日々是勉強

教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

「原爆」に名を借りた間接侵略

2007年05月31日 10時27分46秒 | 社会と教育
  タイトルを見るだけでウンザリしそうなニュースをひとつ取り上げます。

原爆資料館展示見直しに中韓の声
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200705310023.html

--------以下引用--------

  原爆資料館(広島市中区)を運営する広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長は30日、館の展示内容を見直す検討委員会に、中国、韓国人らアジア出身の委員を起用する方針を明らかにした。リーパー理事長は中国新聞のインタビューに、「原爆投下を『日本の植民地支配から解放した』と肯定する考えが根強いアジアの声に触れながら議論を深め、多民族が共感、納得できる施設にしたい」と述べた。に触れながら議論を深め、多民族が共感、納得できる施設にしたい」と述べた。

--------引用以上--------

>中国、韓国人らアジア出身の委員を起用する方針

  もう、この二つの国名を見ただけでウンザリしてきます。おなじみの粘着コンビです。
  彼らはこの委員起用の理由を「日本の歴史認識を正すため」と吹聴するのでしょう。そういう嘘に対する反論は、私以外にもいろんな方がなさっている(たとえば●こちらの精力的なブログなど)ので、ここではあえてしません。

  それよりも、このブログで強調しておきたいのは、これこそが間接侵略の最も典型的なものであるという点です。

  間接、というからには直接侵略というものがあるわけですが、これはミサイルを撃ち込んだり軍隊が上陸して土地を占領したりということです。強力な手段ではありますが、非常にコストが高く、現地住民の反発や国際的非難の惹起というリスクが常に伴います。
  しかし、「侵略」というものを、相手の意志のコントロールだと考えれば、何もそんなやり方に訴えなくてもいいわけです。
  最も効率がいいのは、相手国に敵国に対するシンパを植え付け、一つにまとまらせないことです。「平和」「多民族共生」などと銘打った組織や活動は、ほとんど全てがこのような狙いを持って設立されたものといっていいでしょう。

  そして、こういった作業は、常識的に考えればその国に被害を与えることは明らかなので、論理的な説明が不要な相手を対象にするのが一番効率的です。たとえば「児童や生徒」など最高のターゲットです。たびたび取り上げていますが、とある名門女子高校はこんなプログラムを実施しています。

「ひろしまの旅」
http://www.joshigakuin.ed.jp/jg_news_bk2002_7-2.htm

--------以下引用--------

  さらに「原爆をなぜ落とされたのか」というお話にも深く考えさせられた。落とした側だけでなく、日本、特に日本政府にも大きな責任があるということだ。日本は原爆を落とされても仕方がないような行為をアジアの国々にしていたし、実際に原爆のおかげでその国々の人々は、日本の侵略から逃れられたのだ。

--------引用以上--------

  おそらく、普段学校の歴史の授業で、似たような思想を教えられているのでしょうね。
  似たような例は、原爆資料館のお膝元にもあります。

平和を祈る週 平和学習
http://www.hju.ac.jp/~gakuhou/146/cyukou.html

--------以下引用--------

  被爆60周年の今年、平和を祈る週の講師としては中学に姜文煕(カンムンヒ)さんを、高校には坪井直さんを迎え、お話を聞きました。新聞やテレビで毎日のように広島の被爆体験が風化していき、核の恐ろしさを知らない若い世代が増えていく世論調査の結果が報道されていますが、本校の生徒にはしっかりと被爆者の方々の思いを継承していってほしいと思います。

--------引用以上--------

>姜文煕(カンムンヒ)さん

  この人は在日朝鮮人被爆者だそうです。どうしてわざわざこんな人選をするのでしょうか。彼女の同胞達が日本でどういう行動をしているか、少し調べればわかる気がするのですが。おそらく、学校側が意図的にそういう人を選んでいるのでしょう。

  面白いことに、上の二つの学校はどちらも「キリスト教」の「女子校」です。さらに言えば、原爆に関する活動に「YWCA(キリスト教女子青年会)」という団体が絡んでいるのも特徴的です。こういう団体が何をしているのかというと、こんな感じです。

韓国訪問にあたっての日本キリスト教界代表の共同声明
http://ncc-j.org/diarypro/diary.cgi?no=114&continue=on#continue

--------以下引用--------

 かつて軍国主義時代の日本は韓国を植民地支配し、この国の人々を極度に苦しめました。当時の日本のキリスト教界が、それをとどめることができず、中でも韓国キリスト者に神社参拝を強制したことは、神のみを神として崇め、隣人を愛しなさいという聖書の戒めに背いた重大な罪でありました。今回訪韓した日本のキリスト教界代表は、神と隣人の前に、この罪を深く悔い、赦しを求めるとともに、これらの犠牲や殉教を無駄にしないことを決意しています。

 しかしながら、今年2001年になって、日の丸・君が代の強制、教科書問題、小泉首相の靖国神社参拝、そして自衛隊の海外派兵という事態が引き起こされてしまいました。過去の過ちを認めようとせず、侵略戦争を美化し、戦争準備へと進むこのような状況の中、日本のキリスト者はできる限りの反対運動を展開してきました。「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の採択阻止については一定の成果をみたものの、全体としてはこうした新たな右傾化の流れを食い止められなかったことに対して、私たち日本のキリスト者は大きな責任を感じるものです。このような危険な右傾化の流れは益々強まることでしょう。それゆえ私たちは、過去の歴史を直視しつつ平和と和解のために取り組みつづけてまいります。

  (中略)

日本カトリック正義と平和協議会 会長 松浦悟郎
日本福音同盟 常任理事 藤田洋 総主事 稲垣 博史
日本キリスト教協議会 議長 鈴木 伶子 副議長 吉高 叶 総幹事 大津 健一
日本基督教団 総幹事 竹前 昇
日本聖公会 沖縄教区主教 谷 昌二
日本バプテスト連盟 理事 小河 義伸
日本バプテスト同盟 理事長 天野 邦彦
在日大韓基督教会 議長 李 炳球 総幹事 朴 寿吉 前総幹事 姜 栄一
日本キリスト教会 議長 久保 義宣 書記 久野 真一郎
日本キリスト教婦人矯風会 会長 高橋 喜久江
日本YWCA 副会長 ランデス・ハル 総幹事 松下起子

--------引用以上--------

  外国(ここでは朝鮮)とうまく連携して、いろいろやっているということがおわかりでしょう。

  ヨーロッパ伝来の宗教というと、何か仏教や神道よりカッコイイという印象を持つ人が少なくないのではないでしょうか。日本人は舶来の文物に対して過大な評価をしがちです。特に、「クリスマス」だの「バレンタインデー」だのに弱い女性はそういう傾向が強い気がします。
  その中から、学習能力が高く、先生のいうことを素直に聞いてくれる子供を選ぶには、名門学校を作るのが一番手っ取り早いというわけです。親御さんもわざわざミッション系の名門女子校を選ぶような人ですから、反日思想に対して拒否反応を示すタイプではないでしょう。もうこうなったら、学校側はやりたい放題ですね。
  そういう学校にとっては、原爆というのは理屈抜きで感情にダイレクトに訴えることができる最良の「教材」ということなのです。  

  さて、本記事の方に戻りましょう。みなさんは、この部分を読んでどうお感じになりますか。

>原爆投下を『日本の植民地支配から解放した』
>と肯定する考えが根強い

  もちろん、この資料館の理事長であるリーバーというアメリカ人がそう考えているということです。
  しかし、日本が植民地にしていたのは台湾だけだということをこの人は知らないようです。まあ、「合邦」した朝鮮も意図的に含めているのでしょうが、それでも中国人を入れる必然性が感じられません。

  このアメリカ人のバックに誰がいるのかは知りませんが、いわゆる「アメリカ」という国にとっても、上の記事の人選は都合がよいのでしょう。
  理由は二つあります。まず、単純に原爆投下が民間人の核兵器による虐殺であるという事実を隠蔽することができるということです。原爆ドームの世界遺産認定に最後まで反対し続けた国ですから、そのくらいは考えているでしょう。自国の負の歴史を認めたくないということです。
  しかし、もっと大きな理由があります。それは、日本人に対して原罪意識を負わせることによって、国家意思を決定する自由を奪うことです。
  アメリカは、戦後一貫してこのような立場を取っています。端緒になっているのは、戦後間もなく行われたWGIP(ウォーギルト・インフォメーション・プログラム)というGHQの政策です。詳しくは、●こちらのサイトをご覧になっていただくとよくわかりますが、簡単に言うと「大東亜戦争を起こした日本人は悪い人々だったと子々孫々に伝えるための宣伝や情報操作」です。
  このような宣伝にのっかる形で、戦後の左翼政党(社会党や共産党)は政治的主張を行い、日教組が生徒児童を洗脳してきたのです。WGIPの成果の最たるものが、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」などと国家主権の放棄を謳っている「日本国憲法前文」です。
  このことから考えれば、社民党や日教組が日本国憲法を宗教のごとく崇め奉っているのは当然の話ということになります。
  このやり方は、ライバルとなる相手の牙を抜く最も簡単で効率のいい方法です。現状を打開する方法(外交や軍事力)を保持する以前に、そうしようと考える意志を摘んでしまおうわけです。じじつ、日本は60年間に渡って、在日米軍の補完以上の能力を持つ軍隊を保持できていませんし、周辺に核ミサイルを持った国が三つもあるのに、それに対抗するための独自の手段を何も持っていません。
  こういう状況は、在日米軍の価値を高め、アメリカの意志決定に対する日本側の依存を深めることにつながります。このやり方がまずいところは、依存している相手の政策に振り回されてしまうことに尽きます。もし明日、「米軍の再編に伴い、沖縄及び本州の米軍を撤収する」と言われれば、その瞬間から我々は(特に核兵器に対して)丸裸同然の状態になります。
  アメリカとしては、日本はアメリカ抜きではやっていけないと思わせれば十分なのです。これも立派な「間接侵略」ではありませんか?

  要するに、「左を向けば特定アジア、右を向けばアメリカ」という感じで、どちらを向いても我々の自立を挫こうとする勢力が待っているということです。
  
  頭を抱えている方が多そうですね。

  しかし、複雑なようでいて、本当に分かっておかなければいけないことは一つしかありません。それは、

「外国は基本的に敵である」

  ということです。

  日本人を守ってくれる存在は、日本国以外にはありません。アメリカでも、ましてや中国や朝鮮でもありません。「そんな考え、極端ですよ」と思うかも知れませんが、そう思う人は原爆クラスの馬鹿です。世界中のどの国も、自分たち国民を守るのは自国だと普通に考えています。

  そう考えれば、ある物事が最終的に誰に利益をもたらすか、よく想像すればいいのです。その「誰か」が、外国であるならば、危険であると判断すればいいのです。

  これからは、外国の人間や組織から「日本人は・・・」などという言葉が出てきたら、悪い冗談として笑って済ませましょう。嘘を言っていたら、さりげなく指摘するのもお忘れなく。

中朝の戦いはもう始まっている!?

