ただ生きるのではなく、よく生きる

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人間は条件に即応していかようにも変わるもの──谷沢永一

2016-07-11 18:38:24 | 知恵の情報
最高の教育者とは──マーク・トウェイン
生まれてから死ぬまで、人間ってものは、醒めてるかぎり、たえずなんらかの教育を
受けてるわけだよ。そして、その教育者の中でも第一番は、いわゆる人間関係って
奴だな。(『人間とは何か』マーク・トウェイン 中野好夫訳 岩波文庫)
  
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世の中にいき行く行程の根幹は、そもそものはじめから終わりまで、人間関係を
いかに調節するかの工夫である。十人十色といえば卑俗に聞こえるけれども、
人間はひとりひとりすべて性格を異にする。もっとも、誰にも見られる個性の特色
を、そのすべてを理解することは、不可能に近いと観念すべきであろう。

しかし、少なくとも相手が何を喜びとし、何を嫌っているかを、それとなく見てとる
観察は、それほどむつかしくもないであろう。その一点にしぼって人の心を推し測る
のが、人間学の要点ではあるまいか。

そしてかりそめにも絶対に忘れてはならぬ重要な心得、それは、誰でも人は
境遇の移り行きにつれて、次第に或いは突然に、人変わりするという避けられない
事情である。たいていの人が相手の思いもかけぬ変化に接して、途惑ったり
不快の念を抱く。そのとき裏切られたと思ってはならない。人は条件に即応して
いかようにも変わるものだと、平素から心用意を怠らぬよう留意すべきである。

─『古典の知恵 生き方の知恵』古今東西の珠玉のことば2 
  谷沢永一著 PHP研究所より

夏目漱石が『こころ』の主人公に語らせた「平生はみんな善人なんです」を
思い出す。人間の愚かしさなのか、そうでなく、そういうものなのか。谷沢さんは
裏切られたと思うなとおっしゃる・・・人間の性質がそうでしかないのか。
愛や慈悲などは、どうなのか、変わってしまうのか。私が思うには、
備わっている確実なものでないから、教えとしてあるのだろうとは思う。
だから、機会あるごとに、いろいろな経験をするごとに愛と慈悲がどういう
ものなのかを思い返し、後悔して、自分を正すのだろう。