PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

医療福祉連携士の講習会スタート

2010年08月02日 11時21分47秒 | 日々の雑記
日曜日、根津の日本医科大学に行って来ました。
日本医療マネジメント学会の「医療福祉連携講習会」スタートです。

受講生は100名ちょっと、北は青森県から、南は沖縄県まで。
一番多いのが看護師さんで、2番目がMSW、3番目が診療情報管理士の方、えとせとら。

今回は第1クール、共通科目講習会で、土日みっちり二日間。

0.開講式・オリエンテーション
  宮 久義(日本医療マネジメント学会理事長)
1.「地域医療連携」
  武藤 正樹(国際医療福祉大学大学院教授)
2.「医療政策・関係法規」
  大久保一郎(筑波大学大学院教授)
3.「医療保険制度・診療報酬」
  大久保一郎(筑波大学大学院教授)
4.「病院運営」
  高橋 俊毅(国立病院機構横浜医療センター院長)
5.「医療情報システム」
  津村  宏(東京医療保健大学医療保健学部教授)
6.「ケアマネジメント論」
  古屋 龍太(日本社会事業大学専門職大学院准教授)
7.「在宅医療概論」
  岡田 晋吾(北美原クリニック理事長)
8.「カウンセリング概論」
  矢永由里子(エイズ予防財団企画課長)



科目名を見てわかるとおり、お堅い政策・制度・法律と続き、受講生も疲れたご様子。
津村宏さんの医療連携ITの話には、臨床職種はアパシー状態の人もいたみたい?(笑)

その流れでは、僕の担当科目はちょっと浮いていたけど、臨床に近かったのかも?
少なくとも、僕の話に頷きながら聞いてくれてる人が多くて、僕は救われました(笑)
ごく短いワークも取り入れましたが、皆さん、堰を切ったように話し始めてました。
当事者主体、ストレングス視点のケアマネ展開って、少しでも伝わりましたかね…?


でも、一番すごかったのは、函館から来てくれた岡田晋吾さんのお話し。
8年前診療所を始めてからの、在宅療養支援の実践を、ユーモアたっぷりに話してくれて。
最期の看取りに至る、多くの事例の物語を紹介しながら、地域連携を語ってくれました。

「病室内でできることはすべて在宅でできる。むしろ家でしかできないこともある」

「病院のスタッフは地域を知らず、地域のスタッフは病院の現状を知らない。
 知らない者同士の間を、患者と家族は右往左往させられる」

「かかりつけ医の現場は患者が生活する場所。医療モデルではなく生活モデルのかかわり」

「どう死ぬかということは、実はどう生きるかということ。
 在宅での看取りは患者さんの人生に深く触れ、物語に参加できる、しあわせな体験」

町医者として奮闘している岡田さんの言葉は、とても深く、僕には響きました。
「先生の話、とても、なんというか…嬉しかったです」
初対面なので、名刺をお渡ししてご挨拶したら、笑顔を返してくれました。
とんぼ返りで函館に戻られましたが、夜丁寧なメールを頂戴しました。


続く矢永由里子さんの講義は、僕以上にワーク中心の組み立てでした。
受講生達も、後半でずいぶん顔もほぐれて、名刺交換などしてました。



形式的な医療連携業務が跋扈しがちな中で、いかに血の通った「連携」が組めるか。
単に患者さんが医療機関を移動するのではなく、生きる目標に沿った「連携」を組めるか。
カルテ情報開示のITネットワークも活用しながら、顔の見える「連携」を組めるか。
医療機関の都合ではない、個々の生き方に添ったオーダーメイドの「連携」を組めるか。

この医療福祉連携士が、今後どのように育っていくのかは、まったくわかりませんが。
医療福祉連携の最も遅れている精神科出身の僕にとっては、なかなか刺激的な場でした。


次回クールは、8月28日・29日、共通科目(クリティカルパス講習)。
その後も、9月の専門科目、10月の課題講習と、週末講習会が続きます。

その間に、各種施設での実習もあるので、受講生は本当に大変ですが…。
どうか、身体に気をつけて、気合いでこの夏を乗り切って下さい!
(^_^)/~~~



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
講義 (koroku)
2010-08-03 10:45:08
2日間とっても楽しい研修でした。

先生のお話はもう少し、現場のお話がでるのかなって少し期待していましたが・・・
先生がどうしても話さなければならないことが多くあったのでしょう。。。
もう少し時間がほしいくらいでした。
ワークもいつあるのかとっても楽しみでした
ほんとにもっともっと時間ほしいですね~
ただ・・・矢永先生の聴くことの大切さも学びましたが・・・まとめて伝えることの難しさも本当に勉強になりました!

次回もがんばります!
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korokuさんへ (龍龍)
2010-08-03 11:11:06
おぉう、受講生が、このブログ、知っていてくれましたか~。
どうも、お疲れ様でした。
コメント、ありがとうございます。

現場の話し、したかったですね、やっぱり。
でも、90分の講義で、欲張ってワークも取り入れだと、さすがに無理があって。
エッセンスだけでも伝えられればと思いましたが、やや抽象的になってしまいましたかね。
どうも、失礼致しました。
きちんと事例を要約するって、ムズカシイですよね。
岡田さんの事例提示は、そういう意味では細かい点はわからなくても、ちゃんと事例の想いやスタッフのかかわり方が見えましたね。
それぞれの生きる物語に寄り添う「連携」を形にできるって、素晴らしいことだと思います。

長丁場で大変ですけど、体調崩さず、頑張って下さいね~(^_^)v
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