PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

地域移行支援事業の要項

2009年10月16日 19時21分42秒 | 精神保健福祉情報
今、福岡県に来ています。

地域移行支援のフィールド調査です。

現在、全国337圏域の事業所で「精神障害者地域移行特別対策事業」が取り組まれています。

この事業に取り組む各地の事業所へ、訪問調査を行う共同研究班の一環です。

北は北海道から、南は沖縄まで、全国19事業所を、春と秋に手分けして回っています。



同じ事業名でも、その取り組み方や成果は実に様々です。

事業所の個性や地域の特性ももちろんありますが、事業を委託している各都道府県や政令市の要項がまちまちです。

例えば、対象者は「家族の同意が獲られている者」と限定している県があったり。

自立支援員(地域移行推進員)は、無償のボランティアが前提となっていたり。

コーディネーターと称される人が、他県では支援員のことであったり。

ピアサポーターが中核的な役割を担っているところもあれば、全く要項に位置づけられてないところもあったり。

退院してからのサポート期間も、実にまちまちです。

退院をゴールとして、その後のフォローを全く考えていないところから、地域への定着まで視野に入れているところ。

各事業所は、病院の厚い壁との格闘以前に、現場の実情と乖離した行政の要項に縛られて、思うような支援が組めないでいるようです。



そもそも国の要項が、とんでもなくラフで、この事業の内実を危ういものにしています。

各自治体の自由な裁量に委ねたということかも知れませんが、その結果骨抜き状態を招いてしまっているとも言えます。

各事業所は四苦八苦、奮闘しています。

地域移行に向けたスキルやノウハウも蓄積されてきています。

せめて自治体行政には、この事業の意義を理解して頂き、現場のピアサポーターやスタッフがミッションを果たせるように強力にバックアップして欲しいものです。

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