2007年05月29日 12時21分10秒 | 地政学・国際関係
  何度か取り上げている「中朝冷戦」ですが、今回は角度を変えて、韓国と中国東北部との経済的な関わりを取り上げてみたいと思います。

  なお、このブログは基本的に南北朝鮮が一体化しているという視点に立っていますが、今回は便宜上「韓国」(=比較的経済発展している市場経済の朝鮮)という概念を用いて記事を書きますので、ご了承下さい。

  まず、この記事をご覧下さい。

在ハルピン韓国投資企業協議会、朝鮮族村新しい農村建設の推進へ
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070521-3.htm

--------以下引用--------

ハルピン韓国投資企業協議会が朝鮮族村の新しい農村建設推進に本格的に参入した。 19日午前、在ハルピン韓国投資企業協議会と阿城区阿什河街道城建村は、城建村で姉妹提携を公式締結した.

  (中略)

この日、姉妹提携式の挨拶の言葉で宋ハンサン会長は "ハルピンで事業し、地域社会、特に中国で新しい農村建設を積極的に推進しているこの時に、朝鮮族村との協力に期待する"とし "今後、我が同胞がたくさん居住する城建村が、都市に負けず劣らず建設されて行ってほしい."と述べた。

  (中略)

この日締結した姉妹提携書の骨子は '今後、在ハルピン韓国投資企業協議会と城建村は新しい農村への発展を支援、農村の人手支援と農産物の直接取引など多様な交流を通じて共同目標を達成すること'であった。

この日、在ハルピン韓国投資企業協議会から城建村に 20匹の種子豚を寄贈し、 CJ(ハルピン)飼料有限公司からは 200kgの高級豚飼料を寄贈した。

この日、城建村では宋ハンサン会長ら在ハルピン韓国投資企業協議会の8人の会員企業代表を '城建村農村経済発展顧問'として招いた。

--------引用以上--------

>在ハルピン韓国投資企業協議会

(中国東北部の地図)


  中国東北部で最も重要な都市といえるハルピンに、韓国企業はしっかりと拠点を築いているようです。韓国はウォン高のせいで青息吐息だと言われていますが、この地方への進出意欲は衰えていません。

  韓国企業の「中国」進出は、1992年の両国の国交正常化以降、一気に盛んになりました。
  もっとも、1998年の通貨危機前後に、韓国企業の撤退が相次ぎます。2001年くらいまで、韓国企業の毎年の事業撤収実績が二桁台で推移していることからもそれがわかります。
  そして、韓国経済の不振が、ワールドカップを境に一段落すると、再び対中投資額が増え始めるのです。●こちらのレポートにもあるように、2002年に投資先として米国を抜くと、続く03年もさらに投資額は拡大しています。
  そして、その翌年の2004年に、こんな記事が「人民日報」に掲載されます。

東北地方旧工業基地、韓国中小企業が投資に興味
http://j.peopledaily.com.cn/2004/07/12/jp20040712_41220.html

--------以下引用--------

   東北地方旧工業基地の振興の加速を目指す中国政府の政策により、多くの韓国中小企業が中国東北地方への投資に大きな興味を示している。

 吉林省の長春市では10~12日、「中韓経済貿易交渉会および優良商品博覧会」が開かれ、韓国中小企業100社以上が参加した。企業は自社の優良製品やプロジェクトを携え、現地企業との提携や発展を求めて長春を訪れた。

 韓国京畿道安陽市の徳永工程機械株式会社の朴永桓理事は、「東北地方は非常に特殊で潜在力のある土地だと感じる。中国東北地方の市場は広く、労働力は廉価だ。中韓両国はゆったりとした自由な投資環境の中で、中国政府のサポートを受け、共に発展できると信じている。東北地方への投資に自信がある」と話した。

 韓国中小企業の責任者の一部は、中国政府が東北旧工業基地の調整と改造の加速に関する政策を提起したことで東北地方に多くのビジネスチャンスが生まれることを認めながらも、東北地方の投資環境と政策への理解不足を理由に様子見の姿勢を示し、中国政府が東北旧工業基地への企業誘致をさらに強化し、投資家のために適切に便宜を図るよう望んでいる。

--------引用以上--------

  中国・ロシア・朝鮮の三大勢力がぶつかり合う場所「中国東北部」が、勇躍「潜在力のある土地」として登場するわけです。

  この年は、中国の歴史再評価プロジェクトである「東北工程」(詳しくは●こちらのリンク)が一段落して、高句麗も渤海も中国の地方政権であるというメッセージが発せられたばかりです。それにも関わらず、韓国企業の東北部への進出は続き、冒頭に紹介した記事のような状況にまで至るわけです。

  ここで、こんなことを思った人がいるのかもしれません。

  ブログ主が言うように、朝鮮と中国が対立しているなら、なぜ朝鮮の企業が中国への進出を強め、中国がそれを容認しようとするのだろう?

  ここは、重要なところです。単純に割り切れないところがあるので、少しずつ考えを述べます。

  まず、頭に置いていただきたいのは、韓国だろうとどこだろうと、中国という国は、他国からの投資がなければもたない「脆弱な経済」の国であるということです。
  それが端的に現れているのは、貿易依存度の高さです。中国経済が貿易に頼っている割合は、2005年には輸出入それぞれ34.2%、29.6%となっています。加工貿易国であると定義され、国際競争力うんぬんと喧伝される我が日本でさえ、わずか10%です(●こちらのデータを参照)。
  しかし、そのための設備投資をやるような原資もノウハウも中国にはありません。だから、世界中から金を呼び込まなければいけないのです。
  こんな事を言うと、「韓国企業って●こんなアホなことばっかりしているのに、頼りになるのかよ?」というひともいるかも知れませんが、それでもまだ中国よりは技術力(みたいなもの)があります。それに、なんだかんだ言って韓国の工業製品はアメリカやヨーロッパでそれなりのシェアを獲得してはいます。一応工業国だと認識すべきでしょう。

  そうは言っても、このブログが論じている東北部というのは、投資のインセンティブ(誘引力)が低い場所です。理由は簡単で、近くに北朝鮮がいるからです。原子力発電所の近くにマイホームを持ちたがる人があまりいないのと同じように、どうしてもリスクの少ない沿岸部に比べると企業は二の足を踏むようです。
  しかし、コキントウ政権は、以前も紹介したように、この「東北部旧工業基地」の振興を新たな経済成長の起爆剤にしようと考えています。他の地域で、「安価な労働力を売る」という最大の魅力が薄れてきていることが大きな原因です。
  ●こちらのリンクをご覧頂けると雰囲気が掴めると思いますが、沿岸部の便利な場所では中国人労働力もかなり高く付くのが現状のようです。
  それと引換え、中国東北部はまだ人件費がそれほど高くありません。満州国の時代に整備されたインフラ、特に鉄道が非常にしっかりしており、大連や旅順のような海外への輸出港もあります。また、これら二つの港が手狭になれば、北朝鮮の清津(チョンジン)港や、ロシアのナホトカ港、ウラジオストク港を利用することも可能です。
  だからこそ、ここに投資してくれる存在が必要なのです。それが、朝鮮族という同胞を持つ韓国企業だったというわけです。
  もちろん、あまりにも韓国企業の進出が進めば、中国にとっては、韓国のカネによって東北部を「征服」されてしまう可能性もあるわけです。企業が進出するどころか、冒頭の記事にあった「新しい農村」などというものを作られて、知らない内に朝鮮族の人口を増やされれば、相対的に漢民族の影響力が下がることになります。当然、こういう集落には北朝鮮の工作員も潜入するでしょう。
  それにも関わらず、韓国企業の投資がなければ維持していけないのが今の東北部なのです。
  
  もっとも、少し見方を変えると、これは「朝鮮」の側にとっては、命取りになりかねない要素でもあります。
  なぜなら、東北部における韓国企業の投下資本というのは、韓国に取ってみれば人質のようなものだからです。
中国のようなランドパワー(大陸国家)の戦略というのは、自国領の奥深くまで敵を誘い込み、補給線が伸びきったところで逆襲するというものです。
  具体例は歴史上たくさんあります。ロシアを攻めたナポレオン、ソ連を攻撃したナチスドイツ、南京の国民党を攻撃した帝国陸軍(蒋介石はあっさり南京を蜂起して重慶に逃亡)、全てこの手でやられています。初めは局地戦で大勝したにも関わらず、最後には惨めな敗退をしているのです。
  これを経済の世界に置き換えれば、ランドパワーであるは初めは沿岸部を開放して投資を引きつけ、それが後戻りできない段階まで達した、あるいは相互依存を相当程度深めた段階で、一気に反撃に転じるのです。
  以前紹介した●サハリンのガス田におけるロシアの卑劣なやり口もそうですし、戦前の中国における「日貨排斥運動」もそうです。
  そして、韓国はもう後戻りできない段階に突入しています。以下の記事を見るとよくわかります。

中国居住の韓国人 70万名に
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070511-6.htm

--------以下引用--------

中国の改革開放と 1998年韓国の IMF危機をきっかけに、中国に群がって来始めた韓国人が、現在 70万人にのぼるものと集計された。

韓国人は当初、東北3省と山東省を中心に生活の基盤を求めていたが、現在は中国全域に分布し、新彊ウルムチにまで韓国人社会が形成されている。

中国 30の省、直轄市、自治区に散らばって暮している韓国人 70万人余りは、韓国の一つの中小都市の人口にあたる規模で、在中国韓国人会は “現在、中国に居住している外国人の中で韓国人の数が最も多く、韓国人は毎年 6万~7万人ずつ増加している”とし “来年 8月の北京オリンピックをきっかけに、中国に進出する韓国人はさらに増加して約 100万人に至るものと予想される”と伝えた。

(中略)

1991年、黒龍江省韓国留学生1号としてハルピンの土を踏んだ金ジェユン(39歳)さんは、黒龍江中医学大学で中国医学の学士、修士、博士の学位を取得し、去年、中国の医師資格証試験に合格、現在、ハルピンに病院を設立している。 金ジェユンさんは中国で自分の最も貴重な青春時代を過ごしたといい、むしろ今は韓国の生活に適応する自信がないと言いながら、新朝鮮族として暮したいとその意志を明らかにしている。

--------引用以上--------

  韓国のみならず、北朝鮮も引きずり込まれているようです。

瀋陽市政府、北朝鮮と IT共同研究開発を予定
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070511.htm

