【Fuku】
洋楽好きな方ならば誰でも好きなギタリストってのがいると思うんですが、私の場合は、良く出てくるライ・クーダーは別格として、余り日の当たらないバッキングミュージシャンでは、David T WalkerとかCornell Dupuleeとか燻し銀的な渋めのギタリストが好きで、一時期はもうこの人が弾いているのならば黙って買い、みたいな感じでしたが、その筆頭はなんといってもここに登場した"エイモス・ギャレット(Amos Garrett)"。まさに憧れのギタリストです。
そのエイモスがPaul Butterfield Betterdays時代の盟友"ジェフ・マルダー(Geoff Muldaur)"とのデュオで来日した際のライブ盤「Geoff Muldaur & Amos Garrett Live in Japan」は、エイモスのギターがいかに日本に多くのファンに浸透しているか、また、ジム・クエスキン・ジャグバンドからかつての奥さんのマリアとのデュオでのアルバムでソングライターとしての素晴らしい素養を魅せていたジェフの圧倒的な存在感を証明する夢のようなライブを収めたアルバムとして長くCD化が待たれた作品であり、2001年にアナログ盤とはジャケットを変更して(友人のエリック・フォン・シュミットが描いたポスターにも使われたドローイングを使用)リリースされた時には飛びつきました。
彼らは1977年にもデュオで来日して、コアな日本のファンに強烈な印象を残していったのですが、その時はホールコンサートがメインだったので会場によっては客の入りが悪いところもあったそうで、盛り上がりという点ではイマイチだったという評価があったのですが、この1979年春の2度目の日本ツアーでは、日本から自分のアルバムでもギターを弾いてもらったキーボード・プレイヤーの佐藤博とベースの岡嶋善文がバックについた即席のクワルテットでライブハウスを中心に全国を回り、小さいハコでの聴き手との一体感が非常に心地よく寛いだ演奏が楽しめたという最大限の賞賛が与えられて、その中でも盛り上がりが最高潮に達したと言われる、今は無き新宿ロフトでの1979年3月18日のステージを収録したのが、このライブ盤です。
私は1977年もこの1979年のステージも両方見てますが、確かに的確なリズム隊がバックについていたせいか、エイモスの例のお得意のハイトーンが伸びる手数の少ないギターも、ジェフの艶やかなボーカルもこの2度目のツアーのほうがリラックスして安定していたような印象があります。
トラッドナンバーの「Sloppy Drunk」から始まり、ジャグバンドミュージックの代表曲「Fishing Blues」「Minglewood Blues」、彼らが敬愛するホーギー・
カーマイケルの作品「Hong Kong Blues」「Lazy Bones」、この手が好きな方々にはもう代表曲とも言えるボビー・チャールス作品の「Small Town Talk」、ブルーズピアノの名曲「Honeysuckle Rose」、そして最後をしめるお馴染「C.C.Rider」で最高潮に達したという、今となっては伝説のステージ、これをあのロフトの細長いハコで体感できたことは幸せでした。
彼らは今も現役ですが、さすがに60歳を超えて、以前のようなアグレッシヴな活動はなくなりました。エイモスのギターは年輪を重ねるごとにますます渋みを増していきましたが、その分、この当時に見られた光るようなプレイが見えにくくなってしまったことはちょっと残念です。
このライブの前にリリースされた彼らのスタジオ録音のアルバム「Geoff Muldaur & Amos Garrett」も一度見たら忘れられないジャケットと共にお勧めです。
Geoff Muldaur & Amos Garrett Live in Japan /YDCD-0048/dreamsville records archives /2001.3.10
Original Released in 1979.7.1 as Yupiteru YR23-4001
Geoff Muldaur & Amos Garrett /FlyingFish:FF-061/1978