻してしまうからです。韓国併合や、満州国建国の二の舞になってはいけません。
  日本としては、あくまで、国連の枠組みを通して復興に協力すべきです。中国をスルーして日本を人権侵害国家などと吹聴している国連は、百害あって一利無しの組織ですが、責任を逃れる口実としては十分利用価値があります。安倍首相はその点について若干の不安があるので、麻生外務大臣の手腕に期待したいところです。

  さて、本日は仕事が休みだったこともあり、幕張メッセで開幕した新エネルギー世界展示会に行ってまいりました。(●こちらのリンクを参照)
  これは、このブログでも紹介した燃料電池や、近日取り上げる予定のバイオマスエネルギーなどを手がけている企業が一堂に会し、現在の成果を披露するイベントです。
  塾講師の私がこのようなイベントに参加したのは、ビジネスマンのふりをしていい気分に浸ろう(笑)というのもあるのですが、机上の空論だけで終わらないようにしたいという思いからです。ネット上の知識を集めるだけだと、どうしても夢の話ばかりが先行してしまいます。理念だけでなく、現実に新エネルギーが置かれている状況を把握して、血の通った記事を書きたいと思うわけです。
  こうやって単なる一個人である私が、休みを使って東京湾の反対側まで出かけるんですから、膨大なコネやインフラを持っている新聞記者やテレビのニュースキャスターも、もっとましな情報を提供してもらいたい、と思ってしまいます。

  下の画像が、受付の様子です。午後2時すぎに訪れましたが、結構な人手でした。



  全体的な印象からすると、商業色の強いイベントでした。これは、歓迎すべき事です。当たり前ですが、新エネルギーが市場で評価されなかったら、単なる公共事業で終わってしまうからです。
  内部はカメラ撮影が禁止だったので、内部のようすをお見せできないのが残念ですが、ブースの数を見ると、太陽光発電や風力発電が多かったようです。風力発電用の風車は大きく改善しているようですが、太陽光発電は、相変わらず公共施設のおためごかしの域を出ていないというのが正直な実感でした。
  
  では、このブログでも注目した燃料電池はどうだったでしょうか?

  担当者の方にいろいろお聞きすることができた最初のブースは、●出光興産さんでした。出光では、灯油をベースにした燃料電池ユニットの開発を進めています。(●こちらのリンクを参照)
  なぜ灯油なのか?という質問をぶつけてみましたが、担当者の方は「経済性が高い」という理由を第一に挙げられました。本音の所では、CO2排出の元凶だと言われる石油業界ですから、そのイメージを払拭するという側面が強いのでしょう。しかし、なかなかどうして、採算を取れる事業にするという意気込みは十分です。
  燃料電池の最大のメリットの一つとして、電気の発生に伴う熱で給湯ができる(コジェネレーション)というものがあります。出光ではこれを前面に押し出しています。しかし、これは裏を返せば、コジェネレーションが出来ないと意味がないということです。担当者の方も「お風呂にはいることを前提にしていただかかないと・・・」とおっしゃっていました。
  それなら、集合住宅に組み込んで、建物のオーナーが各戸に温水と電気を売りつけるという形にしてはどうか?ときいてみると、「不可能ではないが、困難」だと答えられました。どうも、電気事業法のせいで、電気の売買がかなり制約されているのが現状のようです。
  出光の戦略としては、まず冬の厳しい北国で普及させ、それから全国に広めたいようです。「今の季節だとちょっと苦しいですね・・・」と担当者の方も苦笑いしていました。確かに、会場はやけに蒸し暑かったです。(笑)

  次は、●シナネンさんのコーナーでいろいろ話をしていただくことができました。シナネンは、無煙炭の販売からスタートして、現在は様々なエネルギーを供給している企業です。
  びっくりしたのは、シナネンは水の電気分解による水素供給を採用しているようです。それと共に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の燃料電池車実証プロジェクトに参加しています(●こちら)。の会場の変な暑さにかったるくなっていた私も、ここぞとばかりにいろいろ質問をぶつけてみました。
  まず、疑問に思ったのは、水の電気分解で水素を作って、採算が取れるのかということです。
  他社の燃料電池は天然ガスを改質するタイプのものがほとんどです。理由は簡単で、手に入りやすいからです。しかし、化石燃料を使っていては、「脱・石油化」の本質を逸脱することになりかねません。
  担当者の方の答えは明確で、「深夜電力を使う」というものでした。電気代が通常の3分の1で済むそうです。これは新しい発見でした。現時点では、このような水素の生成方法でも十分でしょう。水の電気分解なら、CO2は全く出てきません。
  水素の供給は、高圧に圧縮した水素を、直接燃料電池車に供給するというかたちを採っています。デリバリーに用いるトラックの車内にコンプレッサーがあるので、移動しながら圧縮が可能で、ここでできた圧縮水素を水素スタンドに持っていくということです。
  水素スタンドの十分な設置が可能なのか、という点については、まずはシナネンやパートナー企業が保有しているガソリンスタンドに、水素スタンドを併設するという形で解決したようです。確かに、石油を売って生きているモービルやエネオスが水素スタンドを作ってくれるわけがありません。もちろん、絶対数としては純然たる石油会社のガススタンドが圧倒的でしょうが・・・。
  思い切って●有機ハイドライドについて話を向けてみたところ、「回収がきちんとできる見込みがあれば、もちろん使っていきたい」という答えを頂きました。トヨタの関連企業のブースで、有機ハイドライドの話をしたら、「ハァ?」という顔をされたのとエライ違いでしたね。(笑)液体である有機ハイドライドを使えば、既存のガソリンスタンドの設備が利用できます。
  実証プロジェクトというのは息が長い企画です。なにしろ、燃料電池車を実際に利用しながら、そこで出てきた課題を検証して、プロジェクトを発展させていくものだからです。車に乗ったり、暖房を使ったりするのは毎日のことであり、1日2日成功したからノープロブレム、というわけには行きません。
  焦らずに、結果が出るのを待つべきでしょう。

  そして、みなさんが一番興味があるだろうと思われる燃料電池カーについて、かなりのことがわかりました。分量が多くなるので、次回に続きます。
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【地球を】燃料電池は「現代の方舟」になるか?③【救え!】

2006年10月02日 02時41分47秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  朝鮮半島情勢を世界がどのように見ているか、端的にわかる興味深い記事があったので紹介します。

米英の資金が脱韓国ラッシュ   
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/01/20061001000003.html

(以下引用)

  米国と英国を中心とする外国人の資金が韓国から一斉に離脱しており、韓国政府はその対策作りに追われている。

  本紙が29日に入手した「外国人による証券投資資金の流出入現況」という資料によると、今年に入って8月11日までに韓国から流出した外国人証券投資資金(株式、債券、配当金など)は92億6400万ドル(約1兆838億8800万円)と、1992年に株式市場を開放して以来、最大値を記録したとい

(引用以上)

  朝鮮日報を非常に評価できるのは、自国に不利益になりかねない政治・経済の動向についても、客観的な記事を載せようとすることです。日本のジャーナリズムも見習うべきでしょう。
  もっとも、若干の補足は必要です。上の記事は、米国の投資法人ローンスターの不正投資と、それに対する韓国当局の対処が引き金になった資金流出だと分析していますが、本当の理由はそこにあるのではないでしょう。

