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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや原っぱカウンセリングなどをやっています

大平健『やさしさの精神病理』1995・岩波新書-ていねいな精神科臨床の面接風景に学ぶ

2025年03月24日 | 精神療法に学ぶ

 たぶん2014年ころのブログです

     *  

 久しぶりに精神科医の大平健さんの『やさしさの精神病理』(1995・岩波新書)を読んでみました(岩波新書ですよ!)。

 たぶん10何年ぶりです(大平さん、ごめんなさい)。

 40歳を過ぎたころ、なんとなく臨床に行き詰った感じで悩んでいて、家族療法学会などに入って勉強を始めたりしていたのですが、そんな時に大平さんの『豊かさの精神病理』(1990・岩波新書)を読んで、その症例の書き方に感心をしました。

 先輩から、報告書の事例は、ドラマを見ているように書きなさい、と言われていたのですが、それを実践している例をそこに見つけてびっくりしました。

 本書はその姉妹編ですが、やはり症例の紹介の仕方が秀逸です。

 もちろん、面接がうまくできていないと、わかりやすい報告はできないのですが、それにしてもうまいです。

 目の前で大平さんと患者さんのやり取りが展開しているかのような感じです。

 面接もお上手ですし、その描写もお見事です。

 以来、じーじも、少しでも大平さんのような文章を書きたいと努力してきました。

 ちょうどその頃、家族療法学会で、面接の逐語録をていねいに検討する研究が流行っていたこともあって、丁寧な事例報告を書くことに熱中して頑張った記憶があります。

 あまりに細かい報告書を書いて裁判官に嫌がられたこともありました(裁判官さん、ごめんなさい)。

 しかし、そのおかげで(?)、少しはましな臨床家になってきたのかもしれません。

 若気の至りでしたが、多少の回り道は人生の常です。

 いずれにせよ、なつかしい、いい本を、久しぶりに読めました。           (2014?)

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 2020年11月の追記です

 まだ調査官をやっている時に書いたブログで、報告書のことが話題になっています。

 その後、臨床心理士になって、より面接が重要になっていて、いま、ここで、の双方の感情の動きを大切にしているような気がします。              (2020. 11 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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坂本直行『原野から見た山』2021・ヤマケイ文庫-直行さんの名著が山渓の文庫になりました!

2025年03月24日 | 北海道を読む

 2021年3月のブログです

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 坂本直行さんの『原野から見た山』(2021・ヤマケイ文庫)を読みました。

 単行本は1957年に出版され、1973年に茗溪堂から復刻版が出ていて、これまでじーじはこの復刻版を読んでいたのですが、大きな本でじーじのように寝っ転がって本を読む人間にはなかなか大変でした(直行さん、ごめんなさい)。

 今度は文庫本ですので、行儀の悪いじーじでも安心です。

 本は小ぶりになりましたが、印刷がとてもきれいなので、見劣りはしません。

 素敵な文庫本です。

 戦前、南十勝の牧場に開拓で入った頃のお話やそこから見た日高山脈のスケッチ、大雪山や斜里岳への山旅、そして、最後の山旅と覚悟しての石狩岳登山などのお話とスケッチなどからなります。

 当時の大雪山ののどかさはとても素敵ですし、熊を逆におどかして楽しむ直行さんは豪快です。

 斜里岳山麓に1人で暮らす農夫とのやりとりも直行さんらしくユーモラスで、とても愉快。

 そして、昭和18年の石狩岳登山。いつ兵隊に取られてもおかしくない時世の中で、生きて山に登れるのはこれが最後かもしれない、と覚悟をしての登山は胸にせまるものがあります。

 直行さんの絵のすばらしさを改めて味わうことができて、幸せ。

 宝箱のような文庫本です。            (2021.3 記)

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 2025年3月の追記です

 直行さんの本を読むと、戦前の開拓生活で大変な苦労をしているのですが、その合間のスケッチ旅行の逸話などはとても楽しくて、当時の暗い世の中を忘れさせてくれるかのようです。

 どんな時代、どんな生活であっても、ユーモアのこころがあれば、それなりに充実をした生き方ができる、ということを教えてくれているような気がします。           (2025.3 記)

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