Doll of Deserting

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蜻蛉の翅ひとひら。(ギン←イヅ←修)

2005-09-26 23:13:41 | 過去作品(BLEACH)
 バタバタと羽根をうごめかせたそれは、抵抗する術もなく彼の手に堕ちるのです。明らかに残酷な行為であっても、その先には誰からも理解されない、彼特有の寂しさがあるのだと気付いてしまったのです。


ああ、僕がいてあげなければ。


 普通の人間から見れば、それは酷い行為以外の何ものでもありません。しかし僕にとってそれは秀逸な芸術であるのです。なぜならばそういったことをするというのはつまり、彼が感情を静かに露わにしている証拠なのですから。感情を剥き出しにした彼の表情といったら、それはもう、美という一文字でしか表せない程に人間臭く、凄艶な容貌をしています。そしてそれに見とれているうちに彼の手がこちらへ伸びてきて、僕の髪に触れてみたりします。
 何がたまらないかというと、そういうことなのです。あの細い指が伸びてくる瞬間、一種の世界の終わりのようなものを垣間見ることもあります。しかしそれは、僕にしか見えません。例えそれが世界の終幕の瞬間であったとしても、僕にしか見えないという事実を嬉しく思ってしまうのです。あの方が、それを見せて下さっているような気がするのです。
 同時に何か悲愴感のようなものを感じるのは、おそらく錯覚なのでしょう。虚言だと笑って下さって構いません。しかし今でも、僕はあの方を信じているのです。貴方とてあの方に騙されたではありませんか。…そして、そう思いたくはないのでしょう?ならば僕のことも理解して下さるべきなのではないでしょうか。いえ、分かっています。存じておりますとも。貴方と僕は違うということくらい。
 それでも待つことくらいは許されるのではないでしょうか。ええ、それでも、ですよ。あの方がふいに蜻蛉の虚弱な羽根をいとも簡単に手折ってしまうような方でも。あの方はお寂しいだけだったのです。そして僕だけが、その部分だけは最もよく理解して差し上げられた。

 僕を抱く腕も、僕の髪を撫でる指も、僕を見つめる瞳も、先程まではあの方の手の平の上にあった蜻蛉だけのものだったのに。そう思うと、やりきれぬ同情と、堪えきれぬ恋情とが一斉に込み上げてくるのです。そしてそれを、あの方は笑って見ていました。

 僕はあなたのもので、そうしてあなたも僕のものなのです。そう言うと、今までにない表情を見せて、ふっとあの人は消えていった。

「分かりますか…だからこそ、僕は誰かのものになるわけにはいかないのです。」
分かりますか、檜佐木先輩。
「分かるわけねえだろ。いつまでお前があの人に縛られてるかも検討がつかねえ。」

 そんなもの、答えは簡単ですよ。そう言って、吉良は浅く温い池に身を投げた。俺はそれを、黙って見ていた。ああ分かった。お前が死ぬまでなんだな。そう言いながら、あの人が昔したように、俺もそれを笑って見ていた。

「この世に危篤じゃない人間なんて誰もいないんですよ。」
 分かりますか、檜佐木先輩。吉良は浅い水面から細い腕を差し出しながら言った。水面には、先程まで飛んでいた蜻蛉の脆弱な薄い羽根がふわりと浮かんでいた。吉良の手には、一度は水に沈んだであろう蜻蛉の死骸が握られていた。昔あの人がしたように、慈しむように手の平に乗せて、そっと撫でた。

 俺は相変わらず、それを口の端を上げながら見つめている。もう少ししたら引き上げてやろうかと思っていると、吉良も同じような顔をして笑った。この世に何か滑稽なものがあるとするならばそれは一つしかないと、思った。



 深夜急に小説が書きたくなり、思うがままに筆を進めるとこんなロクでもないことになりますという例です。(汗)全くもってヒドイ男どもですね!いや三人とも。(笑)
 タイトルは「とんぼのはねひとひら」です。常用外の漢字やら見たこともない漢字やら見栄張って使いまくったのも敗因の一つかと。(泣)

お父さん。

2005-09-26 21:34:38 | 過去作品(BLEACH)
 14800HITキリリク連載の第一話をUPさせて頂いております。


 私、何度も何度も鬱陶しいくらいにお父さんっぽい攻が好きだと申し上げておりましたが、最近それも頂点に達し(コラ)何か皆お父さんでいいじゃん!的なところにまで発展致しました。(やめれ)