  アメリカ政府は、米韓連合軍の戦時作戦統制権を、早ければ2009年にも返還すると明言しています。なぜなら、西太平洋地域での軍事的プレゼンスの維持は、地政学で言う「リムランド」に当たる日本を押さえていれば十分だからです。何より、選挙民の家族である陸軍の兵士を戦火にさらさずに済みます。
  そして、その追い風になっているのが、韓国内に台頭する反米世論です。

マッカーサー像前で保革団体が激突
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/09/12/20050912000005.html

  以前からこのブログでも指摘している、ランドパワー(大陸国家=北朝鮮)の戦略が垣間見えます。つまり、保守層が依拠する歴史・文化的認識を破壊するような運動を起こし、国論を分断させようとしているのです。
  この運動の先兵が「労働組合」だということは重要です。簡単に言えば、日本で国旗・国歌を否定するような運動をやる人間がいたり、人権や平和をさしたる根拠もなく絶叫する集団がいるのと同じことが、韓国でも起こっているということです。しかも、当の政権がそれを本気で改めようとしていません。大統領自ら反米を煽っている節すらあります。
  ここから導かれる結論は一つです。アメリカは韓国を捨てるということです。英米の金融関係者はそのサインを見逃さず、早々と店を畳み始めたのです。
  恐らく、いつもの調子で、朝鮮側は日本だけは逃がすまいとするでしょう。1910年の韓国併合と同じです。そして、あの時と同じように、温情で朝鮮に協力すれば、不良債権は天井知らずに積み重なり、大陸を巡る動乱に巻き込まれ、やがて恩を仇で返されるでしょう。
  日本の企業や政府が、韓流ブームを本気で信じてしまっていないか、気がかりです。


  さて、ついに燃料電池の話も最終回です。

  前回までで、燃料電池をエネルギーの主軸にするための壁は、「水素の流通」「触媒の貴金属」「コストダウン」だけになっていると述べました。その最後の壁をどう越えるか、これから考えてみたいと思います。

  もちろん、この壁を破るために、日本は政府ぐるみでアシストすべきです。しかし、そのスタンスには注意が必要です。
  基本的に、政府がすべきことは、「補助金を出す」ことではなく、企業が燃料電池社会を構築しやすい「環境を整える」ことです。
  私が、補助金一本に否定的なのは、基本的に技術革新はベンチャーによって行われるべきだという考えがあるからです。
  つまり、新しいエネルギーの開発に関しては、これ一本という方向に絞って研究をせず、いろいろなルートを模索する必要があるということです。
  例えば、補助金で「高分子固形型燃料電池」(PEFC)に絞った研究をしてしまうと、それがコケてしまったときに危険です。リリーフ投手が存在しないからです。PEFCがダメなら「溶融炭酸型」や「ダイレクトメタノール型」で、という出直しができなくなってしまうのです。しまいには、水素を燃料としたエネルギー政策そのものが頓挫してしまいます。
  だから、政府がするのは、「税制の優遇」「規制の緩和」といった、自助努力のアシストにとどまるべきです。
  もっとも、政府の介入が大幅に必要なポイントもあります。それは、「石油から水素へ」という資源の転換です。ここは、経済原則に従っている限り、導入コストが限りなく低い化石燃料がいつまでも優位を占めることになります。そこで、本当は好ましくありませんが、社会主義的な介入が必要になるのです。
  このような基本認識に立って、個別の課題について論じたいと思います。

1.水素をどのように流通させるか
 
 おそらく、今すぐ燃料電池車(=FC車)を導入しても、絶対にガソリンに勝つことはできません。
  持ち運びの問題は●有機ハイドライドlの開発でほぼ解決されています。石油業界が指摘していた「高圧水素は危ない」という批判は無意味になりました。
  しかし、実際問題、有機ハイドライドで「給水素」する場所、つまり「水素スタンド」がなくてはどうしようもありません。ここで大きく問題になるのは、車の活動領域内に、水素スタンドがないという場合です。
  たとえば、FC車や分散電源の普及段階に、東京の都心に水素スタンドを作ったとします。しかし、都内を動き回っている車の活動領域はかなり広いはずです。不足したら補給するというニーズを満たすためには、膨大な水素スタンドが必要になってしまいます。その導入コストの高さを考えると、企業側は、水素スタンド事業への参入をためらうでしょう。これでは、市場ベースでの普及など出来ません。
  しかし、これは解決可能です。水素スタンドの密度が高くなるような地域で先行して水素スタンドを作り、水素へのアクセスが容易になるようにすればいいのです。そして、そこで修得したノウハウをもとに、本格普及段階(三大都市圏での普及スタート)に入るというわけです。
  これに適した地域は、「本州外の離島」です。

  まず、「離島」ですが、動き回る範囲が狭いので、一度売られたFC車が一生を過ごす可能性が非常に高いというメリットがあります。
  たとえば、石垣島などは最もモデルケースにしやすい島です。私も行ったことがありますが、50ccのスクーターで、半日もかからず島内を一周できました。石垣市の人口は4万人を超えていますが、中心部である「離島桟橋」付近と、観光地として有名な「川平湾」付近に水素スタンドを作れば、おそらく島内全域をカバーできます。初期コストがかなり低くて済むわけです。
  そして、観光地であればレンタカーで先行するという戦略が取れます。都会からの観光客が「へえ、燃料電池車って便利だな」と思ってくれれば、格好のPRになります。  
   方法としては、●構造改革特区という制度を利用する手があります。その際に水素スタンドに対する固定資産税、FC車オーナーへの自動車税等の免税などを盛り込むのです。それがメインになるとまずいでしょうが、一時的に地方交付税交付金を付けてもいいかもしれません。

  石垣で成功したら、次は沖縄本島です。基本的には石垣島と同じですが、ここは、アメリカに対して好感度の高い小泉前首相を起用して、米軍の私用車としてFC車を使ってもらうというのはどうでしょう。アメリカ政府も代替燃料の開発を政策として掲げているので、条件次第では交渉できるはずです。もちろん、沖縄県自体に補助金を出してインセンティブを高めるという方法もあります。
  さらに、その次は鹿児島の屋久島です。ここは日本に3つしかない世界自然遺産であり、島内の車をFC車にすることで「環境といえば日本!」というメッセージを国内外に打ち出すことが出来ます。また、レンタカー戦略が使えるのはここも同じです。
  このような観点からすれば、知床半島も面白いですね。しかも、ここで燃料電池車を導入すれば、燃料電池の弱点である低温環境での動作について、データが得られるという利点があります。
  
  ここまで来ればもうすぐです。低温動作が問題ないことがわかれば、北海道全域に水素スタンドを建設していきます。北海道の場合は、車が一生を道内で終えるというメリットの他、家畜の糞から生じる「メタンガス」や、植物性のゴミであるソフトバイオマスからの「バイオエタノール」など、水素供給を自前でできるというメリットがあります。
  ここは是非内閣府に動いてもらい、北海道・沖縄開発に「水素経済プロジェクト」を入れてもらいたいところです。アイスランドが、現実にそういう動きをしているので、大いに参考になるでしょう。