--------以下引用--------

北京、上海等に続き、中国内の重要な IT産業基地として生まれかわるため、近年、その発展テンポを急いでいる瀋陽市政府が、北朝鮮と合作して瀋陽に IT(情報技術)共同研究開発基地を設立する予定だと、遼寧朝鮮文報が報道した。

瀋陽市科学局対外科学技術交流センター(主任・金鮮一)は去年 7月、市政府の指示精神に従って、北朝鮮科学院とソフトウェア共同開発協力提携書を締結、北朝鮮の IT人力を大量に招いてソフトウェアを共同開発する事とした。

北朝鮮の招聘人員は統一的に瀋北新区蒲河新城に立てられた '瀋陽東北亜ソフトウェア・アウトソーシング連盟'の開発団地に入居することになる。 これまで民間企業が北朝鮮の IT人力を招いた事例はあるが、政府次元の両国の IT 共同研究協力事例は今度が初めてだ。

金鮮一主任によれば、今月中旬、北朝鮮科学院から第一陣として IT人力 14人を派遣、 徐々にその数が増える。 現在、瀋陽の IT企業等には北朝鮮の IT人力 85人が使われているという。

--------引用以上-------

  これらは全て中国の「人質」となる可能性があるわけです。

  そういう視点から見てみると、北朝鮮の核開発というのは、全く違う顔を見せてくるのです。
  そうです。日本が満州国を建国し、大陸派遣軍を送ったように、朝鮮は北の核兵器によって、東北部の権益を維持しようとしているのではないか、ということです。

  私は最前の記事で、中国と朝鮮の開戦は絵空事ではなく現実の危機だと言いましたが、もう少し複眼的な説明が必要でした。ここで、改めて中国東北部を舞台に繰り広げられている「中朝冷戦」について、一つの仮説を立ててみます。

  まず、朝鮮側は清王朝の時代や日本統治時代、満州国時代を通じて一貫して東北部に移民を送り出しており、それが現在の朝鮮族200万の基礎になっています。
  それを足がかりにして、朝鮮はこの地域の支配に着手した、と考えるとわかりやすいです。だから、韓国も北朝鮮も「渤海」「高句麗」を自国史として教えているのです。もちろん、朝鮮人特有の自我肥大傾向も影響はしています。
  時は過ぎ、冷戦時代は米ソの対立を受けて半分「出来レース」のような対立をしていた南北朝鮮は、冷戦後連携して東北部に攻撃をしかけます。一方は「狂気の軍事独裁国家」を装って核開発を行い、他方は「躍進するアジアの虎」として、東北部にカネを注ぎ込む。韓国の経済危機はあったものの、その後息を吹き返し、「朝鮮」は東北部への圧力を強めていきました。
  あくまで想像ですが、このようなアプローチには、アメリカの黙認もしくは消極的な支援があったのかもしれません。もしコケても全て金正日のせいにしてしまえばいいのであり、アメリカにはリスクが少ない「中国封じ」だからです。
  中国の「東北工程」は、このような朝鮮側の攻撃に対抗するものだったと考える余地があります。もちろん、中国の領土拡張意欲(というか、首都からなるべく国境線を遠ざけようとするランドパワーの習性)も無視できません。しかし、中国からすれば「殺らなければ殺られる」という危機感があったように思うのです。
  
  そして今、中国としては、いざというとき直接侵略に転じて、キムジョンイルを武力で除去できるようにし向けているわけです。先だってお伝えした、白頭山付近の空港建設や三本の中朝間高速道路がそれです。
  ここまでの手を見ると、北朝鮮が核兵器を開発したとはいえ、中国の方が一歩上に立っているというのが私の印象です。今後動くとすれば、朝鮮側でしょう。●冬季アジア大会で、韓国選手が「白頭山は我が領土」というプラカードを掲げた事件は有名ですが、あそこまでやるということは、朝鮮側が相当追いつめられているということです。
  もっとも、中国も東北部は虎の子の土地、上海万博の後を睨めば唯一と言っていい発展の余地のある場所です。ここを本当の紛争地帯にすることは望んでいないだろうし、資本主義の朝鮮を利用して儲けておきたいという考えもあるはずです。何より、北の核攻撃(北京なら十分届く)を怖れているはずです。


  日本としては、こういう状況を、中国封じの一手段としておおいに活用すべきでしょう。そのための方法は、●こちらの記事●その追記に記してあります。
  間違っても、中国東北部に大規模な設備投資や、人間の移住など行ってはいけません。盛大に罠にはまるのは、韓国だけで十分です。


「新党21世紀」党員名簿

2007年05月28日 09時50分38秒 | 「新党21世紀」党員名簿
  入党資格は、党綱領(●こちらにあります)に賛成できる日本人です。年齢その他の条件はありません。バーチャル政党なので、入党費、年会費などは無料(笑)です。
  ただし、党の方針が気に入らない等、離党したい場合は、その旨コメントで告知をお願いします。下記の党員名簿に記載した情報は、速やかに削除させていただきます。

  以下は、党員名簿です。(党員番号は、入党順に付与されます)
  党員同士の情報共有、交流促進のため、ブログ、ホームページなどのURLも記載いたします。(2007年5月29日13時現在8名)

  ※党員番号の( )は体験入党者です。

 1 ろろ(「新党21世紀」発起人)
   http://blog.goo.ne.jp/roro_football-lover
 2 ruru様
   http://mondlicht.seesaa.net/
 3 s様
 4 三輪耀山様
   http://klingon.blog87.fc2.com/
(5)タチコマ(けもも)様
   http://blog.zaq.ne.jp/tachikoma/
 6 ないちょ様
   http://blog.goo.ne.jp/daibadatta
 7 UNM様
 8 ada2005様

【悪趣味の国】「同じ人間だから」と思っている人間の馬鹿さ加減

2007年05月26日 12時41分52秒 | 社会と教育
  支離滅裂というのは、こういうことを言うのでしょう。

『デスノート』は違法・・・中国当局、規制を本格化
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0526&f=national_0526_001.shtml

--------以下引用--------

  日本の人気コミック「デスノート」に対して、中国当局が本格的に規制に乗り出した。全国「反ポルノ反非行」工作グループ事務局は25日、三度目となる通達を行い、「『デスノート』など非合法出版物の取り締まりを強化し、児童の出版物に関する環境を整備、青少年の健全な成長を促進すべし」とした。

  同事務局は、「『デスノート』は神秘主義、死、復讐などの感情に訴える多くの要素をはらんでおり、児童の成長にマイナスの影響を与え、人格形成上良くない」とし、「全国各地でしっかりとした措置を講じて、取り締まりを強化、青少年の健全な成長に資する文化的環境は創出しなければならない」としている。

  中国当局としては、6月1日の国際子どもの日を前に、ある程度の成果を出さなければならないとの危機感があり、同事務局が派遣した要員によって、全国の小中学校の近辺の販売店を中心に「『デスノート』狩り」が進行している。

--------引用以上--------

>『デスノート』は神秘主義、死、復讐などの
>感情に訴える多くの要素をはらんでおり、
>児童の成長にマイナスの影響を与え、人格形成上良くない


  そうやって偉そうにぬかしている大人が、喝采を叫んでいるレジャーがこれです。

中国南部のサファリパークで生きたままの牛や鶏をトラの餌に
http://fnn.fujitv.co.jp/headlines/CONN00111209.html

--------以下引用--------

  中国南部のサファリパークで、生きたままの牛や鳥をトラの餌に与えるなどの行為が見物客に公開されており、これに対して、動物愛護団体が抗議の声を上げている。

  中国南部のハルビン野生動物公園で、バスで園内をめぐるツアーが行われているが、その際、トラたちにトラックで運んできた生きたままの牛を餌として与え、食べられる様子を見物客に公開している。

  また、バスの中から生きた鶏などをトラにばらまく様子なども公開され、これらの行為に対して、世界的に活動を行っている動物愛護団体などから抗議の声が上がっている。

  動物愛護団体のウェダーバーン氏は「これはあまりに残酷で悲惨。ご覧なさい、かわいそうな動物を」と話した。

  動物愛護団体側は、公園内で行われているさまざまな動物ショーについても問題視している。


--------引用以上--------

  いちおう●こちらがそのニュースの映像ですが、大の大人が牛が殺されるのに喚起の声を上げたり、バスの中から虎に生きている鶏を食べさせたりしています。
  もちろん、自然の営みというのは弱肉強食なのでしょう。しかし、それを生き物が殺されるショーとして捉えて面白がっているセンスは気味が悪いです。そんな人間が、人が死ぬシーンがある漫画を規制するというのは、ギャグか何かとしか思えません。
 
  動物だからいいじゃないか、あなたはそうやって中国を悪者にしないと日本の価値を認められないのか、などと偽善的なガキのようなたわごとという人のために「この国は人間でも同じことをやりかねない」という例をお見せしておきましょう。

中国四川省:ホテル女性従業員惨殺事件、群衆1万人が警察と衝突
http://jp.epochtimes.com/jp/2007/01/html/d15952.html

--------以下引用--------

  中国四川省大竹県の莱仕徳(ライシーダ)ビジネスホテル(NEST BUSINESS HOTEL)に勤務していた十代の女性接待係が暴行を受け惨殺された事件で、ホテルと地元行政・警察との癒着関係に憤りを募らせた民衆がホテル側に対して犯人の追求を迫った。それに対して、当局は武装警察を大量に出動させ、民衆と衝突した。怒りに燃えた民衆はホテルを放火するものも出て、負傷者が多く出ているとみられる。情報筋によると、同ホテルが開業して半年も経たない内に、これまでに少女2人が同様の暴行事件で殺され、今回が3人目の犠牲者であるという。

  四川省の地元ネットサイトの掲示板情報によると、莱仕徳ホテルは半年前に開業した四ツ星のビジネスホテルで、被害者・楊莉さん(当時15歳)は昨年10月から同ホテルで接待係として勤め始めた167センチの奇麗な少女だという。

 情報筋によると、被害者は昨年12月31日に、政府高官3人を接待したのち、下半身が大量出血し、死亡時には、ひどく殴打されたことで歯は数本も折れ、舌は噛み千切られ、乳首は切断され、下半身は爛れていたという。ネットサイトの情報によると、被害者は県病院へ運ばれたが、その病院は封鎖されたという。一方、ホテル側は少女はアルコール中毒で死亡したとし、外部に対して明確な発表はない。

  これに対して、被害者側家族とそれに同情した民衆が、ホテル側に対して犯人を追求し続け半月が経っても何の回答も得られなかったという。ホテル前には数千人に上る民衆が12日から連日集結していた。ホテル側はことを大きくしないように、50万元(約770万円)で和解しようと試みたが、被害者側の家族に拒否された。

