臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

結社誌「かりん」2017・5月号より(若月集より抜粋)

2017年06月09日 | 結社誌から
○  台のうえに足曲げ座り照射受けるわたしは極東の冷たい彫像   古田香里(藤沢)

○  如月の爪先の骨欠けており全きことまた遠のいていく

○  爪先の小さな骨が折れたとて骰子つくるに足りない大きさ

○  楊貴妃は器のようで愛されるためにはからっぽでなければだめだ

○  空をゆく鳥のかげ激しく横切りて翼竜夢見る駅のホームに

○  パティスリーは海辺にありてそこに行く世界は童話ほど美しくない

○  コロッケの匂いの小町通りにも『騎士団殺し』積まれておりぬ


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