君は銀河の青い風  八木真由美 岡山

自然に沿って、自分につながって、
心地のよい光とともに。
竪琴ライア 自然農 ライトワーク ヒンメリ

  

川口由一さん ご講話 「今を生きる 今を全うする」芸術のお話しより

2020年02月09日 | 自然農川口由一の世界

川口由一さん ご講話

「今を生きる 今を全うする」 

芸術のお話しより

 

 時が流れるというのは本体なる宇宙が現す現象であって、過去現在未来の別を現す相対界の出来事です。この相対界と絶対界は同時に存在する事実であって分けることのできないこととして、いずれも二つは同時のこととしてあります。ところで過去現在未来に相対する別を現す相対界の出来事にとらわれることなく、また我をも見失うことなく絶対界に立って、相対界における時の流れも事実として理解して受け止めることが必要です。流れる時によって生じる相対界のできごとにとらわれることのない絶対の境地を得ているというのは、人本来の真の人生、正しい意義深い全き人生を生きることができるようになったという境地のことです。実際においては、時が流れているのは事実で、百年前後の人生で残されている時間も限られている運命ですが、絶対の境地に立って時の流れを超えてこの今を大切にする、今を全うする、この今今今を全うする。一瞬一瞬を全うして結果としても一日を全うしている、人生を全うしている在り方が大事です。地球だって、太陽だって、もちろん人類だって死に滅していく運命ですが、この相対する生と死を、そして流れる時を超越して絶対の今を生きる人生にしなければなりません。

 

 例えば、芸術の世界のことにおいて、一枚の紙に絵を描くにおいても一瞬一瞬を全うした描き方が大切です。それが最善の結果をもたらします。絶対の境地を得た一瞬一瞬を全うする描き方というのは、その時その時、今日まで生きてきた過去のすべてが今に含まれています。この全き今に在って色を作る時は一回きりの今でこれと思う色を作る。描く時には白い紙の宇宙空間のここ、ここしかないころに全き色を筆にて置く、描出する。それで今が足りるわけで今に描ききれているのです。今を最善に全うしたのです。一筆一筆描き切ることで仕上げていく。そうでないとだめです。常に定まらず今を生ききれていない場合は曖昧な状態で色を作り始め、そのうちに本当に思っている色ができてくるからと色を重ねているといつまでも納得が入らなくて、色を混ぜ重ねるうちに濁ってくることになります。いつまでも覚めることなく澄み渡ることなく執着が入ってくる濁った人生ともなります。常に真の答えを出す、一筆置く時にもここしかないと思うところにこれしかない色を置く、線も一回きり、そこに色を加え添える時も一回、的確に一回きり、全うした今、今、今です。仮の曖昧な下書きはしない。全うした今の積み重ねでその時その時を全うしてゆくことによって全体が全うしたものになっていきます。無駄をしない、正しい答えを生きることを先送りしないことが大切です。今を全うしない先送りの人生で終わることになっては、喜びなき、平安なき、幸福なき状態で死に至ることになります。

 

 僕は20代の頃、アルバイトで花を生ける仕事を二年ばかりしたことがあります。受付、社長室、応接室、それぞれの働きのある空間があり、それぞれ与えられているテーブルのどこに壷を置くのか一瞬で決め、その壷にまず花を一本入れる時もここしかないところに最善の姿で入れる、五本は五本すべてにおいて納得のいくここしかないところに最善の立て方で二本目、三本目と入れると、その結果さらに豊かに仕上がります。そういう在り方の大切さを知りました。一つ一つにおいて、人生全体においてもそれが大事です。それをするには集中しないといけないとか厳しくあらねばいけないとか大変に思うのですが、実は最も生きやすい在り方です。自分を曖昧にしないので厳しくなりますが、それが最も智恵が澄んでよく働き、能力も最善に発揮して生きやすいのです。常に納得しており、思い残すことがなくて満たされ足るを知っている状態です。人としての成長のめざすべきところは絶対界に立つと同時に、その時その時を部分部分においても同時に人としても全うしている、そうした在り方が大切です。最もいい答えを出すことで最も大切である限りあるいのちの時間面において無駄なく経済的で能率的で仕上がりが、結果が、最善となります。全うすることのできる真に正しい人間性の成長が必要です。

 

四十七億歳の地球に 

いのち栄える 

文章 絵 川口由一さん

編集 八木真由美

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