  16日、ホテルのまわりについに1万人以上の民衆が集まった。当局は大量の武装警察と部隊を出動させ、高圧放水によって群集を追い散らした。17日、現場を見学に来た数百人の学生は警察に暴力をふるわれ、多くの学生が負傷した。怒りが爆発した学生たちがホテルに入り、ものを壊し始め放火したという。当時、現場に集まった民衆は5~6万人もいたという。情報筋によると、現在、公安局や警察は大竹県へ集合した学生らを制圧しており、多くの学生が連行されたという。

  同ホテルの従業員(自称)の話によると、これまでにすでに2人の少女が死亡し、関係者は口を封じられ、ホテル側は2人の少女の指に注射の痕を作り、2人ともに自分で薬物注射して死亡したと対外的に言いふらしたことを明らかにした。さらに、秘密を知ってしまったホテル側の警備は、殺害され口止めされたという。

--------引用以上--------

  だめ押しで、もう一つ出しておきましょうか。

文化大革命ってなんだったの?(YAHOO知恵袋)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1411527409

--------以下引用--------

ベストアンサーに選ばれた回答

回答日時: 2007/5/7 20:11:27 回答番号: 37,035,851

  かんたんに回答する。

  毛沢東の奪権力闘争と、中国人民への虐殺。これだけ。
  中国の大躍進と文化台革命での虐殺、餓死者などのデータは産経新聞の出版で「毛沢東秘録」にある。
  文化大革命は、1966年から76年までの10年間に実権派の200万人以上が失脚したり、殺されたいしたのですが、実際の数は不明です。

  補足、中国の人肉食という伝統が、この文化大革命で隆盛を誇った。

 (中略)

「食人宴席」(鄭義 光文社)P62より引用

  武宣県では、食人事件が流行にさえなった。街頭引き回しデモ闘争があるたびに、老婆たちはかごを下げて、糾弾集会が終わるのをじっと待っていた。人間が殺害されると死体に競って群がり、なるべくいい人肉を切り取って持っていく。遅れてきた者は人肉を切りとれないので、骨まで持っていく。人肉を食べた者は、幹部のなかでも少なくはなかった。
  例えば、造反から出世した武宣県革命委員会・王文留副主任。彼女は最初、共産党の下級組織から、彼女がもっぱら男性性器を食べるというので、その報告書が党中央工作組に提出された。
  党中央は衝撃をうけ、八五年五月から六月にかけて数回にわたって、その実情について電話で聞き、なぜ彼女を党から追い出さないかと、詰問した。結果的に明らかにされた事実は、彼女はただ人肉、人間の肝を食べただけで、現在すでに党から除名処分を受け、一般労働者に格下げされたということだった。

--------引用以上--------

  こういう国です。「アジアは一つ」「中国人も日本人も同じ人間」などと世迷い言を吐いている方は、猛反省すべきです。
  彼らとは、「人間」や「生命」といったものに対する価値観が違います。悪口を言いたいのではありません。ただただ、違うのです。そして、その違いは何千年にも渡って作られたものであり、同じ人間だからという理由で瞬く間に氷解したりなどしません。

  日本がすべきことは、なるべく彼らと交流する門戸を狭くすることです。そうすれば、お互いに嫌な思いをしなくて済みます。
  中国人の方々も、『デスノート』のような「児童の成長にマイナスの影響を与え、人格形成上良くない」文化が自国内に流入してくるのは好まないはずですよね?

【地方を】日本の林業はこうすれば活性化できる【元気に】

2007年05月22日 14時11分41秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  参院選を睨んで、各政党がいろいろ動き出しているようですが、その中に筋としては悪くない提案を見つけました。

林業活性化で雇用100万人増、民主が参院選1人区対策で
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070520ia01.htm

--------引用--------

 民主党が参院選の1人区対策の目玉政策として検討している「森林・林業再生プラン」の原案が19日、明らかになった。

 林業活性化を「地域格差是正の起爆剤」と位置づけ、10年間で中山間地域での雇用を100万人増やすと打ち出す。森林保全の財源として、道路特定財源を「森林環境税」とすることも検討する。プランは、過疎地は林野比率が高いことに着目し、菅代表代行らが主導してまとめた。6月上旬にも最終案をまとめ、参院選公約に掲げる方向だ。

 それによると、2005年で20%の木材自給率(国内の木材消費量に占める国産材の割合)を、10年後に30%、20~30年後に60%に向上させる、という目標を設定。木材生産の効率化のため、〈1〉林道などの道路網を10万キロ・メートル整備し、情報技術(IT)を駆使した輸送体制を整備〈2〉森林組合による私有林管理の促進〈3〉森林技術や森林経営の専門家養成――などの対策を盛り込んでいる。

--------引用--------

  お、このブログの管理人は珍しく民主党をほめるのか?と思った方もいるかもしれませんね。その通りです。「林業」を地方の産業として取り上げた点については大変高く評価します。

  しかし、さもしい感じがするのは、

>参院選の1人区対策の目玉政策として

  などと記事に書かれてしまっていることです。自民支持者やネット右翼にアドバルーンに過ぎないと批判されかねないフレーズです。こんなのを取っ払って、純然たる産業振興と位置づければよかったのですが・・・民主党にはPRのセンスがある担当者がいないんですかね?

  とりあえず、中身を見てみましょう。

>10年間で中山間地域での雇用を100万人増やす

  地方で雇用対策を採ると言っても、今時は工場を誘致する位だったら中国に移転するという選択をする企業が多いので、産業というと農林水産業しかないのが現状です。
  しかし、逆に言えば都会では出来ないことなので、地方の雇用を増やすには第一次産業のパイを増やすしかありません。目の付け所としては悪くないと思います。

>2005年で20%の木材自給率
>(国内の木材消費量に占める国産材の割合)を、
>10年後に30%、20~30年後に60%に向上させる、
>という目標を設定。

  これも悪くないですね。

  私から言わせれば、保守だと自認している、または愛国的な態度を採っているブログが、自給率の問題に触れないのはおかしいです。
  愛国心だの美しい国だのと言ってさんざんホシュの人々を煽っていらっしゃる安倍首相も、自給率に関する話は全くしません。代わりに、「アジア・ゲートウェイ構想」というものをぶち上げて、農産品を高級化して中国などに輸出しようなどと提唱しています(●こちらのリンクを参照)。この人は、国民の食生活を何だと思っているんでしょうか。日本人が日常口にすることができなくなるような高級化などしたら、自給率がどんどん下がるに決まっています。
  愛国心を国民に要求している彼のような人に、日本国民をいたわる姿勢が全くないというのも変な話です。まあ、彼と彼の支持者にとっては、食べ物より憲法改正の方が「重要」で「高尚」な問題なんでしょうね。

  さて、我が国は実のところ、森林大国です。その証拠に、少し山の方に入ると、山肌にはほとんどスギやヒノキが植えてあります。
  これらの木々は、一応手入れはされていますが、伐採される予定も特にない放置状態にあるところがほとんどです。日本の木を伐採するより、輸入材を入れた方が安いというのが常識になっているからです。
  しかし、変な話だと思いませんか。確かに切り出す人件費はかかるに違いありませんが、木材を輸入している相手国はアメリカ、カナダといった日本並みに人件費が高い国も含まれているのです。もっと、何か違う原因があるのではないでしょうか。
  その疑問に答えてくれるのが、記事の最後に紹介している『だれが日本の「森」を殺すのか』という著書です。
  この著書の素晴らしいところは、国産材は建築業者にとって相当評判が悪いという現実に焦点を当てているところです。

  たとえば、「転売が多く、中間マージンがかかりすぎる」ことです。実は国産材は山元(単に木が生えている状態)価格では欧米よりずっと安いのですが、その間に業者が複数入るので転売の度余計なコストがかかってしまうわけです。
  林野庁や農林水産省、さらには造林業者といった当事者は、こういった仕組みを改善して面倒が増えるくらいなら、外国から輸入してしまえという発想だったのでしょう。さらに、高度成長期の終わりから円高が進んだことで、木材の流通にメスを入れる機運は全くなくなってしまいました。
  また、「製材工場の生産性が低い」というのも挙げられます。欧米では消費者のニーズに応えるために秒単位で加工速度を競争し、改善していますが、日本ではいまだに分単位でしか考えていません。これに、工場ごとに木材の部位の規格が異なることが追い打ちをかけます。
  国も補助金をつけて工作機械を買わせたのですが、その機械のスピードが遅くて話にならないというあたり、まるで社会主義国の工場のようです。
  さらに、「サービスという意識が希薄」という点もあります。たとえば、木材を乾燥させるように頼んでもやろうとしなかったり、製材の寸法が頻繁に狂っていたり、一番ひどい例としては期日通りに納入されなかったりします。
  全ての製材所がそうだとはいいませんが、欧米の製材会社はそこをきちんとやっています。仮に外国との競争がなかったとしても、殿様商売というのはお客さんに対する礼儀を欠いていると言わざるを得ません。

  こうやって見てみると、実は単に輸入品が安いので価格競争で負けているという単純な図式ではなく、我が国の林業には改善すべき点がたくさんあるということがわかってきます。
  民主党の案も、

>森林技術や森林経営の専門家養成  

  というところに踏み込んでいるのはいいのですが、問題は「森林」そのものの経営ではなく、木材が山を下りてからのお粗末な「流通」なのです。そこを改善することを怠ってはいけません。
  そうでなければ、ただでさえ、

>林道などの道路網を10万キロ・メートル整備し

  というところから、「ただの土建屋対策ではないか」と言われて足元をすくわれる可能性が高いと言わざるを得ません。
  
  ハッキリ言って日本の地方には建設業者が多すぎるのです。ビルや再開発などの建設需要が大都市周辺より少ないに決まっています。だから、みんな生き残るために談合をしてしまうのです。
  それを潔癖に取り締まれば問題が解決するというものではありません。農業や林業を地方の主産業にするという気持ちで、本気で産業構造の転換に取り組まなければなりません。これこそ、巷で喧伝される「カイカク」とは異なり、本当に必要な「改善」なのです。

  手始めにまず、流通販売の合理化を指導することから始めるしかありません。林野庁に、森林の重要性を理解できる経営の専門家を招き、少しずつやっていくしかないでしょう。業者のニーズに応えて乾燥させる、寸法を間違えない、納期は守る・・・当たり前のことをきちんとできるように指導するのです。うまく行っている事業所には、「優良事業所認定」を与えて、税金を優遇するというのもいいでしょう。

  同時に、国産材を買うことが「環境にいい」というイメージアップ戦略も必要です。そこで役に立つのは「森林認証制度」です。
  ●こちらのホームページに説明がありますが、簡単に言えば森林認証制度とは、環境に配慮した持続可能な森林経営をしていることを第三者機関が認めるというものです。認定機関として有名なものにはFSC(森林管理協議会)という国際NGOがあります。
  これに農水省が関与するのです。参考になるのは。有機JAS認定制度●農水省のHPを参照)です。農水省の監督を受ける民間の認定機関が一定の基準を満たした食品を「有機食品」として認定する仕組みになっていますが、優れているのはきちんと罰則が伴っているという点です。
  森林認証を取得した山林については、税制上の優遇措置を与えてもいいでしょう。逆に、そうでない山林については、林野庁からの補助金をカット、もしくはうち切るというようにしてもいいかもしれません。そのくらい思い切ったことをやらないと、日本の林業や森林環境は間違いなく衰退します。
  針葉樹ばかりで下生えもない人工林は環境に悪いのではないか・・・という人は、●速水林業さんのような例を知らないだけです。速水林業さんの所有するヒノキ林は、FSCの森林認証を日本で初めて受けた山林で、除草剤を木が若い時期に一回撒くだけで、下草の処理をしません。だから、ヒノキの合間にシダ植物や広葉樹が生い茂っています。
  もちろん、速水林業さんはヒノキを切り売りしている立派な造林業者です。ちゃんと管理された森林の方が、動植物も育ち、環境にもいいという好例です。
  この速水林業さんのような例がほとんどになれば、「国産材は環境にやさしい」ということになります。そうすれば、森林経営が日本の森林環境保全に不可欠ということになり、それを阻害する輸入材に税金をかけるという方法も採れるのです。

  え??そんなことをしたら、日本に輸入材を売っているアメリカやカナダが困る?

