心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

【池澤夏樹】世界は広い,ゆえに世界文学全集【個人編集】

2007-05-22 12:18:36 | 関連ニュース


先日,「はじめての文学」シリーズを紹介したわけですが,いやいや失礼しました。

ま,何が言いたかったかというと,教養っちゅうのはある種の供用の強要が必要であるという知識を皆様と共用したかったわけですね。要は,若いうちに読んどけってことね。

で,ルネッサ~ンス!(出ました、ルネッサンス!)ってことで,世はこころなしか文芸復興,そんな気配がいたしませんか? しますか! そうですか! 実は僕もそう思っていたのです! 奇遇ですね!

と,脳内やらせで強引に動機付けをしたところで,2007年11月より刊行の始まる,芥川賞作家,池澤夏樹編集による『世界文学全集』が河出書房新社から出ますよ,というニュースをキャッチしました。それが上記の画像ってわけ。なんかスゲーって思わない? 思いますか! そうですか! 実は僕もそう思っていたのです! シンクロニシティですね!

と,脳内やらせでサプライズ共有したところで,改めて,そのチョイスを眺めてみますと……ま,そのー,結構,なんていうかね,こういう状態,いわゆる,無知,っていうのカナ? ガチで無知,すなわちガチムチですね(違いますね)。

まあ無知も知などと申しますから,むしろ,知,とも言えるわけですけどね,まあ率直にいうと,ビックリなことに名前すら知らなかった作家もいるわけで,「古典=誰もが知っているが,誰も読んだことのないもの」,としますと,この並びをどう捉えたらいいのでしょうかね。

ま,はっきりいって,偏りはあると思います。個人の趣味が前面に出ているともいえましょう。しかし! 編集を一作家だけに一任したということは,そこに求められているのは,バランスなどではありえないですよね。バランスを重視するならば,4~5人集めて,止揚という名の妥協を繰り返せばよいのであります。だから,断じてこれは正しい選択といえましょう。もちろんそれが,多数の人の共感を得られるかどうかは別でありますが。


第I期
1.『オン・ザ・ロード』J.ケルアック
2.『楽園への道』M.バルガス=リョサ
3.『存在の耐えられない軽さ』M.クンデラ
4.『太平洋の防波堤愛人』M.デュラス
 『悲しみよこんにちは』F.サガン
5.『巨匠とマルガリータ』M.ブルガーコフ
6.『暗夜』残雪
 『戦争の悲しみ』バオ・ニン
7.『ハワーズ・エンド』E.M.フォースター
8.『アフリカの日々』I.ディネーセン
 『やし酒飲み』A.チュツオーラ
9.『アブサロム、アブサロム!』W.フォークナー
10.『アデン、アラビア』P.ニザン 
  『名誉の戦場』J.ルオー
11.『鉄の時代』J.M.クッツェー
12.『アルトゥーロの島』E.モランテ
  『モンテ・フェルモの丘の家』N.ギンズブルグ

初っ端がケルアックということから,そこらの文学全集とは一線を画すことが推測されますな。バルガス=リョサ,カッコいいよね。ミラン・クンデラはマスト! と思っていると,デュラス,サガンでややションボリ。フォークナー『アブサロム、アブサロム!』も入ってるので,良しとしたいところですが,個人的には,さほど食指が動かない,というか知らない人が多すぎる! 逆に言えば,読む楽しみがあるということですけどね。


第II期
1.『灯台へ』V.ウルフ
 『サルガッソーの広い海』J.リース
2.『失踪者』F.カフカ
 『カッサンドラ』C.ヴォルフ
3.『マイトレイ』M.エリアーデ
 『庭、灰』D.キシュ
4.『アメリカの島』C.マッカーシー
5.『クーデタ』J.アップダイク
6.『軽蔑』A.モラヴィア
 『見えない都市』I.カルヴィーノ
7.『精霊たちの家』I.アジェンデ
8.『パタゴニア』B.チャトウィン
 『老いぼれグリンゴ』C.フエンテス
9.『フライデーあるいは太平洋の冥界』M.トゥルニエ
 『黄金探索者』J.M.G.ル=クレジオ
10.『賜物』V.ナボコフ
11.『ヴァインランド』T.ピンチョン
12.『ブリキの太鼓』G.グラス

個人的には,こっちのがグッときますね。初っ端がウルフで,俄然やる気が沸いてきます。カフカもいますし,エリアーデもいる。夏澤先生もジョン・アップダイクの訳でご登場。クール! モラヴィア,トゥルニエ,ナボコフも嬉しいけれど,やっぱピンチョンですよ! と思ってると,なぜか『ヴァインランド』……。頼むから『重力の虹』にしてください! 読みやすさをとるなら,『V.』か『競売ナンバー49の叫び』でよろしいじゃありませんか。ギュンター・グラスはおもろいのでオススメ! 個人的に,読んだことないですが,『サルガッソーの広い海』って気になりますね。特に「サルガッソー」という語が,特に。

ま,などなど,いろいろ皆さん思うところはあると思いますが,こうやって,ああだこうだいうのもまた楽しいですよね。なんにせよ,その心意気やよし! と思いますね。

思いつきだけど,さらにこの全集自体をシリーズ化したらどうか,とか思いますね。村上春樹の『世界文学全集』,高橋源一郎の『世界文学全集』,筒井康隆の『世界文学全集』そしてさらにそれを『「世界文学全集」全集』として出版するとかどうでしょうか,ダメですか,そうですか。

ちなみに,売れに売れまくってるNintendo DSにこんなソフトが出るようです。


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さすがに,これは誰が買うんだろうって感じですが,これが子どもへのクリスマスプレゼントにDSとともに贈られたとしたら……,「サンタさん,DS,ありがとう!」の感謝のキモチが,一転ドス黒い殺意に変わるのでは,と危惧しますね。

というのは冗談で,ま,年配のDSユーザー向けなんでしょうね。でも,こないだ隣のオッサン(50歳くらい)は一心不乱に『逆転裁判』やってましたけどね。

ま,ルネッサ~ンス! てことで今日はこの辺で。


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2 コメント

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Unknown ()
2007-05-23 09:13:48
しぶいセレクションですね。ってカフカと「精霊達の家」と「悲しみよ、こんにちは」しか読んだことないですが。「路上」は「オン・ザ・ロード」か・・・確かにそうだけど、ずいぶん印象が違う。ブルガーコ → ブルガーコフ でした。
返信する
ありがとうございます (psy-pub)
2007-05-23 14:54:28
裕さま

ご指摘ありがとうございます!
ブルガーコ → ブルガーコフ,本文修正しました。ちなみにはじめて知りました,ブルガーコフ。

>しぶいセレクションですね。

シブいねぇ・・・まったく,おたくシブいぜ,って感じですね。というか,編者以外にこれ全部読んだことのある人,いるのかって気もしますね。

>オン・ザ・ロード

なんかなあって感じですよね。こうなったら,あたまに「きまぐれ」と付けてほしいです。きまぐれオン・ザ・ロード(嘘です)。
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