アイスランドの水素エコノミー・プロジェクト
http://www.iceland-kankobunka.jp/topics/hydrogen-newsweek.htm

  政府としては、水素スタンドにかかったコストは非課税にするなど、思い切った税制を敷いたり、許認可を大幅に簡素化するなどして、限りなく参入障壁を低くすることです。

2.触媒の貴金属

  これは日本にはない以上、どこかから資源を調達する他ありません。特に、「白金」が決定的に重要です。
  注意しなければならないのは、ここで貴金属の調達を大陸国家(ロシアや中国)に依存すれば、結局は石油と同様の末路をたどりかねないことです。特に日本は、白金生産世界1位のロシアとの間で領土問題を抱えており、依存するのは危険です。
  白金の調達先としては、南アフリカが非常に有望です。日本との関係も良く、インド洋で結ばれているという利点があるからです。
  そこで、南アフリカには治安問題や、エイズの蔓延など、日本が力になれそうな問題がいくつかあります。しかも、南アフリカは2010年のサッカーW杯開催国なので、イメージアップや治安強化を何よりも重視しているはずです。
  ここは、将来の燃料電池社会の布石のために、W杯を口実にして南アに外交攻勢をしかけるべきです。サッカーが口実であれば、サッカーに興味のないアメリカは文句を言いません(笑)。これが野球だと、「アメリカを差し置いてどういうつもりだ!」となりそうですが・・・。
  それだけでなく、白金の使用量を軽減する技術開発や、白金以外の合金を使った触媒開発もしていくべきです。最近は、「カソード触媒」のような、白金の使用量を低減させる技術も開発されてきています(詳しくは、●こちらのリンクを参照)。水素スタンドのところで上げたように、ベンチャーに対する税制上の優遇をすべきでしょう。
  幸い、現在の工業用の白金の使用量は、多くが自動車の排気ガス触媒です(●こちらのリンクを参照)。燃料電池は排ガスを出しませんから、FC車の普及によって、白金の使用量が劇的に増えるということはありません。

3.コストダウンについて

  上の二つのポイントをクリアしさえすれば、自然と企業側が燃料電池に力を入れるはずです。
  それでも、ガソリンカーが持っている既存の地位が、普及を困難にさせるということは考えられます。水素燃料を導入するということは、石油の地位が低下することを意味します。国内の石油業界や欧米の石油メジャーの抵抗も考えられます。
  そこで、タイミングを見計らって、炭素税(CO2税)の導入を図るのです。そのタイミングとは、中東紛争が一段落して原油価格が下落し、なおかつ、燃料電池が沖縄などと離島や北海道である程度普及した時点です。そうすれば、相対的に燃料電池や水素燃料のコストが下がることになるわけです。
  その時の首相が誰になっているかはわかりませんが、国民を味方に付けるために、消費税の税率アップとどちらが良いか、総選挙で問うのがいいでしょう。「景気を冷却化させるのか」とか、「国民への負担増だ」などと言ってくる無節操な野党がいても、「環境国家日本を目指すのだ」という一言で片づければいいのです。まさか、人権や平和が大好きな民主党や共産党が「環境なんてどうでもいいだろ!」などと言うはずはないですよね?(笑)
  そこまでに、政府は燃料電池が世界のエネルギー問題を救う鍵であるということをアピールしていく必要があります。表立ってやると石油メジャーが襲いかかってくる可能性があるので、あくまで間接的にやるべきです。既存メディアは大企業である石油業界の片棒を担ぐに決まっているので、インターネットの世界をうまく活用すればいいでしょう。もちろん、私も応援します。(笑)
  炭素税は極端だ、という人もいるかもしれませんが、スウェーデンではすでに導入されています

スウェーデンの環境税
http://www.neting.or.jp/eco/kanbun/kaze/0508.html

  どこかの政党が、選挙の時にマニフェストで謳ってくれたり、自民党の総裁選で政策として訴える候補がいてほしいところです。

  最後に、燃料電池普及後の展望を簡単に述べておきます。

  最終的には、自然エネルギーや光触媒を用いた水素製造が出来るようになることが理想です。そうすれば、世界的な燃料電池の普及が可能になるからです。具体的には、●前回の記事のコメント欄で、cse_ri2さんや江田島孔明さんにご紹介いただいているので、そちらを参照していただくとよいでしょう。筆者の至らなさを補っていただいて、感謝しております。
  また、発展途上国でも、大規模な設備投資が不要で、バイオマスエタノールからでも燃料が作れる燃料電池は魅力です。途上国が経済発展すると、環境破壊が起こるとよく言われますが、燃料電池にはそのようなデメリットはありません。

  日本がこの「水素の世界」を実現するためにできることは、燃料電池や水素供給技術を進歩させ、便利にすることであり、それだけで十分です。
  なにしろ、燃料電池には、油田の利権も、パイプラインも、権益維持のための戦争も必要ないのです。日本人が発明したウォークマンやコンパクトディスクが世界中に普及したように、優れたものを生み出せば必ず評価される、そういう世界が日本人の気質には合っていると思いませんか?
  大東亜戦争の開戦といい、石油ショックといい、石油に悩まされることが多かった我が国にとって、燃料電池は必ずや未来を切り開く大きな武器になるはずです。そして、石油のように「持つ者」と「持たざる者」という関係とは異なり、地球全体を環境問題・エネルギー問題から救う可能性さえ秘めているのです。
  それが、私が「現代の方舟」(←字を間違えていましたね。訂正しました)という言葉に込めた意味です。

  このシリーズの次回作は、環境問題やエネルギー問題の打開策になると期待されている「バイオマス」になる予定です。ご期待ください。
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燃料電池は「現代の方舟」になるか?②

2006年09月20日 13時49分10秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  代替エネルギー分野は、今大きく動き出しているようです。それだけ、昨今の石油情勢が深刻だということでしょう。前回、「ニゲロンパ」さんからコメントいただいたニュースです。

ホンダ、バイオマスからエタノールを製造
http://response.jp/issue/2006/0914/article85920_1.html

  ホンダとRITE(地球環境産業技術研究機構)が開発したのは、特殊な細菌を用いて、「ソフトバイオマス」といわれる素材からエタノールを作る技術です。今までバイオマス・エタノールというと、サトウキビやトウモロコシといった可食植物からのものがほとんどだったのですが、これで稲わらや葉、茎の部分からエタノールを作れるようになったのです。
  エタノールを代替燃料、もしくは燃料電池の水素源として使う際の利点は、燃焼前と後では、大気中の二酸化炭素の量が変わらない(カーボンニュートラルという)ことです。バイオエタノールの中にある「炭素」は、もともとは大気中の二酸化炭素だからです。
  バイオマスについては、いずれ独立のコーナーでかなり詳しく論じるつもりです。ご期待ください。

  さて、燃料電池の話を続けます。

  ●前回の記事で、燃料電池には、「廃棄物が出ない」「温暖化を招かない」といった利点があるという話をしました。抜けていたメリットを付け加えると、「総合エネルギー効率が良い」「分散型電源に適する」という点が上げられます。
 燃料電池は、一般的な発電方法のように、タービンを回すという過程がないため、エネルギー変換に伴うロスがかなり少ないということです。また、ユニットを小さくすることが可能なので、必要な場所で必要な電気を作ることもできます。燃料電池は熱を発生するので、これを使った暖房・給湯(コジェネレーション)も容易です。
  この利点を引き延ばすと、大規模な発電設備や送電線、変電所が不要になりますから、災害やテロによって電気がストップする危険が減るということにもつながります。まあ、そこまで行くにはかなりの時間がかかるでしょうが・・・。

  夢の話ばかりしていてもしかたがありません。今回は、燃料電池がいまだに「実用化」しない理由について説明します。

  燃料電池を買いたい!と思う人もいるかもしれませんが、実はもう販売しています。例えば、●こちらと、●こちらのリンクをご覧頂くと、電源としてすでに「実用化」されています。

  しかし、上記リンクを見てみると、何か気づきませんか?