  だからどうしたというですか?アメリカの造林業者は、日本に税金も払っていません。私たち日本人は全く困りませんが?
  それに、外材には国産材と違った用途で用いられるものも多く、国産材のシェアが大きくなったと言っても、外材が全く入ってこなくなるというわけではありません。それに、木材資源が枯渇している中国や朝鮮という市場があるのですから、日本向けの木材はそちらに向くはずです。
  アメリカやカナダの業者(とアメリカ政府による圧力)の心配をする人は、憲法9条を変えると中国や韓国が困るなどと言う人と全く同じ精神構造です。我々が何処の国に住んでいて、誰の利益を図るべきか、もう一度考えるべきでしょうね。

  これをご覧になった民主党関係者やサポーターのみなさん、単なる選挙対策にとどまらない本気の林業改革をアピールするようお願いします。


★推薦図書★
だれが日本の「森」を殺すのか

洋泉社

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【HONDA】燃料電池車、ついに市場へ【よくやった】

2007年05月20日 13時35分40秒 | 「環境国家日本」シリーズ
  ついに、世界が劇的に変わる「あの発明」が第一歩を踏み出しました。

水素燃料電池車を08年に発売へ
http://www.usfl.com/Daily/News/07/05/0514_019.asp?id=53549

--------以下引用--------

  ホンダは2008年、水素を動力とする燃料電池セダン「FCX」を限定生産して市場投入する。

(中略)

  一方、ゼネラル・モーターズ(GM)も今年、スポーツ多目的車(SUV)「シボレー・エクイノックス」100台を燃料電池車に切り換える計画だ。

 水素の大半は、北米に十分ある天然ガスから作られる。しかし、国内で水素燃料の補給所を設置しているのは12州程度にとどまっており、カリフォルニア州だけが複数設置している。ただ、石油会社大手が導入に消極的でも、エア・プロダクツなど産業用ガス供給業者が提供を開始する可能性はある。

 米燃料電池評議会のロバート・ローズ代表は、「市場が小さすぎるため大企業は無理でも、水素販売企業を引き付けることはできる」と語る。

 ホンダは、燃料電池セダン「FCX」の販売台数は公表していないが、現在は2台だけ(月額500ドルでリース)が市場に出ている。同社は、08年型の高速走行での燃費をガソリン車にして1ガロン当たり68マイル相当を見込んでいる。最高速度は時速100マイル。燃料電池スタックはこれまでより小型で、リチウムイオン電池が搭載される。

--------引用以上--------

  改めて紹介しますが、燃料電池というのは、酸素と水素が結合した時に生じる酸化還元反応を利用した発電装置です。
  採掘地が偏在している石油や天然ガスと異なり、世界中で手に入る「水素」をエネルギー源にしているという強みがあります。また、空気も汚さず、反応のおまけとして「水」まで得られるという優れ物です。



>燃料電池セダン「FCX」

  この写真の車のことです。



  私も、●新エネルギー世界展示会の会場で全く同じものを見ました。担当者の方も親切に対応してくれ、ホンダが子の分野に本気で取り組んでいるということがよくわかる展示でした。   

>最高速度は時速100マイル

  時速だと約160キロです。私の車(スバルの2000cc)と大して変わりませんね。これなら、実用に耐えそうです。

  惜しむらくは、

>水素の大半は、北米に十分ある天然ガスから作られる。

  という部分ですね。これでは日本や、同じように資源不足に悩む国々の悩みを解決することはできません。

  しかし、要は水素を得られればいいのです。

  一番有望なのは、エタノール(エチルアルコール)ですがそのために画期的な発明が動き出しました。

海藻からバイオ燃料 東京海洋大、三菱総研など
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200703230010a.nwc

--------引用--------

養殖した海藻から石油代替燃料として注目されるバイオエタノールを大量に生産する壮大な構想が22日、明らかになった。東京海洋大、三菱総合研究所を中心に三菱重工業など民間企業が参画する研究グループがまとめたもので、日本海に1万平方キロメートルの養殖場を設け、ガソリンの年間消費量6000万キロリットルの3分の1に相当する2000万キロリットルのバイオエタノールを海藻から生産する計画だ。政府は2030年度に国産バイオ燃料を600万キロリットル生産する目標を掲げており、今回の構想は目標を実現する有力な方法として注目されそうだ。

 (中略)

 バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなど植物を原料に生産されている。これまでに、海藻を発酵させてつくるといったアイデアもあったが実現していない。今回の構想では、海藻を分解する酵素を利用したバイオリアクター(生物学的反応器)と呼ばれる特殊な装置で糖に分解し、エタノール生産を目指す。

 構想は、日本海中央にある浅瀬の「大和堆」に、ノリやワカメを養殖するような大型の網を張り、繁殖力の強い「ホンダワラ」を養殖し、バイオリアクターなどの装置を搭載した船で分解し、生産したエタノールをタンカーで運ぶというもの。能登谷教授は「大陸から日本海に流れ込む過剰な栄養塩を海藻で除去することも期待できる」としており、バイオエタノール生産と日本海浄化の“一石二鳥”の効果がありそうだ。

 海藻の主成分はフコイダンとアルギン酸で、フコイダンを分解する酵素はすでに見つかっている。研究グループは、アルギン酸を分解する酵素を発見したり、遺伝子組み換え技術を応用すれば実用化が可能とみており、プラントの開発や投資額なども含め総合的な研究に入る。

--------引用--------

  海水を利用して海藻を育て、そこからエタノール【下注】を作ろうという壮大な計画です。

>大陸から日本海に流れ込む過剰な栄養塩


  日本海沿岸で●こういう愚かなことをする国がいるからです。本当に救いようのない国です。距離を保っても、こんな形で迷惑をかけられてはたまったものではありません。

  おそらく、これを燃料電池と結びつけるとなると、エタノールから水素を取り出す作業(改質という)が必要になってきます。しかし、それでは効率がよろしくありません。
  それならばいっそのこと、

>海藻を分解する酵素を利用したバイオリアクター(生物学的反応器)と
>呼ばれる特殊な装置

  この段階で水素を取り出してしまうか、エタノールを直接燃料電池に投入できる仕組みを開発すればいいのです。
  前者はまだなんとも言えませんが、後者は荒唐無稽な発想ではありません。このようなものがすでに開発されているからです。

ダイレクトメタノール形燃料電池の開発について(東レ)
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr051216.html

--------引用--------
 
  東レ(株)は、この度、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)1)の主要部材である高分子電解質膜とそれを用いた膜電極複合体(MEA))の性能を実用化レベルまで向上させることに成功しました。従来のフッ素系電解質膜)と比較して、伝導度を損なうことなくメタノール透過性(MCO)を1/10以下に低く抑えた炭化水素系電解質膜を世界で初めて開発しました。さらにMEAでも、よりエネルギー密度が高い高温、高メタノール濃度での発電性能を大幅に向上することができました。

  本技術を用いることで、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル電子機器等の小型化、長時間使用に大きく貢献できるものと期待され、東レは、今後、この分野への本格展開を推進していく計画です。さらに、本技術を応用して、自動車用電解質膜の開発にも取り組んで参ります。

 (中略)

1)ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)
 DMFCは、次世代のモバイル電子機器用電源として期待されています。自動車用や家庭用として用いられる水素を燃料とする固体高分子形燃料電池(PEFC)と比べて、システム全体の小型・軽量化や携帯性が期待できることを特徴としています。

--------引用--------

  メタノールは「毒物及び劇物取締法」により「劇物」に指定されているので、はっきり言って危ないです。それなら、いっそのことエタノールから水素を取り出すことができないのかということです。
  だったらエタノールを燃やして電気を取ればいいだろうという方もいらっしゃるでしょうが、私は反対です。なぜなら、エタノールを燃やして内燃機関やタービンを動かすとなると、「熱エネルギー→運動エネルギー→電磁誘導」という過程を経るため、エネルギーロスが大量に生じるからです。
  エタノールは、あくまで自動車のガソリンの代替物だと割り切った方がいいでしょう。発電には、やはり燃料電池が切り札なのです。

  そのためには、何よりも燃料電池の実用レベルのデータがたくさん手に入ることが必要です。第一歩を踏み出した燃料電池車を、これからも注目していきたいと思います。

【注】 エタノールというと「サトウキビ」と考えている方もいらっしゃるでしょうが、それは大変危険な考えです。この点については、別途で記事を書こうと思っています。

経産省は「大アジア主義」政策を撤回しろ!!

