心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

告知:シンポジウム『心理療法・物語・文化』

2007-02-09 21:26:34 | 関連ニュース
ええと,既に,裕’s Object Relational WorldI create you to control meロテ職人の臨床心理学的Blog[家族心理.com]管理人ブログなどで紹介されており,乗り遅れた感アリアリではありますが,せっかくアタイのところにもお便りくださったので,遅ればせ恐縮ながら,シンポ情報告知しちゃおうかなと思います。


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シンポジウム『心理療法・物語・文化』

■ 日時:2007年3月18日(日曜日) 午後1:00-5:00
■ 会場:東京大学(本郷)医学部教育研究棟13階鉄門講堂(赤門から2分)
■ 主催:東京大学・臨床心理学コース下山研究室
■ 後援:東京大学教育学研究科・心理教育相談室 質的心理学会  

第1部:講演(通訳付)

1 下山晴彦  (東京大学)
イントロダクション 「心理療法・物語・文化」

2 John McLeod (英国 アバティ大学) 
招待講演 西洋文化における心理療法の発展:ナラティヴの観点から   

3.北山 修  (九州大学)
招待講演 日本文化における物語と心理療法


第2部 シンポジウム(通訳付)

司会 下山晴彦
4.指定討論1 平木典子(跡見学園女子大学) 心理療法の統合の立場から
5.指定討論2 野口裕二(東京学芸大学)   社会構成主義の立場から
6.指定討論3 西平 直 (東京大学)     人間学の立場から
7.全体討論

■ 申込方法  名前/所属/連絡先住所/電話/ファックス番号を記載のうえ、メールにてシンポ係アドレスsympo@p.u-tokyo.ac.jpに申し込み。
■ 参加費:2000円(学生1000円) 定員:200名(定員になり次第締め切り)
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【シンポジウムの主旨】
世界の臨床心理学や心理療法は、エビデンスベイスド・アプローチによって科学的見解、そして認知行動療法の方向に進んでいます。ところが、日本の臨床心理学の世界は、科学的方法、あるいは認知行動療法には流れずに、独自の道を進んでいます。これだけ西欧や米国の最先端の動きに敏感で、直ぐに追従する日本にあって、心理療法の世界だけが世界の潮流とは違う独自な道を歩んでいることは、注目に値します。

そこで、本シンポジウムでは、心理療法に関連するナラティヴ論や質的研究法の世界的なリーダーであるJohn MacLeod教授(英国)と日本における物語論の第一人者である北山修教授(九州大学)をお招きして、文化比較の観点を含めて心理療法と物語りの関連性を探求することを目的としました。

【シンポジウムの構成】
第1部では、まずMcLeod教授に西洋文化における心理療法の発展をナラティヴ論の観点からお話いただきます。McLeod教授西洋文化においては、近代以前の伝統社会では人びとは物語を語り合い、助け合って生きていたが、近代社会になり、自我、個人主義、そして科学的思考が強まりにしたがって、専門家に自己の物語りを語る心理療法が生まれ、さらに科学的思考によって機能的な認知行動療法などが評価されるに至っていると論じています。

しかし、日本では、近代社会になっても、心のレヴェルでは、自我や個人主義は育っておらず、ましてや科学的思考などは受け容れず、むしろ伝統的な物語を生きている面があるのではないかとも考えられます。日本文化は、源氏物語に代表されるように昔から物語親和性が強く、それが、日本人が心の問題を考えるあり方に影響を与えていることが考えられます。そこで、北山修教授には、日本人にとっての物語の意味、そして心理療法にとって(自己の)物語を語ることの意味について、お話をいただくことにしました。

第2部では、心理療法の発展を統合の観点から論じている平木典子先生、臨床活動についてナラティヴ論から積極的に発言されている野口裕二先生、人間学の観点から物語りの意義について論じておられる西平直先生に指定討論をお願いし、その後にMcLeod教授と北山教授にも加わっていただき、全体討論を行います。