 いや、軽い冗談です。アハハ冗談ですよアハハ!(嘘つけ)


 ちなみに最近思ったことは、日番谷君は桃だけじゃなくて乱菊さんにも父親ヅラしてると可愛いなー…でした。(帰れ)むしろ市丸さんも乱菊さんの父親ヅラすればいいよ。勝手に見合い申し込まれた乱菊さんのところに乗り込めばいいんだ。(夢)


男「本日はお日柄もよく…。」
乱「ハァ…。(隊長、コレどうすればいいんですか。どうやって断るんですか。)」
日「(黙ってろ。とにかくお前をこんなヘナチョコにやるつもりはねえ。しかしどうするか…。)」
ダダダダダダダ…。(足音)


バーン!


市「乱菊!何しとんの!!」
乱「いっ市丸隊長!?そっちこそ何してるんですか!今日は吉良と出かけるんじゃなかったの!?」
市「乱菊が見合いしとるて聞いて…すっ飛んできた。イヅルも行けていうてくれたんや。ああホンマにええ子やなあ…。普段着姿可愛かったなァ…。それもこれも全部そこにおる男のせいや!!
日「何言ってんだよ!お前は松本の幼馴染だろ!?何の関係もねえじゃねえか!」

市「何やて!ボクにはなあ…幼馴染として乱菊を頼もしい旦那のとこに嫁に出して、仲人するていう役目があるんや!!
日「何だと市丸!松本の仲人は俺の役だ!!俺には隊長として副官をきっちり誠実な男のところに嫁に出し、松本に『今までお世話になりました』みたいな手紙を泣きながら読んでもらう義務がある!!」
乱「何言ってるんですか二人とも!!」

市「何言うとんの十番隊長はん…。アンタはれっきとした乱菊のダンナやろ?ボク今アンタにいっちゃん目ぇつけとるんやけど…。
乱「ギン!何言ってんのよホントに!!」
日「えっ…それホント?
乱「隊長も乗らないで下さい!!ものすごく目が輝いててヤな感じですよ!!一昔前の少女マンガみたい!!」

男「あのー…松本さんは僕と…。」

市&日「あ?
男「いえ…。」

日「さー行くか!松本、今日は俺とお前との祝賀会だもんな!!…二人きりの。(ぼそ)」
乱「えっ結局隊長あたしのこともらって下さるんですか?」
市「ええやん乱菊。あと十年もすればえらいエエ男になるで?」
乱「…はあ…。」

 頑張れ姐さん、逃げろ姐さん。エロガキの背後に嫌なオーラが見えるぞ!(笑)…ええとあのギャグ(になりきれているかもわかりませんが)にするとこんな感じですが、何というか乱菊さんの父親ヅラしながらも最終的には結局自分でもらってやることになる日番谷君とかいいですよねって…。(苦しい)

 おまけ。

市「なァイヅル、ボクが乱菊の父親で、十番隊長はんが旦那やとすると、イヅルは姑ていうことやんな?
イ「…何のお話ですか?」

 でもイヅルは素で窓のホコリ指ですくって「ふぅ…」とか似合うと思うんですけど。綺麗好きだから。(いい加減にしなさい)