  そう・・・値段が明記されていないんですね。もしかして、これは「値段を書くと客が逃げる」ということなのでしょうか?

  そこで、リンク先の会社さんに電話で問い合わせてみました。

  どうやら、「実用的」と考えられる1キロワットの出力を出すための据え置き型のユニットで600万円前後かかるそうです。家庭用電源として3~4キロワットは必要になるのですが、それを365日出すというのは難しいようですね。
  しかも、水素ボンベが必要で、1本の充填に5000円ほどかかるそうです。これだけで、私の自宅の電気代を超えています。(笑)

  なんじゃそりゃ、高すぎる!!と思うのは当然ですが、どうしてそうなってしまうのか、燃料電池が電気を作るまでの過程を追いかけてみましょう。

  燃料電池は、水素と酸素の酸化還元反応によって電気を作る発電装置です。前回も出しましたが、下のように作用しています。



  くせ者なのは、燃料になる「水素」の方です。

  水素は宇宙で一番多い元素なのですが、実は単体で自然界に存在していません。だから、水素が入った化合物から、水素だけを取り出さなくてはいけません。これを「改質」といいます。
  また、水素は気体ですから、放っておくと消えてしまいます。それを何らかの形で「貯蔵」しなくてはいけません。さらに、それを「流通」させる仕組みも必要です。
  つまり、燃料電池に使われるまでに、改質→貯蔵→流通(販売)という過程があるわけで、それぞれに問題があります。水素を燃料とされると困る連中(石油業界や、その御用学者)が、あげつらうものでもあるので、詳しく説明しておきます。

  まず、「改質」ですが、ここでの一番の問題は、二酸化炭素を出すような方法では意味がないということです。つまり、天然ガスから水素を取り出しても、結局大気中の二酸化炭素は減らず、温暖化防止という燃料電池の目的から外れてしまうことになります。(政治的リスクの回避だけならばそれでもいいのだが・・・)
  ところが、水素原料として安価に入手できる「メタンガス」の処理に、画期的な方法が編み出されました。「メタン直接改質法」がそれです。

北の大地からクリーン水素 北海道・別海町
http://www.sankei.co.jp/eco/news/2004/11/02-2.html

  家畜の糞尿から燃料を作れて、しかも二酸化炭素を出さないという画期的な方法です。家畜の糞害というのは、結構深刻な問題になっているのですが、需要の限られている堆肥にするよりも、水素源にする方がプラスになるはずです。
  そして、同じく水素原料である「エタノール」からの改質についても、解決の目処は付きました。従来あった水蒸気改質法の確立に加え、二酸化炭素を出さない改質法を、またもや日本人が開発したからです。

週間機械技術
http://www.machine.or.jp/news/latest.html

(以下引用)

第62号 2006年08月18日 (中略)

<新エネルギー> CO2発生せずに、エタノールから水素製造
東京農工大学亀山秀雄教授らは、エタノールから二酸化炭素(CO2)を発生させずに燃料電池向けの水素を製造する装置を開発した。水素を発生させるための触媒層にCO2の吸収剤を付着させることで実現した。CO2を除去する装置が不用となるため、水素の製造コストを低減できるとのこと。5年後の実用化を目指す。

(引用以上)

  次に、水素の「貯蔵」ですが、今までは水素ボンベに高圧圧縮水素を詰めるやり方が一般的でしたが、水素は引火性が高いので、かなり危険だと言われてきました。
  しかし、これも「有機ハイドライド」の開発でかなり前進しました。

産業技術総合研究所・有機ハイドライドについて
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol05_01/p20.html

  何だかよくわからない方も多いと思いますが、要するに「水素を液体に入れて持ち運べるようになった」ということです。ガソリンみたいに、燃料電池自動車に「給水素」できてしまうわけです。しかも、使った有機ハイドライドは完全に再利用が可能です。

  このように見ると、水素供給の問題は、もはや「流通」の段階だけということになりそうです。この「流通」をどう克服するかは少し難しい問題なので、先に燃料電池自体の問題を見ておきましょう。

  酸素と水素の反応時に、エネルギーの一部が消費され、理論電圧に対して電圧降下が生じることがあります。これを「不活性電極」といい、この現象をほっぽらかすと必要とする電力が得られません。それをクリアするために、燃料電池にはッ「触媒」が用いられています。
  また、燃料電池で最も汎用性の高いと言われている高分子固形型(PEFC)では、その名の通り水素イオン(プロトン、H+)を燃料極側に通すための「高分子電解質膜」が必要です。

  この「触媒」と「電解質膜」は、燃料電池ユニットのコストを押し上げている最大の元凶だと言っても過言ではありません。

  まず、「触媒」ですが、当然ながら、電気を通すと溶けてしまうような金属では話にならないわけで、溶けない(イオン化傾向が低い)金属を使います。実用化しているリン酸型燃料電池(PAFC)も、その一歩手前の高分子固形型も、その触媒に「白金」を使っています。
  白金の価格は●こちらのリンクでわかりますが、1グラム=約4300円です。金よりも高いです。モリブデンやパラジウムなどと同じ、レアメタルだと思ってもらえばいいでしょう。
  そこで、現行の燃料電池では、粒子状にしてカーボンブラックという素材の表面に散りばめるという方法で資源を節約しています。粒子にした方が、接触面が大きくなり、触媒効果が増すからです。
  そうはいっても、本格普及となれば燃料電池ユニットの数も膨大になるわけで、白金の確保が重要になってきます。
  一番良いのは白金に変わる触媒の開発ですが、イオン化傾向が低い金属というのはどれも高価なので、なかなか難しいでしょう。

  次に、「高分子交換膜」ですが、白金ほどでないにしろ、これもかなり高価です。フッ素交換膜は量産ができず、かといって炭化水素をもちいた交換膜は寿命が話にならないくらい短い・・・と、素材ごとに欠点を抱えています。
  幸い、この分野は技術革新で何とかなる分野ではあります。今度は、東京工業大が頑張っているようです。

炭化水素系電解質膜の劣化を抑えて安価な燃料電池を実現へ
http://www.titech.ac.jp/tokyo-tech-in-the-news/j/archives/2006/07/1154304000.html

  上のような交換膜なら、材料が安価なために、かなりのコストダウンが期待できます。実用化まで後一歩でしょうが、良い傾向です。製造工程が簡易化して、量産ができれば、もう怖いものはありません。

