2010年度作品。アメリカ映画。
ジャーナリストのマリーは、東南アジアで津波に飲み込まれ、呼吸が停止した時に不思議な光景を見る。サンフランシスコ―かつて霊能力者として働いていたジョージ、今では工場に勤めている。ロンドンで暮らす少年マーカスは、突然の交通事故で双児の兄を失う。兄を思うマーカスは、霊能力者を捜すうち、ジョージのWebサイトに行き着く。一方、マリーは臨死体験を扱った本を書き上げた。やがて異なる3人の人生が交錯する日が来る…。(ヒア アフター - goo 映画より)
監督はクリント・イーストウッド。
出演はマット・デイモン、セシル・ドゥ・フランスら。
傑作を多く物する作り手は、新しい作品をつくるたびに、過去の傑作群と比較される運命にある。
そんなことをどこかで書いた気もするが、この場で改めてそう指摘しておこう。
イーストウッドは言わずと知れた名監督なわけで、これまで数多くの傑作を生み出してきた。
それと比較するのも、どうかと思うのだが、「ヒア アフター」は、及第点だけど、それらの傑作には及ばない作品であった。
多分そう感じたのは、言葉足らずの面が多く目立ったからかもしれない。
メラニーの過去に何があったのか、そもそもジョージが霊能力を使った商売をやめたのにはどんなくわしい理由があるのか、ジョージがマリーに書いた手紙には何が書いてあったのか、なぜジョージがマリーと握手したときに、霊視が起きなかったのか。
そういった細かいことは、映画中ではほとんど説明されない。
もちろん説明しすぎるよりは全然いいし、これでも物語を追うことは可能だ。
ただ、いくつかの場面ではもう少し言葉を尽くしてもいいような気がして、不満が残った。
だが映画そのものは決して悪い作品ではない。
この作品は、乱暴に要約するなら、以下の二つのテーマに分けられるだろう。
一つは、愛する存在を失った人たちが、その死を克服する話。
一つは、霊が見えることで、疎外感を覚え、傷ついている人が死者を介した交流の果てに希望を見出す話、である。
前者のテーマの代表例は幼い双子の兄弟だ。
弟は兄の事故死を目撃して傷つき、内向的になっている。
その彼が霊能力者ジョージの手を借り、兄の言葉を聞くシーンがすてきだ。
兄の言葉はぶっきらぼうだけど、弟を思う気持ちがにじみ出ている。そのまっすぐな心根に、見ていてじーんと胸震えた。
その場面はこの映画の中で、もっともいいシーンだったと思う。
また後者のテーマとしては、主人公ジョージが象徴的だろう。
自身の霊媒体質のため、彼は他人が触れられたくない、と思っていることまで知ることができてしまう。それゆえ他者と関係をつくることができない。
そのことに傷ついているジョニーの姿は、見ていてもなかなか悲しい。
最後は少しできすぎな感もあるが、救いがある点が個人的には好きだ。
とまあ、不満はそれなりに多いのだが、これはこれで悪くない作品と思う。
イーストウッド作品ということで、見る前の僕は期待がかなり大きかった。だがそういう過大な期待を持たなければ、より一層心に響く一品である。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
製作者・出演者の関連作品感想
・クリント・イーストウッド監督作
「硫黄島からの手紙」
「インビクタス/負けざる者たち」
「グラン・トリノ」
「スペース・カウボーイ」
「父親たちの星条旗」
・マット・デイモン出演作
「インビクタス/負けざる者たち」
「オーシャンズ13」
「グッド・シェパード」
「シリアナ」
「チェ 39歳 別れの手紙」
「ディパーテッド」
「ボーン・アルティメイタム」