花標~はなしるべ~(ギンイヅ14800HITキリリク連載):序章

2005-09-26 21:08:31 | 過去作品連載(キリリク作品)
*この小説をお読みになる前に、必ず下記記事の注意書きをご覧下さい。


 序章

 微かに香る芳香がここらにも昇ってきたような錯覚を覚えて、イヅルは眉をひそめた。その香りは、正しく彼の香と同じものだ。少しばかり顔をしかめ、鼻を鳴らすと、今度は芳香とは違い、やたらと強大な霊圧が感じられる。どうか間違いであれ、とイヅルは不安に喉を鳴らした。
(全く、これ程恐ろしいものだとも思わなかった…。)
 よく知らぬ男に蹂躙されるのではないかという恐怖は、すぐそこにまで危機が迫った今、あながち他人事でもなくなってきている。しかしもしそうなってしまった時には、自分は抗うことなど出来ないに違いない。家のため、面目のため。そういった煩わしいものに、イヅルは今も尚縛られたままだ。
「阿散井君、何やってるのさ。早く行こうよ。」
 教室移動という名目があるにしても、とにかく早くここから離れてしまいたい。そんなイヅルの表情を読み取ったのか、おかしなところで聡い友人は訝しげに口唇を結んだ。
「…なあ吉良、お前、本当にアイツと結婚する気なのかよ。」
「何を今更。」
 真央霊術院一回生である吉良イヅルは、女子であるのにも関わらず男子の制服を着用しているという少々変わった生徒だった。しかし肉感的という言葉からは程遠いが、全体的に華奢でしなやかな身体を持ち、日本人離れした色彩を母から譲り受けた彼女の中世的な美貌に、憧れる者が多いというのもまた確かだ。
「お前、嫌だって言おうと思えば幾らでも言えるだろ!ここでだって、我侭言って男として生活出来てんだ。今更親の決めた結婚相手を振ったって…。」
「どうでもいいさ。」
 イヅルの口から出た言葉に、恋次の背筋が凍る。まるでイヅル自身がそれを望んでいるかのようで、恋次は、大事にしていた幼馴染が大貴族に引き取られた時と同じような疎外感を感じた。
「そんなことはどうだっていい。どうだっていいんだよ。自分のことはどうにでもなるさ。しかし阿散井君、そこに他人が交わるとそうもいかない。それに僕は、このことを後悔などしていないんだよ。」
 男のような口調で話し、一人称は僕を使う。そんな些細なことであっても、男として友人と付き合うためには大事な要素だったのだ。しかしそれも、おそらく彼と結婚するにあたり必要なくなる。女として、生きなければならなくなる。
「彼は何にしろ父と母から授かった僕の命を救ってくれた。両親はそれを名目にしているけど、本当はそんなことがなくとも昔から僕と彼を結婚させたがっていたんだ。嫌でも分かる。それに、僕は―…。」
 結局、彼のことを愛しているんだよ。消え入るように放たれた言葉が本心から出たものなのかは読み取ることが出来なかったが、恋次はそれ以上何も言わなかった。本当に苦しいのは自分ではなく、本気でイヅルのことを恋愛対象として見た上で愛していた人間なのだとも思ったからだ。
「とにかくきちんと学校は卒業するさ。彼も―…市丸さんも、それを了承してくれてる。」
「…そうか。良かったな。」
 ギンは、むしろイヅルには一刻も早く死神になってもらい、ゆくゆくは自分の副官にするのだと語ったらしい。そのことを嬉しくはないと言えば嘘になる。何よりも、彼に期待をされることがイヅルは嬉しいのだ。
「…幸せか?」
「…分からない。でも、うん…幸せだよ。」
 イヅルが紡ぐ言葉の一つ一つを、風の音でも聞いているかのように空間に耳を寄せて聞き取る。ささやかな声ではあったが、後悔はしていないという言葉通りに、柔らかな声色だった。


 暫く教室移動のことも忘れてそのままにしていると、声高らかに同窓の声が鳴った。
「なあ!今、市丸副隊長が来てるらしいぜ!!」
 イヅルの背筋がびくりと震えたのを、恋次は見逃さなかった。視察ならばついこの間五番隊二人で訪れたばかりだ。例え視察とは言えども、それがただの偽りであるということは、嫌にでも分かった。



 とりあえず最初はシリアスですが、これから明るくなる予定です。

花標~はなしるべ~(ギンイヅ14800HITキリリク連載)

2005-09-26 21:05:49 | 過去作品連載(キリリク作品)
 この作品は14800HITのキリ番リクエストによります連載です。リクエスト頂いた方のご希望になるべく沿うように書かせて頂きますが、中には管理人が勝手に作り上げた捏造なども含まれますので(汗)以下の注意点をお読みになられてからご覧下さい。

*イヅルが女の子でも許せる。
*市丸さんとイヅルが許婚でも構わない。
*イヅルの両親が健在でもいい。
*あらゆる夢見すぎな描写(今更)なんて気にしない。


…などなど。(まだあるんかい)とりあえず今のところはこんな感じです…。頂いたリクエストはとても素敵なものだったのですが、どこまで私が表現出来るかがすこぶる不安です。(汗)宜しければ最後までお付き合い下さい。

*この小説は、キリリクを取得された方のみお持ち帰りなさって結構です。それ以外の方は申し訳ありませんが、ご遠慮下さい。