試写会で、出演:エリック・バナ/ダニエル・クレイグ/キアラン・ハインズ/マチュー・カソヴィッツ/ハンス・ジシュラー/ジェフリー・ラッシュ/脚本:トニー・クシュナー/エリック・ロス/製作・監督:スティーヴン・スピルバーグ/作品『ミュンヘン』を観ました。
●ストーリー
ミュンヘン・オリンピック開催中の1972年9月5日、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー (黒い九月)”によるイスラエル選手団襲撃事件が起こり、イスラエル人の人質11名が犠牲となる。
これに激怒したイスラエル政府は非公式に機密情報機関“モサド”に暗殺チームを編成させ、アフナー(エリック・バナ)をリーダーとする5人に、アラブのテロリスト指導者11人への報復を命じる。
この命を受け、妊娠7ヶ月の妻を残し、ヨーロッパに渡るアフナー。
愛国心に燃える5人のメンバーは、人を殺した経験が無いにも係わらず、標的を一人ずつ確実に消して行く。
このアフナー達の暗殺事件に対し、パレスチナも大規模な報復テロを繰り返し、2国は泥沼の戦いの様相を呈して行く。
標的を消して行く中で、アフナーも3人の仲間を失い、自分の命も標的にされている事態に陥り、精神的に追い込まれて行くのだった……。
●感想
実話を基にした作品で内容が内容だけに、全編通じてトーンが凄く重いです。
この事件が起きた頃、私はまだ幼く、本作でこの事件の詳しい内容を知ったのですが、敵対する国のオリンピック宿舎に襲撃をかける大胆不敵な行動に唖然と致しました。
政治的問題で開催国のドイツが立て籠もるパレスチナゲリラに攻撃を出来なかったり、平和の祭典の最中に起きたテロ事件が全世界に報道される様子は緊迫感がありました。
そんな状況をテレビで観戦しているユダヤ人とパレスチナ人の正反対の表情が、とてもリアルだったと思います。
アフナーをリーダーとする寄せ集めの“モサド”メンバーがアラブのテロリスト指導者11人を1人ずつ消して行く度にテロリストとして成長していく様子が内面の葛藤と共に上手く描かれていました。
仲間が殺され、自分達の独自の判断で復讐に向かうシーンでは彼らの団結の固さと怒りや悲しみを感じ、この先の果てしない殺し合いを予感させるものでした。
自分が標的にされている事を知り、今まで行って来た殺し方での報復を警戒するアフナーの精神的な疲弊と、妻に電話を掛け、幼い我が子の言葉で涙を流すシーンに深い哀愁を感じました。
●採点
私のこの作品に対する評価は65点です。
ドキュメンタリー的な重い内容の作品を164分間観続けるのは、正直言ってお尻が辛かったです。
ですから、この作品を観に行こうと思っている方は座り心地の良いシートが完備されている劇場に行く事をおすすめ致します。
公開当時からユダヤ人、パレスチナ人の両方から批判を受けていると聞きましたが、私としてはどちらか一方から絶賛される作品になっていない事にスピルバーグ監督の誠実さを感じました。
本作では、イスラエル側からの視線で描かれているのですが、決してイスラエルを正当化していない所に好感を覚えましたし、この両国の争いの中にアメリカのFBIも加わっている事実を描いた事に賞賛を送りたいと思います。
この事件から33年以上が経つのですが、イスラエル・パレスチナ間の抗争は未だに続いており、先程も『パレスチナのイスラエル強硬派「ハマス」が政権を獲得した事で、この先のイスラエルとの関係が悪化する恐れが強まった』という嘆かわしいニュースが報じられていました。
これは隣国であるが故の抗争なのですが、イスラエル・パレスチナだけに限った事では無く、世界の各地で同じ様な争いが行われていて、世界各国の色々な思惑が絡んで、中々解決策が見つからないのが実状であります。
日本政府も決してこれらの状況を「対岸の火事」として見るのではなく、隣国との関係には充分注意を払って行動してもらいたいものだと思っております。
と言う訳でこの作品は、実際に起こったミュンヘン・オリンピックでのイスラエル選手団襲撃事件を知らない方と“モサド”の暗殺者達の実情に迫りたい方におすすめ致します。
最後にどうでもいいことなんですが、殺された美人暗殺者のオールヌードに「グリコのおまけ」的悦びを感じてしまったのは私だけでしょうか?
