数週間ぶりに「一首を切り裂く」の稿を綴っている。
私が短歌鑑賞の筆を執ったそもそもの出発点は、この<題詠企画>の投稿作について、ただ単に、これが好き、あれが嫌いといったことだけでは無く、作者の創作意図とか、それぞれの作品に込めた作者の情熱とかを探ってみたいと思ったことであったので、少し大袈裟に言えば、まるで故郷に帰って来たような気持ちがしないでもない。
故郷と言えば、妻の父親の兄に当たる者が北東北地方の果樹栽培の権威とも言うべき存在で、生前にはNHKのテレビやラジオなどに引っ張り出されたり、彼方此方の農業団体に招かれて講演をしたりする人であったから、在宅中は、農業関係の出版社などから依頼された原稿執筆に余念が無かったと言う。
その連れ合いに当たる女性、つまりは私の妻の義理の伯母を当たる女性は、美しさと手先の器用さと家計の始末の上手さだけが取り得の女性であった。
随分誉めてしまったような感じであるが、評者としては悪口を言っているつもりなのである。
でも、女性として、美しさと手先の器用さと家計の始末の上手さという三条件が備わっていれば、それで百点満点なのかも知れません。
貶すつもりで書こうとした文が誉める結果となってしまったから、一先ずは軌道修正をして話を続けよう。
果樹栽培の権威者として、その方面の論文執筆に余念の無かった男性の連れ合い、つまりは、私の妻の義理の伯母は、その連れ合いの伯父とは異なって、昨今の世の中で言うところの<一般教養>らしきものは、ただの一欠片も持ち合わせない女であったが、それでも、彼女は彼女なりに、自分の夫がいつも机に向かって原稿書きをしていることが嬉しかったらしくて、隣り近所の人たちに、「うちの夫はゲンコン(げんこうに非ず)書きばっかりしていて、忙しくて忙しくて、夜も昼も私の相手なんかしてくれません。私はそんな夫に、あまりゲンコン書きばかりしていると身体を壊してしまうから、たまには他所のお父さんみたいにお酒でも飲みなさいと言うんだけど、それでも夫は止めないんだよ。本当にあんまり偉い夫を持つことは良し悪しでもあるし、お互いにあんまり嬉しいとも言えないね。茂世子さん」などと触れ回っていたということである。
事の序でに、もう一つ注釈をすると、「お互いにあんまり嬉しいとも言えないね。茂世子さん」と話し掛けられた<茂世子さん>のご夫君の篠山雅幸さんは、地方新聞の記者であった。
私の妻は、そんな義理の伯母の義理の姪だから、私がパソコンに向かっていると、「またゲンコン書きをしているんでしょう。書いても書いても一文の得にもならないくせして」などと言ってからかうのである。
その妻も、ここ数日は、鼻炎とか風邪とかで元気が無く、今朝はもう七時半を過ぎたのに、未だに寝床からもそもそ這い出して来る気配を示さない。
(夏実麦太朗)
○ 剥がされた光GENJIのポスターのなかなるひとのそれぞれの今
そう言えば、「光GENJI」とか言う、じゃりタレグループが居ましたよね。
彼らは今頃、ジゴロにでもなっているんでしょうか?
〔返〕 剥がされた夏目雅子のポスターの諸肌脱ぎの艶なる記憶 鳥羽省三
(松木秀)
○ 男なら経験済みだ亀頭から乾いたティッシュを剥がす痛さは...
松木秀さんは自家発電専門ですか?
〔返〕 陰処(ほと)拭い丸めて捨てた花紙の今朝は開いて薔薇薔薇薔薇だ 鳥羽省三
(tafots)
○ あたらしきバターの銀紙剥がすとき 何かやましき嬉しき心地
対象物の如何を問わず、何かを「剥がすとき」に感じる、「何かやましき嬉しき心地」は、万人共通のものだと思われる。
ところで、私は未だに、本作の作者<tafots>さんの性別や年齢を存じ上げない。
年齢はともかく、性別は女性なんでしょうか、男性なんでしょうか?
