敗戦前後の「父の日記」を読む

昭和19年当時の世相、生活状況、父の考え方を読む。

(続) 挽屑がま 

2010-12-25 23:43:49 | 日記 戦後編
昭和二十一年四月十六日 晴 一直出勤

 朝から晴れて居てよい日だったが午後南風が出て塵を捲いて来た。

 挽屑が叺一杯十円だと云う。 伊勢丹の裏に沢山捨ててあったがと思って行って見たら山になっている。 心配はない。 今度石油缶にでも入れて持ち帰ろう。

 挽屑を焚いたときに落ちた灰を火鉢に取っておくと実に暖かい。 冬に行火に入れておいたら一晩くらい暖かいのではないか、 そうすれば炭団の心配などなくて良いものだと思い 一度試験して見ようと思っていた。 ところが隣家 N氏宅で昨夜行火に入れて見たらとても暖かいのみならず朝になってもまだ煙草の火がついたと云って喜んで居た。 これで冬の心配がなくなった。



昭和二十一年四月十七日 雨 二、三直出勤

 先日、伊勢丹で サクラセメン と云う接着剤を(一円)買って来た。
今日、卓子の足が取れたのをつけた。 これで接着すれば安いものだ。
 5,6年前にも一度取れたので建具屋に持って行ったら一円取られた。今の物価は何でも十倍だから十円取られるわけだ。

 出勤の途。牛込郵便局に立ち寄り封鎖貯金を払い出してきた。 賞与四百十円が封鎖されていたものだ。