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今週の一枚:「アウト・オブ・マインド」加川良 1974

2006年05月22日 | Fuku-music
【Fuku】

衝撃的なデビューから早35年、今も変わらず現役で唄い続ける、元祖"関西フォークの伊達男"こと加川良氏。彼にとっては4枚目にあたりフルアルバム「アウト・オブ・マインド」です。
この前のアルバム「やぁ」(キングベルウッドレーベル)、その前の「親愛なるQに捧ぐ」(URCレーベル)がこの手のアルバムとして異例のセールスを記録したことを受けて新作が待たれていた1974年10月、ようやくリリースされたアルバムで、私はこのアルバムを当時通っていた高校の近くのレコード屋に延々6ヶ月前から予約して発売日に手に入れたことをよく覚えています。

加川氏の魅力はよく語られることですが、ルックスと声ですね。当時のフォークシンガーとしては非常にアカぬけた風貌で、靴はいつものワークブーツに細身のブルージーンズ、シャンブレーのワークシャツか品の良いウェスタンシャツ、髪の毛はサラサラのサーファーカット、そんな格好をしている歌い手は他にはいなかったので大変目立ちましたが、35年経った今でも変わらずのルックスを保っていて、頭はハゲもせずに相変わらずのサラサラヘアー、ちょっとお顔の皺は目立つようにはなりましたが、とても御年58才を超えているとは思えないお姿でした。
また、当時から低音の伸びの良い艶っぽい声は今も健在で、あの独特の節回し(加川節と言われた)も今も全く変わらずです。

この人は音楽出版会社のサラリーマンであったのが、かの高田渡氏らと出会ってからフォークソングの世界に引きずり込まれた形で唄うようになったのですが、彼の音楽指向はもともとロック寄りであり、そのため、彼の歌には非常にロックテイストが強いものも多く、バッファロー・スプリングフィールドとか、ザバンドとかの影響を受けたと思われる曲もあります。
衝撃デビューとなった「教訓1」の印象が非常に強いので、先鋭的なメッセージシンガーと思われがちですが、初期には内省的な詩が目立つものの、このアウト・オブ・マインドあたりから、ロードソング的なものが目立つようになり、この後の3作品は完全にサザンロックの色濃いロードソングばかりのアルバムとなっています。

当時の超有名フォークシンガーの金沢での事件を歌った「2分間のバラッド」や、高田渡氏の長男漣くんの誕生にささげた「子守唄をうたえない親父達のために」などがこのアルバムの代表曲と言われていますが、私は、南部色の強い「たかが私にも」や「こんばんはお月さん」のハモンドオルガン(佐藤博氏演奏)をフューチャーした粘りっこいロックテイストの曲のほうが好きでした。以前に紹介した鈴木茂氏率いるハックルバックの全面的バックサポートが非常に効果的で、74年という時代を代表する日本の優れたロックアルバムの一枚であると評価しています。


アウト・オブ・マインド 加川 良 1974 originally released by King Bellwood Record Co., Ltd.
CHOPD 050, 1997 king Record Co., Ltd. Distributed by Vivid Sound Corporation.