そこで、<tafots>さんにお尋ね致しますが、あなたは剥がされた方ですか、それとも剥がした方ですか?
尤も、男性であったとしても、飛び切りの美形であったりしたら<剥がされる>場合もありましょうが。
〔返〕 大吟醸<美少年>の王冠剥ぐ時は惜しくもあるし嬉しくもある 鳥羽省三
(映子)
○ 泡立てたボデイーソープで剥がせると タカをくくった 昨日が粘着く
「泡立てたボデイーソープで剥がせる」のは、写し絵の刺青ぐらいのもんでしょう。
したがって、「昨日」汚したあそこの「粘着く」ような感覚は、何時まで経っても、どんな高価な「ボデイーソープ」で洗っても、絶対に取れませんよ。
何故ならば、それは、物理的と言うよりも、心理的な汚点だからなのです。
ところで、三句目と四句目、四句目と五句目の<数字空き>には、一体どんな意味があるのでしょうか?
ただ何と無く、漫然としてやっているのだとしたら、即刻止めた方が宜しいかと思います。
〔返〕 よく練ったジェームス・ボンドでくっ付くと思って分かれた彼が恋しい 鳥羽省三
(アンタレス)
○ 母子して目を泣きはらし看取りたるインコの剥製未だ声かく
久し振りにアンタレスさんの御作を読ませていただく。
今年の冬は夏の暑さと逆比例して意外に寒そうだから、お身体を大切に。
また、春先には、例年の倍以上のスギ花粉が舞い散るとの予報であるから、その方面にもご注意下さい。
「インコ」に限らず、長い間愛育して来た生き物が命を落とすのを看取るのは堪え難い。
私の妻などはこの十月に買って来た十匹の金魚のうちの二匹が死んだからといって、未だにその衝撃から立ち直れないで居るみたいで、「あなたって人は、私とは別人種なのかしら。私の金魚が二匹も死んだっていうのに、いつもいつも高野公彦さんと加藤治郎さんの悪口ばっかり書いていて、信じられないわ。この間、買って来てから一週間も経たないのに、あの赤くて可愛いのが死んだのに、昨日は大きくて丈夫そうな黒いのも死んだのよ。加藤治郎先生の祟りかしら」などと、まるで見当違いのことを仰るのである。
金魚を呪い殺した<生霊>にされてしまうとは、いくら何でも、あの加藤治郎大先生も可哀想である。
そんなこんなで、アンタレスさん「母子」は、「目を泣きはらし」ながら「インコ」の死を「看取り」、その亡骸を「剥製」にしておき、今でもまだ「インコちゃんお早うございます」「インコちゃんお休みなさい」などと、「母子」して「声」を掛けていらっしゃるのでありましょう。
もし、そうだとすると、評者の私としても、大変切ないことでございます。
〔返〕 剥製のインコに優しく声掛けて娘はたまにお里帰りす 鳥羽省三
(西中眞二郎)
○ この角もビル壊されて裏のビル剥き出しとなる窓なきままに
あちらの「ビル」もこちらの「ビル」も無惨に壊されて、<都市再開発事業>とやらが、また始まったのである。
本作の作者・西中眞二郎さんは、かつてのキャリア官僚である。
「壊され」た「ビル」の「窓」に、こんなにも心を寄せる官僚がもう少し多かったならば、国土交通省の雰囲気も、もう少し風通しのいいものになっていたに違いありません。
〔返〕 お役所に窓は在っても其処に居る役人どもには窓一つ無し 鳥羽省三
(髭彦)
○ 身ぐるみか化けの皮かは知らねども剥ぎてみたばや将軍たちの
「将軍たち」とは、江戸幕府歴代の「将軍たち」を指すのでありましょう。
〔返〕 江戸幕府初代将軍家康は化けの皮剥いでも古狸なり 鳥羽省三
(船坂圭之介)
○ 夢をまた剥離されしや屈まりて眠るロシアン・ブルーの眼の仔
「ロシアン・ブルーの眼の仔」とは、どんな種類の猫なんでしょうか?