2007年05月15日 14時36分18秒 | 社会と教育
  我が国の政府というのは、「自国民」をあまり愛していないということがはっきりわかる政策が登場しました。以前、このブログでもさんざん議論になったものの続編です。

平成19年度「アジア人財資金構想」について
http://www.kyushu.meti.go.jp/press/19_4/19_4_16.htm
  
  どんな企画かは、大体想像がつくでしょうが、以下に内容を抜粋します。

>我が国企業に就職意志のある、能力・意欲の高いアジア等の留学生
>に対し、奨学金や人材育成から就職支援までの一連の事業を通じ、
>産業界で活躍する専門イノベーション人材の育成を促進する

  というのがお題目です。具体的な内容も見てみましょう。

--------以下引用--------

  本構想では、次の2つの事業を実施します。

高度専門留学生育成事業

  企業ニーズに即した産学連携による専門教育や、ビジネス日本語教育・日本ビジネス教育、インターンシップ、就職支援等、必要な知識や技能に関する教育を行う特別なプログラムを実施する、大学を主体とした産業界等と連携し構成されるコンソーシアムを支援します。

高度実践留学生育成事業

  各地域にて複数の大学と産業界等が連携して留学生へのビジネス日本語教育・日本ビジネス教育、インターンシップ、就職支援等の特別なプログラムを実施する広域的な事業を実施します。

--------引用以上--------

  もちろん、留学生の方に奨学金もつけます。

http://www.meti.go.jp/information/downloadfiles/c70412d05j.pdf
  
  以前こちらでこの話題を取り上げたときは、「1ヶ月30万円」などというふざけた金額でしたから、それに比べれば「月額12~17万」というのは多少控えめにはなっているようです。
  しかし、●「日本学生機構」の奨学金(大学生)が、月額4.5~6.4万円(もちろん返済義務あり)なのと比べると、破格の待遇です。
  しかも、これにはまだ続きがあって、どうやらこのプログラムに参加した大学が授業料等を負担してくれるそうです。ずいぶん恵まれているもんですね。日本人の学生から入学金だの施設費だの搾り取って、外国人は授業料タダですか。馬鹿にするのもいい加減にしろと言いたいです。

  こういう政策を役所が実施していることを、政治家のみなさんは知っているんでしょうか?

  どうせ、以前の記事と同じような全くかみ合わない議論が出てくると思うので、ここでもうはっきり言っておきます。「外国人を使う方が日本の(企業の)利益になる」という前提でコメントしている、またはそう推知できる方には、私は一切返答しません。私はそういう方に考えを変えていただこうなどと僭越な考えを持ってはおりませんので、悪しからずご了承下さい。

  本来、税金を使った産業振興・人材育成というのは、自国のためにやるべきものです。経済産業省がやろうとしていることは、アジアの人材のつまみ食いであり、これは国内の人材育成から撤退し始めたということでもあります。
  そういうことを言うと、「グローバル化した世界では国籍の枠を取り払って人材を求めないと競争力が保持できない」などと、まるで日経新聞の記事や外資系企業のコマーシャルみたいな反論をしてくる人がいます。なるほど、金を使って自国に人材を呼んでくればいいじゃないか、ということですね。
  現在、それでがたがたになっている国があるのをご存じありませんか?アメリカです。世界中から人材を集め、金利を相対的に高くして投資を集めて、やっと生きている国がアメリカです。
  今の日本の若い奴は使えない、だから外国から取ってこなくちゃダメなんだなどと言っている人間は、会社の利益しか考えていない我利我利亡者の「反日」人間です。そういう方は安倍首相が行っている教育改革とやらに「経済効率が悪い」という批判をするんですかね?
  中・短期的な人材の確保なら・・・などと言うなら、なおさらインターンだの大学4年間6年間だのいちいち手間をかけずに、外国人の即戦力を取ってくればいいだけの話でしょう。本来育てるべき「自国人」に金が行き渡らないという点が問題なのです。

  また、他国に日本シンパを作るという目的があるなら、内閣府が直轄すべきです。だいいち、経済産業省は自分から、

>我が国大学・企業のグローバル化、我が国の産業競争力強化

  という目的を掲げています。親日派の育成などという視点はないと思った方がいいでしょう。希望的観測で物事を判断しない方がいいです。

  それに、なぜ対象地域を「アジア」に限定するのでしょうか。役に立つ人材であれば、欧米だろうと、アフリカだろうと、世界中から呼べばいいではありませんか。
  それこそが真の「グローバル」なのではありませんか。
  経済産業省と文部科学省が勧めているのは、単なる大アジア主義です。そういえば、満州事変の前にも、中国やベトナムからたくさん留学生が来ていましたね。朝鮮に至っては、日本国の一部でした。経済交流が活発になり、「アジアは一つだ」という妄想を持つ人間が、内にも外にも増えてきているのでしょう。
  日本の戦前の大陸進出は、財閥の意向を受けたものでした。今、大企業が人材のグローバル化などと言っているのと同じです。日本で儲けるのは面倒だから、もっと効率よく儲けられるアジア大陸に進出しようということです。
  そして、朝鮮半島が年5%成長し、満州国が5カ年計画で大工業地帯に発展した影で、東北地方では身売りが相次ぎ、そうでなくても大多数の国民は仕事がなかったり、薄給だったりで、苦しんでいました。そういう満州や朝鮮の発展を日本の功績だと誉めそやかす人に言ってやりたいのですが、「アジア」のために「日本国民」が犠牲になってもよいという発想は、今回の奨学金の話と全く同じです。
  こうして、日本は戦争の時代に突入しました。今回も、非常に状況が似ています。

  「アジア」という言葉に踊らされてはいけません。我々はアジアではなくて「日本列島」に住んでいるのです。

  まず、この国に住んでいる人々を愛さなくてどうしようというのでしょうか?愛国心を国民に求めるなら、同時に政府も私たちを、これから育つ日本の若者を愛するべきです。


<問い合わせ先>

経済産業省(メールフォーム)
https://wwws.meti.go.jp/honsho/comment_form/comments_send.htm

経済産業省 産業人材参事官室
TEL:03-3501-2259

Россия - царь Газового Мира!(ロシアは天然ガスの皇帝)

2007年05月13日 01時07分06秒 | ロシア関連
  この題名は、誇張ではありません。面白いニュースが入ってきました。

ロシアと周辺親米5カ国 資源めぐり対立
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/25620.html  

  まず、前半から見てみましょう。

--------以下引用--------

  ロシアのプーチン大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領、トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領は十二日、カスピ海沿岸のトルクメニスタンのトルクメンバシで初の三カ国首脳会談を行い、トルクメン産天然ガスをカザフ、ロシア経由で欧州に輸出する「沿カスピ海天然ガスパイプライン」を建設することで合意した。

--------引用以上--------

  最近、中央アジアの情勢が活発に動いています。

  今回のニュースの意味は、欧米によって切り崩されかけていた天然ガス権益を、ロシアが死守したということです。
  どうやら、ロシアの狙いは、ロシアと地続き、もしくは政治体制のよく似ている国との連携を強化し、天然ガス市場の価格決定権を握るというもののようです。カザフスタンは独立以来ナザルバエフ政権が続いており、トルクメニスタンも独立から昨年までニヤゾフ大統領の独裁政権でした。

  ロシアが周辺諸国を天然資源によってコントロールするという構図は、日増しに強まっています。今回のカスピ海沿岸のパイプライン建設合意も、その構図の強化に資することは間違いありません。何しろ、ロシアの天然ガス埋蔵量は世界1位なのです。西欧のエネルギー政策は、ロシアの「協力」なくして成り立たないのは事実です。

  しかし、ロシアが天然ガス世界の皇帝として君臨されては面白くない国々もいるわけで、その動きもまた活発になっています。元記事の後半部分を見てみましょう。

--------以下引用--------

  一方、ポーランド、リトアニア、ウクライナ、グルジア、アゼルバイジャンの欧州、旧ソ連圏の親米五カ国首脳は十一日、カザフ産原油をロシア領を経由せずにウクライナ、ポーランドに運ぶ石油輸送ルートの建設促進で一致。ロシアと親米各国の間でカスピ海のエネルギー資源をめぐる対立が先鋭化してきた。

  プーチン大統領は十二日の三カ国首脳会談後、記者団に「(沿カスピ海パイプラインの建設は)二○○八年半ばに始まる」と言明。ロシアのフリステンコ産業エネルギー相は同日、ロシア回避を目的に米国が別に推進しているカスピ海横断・天然ガスパイプライン建設構想についても「政治的な計画だ」と批判し、今回の建設決定が米国や親米国のエネルギー輸送計画に対抗するものであることを示した。

  今回の三カ国首脳会談は、ポーランドのクラコフでの親米五カ国首脳会談(エネルギー・サミット)の日程に合わせ、急きょ行われた。カザフのナザルバエフ大統領は当初、資源供給国として同会談に出席予定だったが、ポーランド訪問は取りやめた。

  ポーランドはロシアへの資源輸入依存から脱却するため、一一年までに国内油送管をウクライナの油送管につなぎ、カザフ産のカスピ海原油をアゼルバイジャン、グルジア経由で輸入する計画。

  ポーランドのカチンスキ首相は「プーチン大統領がカザフスタン大統領のポーランド訪問を阻止したのなら、私たちの計画の重要性は一層明らかだ」と述べ、会談つぶしともとれるロシアの動きに不快感をあらわにした。

--------引用以上--------

>ポーランド、リトアニア、ウクライナ、
>グルジア、アゼルバイジャン


  ロシアがパイプラインで支配する国々のすぐ外側の国々ばかりです。

  特に、ウクライナは、2004年の「オレンジ革命」によって、形の上では自由主義政権になっています。自由主義などといえば聞こえがいいですが、要するに西側(特にアメリカ)の金融資本がその国を支配するということです。
  ついでに述べておくと、このような金融資本が入り込んでくることを許容している国が「シーパワー」なのです。日本がシーパワー化しつつあることは、昨今の外資系企業の進出からも明らかです。今月から始まった三角合併(異常に株価の高いアメリカ企業の株式を対価にして、株価の割安な日本企業を簡単に買収できる方法)により、さらにその傾向は強くなって行くでしょう。
  もちろん、ランドパワーのボスであるロシアも負けてはいません。ウクライナでは、親ロシア派がかなりの巻き返しを見せています。
  
ウクライナ 繰り上げ選実施で合意 大統領と首相 政治危機収拾へ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007050602014072.html

--------以下引用--------

  ウクライナのユーシェンコ大統領が、反大統領派が多数を占める最高会議(議会)の解散と繰り上げ選挙実施を命じた問題で、大統領とヤヌコビッチ首相が四日、キエフで会談、繰り上げ選挙の実施で基本合意した。(中略)

 首相から繰り上げ選挙実施の合意をようやく取り付けたユーシェンコ大統領は四日の記者会見で「邪悪に対する善の偉大な勝利だ」と強調。一方、ヤヌコビッチ首相は同日、キエフ中心部での集会で「われわれは選挙で勝利するだろう」と自信を示した。同日発表された最新の世論調査では首相の率いる「ウクライナの地域」の支持率は37%と大統領派の「われらのウクライナ」の9%を大きく上回っている。

--------引用以上--------

  反ユーシェンコ派の首相が繰り上げ選挙に応じた理由は、ひとつしかありません。彼の率いる親ロシア派が議会選で勝利する目処がついたからです。

  タイミング良く、こういう事件が起こります。

ガスパイプライン爆発=ロシア産をEUに供給―ウクライナ
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_soc&k=20070507012304a  

