臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の朝日俳壇から(10月6日掲載・其のⅠ)

2014年10月06日 | 今週の朝日俳壇から
[大串章選]

(久慈市・和城弘志)
〇  ふるさとの炭で秋刀魚を焼きにけり

(柏市・物江里人)
〇  立ち読みの店に芒の挿されある

(群馬県東吾妻町・酒井大岳)
〇  昨日見し雲の来てゐる花野かな

(倉敷市・米元ひとみ)
〇  ねこじやらし風も一緒に刈られけり

(東京都・小出功)
〇  流木を組みし恐竜小鳥来る

(柏市・藤嶋務)
〇  九十九里より鰯雲遥かへと

(鹿児島市・青野迦葉)
〇  落葉踏み故郷の音踏んでをり

(いわき市・坂本玄々)
〇  セザンヌの色になりたる林檎かな

(札幌市・加藤龍子)
〇  長き夜は線路の響き枕にす

(東京都・菊地一彦)
〇  気立て良き女医の薬や秋の水
[稲畑汀子選]

(富津市・三枝かずを)
〇  まだ水に映らぬ岸の薄紅葉

(洲本市・高田菲路)
〇  老妻と残る手花火焚く夜かな

(神戸市・岸田健)
〇  存へて人生その二天高し

(芦屋市・酒井湧水)
〇  新しき公園小さき百日紅

(豊中市・堀江信彦)
〇  つき抜ける空の青さや竹の春

(茨木市・日野たつお)
〇  気が遠くなりさうな程天高し

(西予市・上甲澄子)
〇  好きなことしてゐて極暑乗り切りし

(柏市・物江里人)
〇  褒めすぎて冬瓜二つもらひけり

(福岡市・赤坂邦子)
〇  亡き母の志継ぐホ句の秋

(熊本県菊陽町・井芹眞一郎)
〇  こほろぎの庭の先まで鳴いてをり
[金子兜太選]

(松戸市・大谷昌弘)
〇  岩山の予言者なるや流れ星

(埼玉県岩代町・酒井忠正)
〇  友に師に夜学の老女慕はるる

(清瀬市・峠谷清広)
〇  歩きつつ本音つぶやく秋の暮

(前橋市・荻原葉月)
〇  共白髪秋思それぞれ関らず

(船橋市・斉木直哉)
〇  朝露といふ結界や猫に我

(福島市・池田義弘)
〇  ふくしまの棄民に真つ赤な月のぼる

(名古屋市・後藤素子)
〇  盆の寺九条を説く若き僧

(横浜市・李培張)
〇  秋水に妻の唇甦る

(東京都・芳村翡翠)
〇  生身魂白秋の酒たしなめり

(栗原市・小野寺實)
〇  裸富士われも行けそう目を凝らす
[長谷川櫂選]

(津市・中山いつき)
〇  宇陀口の乙女の武者の案山子かな

(福岡市・井上正和)
〇  狂ほしく鳴く虫のをる良夜かな

(東京都・重田春子)
〇  秋刀魚焼くただ一匹をぼうぼうと

(京都市・水船つねあき)
〇  秋澄むや塔また塔の東山

(松山市・高階斐)
〇  水澄んで己の見えぬ目が二つ

(藤沢市・細井華人)
〇  東北の一湯の秋恋ひ止まず

(熊本市・坂崎善門)
〇  万の鰯の一匹を焼きにけり

(三郷市・岡崎正宏)
〇  秋暑しアメリカといふ大砂漠

(千葉県酒々井町・市村孝子)
〇  鶏頭の炎の拳に打たれたし

(群馬県板倉町・岡部いずみ)
〇  何の日でもないが夕食栗お強  


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