〔返〕 夢をまたレースに繋ぐプロシアン・ブルーのシャツ着た山梨学院
(黒崎立体)
○ 背中から剥がれた羽根に気付かずに少女は角を曲がっていった
登校途上の女子児童の「背中」には、確かに「羽根」が生えているような気がします。
下校途中の女子高生の中には、確かに「背中」の「羽根」が「剥れた」ような少女が居ます。
〔返〕 背中から生えてた羽根を剥がすのも教師の役目であるのだろうか 鳥羽省三
(野州)
○ 路地に沿ふ塀はペンキを剥がしつつねこを通せる破れ目を持つ
一般的な言い方をすると、「路地に沿ふ塀はペンキを剥がしつつ」では無くて、「路地に沿う塀からペンキは剥れつつ」と言うのでありましょうが、本作の場合は、「ねこを通せる破れ目」作る為に、「路地に沿う塀」は自発的積極的行為として「ペンキ」を剥がす、のだと言っているのである。
「猫にも主体性」が流行語になった時代が在ったが、昨今は「塀にも主体性」の世の中なのであろうか?
〔返〕 路地に沿う垣根に咲ける朝顔が今では雑草扱いだとか? 鳥羽省三
(理阿弥)
○ 沸きをらぬ湯槽に二月飛び込めりザボンの剥きやう考えてゐて
間抜けな理阿弥さんである。
「ザボン」で<ザブン>とは是のことかしら?
〔返〕 この頃はコメント寄せない理阿弥さんお風邪召されて元気無いのか 鳥羽省三
(青野ことり)
○ 丁寧に剥かれた皮を花にする 甘夏柑の匂いの指で
<ことりごと>の世界としては、なかなかに意味深な作品である。
彼の手によって「丁寧に剥かれた」ご自身の肌を「甘夏柑」のような「匂い」のする自分の「指」で擦り擦りして、「花」のように美しく染める、という意味なのでしょうかしらん?
だとすれば、それは本番を前にしての<自発的自慰的前戯>と位置付けられましょうか?
〔返〕 てのひらが甘夏柑の香りするミューズ石鹸よい石鹸ですね 鳥羽省三
私が短歌鑑賞の筆を執ったそもそもの出発点は、この<題詠企画>の投稿作について、ただ単に、これが好き、あれが嫌いといったことだけでは無く、作者の創作意図とか、それぞれの作品に込めた作者の情熱とかを探ってみたいと思ったことであったので、少し大袈裟に言えば、まるで故郷に帰って来たような気持ちがしないでもない。
故郷と言えば、妻の父親の兄に当たる者が北東北地方の果樹栽培の権威とも言うべき存在で、生前にはNHKのテレビやラジオなどに引っ張り出されたり、彼方此方の農業団体に招かれて講演をしたりする人であったから、在宅中は、農業関係の出版社などから依頼された原稿執筆に余念が無かったと言う。
その連れ合いに当たる女性、つまりは私の妻の義理の伯母を当たる女性は、美しさと手先の器用さと家計の始末の上手さだけが取り得の女性であった。
随分誉めてしまったような感じであるが、評者としては悪口を言っているつもりなのである。
でも、女性として、美しさと手先の器用さと家計の始末の上手さという三条件が備わっていれば、それで百点満点なのかも知れません。
貶すつもりで書こうとした文が誉める結果となってしまったから、一先ずは軌道修正をして話を続けよう。
果樹栽培の権威者として、その方面の論文執筆に余念の無かった男性の連れ合い、つまりは、私の妻の義理の伯母は、その連れ合いの伯父とは異なって、昨今の世の中で言うところの<一般教養>らしきものは、ただの一欠片も持ち合わせない女であったが、それでも、彼女は彼女なりに、自分の夫がいつも机に向かって原稿書きをしていることが嬉しかったらしくて、隣り近所の人たちに、「うちの夫はゲンコン(げんこうに非ず)書きばっかりしていて、忙しくて忙しくて、夜も昼も私の相手なんかしてくれません。私はそんな夫に、あまりゲンコン書きばかりしていると身体を壊してしまうから、たまには他所のお父さんみたいにお酒でも飲みなさいと言うんだけど、それでも夫は止めないんだよ。本当にあんまり偉い夫を持つことは良し悪しでもあるし、お互いにあんまり嬉しいとも言えないね。茂世子さん」などと触れ回っていたということである。
事の序でに、もう一つ注釈をすると、「お互いにあんまり嬉しいとも言えないね。茂世子さん」と話し掛けられた<茂世子さん>のご夫君の篠山雅幸さんは、地方新聞の記者であった。
私の妻は、そんな義理の伯母の義理の姪だから、私がパソコンに向かっていると、「またゲンコン書きをしているんでしょう。書いても書いても一文の得にもならないくせして」などと言ってからかうのである。
その妻も、ここ数日は、鼻炎とか風邪とかで元気が無く、今朝はもう七時半を過ぎたのに、未だに寝床からもそもそ這い出して来る気配を示さない。
(夏実麦太朗)
○ 剥がされた光GENJIのポスターのなかなるひとのそれぞれの今
そう言えば、「光GENJI」とか言う、じゃりタレグループが居ましたよね。
彼らは今頃、ジゴロにでもなっているんでしょうか?