それでは、また何か観たら書き込みます。
●ストーリー
ミュンヘン・オリンピック開催中の1972年9月5日、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー (黒い九月)”によるイスラエル選手団襲撃事件が起こり、イスラエル人の人質11名が犠牲となる。
これに激怒したイスラエル政府は非公式に機密情報機関“モサド”に暗殺チームを編成させ、アフナー(エリック・バナ)をリーダーとする5人に、アラブのテロリスト指導者11人への報復を命じる。
この命を受け、妊娠7ヶ月の妻を残し、ヨーロッパに渡るアフナー。
愛国心に燃える5人のメンバーは、人を殺した経験が無いにも係わらず、標的を一人ずつ確実に消して行く。
このアフナー達の暗殺事件に対し、パレスチナも大規模な報復テロを繰り返し、2国は泥沼の戦いの様相を呈して行く。
標的を消して行く中で、アフナーも3人の仲間を失い、自分の命も標的にされている事態に陥り、精神的に追い込まれて行くのだった……。
●感想
実話を基にした作品で内容が内容だけに、全編通じてトーンが凄く重いです。
この事件が起きた頃、私はまだ幼く、本作でこの事件の詳しい内容を知ったのですが、敵対する国のオリンピック宿舎に襲撃をかける大胆不敵な行動に唖然と致しました。
政治的問題で開催国のドイツが立て籠もるパレスチナゲリラに攻撃を出来なかったり、平和の祭典の最中に起きたテロ事件が全世界に報道される様子は緊迫感がありました。
そんな状況をテレビで観戦しているユダヤ人とパレスチナ人の正反対の表情が、とてもリアルだったと思います。
アフナーをリーダーとする寄せ集めの“モサド”メンバーがアラブのテロリスト指導者11人を1人ずつ消して行く度にテロリストとして成長していく様子が内面の葛藤と共に上手く描かれていました。
仲間が殺され、自分達の独自の判断で復讐に向かうシーンでは彼らの団結の固さと怒りや悲しみを感じ、この先の果てしない殺し合いを予感させるものでした。
自分が標的にされている事を知り、今まで行って来た殺し方での報復を警戒するアフナーの精神的な疲弊と、妻に電話を掛け、幼い我が子の言葉で涙を流すシーンに深い哀愁を感じました。
●採点
私のこの作品に対する評価は65点です。
ドキュメンタリー的な重い内容の作品を164分間観続けるのは、正直言ってお尻が辛かったです。
ですから、この作品を観に行こうと思っている方は座り心地の良いシートが完備されている劇場に行く事をおすすめ致します。
公開当時からユダヤ人、パレスチナ人の両方から批判を受けていると聞きましたが、私としてはどちらか一方から絶賛される作品になっていない事にスピルバーグ監督の誠実さを感じました。
本作では、イスラエル側からの視線で描かれているのですが、決してイスラエルを正当化していない所に好感を覚えましたし、この両国の争いの中にアメリカのFBIも加わっている事実を描いた事に賞賛を送りたいと思います。
この事件から33年以上が経つのですが、イスラエル・パレスチナ間の抗争は未だに続いており、先程も『パレスチナのイスラエル強硬派「ハマス」が政権を獲得した事で、この先のイスラエルとの関係が悪化する恐れが強まった』という嘆かわしいニュースが報じられていました。
これは隣国であるが故の抗争なのですが、イスラエル・パレスチナだけに限った事では無く、世界の各地で同じ様な争いが行われていて、世界各国の色々な思惑が絡んで、中々解決策が見つからないのが実状であります。
日本政府も決してこれらの状況を「対岸の火事」として見るのではなく、隣国との関係には充分注意を払って行動してもらいたいものだと思っております。
と言う訳でこの作品は、実際に起こったミュンヘン・オリンピックでのイスラエル選手団襲撃事件を知らない方と“モサド”の暗殺者達の実情に迫りたい方におすすめ致します。
最後にどうでもいいことなんですが、殺された美人暗殺者のオールヌードに「グリコのおまけ」的悦びを感じてしまったのは私だけでしょうか?
それでは、また何か観たら書き込みます。