  ここまでに見てきたような技術革新は、おそらく燃料電池がどこかで本格的に導入されれば、加速度的に進むことでしょう。そうだとすれば、本当に残された問題は、

 「水素の供給システム」

 「触媒の貴金属」

 そして、なにより、

 「一般人にも手の届くコストの実現」

  ということになりそうです。ここをどういう風に解決していくのか、細かい問題点なども踏まえて、次回述べたいと思います。

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燃料電池は「現代の方舟」になるか?①

2006年09月13日 07時05分33秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  中国も、こういう面では一気に先進国の仲間入りをしたようですねぇ。以下のニュースが面白いので紹介しておきます。

北京の大学生、4人に1人がうつ病症状 自殺増も問題化
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060912/K2006091203430.html

(以下引用)

 北京の大学生の4人に1人がうつ病とみられることが、同市衛生局の調査で分かった。適切な治療を受けないで自殺する大学生の増加も社会問題となっており、同市は今月、学校での精神衛生教育の充実などを目的とした対策に乗り出す。

 北京各紙が報じた同局の調査結果によると、北京の大学生の約24%にあたる10万人余りにうつ病の症状がみられるという。04年に自殺した北京の大学生は19人で、うち8人が名門校の北京大学の学生だった。 (以下略)

(引用以上)
  
  やはり、一人っ子政策とやらで、中流以上の中国の若者はひ弱になっているのでしょうか。北京大学というのはエリート養成所みたいなもので、共産党青年団をバックにしているコキントウ氏も頭が痛いところでしょう。
  くれぐれも、「じゃあ、ガス抜きに反日を煽ろう」などという結論を選んでほしくはないものですが・・・。


  さて、今回から「燃料電池」の話に入ります。
  題名を見て、えらい誇大な表現だなと思われた方も、最後まで読んで頂ければ「これはすごい」と納得いただけると思います。

  燃料電池(Fuel Cell、以下略語であるFCも用いる)というのは、水素と酸素の酸化還元反応を利用した電池です。少し詳しく言うと、水素(2個のH2)と酸素(O2)が結びついて、水(H2O)になる時に、電子が移動するので、それを電源にしてしまおうという装置です。
  どのように動作しているかは、以下の画像でイメージしてもらうといいかもしれません。

  


  「水の電気分解」という理科の実験がありますが、あれを逆にしたものだと思ってもらえれば構いません。

  ポイントは、通常の発電方法と異なり、化学反応をダイレクトに利用して発電ができることです。例えば、火力発電のように、石油を燃やす(熱エネルギーを作る)→水蒸気でタービンを回す(運動エネルギーに変換)→電気を作り出す(電気エネルギーに変換)というステップがありません。これは、変換の度に生じるエネルギーのロスが少ないということでもあります。
  さらに、燃料として「水素」を用いていることです。つまり、薪炭や化石燃料と異なり、燃焼の過程で二酸化炭素は生じません。また、水素はいろいろな形で自然界に存在しているので、極端に言ってしまえば資源は無限にあります。

  この二つのポイントが、以下のように、計り知れないメリットを生むのです。

1.地球温暖化を防ぐことが出来る


  化石燃料は、有機物(炭素含有物)を燃やすので、必ず二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素は、太陽の熱が宇宙に逃げていくのを妨げる「温室効果ガス」の一種です。
  温室効果によって南極の氷が溶ける、というのは極端な話ですが、氷河の後退というのは最近よく見られている現象のようです。例えば、NASAのホームページにも以下のような記事が出ています。

  ●Greenland Ice Loss Doubles in Past Decade, Raising Sea Level Faster 

  また、国連の機関であるWWF(世界自然保護基金)は、これを温暖化と関連づけています。

  ●温暖化による氷河の融解で、何十億人もが水不足に苦しむ恐れ 

  もちろん、このような動きに政治的な意図がないとは言いませんが、二酸化炭素が増えすぎていいことはありませんし、温暖化の過程で異常気象が発生するのも困りものです。
  その意味では、現在のように化石燃料をアホみたいに使いまくる生活パターンは変えていく必要があります。燃料電池が火力発電の発電力を肩代わりすれば、その改善が促されるのは間違いありません。

2.廃棄物が水以外ほとんど出ない

  何しろ水素しか燃料として使わないのですから、窒素酸化物や硫黄化合物など出る余地がありません。大気汚染対策として、特に乗用車には朗報です。もちろん、水素を作る過程は別問題なので、後で詳しく述べます。

3.石油への依存度を軽減することができる

  これが、私が考える最大のメリットです。この「環境国家日本」シリーズの冒頭でも「脱石油化」というキーワードを出しましたので、少し詳しく説明します。

  エネルギー源が石油に依存することは、以下のような大変大きなデメリットがあるということは、是非とも認識が必要です。

(1)石油価格の変動によって景気が大きく左右される

  今現在、石油は1バレル(約159リットル)67ドル前後で取り引きされています。第1時石油ショック(1973年)の時は原油価格が一気に4倍も高騰しましたが、インフレ率を考慮に入れると1バレル=80ドルくらいだったということです。
  イスラエルとイスラム原理主義組織ヒズボラとの「戦争」の真っ直中だった7月14日には、原油価格が1バレル=78.40ドルという高値をつけたこともあります。これがずっと続いたら、明らかに景気に悪影響を及ぼしたでしょう。
  次に説明するような要因もあって、原油というのは大きく値動きする可能性がある商品であり、しかもそれは日本という国だけの努力ではどうしようもない面があります。
  石油ショックの時と異なり、日本の企業はほぼ限界近くまでリストラをしています。その結果の業績回復・株価上昇なのです。それに、東西冷戦があった頃と違い、日本のモノを同盟国だからと進んで買ってくれる親分(アメリカ)がいる時代でもありません。
  あのとき大丈夫だったから、今度も・・・では済まされないでしょう。

(2)政治的なリスクが大きすぎる

  これは、日本の命取りになりかねない点です。

  日本の石油の8割以上はいわゆる「中東」といわれる地域からやってきます。これは、想像以上に重大なことです。
  まず、日本から中東は1万キロ超という遠い距離にあるため、輸送コストと輸送リスクが非常にかかっています。
  コストについては、タンカーを大型化したり、石油会社同士で船舶を融通し会ったりで低コスト化を図る努力をしているようですが、これが半分になるということは絶対にありません。
  しかし、それよりも重大なのは「輸送リスク」です。
  石油にエネルギーを依存し、しかもそれを長距離で輸送するということは、その供給路を押さえられると身動きがとれなくなるということでもあります。日本の石油タンカーが中東からやってくる時も、いくつか危険なポイントがあります。
  まず、「マラッカ海峡」です。シンガポール辺りの海のことですが、このへんは海賊事件が多発している地域なのです。●こちらのブログの記事を見るとわかるように、マラッカを通る船には、保険会社も高額の保険料を要求しています。日本のタグボートが襲われる事件も、2005年3月に起こっています。タンカーというのは、30人くらいしか乗組員がいないので、ヘリコプターなどを使われたら簡単に制圧されてしまいます。
  次に、「台湾海峡」です。もうここについては多言を要しないでしょう。以前の記事でも再三申し上げましたが、この海峡を中国軍に押さえられたら、日本の「シーレーン」は崩壊します。いくら中国との友好や親善をやっても、首根っこを握られているという事実は全く変わりません。
  そして、そこに最近は、原油供給元である「ペルシア湾」まで加わってきました。以下のブログ記事をご覧ください。