〔返〕 剥がされた夏目雅子のポスターの諸肌脱ぎの艶なる記憶 鳥羽省三
(松木秀)
○ 男なら経験済みだ亀頭から乾いたティッシュを剥がす痛さは...
松木秀さんは自家発電専門ですか?
〔返〕 陰処(ほと)拭い丸めて捨てた花紙の今朝は開いて薔薇薔薇薔薇だ 鳥羽省三
(tafots)
○ あたらしきバターの銀紙剥がすとき 何かやましき嬉しき心地
対象物の如何を問わず、何かを「剥がすとき」に感じる、「何かやましき嬉しき心地」は、万人共通のものだと思われる。
ところで、私は未だに、本作の作者<tafots>さんの性別や年齢を存じ上げない。
年齢はともかく、性別は女性なんでしょうか、男性なんでしょうか?
そこで、<tafots>さんにお尋ね致しますが、あなたは剥がされた方ですか、それとも剥がした方ですか?
尤も、男性であったとしても、飛び切りの美形であったりしたら<剥がされる>場合もありましょうが。
〔返〕 大吟醸<美少年>の王冠剥ぐ時は惜しくもあるし嬉しくもある 鳥羽省三
(映子)
○ 泡立てたボデイーソープで剥がせると タカをくくった 昨日が粘着く
「泡立てたボデイーソープで剥がせる」のは、写し絵の刺青ぐらいのもんでしょう。
したがって、「昨日」汚したあそこの「粘着く」ような感覚は、何時まで経っても、どんな高価な「ボデイーソープ」で洗っても、絶対に取れませんよ。
何故ならば、それは、物理的と言うよりも、心理的な汚点だからなのです。
ところで、三句目と四句目、四句目と五句目の<数字空き>には、一体どんな意味があるのでしょうか?
