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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや原っぱカウンセリングなどをやっています

霜山徳爾『素足の心理療法』1989・みすず書房-真摯な臨床への姿勢に学ぶ

2024年11月20日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

     *   

 心理療法家の霜山徳爾さんの『素足の心理療法』(1989・みすず書房)を再読しました。

 この本もものすごく久しぶりになってしまい、おそらく10年ぶりくらいです(霜山さん、ごめんなさい)。

 いい本で、何度も読む価値のある本なのですが…。

 まったくの勉強不足です。

 とても中身の重い本ですので、軽々しくは読めない思いで、読むときには姿勢をただして読もうと思っているうちに年月がたってしまいました。

 今回はボランティアでおじゃまをしている精神科デイケアで、自分の対応を考えながら読みました(メンバーさん、ありがとうございました)。

 内容は心理療法に大切なことがらを一つ一つていねいに述べられているのですが、いずれもがご自身の実践や体験に裏づけられているので、ひと言ひと言がすごく重いです。

 例えば、沈黙ということ。

 沈黙の持つ価値についてこまやかに述べられています。

 饒舌の、言葉の垂れ流しになっている現代には貴重なご意見だと思います。

 また、人間の限界、その中での温かさ、小さなことがらこそが世界に繋がること、ユーモアの大切さ、などなど、書ききれないほどの豊かな内容が述べられています。

 そして、おそらくは、初心者だけでなく、むしろ、中級者以降の人たちに役立つ、そして、考えるきっかけとなる大切なことがらが詰まっています。

 10年間、放っておくのは本当にもったいないいい本です。

 今後はもう少し頻繁に紐解いて勉強をしていこうと思います。               (2015?記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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沢木耕太郎『深夜特急4-シルクロード』1994・新潮文庫-ひとり旅を読む

2024年11月20日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

     *   

 沢木耕太郎さんの『深夜特急4-シルクロード』(1994・新潮文庫)を再読しました。

 予定では年末年始にかけて、ゆっくりと読むつもりだったのですが、なんせ老人なので、年末まで待てず、せっかちに、また読んでしまいました。

 若い時は、年を取ったら、のんびり、ゆったりと生きたい、と思っていたのですが、なぜかどんどんせっかちになってきて、困っています。 

 しかも、今回は『深夜特急4-シルクロード』。

 なぜか、じーじの旅は遡っていきます(?)。

 まあ、これも、老人のなせるわざ。

 老人は順番なんかにこだわらずに(?)、自由自在に面白そうなものから手をつけてしまうのです(先が短いですからね)。

 というのは半分冗談で、実は、次にどれを読もうかな、と本棚の『深夜特急』を眺めていたら、シルクロード、という文字に魅かれてしまい、読むことにしました。

 シルクロードという言葉は魅力的ですし、じーじの頭の中には、なぜかイスラムの美人ちゃんが踊りを踊っている光景(!)が浮かんでしまったのです。

 ということで、本書、沢木さんのパキスタン、アフガニスタン、イランの旅です。

 一番驚いたのは、当時(1970年代)のアフガニスタンの豊かさ。

 今、ニュースで見るアフガニスタンからは想像もできないくらい国土も人々も豊かです。

 戦争がいかに国土を荒廃させ、人々を苦しめるか、一目瞭然です。

 戦争は絶対によくありません。

 沢木さんは豊かな当時のアフガニスタンを堪能しています。

 また、イランでの時計商人との値段の駆け引きもとても面白く読めます。

 そして、じーじが一番印象的だったのは、イランの安宿で病気で伏しているイギリス人青年。

 最初は沢木さんの差し出すブドウを拒否しますが、徐々に打ち解けます。

 そして、沢木さんが出発をする日、イギリス人青年も、一緒に行こうかな、とまで言いますが、沢木さんは聞こえなかったふりをして出発します。

 それがひとり旅のルールだったにせよ、沢木さんの心中は複雑です。

 そして、つぶやきます。

 どうせ置き去りにするなら、初めから何もしてやらなければいい、と。

 ここは文学だと思いました。

 カウンセリングでも、最後まで付き合えないのなら、最初から引き受けるな、というルールがあります。     

 親切は、そして、人生は、本当に厳しいものだと思います。         (2018.11 記)

 

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