テキスト版 TS R010605高野修一答申書 銀行代理業の委託契約書 答申日=令和元年6月5日(行情)答申第50号 2019年=令和元年
(第3部会)委員 髙野修一,委員 久末弥生,委員 葭葉裕子
Ⓢ 答申状況画面 令和元年度
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Ⓢ 画像版 TS R010605高野修一答申書 銀行代理業の委託契約書 答申日=令和元年6月5日(行情)答申第50号
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答申日 令和元年6月5日( 令和元年度(行情)答申第50号 )
https://www.soumu.go.jp/main_content/000624359.pdf
https://koukai-hogo-db.soumu.go.jp/reportBody/13504
諮問庁 : 厚生労働大臣
諮問日 : 平成31年 2月25日(平成31年(行情)諮問第169号)
答申日 : 令和 元年 6月 5日(令和元年度(行情)答申第50号)
事件名 : 「年金のコンビニ収納契約時に,特定本部から取得した銀行代理業の委託契約書」の不開示決定(不存在)に関する件
答申書
第1 審査会の結論
「年金のコンビニ(コンビニエンスストアを指す。以下同じ。)収納契約時に,特定コンビニエンスストア本部(以下「特定コンビニ本部」という。)から取得した銀行代理業の委託契約書」(以下「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。
第2 審査請求人の主張の要旨
1 審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成30年11月30日付け厚生労働省発年1130第11号により厚生労働大臣(以下「厚生労働大臣」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求めるというものである。
2 審査請求の理由
審査請求の理由は,審査請求書及び意見書の記載によると,おおむね以下のとおりである。
(1)審査請求書
審査請求人の受けた原処分は,不当である。
ア 審査請求人は,厚生労働省に対し,平成30年10月29日受付けで,行政文書開示請求書(第3085号)を提出した。
請求内容=「年金のコンビニ収納契約時に,特定コンビニ本部から取得した銀行代理業の委託契約書」
イ これに対し,厚生労働大臣は,平成30年11月30日付けの厚生労働省発年1130号第11号により,不開示決定を行った。
ウ 不開示の理由=「開示請求に係る行政文書については,国民年金保険料の納付受託事務に関する契約をする際に,特定コンビニ本部から取得する必要が無いものであり,保有していないため不開示とした」
エ 厚生労働大臣は,「特定コンビニ本部の銀行代理業者としての委託契約書は,取得する必要がない」と理由を述べている。
オ しかしながら,上記主張は虚偽記載であり,違法である。
カ なぜならば,特定コンビニ店舗の公金収納は,2つの法規定を根拠に行われている。
キ 1つ目は,(指定金融機関制度)の適用である。
地方自治法235条1項(都道府県の場合は義務),同235条2項(市町村の場合は任意)を根拠にしている。
(収納代理金融機関)地方自治法施行令168条4項=「普通地方公共団体の長は,必要があると認めるときは,指定金融機関をして,その取り扱う収納及び支払いの事務の一部を,当該普通地方公共団体の長が指定する金融機関に取り扱わせることができる。」
公金収納を行える者の要件は,金融機関であること。且つ,当該普通地方公共団体の長の指定を受けていること。
ク 2つ目は,銀行代理業制度の適用である。
公金収納した預かり金は,地方自治法施行令(指定金融機関等における公金の取扱い)168条の3第3項(市町村の場合は4項)の規定に沿った対応をしなければならない。
対応=「指定金融機関,指定代理金融機関及び収納代理金融機関は,公金を収納したとき,又は公金の払込みを受けたときは,これを当該普通地方公共団体の預金口座に受け入れなければならない。この場合において,指定代理金融機関及び収納代理金融機関にあっては,会計管理者の定めるところにより,当該受け入れた公金を指定金融機関の当該普通地方公共団体の預金口座に振り替えなければならない。」
上記規定の対応は,(定義)銀行法2条2項2号=「為替取引を行うこと。」に該当する行為である。
ケ 為替取引を行うことは,銀行固有の業務であり,銀行以外のものは行うことができない。
コ 郵政民営化に伴い,ゆうちょ銀行と日本郵政に分割されることになった。分割により,郵便局は,従来行ってきた公金の取扱いができなくなる。
サ 郵便局に従来通りに公金の取扱いができるようにするために,平成18年4月1日施行の銀行法等の一部を改正する法律により,新たに銀行代理業制度が創設された。
郵便局は,ゆうちょ銀行を所属銀行とした銀行代理業者とゆうちょ銀行の収納代理金融機関となった。
シ コンビニ店舗は,上記の郵便局と同様に,普通地方公共団体の指定金融機関を所属銀行とした銀行代理業者となることで,コンビニ収納を可能とした。
ス 厚生労働大臣による不開示の理由=「開示請求に係る行政文書については,国民年金保険料の納付受託事務に関する契約をする際に,特定コンビニ本部から取得する必要がないものであり,保有していないため不開示とした」
セ しかしながら,審査請求人が開示を求めた文書は,契約を結ぶに当たって,当事者能力があることを証明する文書である。
ソ 厚生労働大臣は,「取得する必要がない」と理由を説明している。
この説明は,虚偽説明であり,違法である。
厚生労働大臣がした不開示処分は,不当である。
この不当処分は,(故意)刑法38条3項に該当する違法行為である。
タ よって,原処分を取り消すとの裁決を求める。
(2)意見書
理由説明書の記載について
国税(原文ママ)であるので,指定金融機関制度は適用されないことは分かった。しかしながら,委託内容には,銀行法2条規定の銀行固有業務である「為替取引を行うこと」が含まれている。
金融機関でないコンビニが,厚生労働大臣からの指定を受ければ,銀行固有業務を行える理由が不明である。