ただ何と無く、漫然としてやっているのだとしたら、即刻止めた方が宜しいかと思います。
〔返〕 よく練ったジェームス・ボンドでくっ付くと思って分かれた彼が恋しい 鳥羽省三
(アンタレス)
○ 母子して目を泣きはらし看取りたるインコの剥製未だ声かく
久し振りにアンタレスさんの御作を読ませていただく。
今年の冬は夏の暑さと逆比例して意外に寒そうだから、お身体を大切に。
また、春先には、例年の倍以上のスギ花粉が舞い散るとの予報であるから、その方面にもご注意下さい。
「インコ」に限らず、長い間愛育して来た生き物が命を落とすのを看取るのは堪え難い。
私の妻などはこの十月に買って来た十匹の金魚のうちの二匹が死んだからといって、未だにその衝撃から立ち直れないで居るみたいで、「あなたって人は、私とは別人種なのかしら。私の金魚が二匹も死んだっていうのに、いつもいつも高野公彦さんと加藤治郎さんの悪口ばっかり書いていて、信じられないわ。この間、買って来てから一週間も経たないのに、あの赤くて可愛いのが死んだのに、昨日は大きくて丈夫そうな黒いのも死んだのよ。加藤治郎先生の祟りかしら」などと、まるで見当違いのことを仰るのである。
金魚を呪い殺した<生霊>にされてしまうとは、いくら何でも、あの加藤治郎大先生も可哀想である。
そんなこんなで、アンタレスさん「母子」は、「目を泣きはらし」ながら「インコ」の死を「看取り」、その亡骸を「剥製」にしておき、今でもまだ「インコちゃんお早うございます」「インコちゃんお休みなさい」などと、「母子」して「声」を掛けていらっしゃるのでありましょう。
もし、そうだとすると、評者の私としても、大変切ないことでございます。
〔返〕 剥製のインコに優しく声掛けて娘はたまにお里帰りす 鳥羽省三
(西中眞二郎)
○ この角もビル壊されて裏のビル剥き出しとなる窓なきままに
あちらの「ビル」もこちらの「ビル」も無惨に壊されて、<都市再開発事業>とやらが、また始まったのである。
本作の作者・西中眞二郎さんは、かつてのキャリア官僚である。
「壊され」た「ビル」の「窓」に、こんなにも心を寄せる官僚がもう少し多かったならば、国土交通省の雰囲気も、もう少し風通しのいいものになっていたに違いありません。
〔返〕 お役所に窓は在っても其処に居る役人どもには窓一つ無し 鳥羽省三
(髭彦)
○ 身ぐるみか化けの皮かは知らねども剥ぎてみたばや将軍たちの
「将軍たち」とは、江戸幕府歴代の「将軍たち」を指すのでありましょう。
〔返〕 江戸幕府初代将軍家康は化けの皮剥いでも古狸なり 鳥羽省三
(船坂圭之介)
○ 夢をまた剥離されしや屈まりて眠るロシアン・ブルーの眼の仔
「ロシアン・ブルーの眼の仔」とは、どんな種類の猫なんでしょうか?
〔返〕 夢をまたレースに繋ぐプロシアン・ブルーのシャツ着た山梨学院
(黒崎立体)
○ 背中から剥がれた羽根に気付かずに少女は角を曲がっていった
登校途上の女子児童の「背中」には、確かに「羽根」が生えているような気がします。
下校途中の女子高生の中には、確かに「背中」の「羽根」が「剥れた」ような少女が居ます。
〔返〕 背中から生えてた羽根を剥がすのも教師の役目であるのだろうか 鳥羽省三
(野州)
○ 路地に沿ふ塀はペンキを剥がしつつねこを通せる破れ目を持つ
一般的な言い方をすると、「路地に沿ふ塀はペンキを剥がしつつ」では無くて、「路地に沿う塀からペンキは剥れつつ」と言うのでありましょうが、本作の場合は、「ねこを通せる破れ目」作る為に、「路地に沿う塀」は自発的積極的行為として「ペンキ」を剥がす、のだと言っているのである。
「猫にも主体性」が流行語になった時代が在ったが、昨今は「塀にも主体性」の世の中なのであろうか?
〔返〕 路地に沿う垣根に咲ける朝顔が今では雑草扱いだとか? 鳥羽省三
(理阿弥)
○ 沸きをらぬ湯槽に二月飛び込めりザボンの剥きやう考えてゐて
間抜けな理阿弥さんである。
「ザボン」で<ザブン>とは是のことかしら?
〔返〕 この頃はコメント寄せない理阿弥さんお風邪召されて元気無いのか 鳥羽省三
(青野ことり)
○ 丁寧に剥かれた皮を花にする 甘夏柑の匂いの指で
<ことりごと>の世界としては、なかなかに意味深な作品である。
彼の手によって「丁寧に剥かれた」ご自身の肌を「甘夏柑」のような「匂い」のする自分の「指」で擦り擦りして、「花」のように美しく染める、という意味なのでしょうかしらん?
だとすれば、それは本番を前にしての<自発的自慰的前戯>と位置付けられましょうか?
〔返〕 てのひらが甘夏柑の香りするミューズ石鹸よい石鹸ですね 鳥羽省三