私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ノルウェイの森」

2010-12-21 20:55:29 | 映画(な行)

2010年度作品。日本映画。
親友・キズキを自殺で失ったワタナべは、東京で大学生活を送り始める。ある日、ワタナベは偶然にキズキの恋人だった直子と出会い、毎週直子と東京の街を散歩するようになる。しかし、直子の20歳の誕生日、精神的に不安定になった直子と夜を共にする。それ以来、ワタナベは直子と連絡がとれなくなってしまう。さらに喪失感が深まり心を病んだ直子は、京都の療養施設に入所していたのだ。直子に会いたくても会えない状況の中で、ワタナベは大学で出会った不思議な魅力を持つ女の子・緑にも惹かれていく。(ノルウェイの森 - goo 映画より)
監督は「夏至」のトラン・アン・ユン。
出演は松山ケンイチ、菊地凛子 ら。




静かな映画である。それゆえにとても雰囲気がよい作品だと見終えた後には思うことができる。
だが裏を返せば、その空気だけが目立ってしまい、雰囲気だけの映画に終わってしまった感もある。
「ノルウェイの森」の僕個人の印象を総括するなら、そういうことになる。


映画のトーンはあくまで淡々としている。
叙情的なタッチで原作が描かれているので、映画でもその情感を尊重したのだろう。
だがその淡々としたトーンのため、セリフも抑え気味で、所々では棒読みっぽくなってしまっている。
原作が原作なので、セックスに関する会話もあるが、淡々としすぎているため、性的なのに生々しさがこれっぽちもなく浮世離れしており、リアリティがない。

そういう事情が個人的にむちゃくちゃ引っかかってしまい、物語の中へうまく入っていくことができなかった。


だが映像は叙情的なため、いくつかのシーンは心に残り忘れがたい。

『ノルウェイの森』は、(大ざっぱに語るなら)生きづらさを抱えながら生きる困難を、死者の記憶を重ねながら描いた作品なわけだが、その内容と、映像の詩的情景は見事にマッチしている。
草原のシーンは美しく、映像美が堪能できるのはまちがいない。


はっきり言って、僕の好みではないし、トータルとしてみれば物足りない面は目立つ。
だがいくつかの点には、光るものを見出せる作品になっている、と思った次第だ。

評価:★★(満点は★★★★★)



製作者・出演者の関連作品感想
・トラン・アン・ユン監督作
 「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」
・松山ケンイチ出演作
 「ウルトラミラクルラブストーリー」
 「L change the WorLd」
 「男たちの大和/YAMATO」
 「椿三十郎」(2007)
 「DEATH NOTE デスノート 前編」
 「DEATH NOTE デスノート the Last name」
・菊地凛子出演作
 「スカイ・クロラ」
 「バベル」

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『チャイ・コイ』 岩井志麻子 | トップ | 『ブラッド・メリディアン』 ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
質問です (mayuri)
2010-12-22 01:48:50
小説と比べてどんな感じなのですか?
返信する
コメントありがとうございます (qwer0987)
2010-12-22 23:09:13
基本的な流れは小説と同じと思いますよ。ややスピーディでダイジェストっぽいですけど。
個人の好みもあるけれど、春樹の作品は実写には向かないような気もします。あのセリフを現実の人間がしゃべってるのを聞くと、いや、そんな言い方、普通しねえよ、と思ってしまうので。
返信する

コメントを投稿

映画(な行)」カテゴリの最新記事