  イランによるルーマニアの海上油井への攻撃
  http://blogs.yahoo.co.jp/cigvi2006/39119624.html

  こちらの記事にあるように、ペルシア湾でも領土問題が存在するのです。そこに来て、最近のイランの核開発を巡る動きです。日米同盟を押し進める日本が、いつ攻撃対象になるかわかりません。

  では、中東以外の地域から輸入すればいいのではないか?と思うでしょうが、私はそれも決定的なリスク軽減策にはならないと思います。

  実は、昨今の原油高が後押ししているのか、「資源ナショナリズム」という動きが妙に盛り上がっているのです。

  南米で高まる資源ナショナリズム
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/~nisijima/www20060508.htm

  この論考の中にある「ベネズエラ」の動きは注意が必要でしょう。なにしろ、ベネズエラが北朝鮮にミサイルの購入を持ちかけたという話が持ち上がっているからです。そのミサイルが向く先が、チャベス大統領が日頃怨嗟してやまないアメリカだとしたら・・・。
  また、同大統領は「原油価格に天井はない」とさえ言っています。これが、資源を持つ国の本音でしょう。それがたまたま、アメリカの石油会社(ブッシュ政権の閣僚にも石油会社の役員が多い)と利害が一致しているのが現在の状況です。もし、これが抜き差しならない状況になったら、南米が紛争地域になることすらあり得ます。
  
  また、この原油高で、にわかに自信をつけているのが「ロシア」です。ロシアの昨今の基本戦略が、石油・天然ガスを利用したEUの取り込みにあることは、以下の記事でもわかります。

独・露による「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン」建設
http://facta.co.jp/mgz/archives/20051211000009.shtml

  こういった一連の動きを見てみると、産油国がエネルギー資源をテコにして、国際政治の中で発言力を強めているのがよくわかります。
  また、その石油を喉から手が出るほど欲しい国の存在が、さらに世界をややこしくしています。それが「中国」です。

ロシアの石油会社ロスネフチ、中国の買収を警戒
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1520525/detail

中国のCNPC、カナダ石油会社のカザフスタン権益を買収
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/10/html/d92796.html

ユノカル買収を巡る中国とアメリカの攻防
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1224282/detail

  「ロシア」と「中国」・・・このブログの以前の記事を読まれた方ならピンと来ませんか?

  そうです、この2カ国は、典型的な「ランドパワー」(大陸国家)なのです。

  しかも、この2カ国は、石油・天然ガスを通じて一体化を強めています。

プーチン大統領:東シベリア送油管「中国供給を優先」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0908&f=business_0908_005.shtml

  要するに、この記事が言いたいことは、「ロシアはエネルギーの買い手として日本よりも中国を選んだ」ということです。これは、利害が絶妙に一致しているという理由だけでは語れません。
  現在、石油・天然ガスを巡って行われている駆け引きは、もはや「弾丸の飛ばない戦争」とでも言うべき状況です。簡単に言えば、ロシア・中国という「ランドパワー」と、アメリカやイギリスといった「シーパワー」という、二大勢力の激突です。
  それが、見事に現れているのは、イランの核開発を巡る動きです。
  イランは、ロシアとがっちり手を組んでいます。証拠は以下の記事です。

イランのガスがユーラシアに向かう
http://www.rian-japan.com/news/details.php?p=310&more=1

  この記事に出てくる「上海協力機構」というのは、もう名前からして中国が絡んでいるわけです。もちろんロシアもこれに加盟しています。言うなれば、「ランドパワー同盟」にイランを加えようとしているわけです。
  
  そして、中国はイランに相当な資本を投下しています。次のブログが参考になります。

イランに資本を投下する中国、武力で牽制するアメリカ
http://www.cazoo.jp/blog/archives/2006/02/post_631.html

  イラン-ロシア-中国というラインがはっきり見えてきますね。ちなみに、中ロの2カ国は、核開発を続けるイランに対する制裁はもちろん、日本が主張した北朝鮮への経済制裁にも反対しました。
  その現れか、イラン軍の武器は、ロシア製や中国製がたくさん用いられているようです。レバノンで大騒ぎしたヒズボラが利用していたのも、ロシア製のミサイルや中国製のロケット砲だということがわかっています。ヒズボラはイランで支配的なイスラム教の「シーア派」ですから、こういったイラン経由で流れたと見るべきでしょう。

  しかし、この2つの「ランドパワー」だけが問題を起こしているのではありません。アメリカにも相当問題があります。
  以下の記事がそれをよく説明しています。

中東諸国に見られ始めた「ドル離れ」
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00484/contents/239.htm

  これが進行すると、アメリカは大変にまずいことになります。アメリカは、今までドルを刷りさえすれば、タダで石油を決済できていました。もちろん、アホみたいに造幣して市場に放出したらインフレになります。だから、日本や台湾にアメリカ国債を買わせているのです(ちなみに、当ブログはこのことを全否定するつもりは全くない)。
  逆に言えば、国際貿易、もっと有り体に言えば、石油を決済できる通貨であるという事実がアメリカドルの地位を支えているわけです。これを担保するために、武力行使も辞さない・・・ということで起こったのがイラク戦争という見方もできます。

  声を大にしたいのは、アメリカなど「西側」先進諸国が、エネルギーを石油に依存する限り、上のようなランドパワー対シーパワーの戦いは終わらないということです。EUが石油や天然ガスを必要とすればするほどロシアの発言力は増します。「発展」する中国は尚一層イランへの関与を強めようとします。また、石油決済通貨であるドルを守るためのアメリカの戦争も頻発することでしょう。そして、そのような動きが、資源だけはあるという国の一層の強硬姿勢を生むことになります。
  ●以前の記事でも触れましたが、このような状況下で「アメリカの政治的影響力の払拭」に走ることは適切ではありません。無理にやろうとすれば日本側が多大な犠牲を払うからです。

  それよりも、日本が進むべき道は、石油エネルギーの持つ負の連鎖を断ち切ることです。断ち切るとまでは行かなくても、石油を「相対化」することです。それがアメリカを初めとする「西側」諸国のためでもあるのです。
  そして、そのカギが燃料電池であると私は確信しています。

  そうは言っても、「じゃあ、なぜ今まで燃料電池は実用化しなかったんだ?」という声が挙がりそうです。その辺の疑問を、次回以降で扱っていこうと思います。  

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日本が環境国家」になれる理由(付:靖国神社の話)

2006年08月15日 23時22分58秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  昨日から親戚宅に出かけていたのですが、朝のニュースには正直「うんざり」しましたね。ご存じの通り、小泉総理の靖国神社参拝です。