--------以下引用--------

  ウクライナ非常事態省スポークスマンは7日、キエフ近郊で天然ガスのパイプラインが爆発したことを明らかにした。
 このパイプラインは、ロシアのシベリアからの天然ガスをドイツをはじめとする欧州連合(EU)諸国に送っており、爆発でこのパイプラインを通じた供給は停止した。

 (中略)

 ロシアは世界有数の天然ガス産出国で、EUは同国にとって天然ガスの最大の供給先。この爆発によるEUへの天然ガスの供給への影響は今のところ不明。   

--------引用以上--------

  どこの誰がやったのかは知りませんが、こういう事態が起きたら、困るのは誰か、という無言のアピールには十分です。なにしろ、ウクライナの国家財政は●こちらのPDFにあるように、格安の天然ガスを西欧諸国に転売することで成り立っていると言っても過言ではないからです。
だから、ウクライナが簡単にロシアの支配を脱却することは困難でしょう。もしできるとすれば、上の記事に書かれているグルジア経由で黒海を通るパイプラインしかありません。

  私がプーチン大統領の参謀だとすれば(最近こういう書き方が多くてすみません)、もうポーランドは捨てておきます。ポーランドは、隣接国であるベラルーシをコントロールしておけば十分だからです。
  そうなると、狙うべきは「グルジア」しかありません。ここを制すれば、ロシア包囲網の大前提である「黒海パイプライン」を突き崩すことが出来るからです。
そうはさせじと、シーパワー側も全力でグルジアを支援しています。●以前の記事で書いたとおり、アメリカは特殊部隊の訓練という形でグルジアに援助しています。
  また、我が国も、グルジアへの支援を明言しています。

麻生外務大臣とサーカシヴィリ・グルジア大統領との会談
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_aso/georgia_07/gaiyo.html
  
--------以下引用--------

  麻生大臣より、GUAM諸国の一国としてのグルジアの立場及び地政学的意味に注目しており、関係を発展させていきたい旨述べるとともに、ユーラシアを取り囲む国々と日本との関係を強化し、日本の知見・経験を活用してもらうことにより、これらの地域に一層の繁栄をもたらしたいと考え、「自由と繁栄の弧」のスピーチを行った旨述べた。これに対しサーカシヴィリ大統領より、「自由と繁栄の弧」の考え方を全面的に支持する、日本は世界で改革を志向する国々のリーダーであり、グルジアは日本の国連安保理常任理事国入りを一貫して支持している旨述べた。

  サーカシヴィリ大統領より、グルジアの民主化革命はウクライナに波及し、さらにアゼルバイジャンやカザフスタンといった他の旧ソ連地域においても、ロシアから自立した政策がとられるようになっていること、特にロシアを経由せず東西を結ぶパイプラインや交通網が整備されることでこの地域に地政学的な変化が起こっているとの説明があった。

  麻生大臣より、日本のやり方を取り入れてきたアジア諸国が経済的に成功し成長してきたことを紹介し、グルジアとも日本の経験を共有することにより、発展に貢献したい旨述べた。

--------引用以上--------
  
>グルジアの立場及び地政学的意味に注目しており


  さすが麻生外務大臣ですね。この言葉の意味を理解できている政治家は、日本国内にはほとんどいないでしょう。
  返す刀で、

>グルジアは日本の国連安保理常任理事国入りを一貫して支持している

  こうやってシンパの国を増やしていくというわけです。

  シーパワーの特徴は、技術面、経済面で「同盟」を組み、ランドパワーの圧力に対抗することができることです。ランドパワーは基本的に「支配と服従」という関係しか築けないので、この長所を生かすのがシーパワー戦略の基本なのです。
  「自由と繁栄の弧」という麻生氏の構想も、そのへんをきちんと理解した上での発言だと思われます。この政治家の強みは、外国というと中国・アメリカ・朝鮮しか浮かばないという狭量な発想をしていないことでしょう。これからの日本の外交戦略には、この人は外せません。
  
  もっとも、ロシアが反米諸国(たとえばイランやベネズエラ)と組んで、「反米エネルギーカルテル」のようなものを形成するとなると、かなり厄介な事態になってきます。アメリカが困るだけなら別にいいのですが、我が国も天然ガスをほぼ100%輸入しているのです。「ガス日照り」になった産業界が、我が国の利益に反する行動(たとえば高度な技術のロシアへの供与)を取らないとも限りません。
  それをどうやって防ぐかが問題です。

  以前から何度も申し上げているように、基本的にシーパワーは内陸に権益を維持することができません。たとえば、アメリカはアフガニスタン侵攻にかこつけて、ウズベキスタンの空港に空軍を置いていましたが、2005年には撤収しています。もちろん、ロシアの圧力があったからです。日本に至っては、何もできません。
  そこで思い出して頂きたいのは、「シーパワーはランドパワーの協力者がいなければランドパワーに勝てない」というルールです。
  
  勘のいい人は、もう気づいたかもしれませんね。これです。

中国と中央アジアを結ぶ「新シルクロード」建設
http://www.china.org.cn/japanese/244086.htm

--------以下引用--------

現在、中国国内では、連雲港から新疆ウイグル自治区のホルゴスまでの幹線道路がすでに全線開通しており、「新シルクロード」中国区間の整備はすでに完了している。中国とタジキスタンを結ぶ中国―タジキスタン自動車道路も開通しており、中国―キルギスーウズベクスタン自動車道路の建設工事もすでにスタートしており、タジキスタンーキルギス間およびタジキスタンーウズベクスタン自動車道路の建設および改造プロジェクトについても合意に達しており、カザフスタンを東から西へと横断する国際基準レール鉄道、中国―キルギスーウズベクスタン鉄道などのプロジェクトも前後して交渉のテーブルのテーマとなっている。

--------引用以上--------

  この「新シルクロード」の建設を、日本が支援してみるというのはどうでしょうか?

  今回のニュースが出たことで、ロシアはトルクメニスタンに天然ガス権益を保有することが明らかになりました。しかも、その天然ガスは、中国が喉から手が出るほどほしがっている資源です。
  そこで、中国が中央アジアのエネルギー権益に割って入ることになったら・・・中国は、ロシアに中間マージンを払ってガスを買うという地位に甘んじるでしょうか?
  つまり、資源乞食と化した中国を、エネルギー帝国の皇帝ロシアにぶつけることによって、中央アジアで紛争を起こさせるのです。そうすることによって、この地域はピョートル大帝の頃に逆戻りというわけです。
  重要なのは、中国とロシアに手打ちをさせないことです。新シルクロードがウズベキスタンからトルクメニスタンに及べば、きっと中国が図に乗ってトルクメニスタンにあれこれ言い始めるはずです。ロシアも負けてはいないでしょう。
  そして、我が国はそれに高見の見物を決め込み、その一方で燃料電池を核にした新エネルギー開発をどんどん進めるわけです。

  くれぐれも注意しなければいけないのは、石油・天然ガスという化石燃料が文明の中核である限り、ロシアの人民がツァーリ(ロシア皇帝)を崇め奉ったように、天然ガス供給国がツァーリであるロシアの慈悲にすがっていかなければならないということです。
  ということで、近い内に「バイオマス」の記事を書きます。ずいぶん遅れていますが・・・。

中国と朝鮮はやがて開戦する!!

2007年05月08日 23時48分40秒 | 地政学・国際関係
  旅行関係の記事を上げようかと思っていたのですが、大変重要なニュースを取り上げ損ねていました。

  以前からこのブログでも取り上げている中国と朝鮮の間の冷戦状態が、いよいよ差し迫ったものになってきました。以下の朝鮮日報の記事をご覧下さい。

中国、白頭山の原生林を伐採し新空港を建設
http://www.chosunonline.com/article/20060816000006

--------以下引用--------

 中国が白頭山の西側山麓の原生林に空港を建設中であることがわかった。

 現場は白頭山・天地の西側入り口付近から白山方向に車で20分ほどのところにある吉林省撫松松江河だ。長白山の開発のために先月11日に着工した空港の建設現場ではすでに原生林が切り開かれていた。

 しかしここが工事現場だということを知らせる標識や看板などはどこにもない。その代わりに、せわしく土砂を運び出すトラックの間に「百年大計」と書かれた赤、青、黄色の垂れ幕が見える。

 このスローガンのもと、作業にあたっている現場の作業員のほとんどが軍服姿だ。現場責任者はこの場所が国際法上中国の領土であり、開発は中国の権利であることを繰り返し主張した。この責任者はさらに「白山自然保護区域から9.4キロメートルも離れている」ということを強調した。この開発工事は正当なものだと言いたいのだろう。

 空港建設が着工してから1カ月。工事は中国の経済成長速度を証明するかのように急ピッチで進んでいる。原生林の伐採がほぼ終わり、土地をならすために土砂を運び出す作業が進められていた。

 総事業費3億6000万元(約53億円円)を投じ、滑走路2.6キロメートル、年間輸送能力52万人規模の空港を作るという同事業は、2008年8月の北京オリンピック前の完成を目標としている。

 このプロジェクトは中国の東北地域の交通網を張り巡らせようという計画の一部なのだ。さらに現在中国は北朝鮮と国境線を成す豆満江と鴨緑江の川岸に沿って東辺道鉄道と3つの高速道路の建設も進めている。

 白頭山は韓民族(朝鮮民族)の聖山だ。中国側の山麓が崩されているのにも関わらず、北朝鮮はなすすべもなく、韓国ははるか遠くから見ているしかないのが現実だ。

--------引用以上--------

  ●以前の記事でも言及したとおり、中国と朝鮮との間には、「高句麗問題」や「イオド問題」といった、国家の成り立ちや主権に関わる深刻な対立があります。
  ところが、日本のメディアは全くこれについて伝えません。理由は簡単です。両国のシンパが日本のメディアに食い込んでおり、どちらの顔も立たなくなるニュースを扱えないからです。

(中国東北部の地図)


  さて、どうやら今回は中国が先手を打ったようです。そして、何より注目すべきは、

>豆満江と鴨緑江の川岸に沿って東辺道鉄道と3つの高速道路の建設

 という部分です。中国東北部や朝鮮北部に、高速道路が三つも必要なほどマイカーや輸送用トラックがあるわけがありません。
  ●中央アジアについて扱った記事で、中国が「新シルクロード」という道路を中国が建設中だということを書きました。中国の西部国境から、タジキスタン・キルギスタンを横切ってウズベキスタンに達する予定の道路です。
  このような国境をまたぐ道路というのは、両国の物流や人的交流の促進というのが表の顔ですが、本当の狙いは「有事における陸軍力の投射」にあります。
  いまだに「どっちも反日だから北朝鮮は中国の子分」などと寝ぼけたことを考えている人のために書きますが、この3本の高速道路や新しい鉄道は、人民解放軍が北朝鮮を制圧するための通路ということです。これだけパイプが有れば、数に勝る人民解放軍が、火力の乏しい北朝鮮陸軍を圧倒するのは間違い有りません。

