Life in Japan blog (旧 サッカー評 by ぷりりん)

日本に暮らす昭和生まれの猫ぷりりんの、そこはかとない時事放談と日記です。政治経済から科学、サッカー、手芸まで

安部内閣の危ない円安。円安にしているのは安部ちゃんって本当? #keizai .

2013年01月20日 03時13分44秒 | 経済・社会

2005年から続く交易条件の悪化から考えて、あえて円安を狙うのはあまりお得ではないかもしれません。
交易条件が悪化しているという事は、同じ物を輸入するためによりたくさんの物を輸出しなければならない辛い状態です。
円安になるとそれがより辛くなってしまいます。

交易損失、GDP、GNI

交易損失が出ているという事は所得が流出しやすいということです。
戦後最長の好景気と言われたいざなみ景気(2002年2月から2009年3月)は実感無き景気回復と言われましたが、原因は交易条件の悪化と、米国金融危機がはじまる頃から行き場の無い投資資金がコモディティー相場を釣り上げて輸入品を買い入れると同時に国外へ所得が流出し、勤労者個々人の所得も上がりにくくなり実質的に減少したからだと言われています。(それだけではないようですが)外需が旺盛な頃は良かったのですが、外需が世界金融危機で冷え込んでしまったので出て行った分も取り戻しにくくなっています。※図表に間違いがありましたので差し替えました。2013-2-6

交易条件からみた日本経済-外需主導の成長や賃金低迷の背景にある海外への所得流出-みずほ総合研究所

雇用者報酬と日経平均株価 

しかも税引き前の格差は米国よりも進捗し、税引き後の格差も微増しています。所得上位と下位の格差は開いたと思われますので下位の暮らしはきつくなったと思われます。雇用形態の非正規化を現しているのかもしれません。

アメリカの相対的貧困率

日本の相対的貧困率

コモディティー相場の石油・ガス類の価格が上昇しました。世界の基軸通貨ドルを発行しているアメリカのFRBが金融緩和を実施すると、投資マネーがコモディティー相場へ向かいやすくなります。QE3の後はどのようになるのでしょうか?

企業物価指数・天然資源

2008年頃はコークスや原油、現在は原発が停止しているというのに液化天然ガスの価格が高騰し、海外へ所得が流出しています。

企業物価指数・液化天然ガス他

円高で安く購入できていたのですが、段々円安にふれるにつれて輸入価格は上昇しつつあります。このまま外需の回復が鈍く輸出や海外からの投資のリターンが鈍ったままでいると、私達の所得はより伸びにくくなっていくかもしれません。購買力が落ちる、すなわち需要の減少ですから(輸入価格上昇起因のコストプッシュで消費者物価指数がやや上昇にふれたとしても)本質的にはデフレ的な状況を産みます。
原発再稼働は技術的な安全面からも巨大地震後の本震に匹敵する規模の余震の可能性の上からも難しく、四面楚歌の状態です。そのような日本の事情から、ガスや契約上ガスの価格とリンクさせている原油産地の商売人や商社が日本の足元をみやすい状態です。

液化天然ガスと石油の価格

では、どれくらいの為替レートがよいのでしょうか。実効為替レートで見ると、名目で101円、物価調整後の実質で93円と出ています。2010年春から為替レートは実効為替レートと乖離していたので、安倍政権による調整というよりは本来ある水準に戻りつつあるというのが正確なようです。

円ドル相場2009年9月から2013年

流れを見ても、安倍政権が誕生する2012年12月16日よりも遙か以前に為替相場が動いていることがわかります。
ポンドは6月、ユーロは2012年7月末ごろ、ドル&ユーロと共に円&ユーロも円安に、ドルは、QE3が始まった9月半ば頃から円安に動いています。

2012年為替相場

あるべき値に戻っているなら放置しても良いのでは?とも思うのですが、液化天然ガスの輸入量の増加と中国と尖閣諸島問題でもめているのと、欧州が金融危機のために輸出が落ち込み貿易赤字が増えていて円安はあまり国益にならない可能性があるため、ニュースにわざわざなるようなド派手な口先介入的な事をして「近隣窮乏策だ!」と他国との関係悪化や、中国の様に為替操作国認定を受ける様なリスクをおかしてまで実施するものでもないと考えています。自民党政権奪回の数ヶ月前から相場のトレンドは動いていたのですから、おのずと戻ると思われます。
「私達の経済政策と口先介入で戻ったのだ」というパフォーマンスをして大衆に「我々の政策が正しいのですよ!」とアナウンスして、更に日本銀行に緩和政策を強いるのが目的なのかな?とも邪推したりします。
日銀を悪者にすれば、本当は今回の口先介入に対する海外の反応をみても解る通り政治のほうが日銀より圧倒的に絶大な力を持っているのに社会の諸問題を解決してこなかった不作為への国民からの批判から身をかわす事ができます。日銀-中央銀行にマネタイズを強いれば超巨大財源という究極の利権を政治は獲得できます。
安倍内閣の円安政策にオバマ政権は報復をー米自動車団体が抗議 」1月17日(ブルームバーグ)
安倍政権の今後の追加緩和に強い懸念=ショイブレ独財務相」ロイター2013年 01月 18日
政府・日銀共同文書で大筋合意、円安批判のなか異次元の日銀緩和へ」ロイター2013年 01月 18日
アベノミクス:海外から批判…通貨安競争を助長」毎日新聞 2013年01月18日

貿易赤字と消費者物価指数

貿易収支だけでなく経常収支まで赤字になると、日本国内だけで日本国債を買い支える余力がなくなってしまいます。そうすると国際市場で国債を販売しなくてはいけなくなるので、外国市場の参加者が求める高い金利を支払わなくてはなりません。日本国債の平均償還期間は5年くらいと言われているので金利が上昇し始めて5年で借り換えが一巡し1000兆円の国債の金利負担がのしかかります。1%金利上昇で年間10兆円の利払い費増加と言われています。(現在の国の歳入は年間40兆円です)

国際収支・経常収支

確かに輸入物価の上昇はややインフレ方向へ針を動かすでしょう。でも、物価だけを見てインフレ率を上げさえすればいいというのはもしかするととても複雑な経済の中でたった一つの指標に注目するあまりに他のとても大切な事を見逃している可能性があるのかもしれません。
クルーグマン教授のアベノミクスへの評価はなかなか面白かったです。引用始め「まったくとち狂った思い込みから、安倍は、財政支出についての常識をはね除け、日銀を叩いているのかもしれない。」引用終わり



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