  ●こちらのブログにコンパクトにまとめられていますが、これなら「あんな神社に参拝するな」とはっきり言ってもらった方がわかりやすくていいです。●「記者交換協定」なるものに基づいて、支局や特派員が国外退去処分になるのがそんなにこわいのでしょうか?
  A級戦犯云々のことは、私がいちいち指摘するより、●こちらのような良くまとまったサイトがあるのでご覧頂くといいでしょう。ああいった番組に出ているコメンテーターとやらは、こういうことを調べたりしないのでしょうかね?
  あまり目くじらを立ててもしょうがないので、一つ「笑い話」をしてこの話題はおしまいにしましょう。●こちらのニュースから。

(以下引用)

中国外務省は15日午前、声明を発表し、小泉首相の靖国神社参拝を「中日関係の政治的基礎を破壊する行動」と指摘し、首相が「意地を張って参拝」したことは「国際正義に挑戦し、人類の良識を踏みにじった」と厳しく批判した。李肇星(リー・チャオシン)外相は同日、宮本雄二・駐中国大使を外務省に呼んで抗議した。

(引用以上)

 >「国際正義に挑戦し、人類の良識を踏みにじった」

  ●インターネットで検閲を実施したり、●他国の領土をかっぱらっておいて図々しい態度をとったりしている国が、よくもまあこんな偉そうに!!
  おそらくこういう国では、言論というのはプロパガンダに過ぎないのでしょう。そういう人々と関わり合いになりたくないものです。

  さて、本題にはいりましょう。

  いきなり結論をいいますが、日本ほど「環境」を国是にするための条件が整っている国はありません。根拠はいくつかあります。

  まず、第一に、「自然信仰」や、それに端を発する「多様性」を精神風土の基調にしているということです。その証拠が、世界文化遺産にもなった●「紀伊山地の霊場と参詣道」です。
  この世界遺産がユニークである点は、「修験道」「神道」「仏教(真言密教)」という異なる宗教が一つのネットワークになっている点です。なんで違う宗教同士が結ばれているのか、疑問に思う人もいるでしょうが、山林に神秘性を見いだし、信仰の対象としていたという点では、根っこは一つだと考えるべきでしょう。
  こういう現象は、一神教(たとえばユダヤ教やイスラム教)の人々からは「ありえない」ことです。なにしろ、神はひとつしかいないわけですから、違う信仰を持っている人間は「異教徒」として人間扱いしないのが一神教の歴史なのです。
   おそらく、山地が70%を占め、複雑な気候帯を持ち、自然災害の多い我が国では、自然と「戦う」のではなく、「慣れ親しむ」必要があったのでしょう。その過程で、様々な宗教も、自然信仰の色彩を帯びていったのかもしれません。
  そのような日本的精神風土は、形を変えこそすれ、全く死んではいません。その一番分かりやすい例が「ポケモン」(ポケットモンスター)という日本生まれのキャラクターです。
  怪物と人間が友情で結ばれた関係にあるという「ポケモン」の基本設定は、他国の、特に一神教の国には発想すらできません。彼らには、森林や山地に住んでいるのは「化け物」であり、神に姿を似せられた人間の文明を邪魔する敵だというのが基本的な考え方としてあるのです。それが最も良く現れているのは、キリスト教の●聖ゲオルギウスの逸話です。また、童話の「赤ずきん」もそういう発想で書かれているように思われます。
  また、ポケモンの魅力は、たくさんいるモンスターの中から自分のお気に入りを選べることにもあります。確認されているだけで約380種類いるそうです。これこそ、八百万(やおよろず)の神に象徴される「多様性」の文化の象徴です。
  欧米の人々にとてt、「ポケモン」に出てくるような、好きな異性のために人間の言葉を覚えようとするモンスター(詳しくは●こちら)は、新鮮を通り越して異様な感じがしたかも知れません。それが、今や●こんな感じに市民権を得てしまっています。おそらく、一神教的な「神が決めた秩序」の窮屈さに、多くの人たちが飽き飽きし始めていた矢先、先入観の無い子どもたちから「ポケモン」に火がついたのでしょう。
  アメリカのアニメだって、動物を主役にしているじゃないか!という人は、もう一度その作品をよく鑑賞してみるといいです。「トムとジェリー」にしろ「ミッキーマウス」にしろ、「プーさん」にしろ、結局「擬人化」という域を出ていません。怪物が怪物のまま人間と仲良くしているアメリカのアニメは、あまり聞きませんね。それが、一神教の国の限界なのです。
  こういう国民性ですから、「自然を大切にしようね」と言われると、本気で信じられるという素養があります。アメリカ人や中国人には、「なぜ動植物を大切にしなくてはいけないか」というところからいちいち説明しなければなりませんが、日本だと多くの場合(全員ではない)は、そういうところは感覚で済んでしまうのです。これこそ「環境国家」の適性です。

  第二に、我が国は資源に恵まれていないというハンデがある点です。
  天然資源のほとんどを輸入に頼り、食糧さえも外国に依存しているのが我が国の「悲しい」現状です。しかし、それだからこそ少ない資源の有効活用や、資源の豊富な地域をバックグラウンドにする民族の思いも寄らない発想が出てくるということも、また事実なのです。
  たとえば、●ハイブリッドカーがそれです。この発想がすばらしい点は、民間企業であるトヨタが独自に実用化したことです。それをおためごかしではなく、本当に売れる商品にできるのは、資源を大事にする感覚が染みついているからです。
  また、最近外国経由で再輸入された「もったいない」という言葉も、日本人の資源に対する感覚の鋭さが現れています。この言葉を、ケニヤの環境大臣にして、ノーベル平和賞受賞者、ワンガリ=マータイ氏が世界に紹介したのは有名な話です。
  そのマータイ氏が日本に来て、水洗トイレに「大」「小」二種類のレバーがあることに感心したという話を知っているでしょうか(●こちらを参照)。ともすれば「せこい」という一言で済んでしまう、日本では当たり前のことも、外国から大きく評価されています。日本の方が欧米なんかよりずっと「センスがいい」のです。
  こういう土壌がある日本だからこそ、環境問題に対して「本気」になれると思いませんか?
  
  早晩地球の環境が悪化し、資源争奪戦が激化することが予想されます。しかし、むしろ、その時こそ日本の出番と思うべきです。ピンチはチャンスというわけです。
  そして、実際に我が国では、環境を重視した政策をかなり昔から実行していたという点が重要です。例えば、山林→河川→近海を一つのシステムとして捉えている「魚付き保安林」という発想は非常にユニークです。重要なのは、これが江戸時代に意識的に行われ、明治時代から法制化までされた施策という点です。
  我が国の●知床半島が陸海一体として自然遺産として認められたという意義は、計り知れないほど大きいものがあります。世界の学者や識者も、システムとしての自然という認識を持ち始めていますが、日本人はとっくの昔からそういう発想をしていたのです(まあ、もとはアイヌの土地だったわけですが・・・)。

  次回以降、このコーナーでは、前回挙げた「脱石油化」「森林の再生」「伝統工業型農業」にまつわる話題を扱っていくつもりです。五月雨式になってしまう点をご容赦ください。  
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今、「環境」が熱い!!

2006年08月11日 23時15分30秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  塾で社会の授業をやっていると、自分でも教えていてあまり面白くないところとそうでないところがあることに気づきます。金をもらっているのに、失礼な話ですが、本当のことです。
  その、「面白くない」ところの典型例が、福祉と環境問題の話でした。なぜだかわかりますか?