【John McLeod教授の紹介】
英国スコットランドのDandeeにあるAbertay大学のカウンセリング学の教授。今回邦訳出版される「Narrative and Psychotherapy」(邦題:物語りとしての心理療法―ナラティヴ・セラピーの魅力― 誠信書房 近刊)と「Qualitative Research in Counselling and Psychotherapy」(邦題:臨床実践のための質的研究法入門 金剛出版 近刊)のほか、ナラティヴ、カウンセリングの技法、質的研究法などに関する著書や論文は多数にのぼる。特に最近は、ポストモダンの時代におけるカウンセリングや心理療法のあり方について、歴史や文化に関する深い造詣に基づき、積極的に発言している。また、実践家であるとともに質的研究法に深い関心をもち、臨床的な観点から質的研究法を実践している研究者でもある。

John McLeod教授の業績等については、http://www.sagepub.com/authorDetails.nav?contribId=522673あるいは、personal homepage: http://www.counsellingresearch.co.ukをご覧ください。

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なかなかオモロゲ,ではないでしょうか。まだ申し込み間に合うのかな? psy-pubも行こうかしらん? と思いつつ,しかし貴重な定員200名の枠をバカ面(つまり俺)で消費するのは,世のため人のためにならんので,参加された方は是非ご感想お寄せいただければ幸いです。

で,企画者およびシンポジストおよび指定討論者の先生方,層々たるメンツなわけでして,せっかくなので(?),チョロッと著作概観しとく? てなもんだ。


子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ
ポール スタラード Paul Stallard 下山 晴彦

金剛出版 2006-08
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個人的には,認知行動療法のイメージが強いのが下山先生ですが,


臨床心理学研究の技法臨床心理学研究の技法
下山 晴彦

福村出版 2000-04

こういう本をはじめ,学問としての,というところを大事にされているのかなと。しかし,まあこのシンポ企画はちょっとサプライズでしたね,もちろんいい意味で。


Narrative and PsychotherapyNarrative and Psychotherapy
John McLeod

Sage Pubns 1997-11-30
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Qualitative Research in Counselling and PsychotherapyQualitative Research in Counselling and Psychotherapy
John McLeod

Sage Pubns 2001-03-20
売り上げランキング : 27648

正直読んだことないけれど,シンポ当日には,なにがなんでも翻訳本の刊行を間に合わせてくるだろうと思われますね。ここを逃すはずはない。絶対くるでしょうね。ご担当者様,ガンバッテ!


幻滅論幻滅論
北山 修

みすず書房 2001-04
売り上げランキング : 307029

北山先生といえば,物語論。とっかかるならこれがオススメ。


カウンセリング・スキルを学ぶ―個人心理療法と家族療法の統合カウンセリング・スキルを学ぶ―個人心理療法と家族療法の統合
平木 典子

金剛出版 2003-09
売り上げランキング : 190292

凄み,というよりは,軽々と,というイメージ。


物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ
野口 裕二

医学書院 2002-06
売り上げランキング : 113552

マイケル・ホワイト読んだら次これ読もう。日本のナラティブ・アプローチの第一人者による一品。


教育人間学のために教育人間学のために
西平 直

東京大学出版会 2005-04
売り上げランキング : 38815

正直,読んだことないけど,装丁がむちゃくちゃカッコイイね,これ。


あと,シンポとは関係ないけど,前にコメント欄で紹介したこのサイト,せっかくなので,再掲しとこうかなと思います。

DIPEx Home

DIPExつまりDatabase of Individual Patient Experiences(個々の患者の体験のデータベース)ってことね。ちょっと違うけど,ナラティブ版コクランライブラリーみたいなもんですかね。

ちなみに,

DIPEx日本語ゲートウェイ

こちらがDIPEx-JAPANのサイトです。


じゃ,ま,このへんで。


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