臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の朝日俳壇から(8月10日掲載・其のⅠ・新聞休刊日特集)

2014年08月11日 | 今週の朝日俳壇から
[大串章選]

(福島県伊達市・佐藤茂)
〇  天の川宇宙の渚ありにけり

 「天の川」や「銀河」という名称から推してみても、あの「夜空を横切るように存在する雲状の光の帯」は、昔人から河川に見立てられていたのも当然のことであるが、「銀河」と呼んだり「天の川」と呼んだりしている以上は、其処には「渚」が無ければならない、という理屈になるのでありましょう。
 〔返〕  渚にて誰を待つらむ牽牛星
      渚にて彦星を待つ織姫星


(岸和田市・大内純子)
〇  道のべの木槿キリンに食はせたり

 「道のべの木槿は馬に食はれけり」とは『野ざらし紀行』所収の松尾芭蕉の一句である。
 『野ざらし紀行』には、「大井川越ゆる日は、終日雨降りければ」とあり、「馬上吟」という詞書と共にこの一句が記されているのであるが、岸和田市にお住まいの大内純子さんに拠るこの一句は、実景に基づいて詠まれたのでありましょうか?
 〔返〕  河に棲む河馬に食はせぬ木槿かな  
      皮膚炎の特効薬なる木槿かな
      白木槿煎じて飲めば胃腸薬


(三豊市・磯崎啓三)
〇  戦争の足音を聞く暑さかな

 三豊市にお住いの磯崎啓三さんは、人一倍敏感な神経の持ち主であり、台風一過の今日の「暑さ」に「戦争の足音」を聴いているのでありましょうか?
 〔返〕  「戦争の足音」付け足し投句かな
      入選を狙ふ魂胆あらはなり


(城陽市・山仲勉)
〇  往きし日や昭和の蝉のこゑ

 「往きし日」と聞けば、私たちが直ぐさま思い出すのは、あの雨の降る神宮外苑での学徒出陣の光景であるが、城陽市にお住いの山中勉さんは、蝉時雨の音を耳にしながら、地元の皆さんの歓呼の声に送られて、一兵卒として鹿嶋立ちなさったのでありましょうか?
 〔返〕  往きし日の神宮の雨激しかり
      往きし日に涙流せし乙女はも


(岡山県・岩崎正子)
〇  蝉時雨やんで一村軽くなる

 その時の気分に因っては、あの「蝉時雨」も亦、暗く重々しく陰鬱な声として耳に入るのかも知れません。
 だとしたら、「蝉時雨やんで一村軽くなる」という一句の表現は、その折の作者の気分を適切に表したものと思われる。
 〔返〕  蝉時雨止めば寂しき故郷かな
      一村の重さ如何ほどならんかな?


(土浦市・栗田幸一)
〇  草刈って妙齢となる故郷かな

 「草刈りをしている女性が<妙齢>即ち<眩しいほどの娘盛り>の美しい女性である」という意に解釈するべきでありましょうが、「草刈りをすると故郷の風景そのものが娘盛りの女性のようにすっきりと美しくなる」という意に解釈することも出来るのである。
 それはともかくとして、真夏日の草刈り仕事は、男性にとってもかなりの重労働である。
 〔返〕  草刈って素肌焼けたり村娘
      臭かりし草刈り乙女の放屁かな


(大野城市・佐竹三紀江)
〇  大夕焼異国の呪文唱へけり

 「異国の呪文」とは?
 〔返〕  夕焼けにアブラカダブラ唱へけり
      外つ国の呪文即ち「日本討て」


(八王子市・徳永松雄)
〇  己が道自力で行けと道をしへ

 「己が道」とは、即ち「己が人生の道」である。
 〔返〕  バス賃を持たねば歩く他は無し
      女性ならヒッチハイクも可能だぞ


(東京都・望月清彦)
〇  草笛のやうやく歌になりはじむ

 吹き始めた当初はたどたどしい音色であったが?
 〔返〕  草笛の銚子外れの早春賦
      草笛の聴こえる小諸懐古園


(大和市・小田島恵子)
〇  夏去りて太陽族も老いにけり

 「太陽族」と言えば、あの石原慎太郎氏であるが、その元祖「太陽族」の石原慎太郎氏のご子息の石原伸晃氏も亦、「夏」が去った頃には、安倍内閣の改造とかで、ただの陣笠議員に陥落してしまうのでありましょうか?
 〔返〕 秋来れば環境相も更迭か?
     秋来れば石原伸晃更迭だ!金目次第で更迭は無し?
     体制にべったり男の官房相・菅義偉氏は留任するとか? 


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