国民年金法施行規則72条のどれに該当するのか不明である。
第3 諮問庁の説明の要旨
1 本件審査請求の経緯
(1)審査請求人は,処分庁に対し,平成30年10月29日付け(同日受付)で,「年金のコンビニ収納契約時に,特定コンビニ本部から取得した銀行代理業の委託契約書」の開示請求を行った。
(2)これに対し,処分庁が,平成30年11月30日付け厚生労働省発年1130第11号により「開示請求に係る行政文書については,国民年金保険料の納付受託事務に関する契約をする際に,特定コンビニ本部から取得する必要が無いものであり,保有していないため」を理由に,法9条2項の規定による不開示決定(原処分)を行ったところ,審査請求人は,特定コンビニ店舗の公金収納は「指定金融機関制度」と「銀行代理業制度」の法規定を根拠に行われるべきで,原処分の当該理由は虚偽説明であり,違法であるとの理由(詳細は上記第2の2(1))から,原処分を不服として,同年12月5日付け(同月6日受付)で本件審査請求を提起したものである。
2 諮問庁としての考え方
本件審査請求について,原処分は妥当であると考える。
3 理由(原処分の妥当性について)
国民年金保険料の納付委託は,国民年金法(昭和34年法律第141号)92条の3第1項の規定に基づくものであり,納付事務を適正かつ確実に実施することができると認められ,かつ,国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するものは,被保険者の委託を受けて,保険料の納付に関する事務を行うことができるとされている((参考)略)。
国民年金保険料の納付委託については,これらの規定に基づいて行うものであり,審査請求人が主張する「指定金融機関制度」と「銀行代理業制度」の法規定を根拠に行われるものでない。
したがって,原処分の理由とした「特定本部から取得する必要が無いものであり,保有していない」ことに不合理な点は認められない。
4 結論
以上のとおり,原処分は妥当であり,本件審査請求は棄却すべきものと考える。
第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成31年2月25日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同年3月12日 審査請求人から意見書を収受
④ 令和元年5月10日 審議
⑤ 同年6月3日 審議
第5 審査会の判断の理由
1 本件対象文書について
本件対象文書は,「年金のコンビニ収納契約時に,特定コンビニ本部から取得した銀行代理業の委託契約書」である。
処分庁は,本件対象文書を保有していないとして不開示とする原処分を行い,諮問庁も原処分は妥当としているので,以下,本件対象文書の保有の有無について検討する。
2 本件対象文書の保有の有無について
(1)理由説明書の記載(上記第3の3)及び当審査会事務局職員をして諮問庁に対し詳細な説明を求めさせたところによると,諮問庁は,本件対象文書の保有の有無について,おおむね以下のとおり説明する。
ア 国民年金保険料の納付方法には,口座振替(国民年金法92条の2),指定代理納付者による納付(同法92条の2の2)及び保険料の納付委託(同法92条の3)がある。
本件開示請求は,このうち保険料の納付委託の業務を行っている特定コンビニ本部についての「銀行代理業の委託契約書」の開示を求めるものである。
イ 国民年金保険料の納付委託は,国民年金法92条の3第1項の規定に基づくものであり,「納付事務を適正かつ確実に実施する」ことができると認められ,かつ,同法施行令6条の15で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するものは,被保険者の委託を受けて,保険料の納付に関する事務を行うことができるとされている。
ウ 国民年金法施行令6条の15で定める要件とは,納付受託者として納付事務を行うことが「保険料の徴収の確保及び被保険者の便益の増進に寄与する」と認められること,及び「納付事務を適正かつ確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有する」ものとして厚生労働省令で定める基準を満たしていることとされている。
この「基準」として,同法施行規則72条は,信用金庫法に規定する信用金庫等であること,又は,「国民年金の保険料若しくは公共料金に関する事務処理の実績を有する者」であることを定めており,特定コンビニ本部は,このうち「公共料金に関する事務処理の実績を有する者」に該当するものである。
エ 国民年金保険料の納付委託業務は,以上のとおり,国民年金法の規定に基づいて「厚生労働大臣の指定」を受けた者が行うものであり,審査請求人が主張する「指定金融機関制度」と「銀行代理業制度」という法規定を根拠に行われるものではない。
このため,納付委託業務について特定コンビニ本部が銀行代理業の委託契約を締結することはなく,厚生労働省として「銀行代理業の委託契約書」を取得する必要はない。
したがって,関係法令の規定に照らし,本件対象文書は,「国民年金保険料の納付受託事務に関する契約をする際に,特定コンビニ本部から取得する必要が無いものであり,保有していない」との原処分の理由に不合理な点はない。
(2)厚生労働省において本件対象文書を保有していないとする上記(1)の諮問庁の説明は,法令の規定に基づくものであり,不自然,不合理であるとは認められず,これを覆すに足りる事情も認められない。
したがって,厚生労働省において本件対象文書を保有していないとする諮問庁の説明は是認せざるを得ない。
3 審査請求人のその他の主張について
審査請求人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
4 本件不開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,厚生労働省において本件対象文書を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。
(第3部会)
委員 髙野修一,委員 久末弥生,委員 葭葉裕子
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