  それは、この二つの話に「夢がない」と思っていたからです。

  老人福祉や介護といった分野で、一生懸命働いている人がいるのは否定しません。しかし、福祉の本質は「事後処理」であり、いかにマイナスを軽減するかという問題に尽きます。私の勉強不足なのかもしれませんが、そういう本質がある以上、どうしても熱くなれないのです。
  環境の話も、つい最近まで同様「でした」。リサイクルはやっていても、それがどこでどう資源の節約に結びついているか実感がない、マングローブ林が破壊されていると言っても、自分たちには止めようがない、そんな「机上の空論」ばかりのような気がしていたからです。
  しかし、最近、にわかに環境問題に対するものの見方が変わってきたことに気づきました。そのせいか、近頃この問題を授業で扱うときに、意気込みが全く違うのです。
  その視点変更を一言で言ってしまえば、、「環境問題には夢がある」ということです。
  そこで、この問題が「夢のある」話であることを皆さんにもわかっていただけたら幸いと思い、今回から断続的に、環境について思うところを述べてみたいと思います。

  あえて、私がこのシリーズのキャッチフレーズを作るとすれば、それは、「環境問題こそ『第三の道』である」ということに尽きます。つまり、我が国にとって環境問題とは、「政治」でも「経済」でもない、大きなパラダイムシフトという意味があるのです。

  ここで、独断ではありますが、日本という国を取り巻く「政治」や「経済」についての現状を述べておきます。

  まず、「政治」というのは、軍事や外交と言った、各国が生き残りを賭けて取り組んでいる活動を言います。残念ながら、日本は、この分野では世界のトップに立つとか、独自の地位を占めることは難しいでしょう。
  なぜなら、日本の政治は、結局アメリカという親分を抜きには語れないからです。沖縄を初めとして、国土にたくさんの米軍基地があることからもわかるように、日本はアメリカの軍事拠点として完全に取り込まれています。これを完全になくすということは、現実的な話ではありません。日本の周囲には核保有国が少なくとも二つ(もしかしたら三つ)あり、こういった国々と単独で向き合うのは無理が多いからです。また、日本が軍事的自立の道を選ぼうとすれば、せっかく築いた防衛システムを手放すことになるアメリカが黙っているとは思えません。
  そういう観点から、アメリカの政治的、軍事的プレゼンスを払拭しようという考えは、全く現実性がありません。
  
  「経済」については、中国という国の存在を忘れてはいけません。
  日本がかつてのように、製造業分野で右肩上がりの成長をすることは、もはや不可能だというのが私の考えです。なぜなら、利益を上げるためなら、中国に工場を作る方が絶対に有利だからです。
  中国は「ランドパワー」(大陸国家。詳しい定義は●こちら)であり、それゆえ日本のような「シーパワー」(海洋国家)に近い国よりも、決定的に優位に立てる要素があります。それは、人的コストが圧倒的に低いということです。
  これは、歴史的に見てもよくあることです。たとえば、日本のような貿易立国であった●ベネチアは、16世紀に入ってからというもの、地中海東部で新興国であるランドパワー・●オスマン・トルコに歯が立たなくなります。
  その原因は、ベネチアがオスマン・トルコに比べて人的コストが高く付いたことに尽きます。
  たとえば、海戦の主役だったガレー船を見ても、トルコは漕ぎ手のほとんどが奴隷でした。これに対してベネチアのガレー船の船員は全て自由民であり、給料を払わなくてはいけない上、死んだ場合年金まで払っていました。ただでさえ都市国家であり、人口の少ないベネチアでは、人間は高く付く「資源」だったわけです。
  また、ベネチアのような都市国家が技術革新をしても、結局暫く経てばトルコに追いつかれてしまいました。イタリアの都市国家はルネサンス中期に火薬を使った武器を実用化していましたが、これはすぐトルコにも真似をされてしまいました。1453年のコンスタンチノープル攻略戦で、トルコ側は●「ウルバン」と言われる大砲を使用しています。下手をすると、産みの苦しみがない分、後発のランドパワーの方が楽かも知れません。  
  このことからわかるのは、ランドパワーは人的コストが低いという優位性があることと、シーパワーがせっかく開発した技術は、暫く経つとランドパワーに真似されてしまい、シーパワーの優位性が著しく失われるということです。
  上のような話は、日本と中国の経済についても、ピッタリ当てはめることができます。
  高度成長期にヨーロッパ諸国と同様の工業力をつけていた日本ですが、1978年の日中平和友好条約ののち、技術供与という形で次々と技術が中国側に渡ってしまいました。これは、改革開放政策によって、日本企業が中国本土に進出していった90年代になると、より顕著になります。最近では、●この記事に見られるように、近隣ランドパワー諸国への技術流出ルートが多様化しており、最新技術で日本が中国にキャッチアップされる時間がどんどん短くなっているのが現状です。
  このような流れを、ボーダーレス化した現代の世界で完全にストップすることは困難だと思われます。
  それに輪を掛けて、中国には日本の10分の1の人件費という武器があります。労働基本権も保障されない使い捨ての奴隷的労働力です。●こちらのリンクのような公害問題が起ころうと、裁判所に人権侵害を訴えることさえできません。そして、何より悲劇的なことは、そのような中国の「低コストな」労働力を、必要としている企業が世界にいくらでもいるということです。
  このように考えると、もはや製造業分野では、よほど高度な技術や、地理的・物理的に中国では不可能な分野でない限り、中国との競争には勝てないというのが素直な結論だと思われます。  
  繰り返しますが、上に挙げた二つの分野で、現状を大きく変更しようというのは、あまり得策ではありません。そのためには、非常に辛い産みの苦しみがあり、かりに障害を克服したとしても、日本という国がかなり大きな損害を蒙ることが予想されます。
  それに、産みの苦しみ以前に、どうにもならないという閉塞感を国民に与えてしまうのは考え物です。「日本の政治はアメリカに支配されている」とか「成長する中国に飲み込まれる」という話をしたところで、何か明るい気持ちになれるのでしょうか?それこそ、「夢のない話」です。
  
  しかし、「環境」ならどうでしょう?

  私がこれから述べたいと思うのは、この分野なら、アメリカの逆鱗に触れることもなく、また、中国と同じ土俵に乗ることもなく、日本という国が独自のポジションを確立することができるということです。そして、その可能性は、昨今の地球環境の悪化に伴い、今までになく高まっていると言えます。これが、「第三の道」という意味です。
  もっとも、このまま序論が終わってしまっては、禅問答になってしまうと思います。そこで、前振りとしてキーワードを幾つか出しておきたいと思います。それは、

 「脱石油化」

 「森林の再生」

 「伝統工芸型農業」

  です。

  いろいろ調べながら、ことによっては「実地見分」も交えながらの記事になると思われるので、このキーワードは順不同だということはお断りしておきます。この三つのキーワードこそ、日本が「第三の道」を歩むための金言です。

  まずは次回、我が国が「環境国家」としていかに優れた素質を持っているかを論じたいと思います。ご期待ください。
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