  ここで、朝鮮側の反撃手段として考えられるオプションは、

(1)核兵器による恫喝

(2)朝鮮族を使ったテロ

(3)中国と対立する第三国との連携


  といったところが考えられます。(1)や(3)については、例の「六カ国協議」で、日本に平壌宣言を履行させるという合意でかなりの部分達成されています。あの合意の真の意味は、アメリカが朝鮮の核保有を事実上承認し、日本に金を出させることで提携関係に入ったということです。
  まあ、それでも「日米同盟が裏切られるはずはない」「安倍首相は拉致問題を楯に援助を突っぱねてくれる」と思っている方は、ずっと勘違いしていて下さい。あとで後悔しても、私は責任を持ちません。

  私が注目しているのは(2)です。

  実は、朝鮮にとって千載一遇のチャンスがあります。北京オリンピックです。す。
  たとえば、イスラム過激派のしわざに見せかけて、どっかの競技場や観客移動用のバスを吹っ飛ばしたりするのでしょうか。しかし、中国のような猜疑心のかたまり(ランドパワーはみなそういう性質がある)の国が、そう簡単に騙されるとも限りません。

  それ以前にも、たとえば、こういう機会を「利用」する可能性があります。

2008年北京五輪聖火リレー、延吉を経由
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070430-3.htm

  もちろん、単純に聖火ランナーに危害を加えるというのでは芸がありません。各国のマスコミが延吉に集まったタイミングで、何らかのデモを行い、そこでキムジョンイルの息のかかった朝鮮族の人間が中国人の警官に暴行を受けるというようなパターンです。
  中国が統制国家といえども、(日本の根性無しメディア以外)各国マスコミはこぞってニュースにするでしょう。もっとも、これ自体では中国共産党にはあまり打撃を与えられません。
  そうではなくて、そのニュースを民族意識高揚に利用するわけです。韓国のマスコミは、同胞に対する「弾圧」を連日報道するでしょう。あの民族は頭に血が昇ると見境がつかなくなりますから、「高句麗は我が故郷」などと煽り出す新聞や番組が必ず出てきます。
  そして、南側の秘密裏のバックアップ(と、アメリカの了承?)を得て、北朝鮮共和国軍が中朝国境を突破するのです。朝鮮としては、攻め込まれた場合、現在の国際情勢では38度線までしか後退できず、圧倒的に不利になります。そんな状況を招くくらいなら、攻めに転じるということです。
  呼応して、ハルピンやシェンヤンのような大都市で朝鮮族が蜂起するでしょう。今でもキムジョンイル配下の工作員たちが相当紛れ込んでいるはずです。無理はありません。
  北朝鮮の第一の標的は、中国の核ミサイル基地のある「通化」です。私が北朝鮮の参謀なら、110万の陸軍のうち60万は通化攻略に割きますね。現地の地勢や防衛体制も、朝鮮族を通じてきっちりリサーチ済みでしょう。キムジョンイルは、狂ってはいますが馬鹿ではありません。南の馬鹿大統領と一緒にしては叱られます(笑)。

  日本としては、これを座視するのではなく、朝鮮側に肩入れするような姿勢を見せるべきです。なぜなら、現在東アジア地域で最も脅威になっているのは、膨張政策を露骨に打ち出している中国であり、ひとまずこれを押さえつける必要があるからです。
  何も、政府が率先して声明を出す必要はありません。こういう時こそ、日教組や左翼の学者グループを北朝鮮に渡航させて、高句麗問題について発言させればいいのです。本当は、在日朝鮮人の資本をこの地域に投下させるというのが、彼らの国内への経済的支配力を削ぐという効果もあり上策ですが、いきなりは難しいでしょう。ならば、まずはくすぶり始めた火種に風を吹き込むことから始めればいいのです。
  中国の治安状況が悪化すればするほど、中国からの資本撤退という雰囲気が生まれてきます。製造業の日本回帰が起これば、雇用も回復するでしょう(その前に偽装請負などという違法行為を経団連の会長が率先してやるような仕組みを改めなくてはいけないが)。
  未だに中国の無限の可能性とやらを信じている、経団連の媚中派たちも、刃傷沙汰が起きれば少しは目を覚ますはずです。
  もちろん、以前の記事で述べたように、中国東北部の再開発に的を絞った経済援助というカードも忘れずにキープしつつ、中朝冷戦の行方を注意深く見つめるべきです。
  なにしろ、日本の最大の利点は中・朝・ロいずれの国とも国境を接してないことです。だから、中国を潰すために朝鮮を使い、逆に、朝鮮が強力になりすぎたら中国を使って潰すという、状況に応じた選択ができます。このような立場をオフショア・バランサーといいます。
  日本に欠けているのは、オフショア・バランサーとしての地位を自覚し、主体的に働きかける姿勢です。また、戦前の轍を踏まないよう、内陸に権益を持たないことも大切でしょう。
  微妙な選択や慎重かつ大胆な行動が求められますが、本当に自分の足で立って歩いていくならそのくらいはできて当然です。それが嫌なら、永遠にアメリカの奴隷に甘んじるしかありません。
  
  要するに、中国東北部、すなわち「満州」の情勢は、20世紀初頭に戻ってしまったということです。いよいよ目が離せなくなってきましたね・・・。

伊勢神宮という名のタイムカプセル

2007年05月06日 23時46分10秒 | 旅行・外出
  連休中に伊勢神宮に行って参りました。

  「伊勢神宮」というのは俗称で、本来は、単に「神宮」と呼ばれています。皇大神宮(こうたいじんぐう)豊受大神宮(とようけだいじんぐう)という二つの建物と、多数の別宮から構成されています。二つの大きな建物のうち、前者を「内宮(ないくう)」、後者を「外宮(げくう)」と呼ぶのが通例です。
  正直に申し上げて、神道には今まであまり興味がなかったのですが、後で述べるように、この神宮こそが日本文明の生き証人だという気がして、見に行ってみようということになりました。
  
  一応、外宮から回るのが本筋らしいので、JR伊勢市駅前にあるそちらの建物にまず赴きました。
  
  多賀宮、土宮といった別宮にいくつかお参りした後、いよいよ本丸(笑)である本宮へ。



  白い簾(すだれ)みたいなものがあって、奥はよく見えません。風が吹いてちょっと覗けたのですが、ちょうど山門のような建造物があり、全容はまったくつかめませんでした。

  どうやら、「中は秘密」ということのようです。

  面白いのは、こちらの神様=大豊受大御神(おおとようけおおみかみ)は、内宮に祀られている天照大神(あまてらすおおみかみ)の食事の世話をするために丹波地方から呼ばれた神様だということです。今風にいえば、専属コックとでも言うのでしょうか。神様とはいえ、食事には気を遣うのだと思うと、何か親しみが湧いてきます。

  では、いよいよ内宮へ向かいます。

  伊勢市中心部から、ものすごい渋滞を我慢してたどり着きました。門前には仲見世のような市街が広がっており、えらい賑わいようです。松坂牛の串焼きや、名物「赤福」の店、三重県の物産を扱う店がずらりと並んでいます。



  銀行も、門前町モード(笑)ですね。

  江戸時代には「お伊勢参り」というのが、江戸の庶民の最大のレジャーだったといいます。昔の人も、ここで買い物や食べ歩きを楽しんだのでしょう。

  内宮は、しばらく山を登るとたどり着きます。



  すごい人手です。貧血で一人がひっくり返ったら、大変なことになりそうですね。●『戦艦ポチョムキン』というソ連映画で出てきたオデッサ市内の階段を思い出したのは私だけで・・・すね(笑)。
  若い人も子供連れも、明らかに日本人ではない白人の方もいらっしゃいました。これから内宮の神様に何か祈ることがある人も、単に手を合わせてみようというだけの人もいるでしょう。しかし、そんなまちまちな人々を、神道の神様は、誰でも受け容れてくれるのです。

  画像を見ればおわかりでしょうが、内宮もやっぱり奥は秘密でした。

  悔しいので、塀によじ登れそうなところがないか探しましたが、要所要所に係りの人が張り付いているので、とてもできそうにありません。
  
  しかたなく、少しだけ内宮の建物が覗けているところを見つけて写真に収めておきました。



  なんか、歴史の授業で習う「高床式倉庫」みたいな感じですね(本当に、高床式倉庫から発展した形式らしい)。京都にあるような大きな神社とずいぶん違う感じがするのは私だけでしょうか。

  そこで、ふっと思ったことがあります。

  この伊勢神宮という場所は、おそらく日本で唯一のいつ作られたか分かっていない現存する宗教施設です。いちおう日本書紀によると内宮が垂仁天皇26年、外宮が雄略天皇22年だという記述がありますが、このお二方はいずれも実在性が立証されていません。
  しかし、間違いないことは、伊勢神宮は日本という国家が成立するはるか昔から存在し続けているということです。
  その伊勢神宮には、●式年遷宮という、他の神社にない独特の行事があります。20年ごとに、建物を建て替えるというものです。なぜ、そんなことをするのか、本当の理由はわかっていません。記録が残っていないからです。しかし、この行事自体は、持統天皇4年(690)から、ほとんど中断することなく行われています。
  つまり、伊勢神宮という「聖地」は、我が国の歴史が始まったときから、何度も脱皮を繰り返しつつ、はるか昔の日本の建築様式、文化のかたちを伝える存在だということです。

  よければ、もう一度内宮の画像をご覧になって下さい。  
  
  私の妄想なのかも知れませんが、このような内宮とその周囲の森の姿を見ていると、この国の始まりの頃の姿が目に浮かんでくるのです。

  厳しい自然環境にあっても、それと調和する方法を懸命に探り、アマキミと呼ばれるリーダーのもと、みんなで力を合わせて暮らしていた私たちの祖先たち・・・。

  私は、残念ながら神道について詳しいことはわかりません。しかし、伊勢神宮が皇室の氏神であり、日本人の総氏神であるとされている本当の理由は、この神宮こそが、日本文明の黎明期を物語るタイムカプセルの役割を果たしているからなのではないかと思うのです。
  地球環境が悪化の一途を辿っているということで、環境保護につながるような運動をしている方も沢山います。しかし、どうもその中身を見てみると、ゴミを化学的な方法で無理矢理リサイクルしたり、二酸化炭素とかフロンだとか目に見えないものについて議論する観念的な作業だったりします。
  そんなことに目くじらを立てるより、この伊勢神宮という場所を訪れるべきです。そして、この神宮が今まで続いてきたことの意味、祖先達が私たちに訴えたかった何かに耳を傾けてみてほしいと思います。
  それが、混迷する社会の中で、日本人として、一人の人間として生きていく道しるべになるかもしれません。

  次回は、旅行中に考えた、もう少し俗っぽい話でも書こうと思います。