Doll of Deserting

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幾千の春を。(表)~従者編~(年賀SS。捏造斬魂刀)

2005-12-30 11:22:01 | 過去作品(BLEACH)
*全編捏造斬魂刀です。当サイトにおける捏造斬魂刀につきましては、こちらとかこちらとかこちらとかこちら(多っ)を参照して頂ければ宜しいかと。






広がる水の音
移ろう闇の影
横切る虫の声
今宵は宴が開かれる
密やかな酒宴が喉を焼く





 闇に沈む邸の中に、蜜色の光が蛍のように灯っている。間温めにと灯されたものなのかもしれないが、確かに幾人もの男女の影が見えた。全てが全てこの日のためにと設えた美しい着物を纏っており、いかにも吉事という雰囲気が窺える。繰り返し繰り返し、外でぎしぎしと水車が動き、その影を時折遮っていた。
「今宵はあちらも宴だそうで。」
「本当かい?鏡花水月。結構なことじゃないか。お陰であたし等もこんな贅沢が出来るってもんさ。」
 縁が細く、端から紐が垂れたような楕円形の眼鏡をかけた長い金糸の男が言うと、銀糸とも言える灰褐色の短い髪を括った女が杯を傾ける。時節は冬だというのに虫の声が響き、あれはどうしたのだと紅い椿の花を髪に結った女が問うと、同じく白い椿の花を髪に結った女は、はて、どうしたのでしょうと曖昧に返した。
「ただの宴ではあるまい。我が主も着飾って出かけて行かれたぞ。」
「まあ、紅。着飾って出かけられたのではございませんよ。あれは舞の衣装です。」
「今年は副隊長が舞を踊るのよって、桃が言ってたわ。」
 やや幼い風情の黒髪の少女が、見目に似合わぬ杯の縁を一舐めしてから言った。侘助は、そのような飛梅の姿に、少しばかり前は「ねえさま、ねえさま」と後ろを歩いて大層可愛らしかったのに、と二人して目を細める。
 するとこれまで他人の話を聞いてばかりで、これといって口を挟まなかった銀糸の美丈夫が、険しい顔を少々和らげ口を開いた。
「成る程、副官が舞うのか。朝ギンが吉良殿の着物を着付けてみたり簪を挿してみたり、何かと世話を焼いていたのはその所為であったのだな。」
「―…何?」
 何ともなしに口にした神鎗の言葉に、紅侘助の鋭い眼光が飛ぶ。これは失言であったか、と神鎗が酒を煽ると、白侘助が「おざなりになさいますな」とにっこりと微笑う。うべなうべな、これは参ったと神鎗は目を逸らしたが、とうとう侘助のみならず他の斬魂刀の視線までこちらに向いているのを窺い、やれやれと息を吐いた。
「あの男、よもや主の肌を暴いたのではあるまいな。」
「そのようなことは決してあるまい。着物を着付ける際に少々肌は窺えたかもしれぬが…いや、決してそのようなことは。」
 少なくとも神鎗の知る範囲内では真面目に面倒を見てやっていたのだが、何分ギンのことである。肌を暴くということはせずとも―…いや、着付けてやった時点で多少は肌が覗かれるに違いない。けれども決して暴いてはおらぬと神鎗が言葉を選ぶ余裕もなく言うと、侘助は尚疑念を抱いたような顔をしている。
「ホラホラあんた達いい加減にしな。祝いの席じゃないか。」
 この中ではなかなかの年長にあたる灰猫が声をかけると、侘助は渋々静まる。神鎗はといえば、主人のお陰でなぜ侘助の私に対する株を下げねばならぬのだとほとほと呆れ返る始末であった。
「しかしあの市丸が副官の世話、ねえ…なかなか変わったようじゃないか、あの男も。」
「乱菊さんも朝衣装とか用意してたの?」
「ああ、えらく楽しそうにね。あの子はほんとに賑やかな席が好きだからさ。」
「おら、灰猫。新しい酒だ―…お前ら何の話してんの?」
 やや軽い調子で顔を出したのは、長身痩躯の男である。浅葱色に近い銀糸に覆われたその顔はひどく整っているが、表情は主人と違いおおらかであった。本来ならば龍の姿をしているが、その体躯ではこの場におれぬと人形に変化しているらしい。
「おお、氷輪丸。随分と久方振りだな。」
「主人の仲が悪けりゃ疎遠にもなるだろうよ。こんな席がなけりゃ酒も呑めねえなあ、神鎗。」
 その言葉に、神鎗は全くだ、と苦笑する。ギンと日番谷が言葉を交わすことはあっても、主人同士の付き合いがなければ斬魂刀同士が顔を合わせることはまずない。主人同士の確執さえなければ親しいと言える神鎗と氷輪丸もその例に漏れず、今宵が幾月振りの逢瀬となった。
「そういえば氷輪丸、悪いねえ。あんたんとこの坊やに宜しく言っといてくんな。」
「坊や―…?ああ、…冬獅郎がどうかしたのか?」
 坊やなどと言っては牙を向けられそうだ、と思いつつ氷輪丸が尋ねると、灰猫はああ、と軽く頷く。
「乱菊の紅の色が新しかったからさあ、買ったのかって聞いてやったら、お宅の隊長さんに貰ったんだと。」
 隊長さん、と言いながらもその声色は茶化すようで、灰猫は悪戯めいた笑みを浮かべた。結局のところ冬獅郎のことを男として見ているのかどうかは分からないなあ、と氷輪丸はやや目尻を下げた。
「しかしまあ―…冬獅郎が、ねえ。」
 言ってから氷輪丸は、にやりと含んだような笑みを浮かべるが、灰猫は、またからかってやろうとでも考えているのだろう、と少しも頓着せず杯に酒を足そうとした。すると氷輪丸が屈んでその手を制す。どうしたのかと灰猫が問うと、いやあと氷輪丸が徳利を灰猫の杯に傾けた。
「こっちこそ冬獅郎が世話になってるみてえだからな、前途祝いに一つ酌でもさせてもらおうかと。」
「…ふん、前途祝いねえ。」
 酌してもらうのは悪くないけど、と灰猫がひっそりと目を細める。用意した酒は大層強いものであったが、それを一気に煽ると、あんたも酒豪だねえ、と氷輪丸が感心したような声を上げた。





 気が付けば飛梅が大分酔いが回ったかのような顔をしている。数年前より幾分成長はしたようだが、やっぱり弱いんだねえと灰猫が侘助の方を振り向けば、「少々弱い方が女は可愛いでしょう」と白が微笑む。白は元より酒などやらず、紅は頬を赤らめもせず呑んでいる。灰猫と紅侘助は「強くて悪かったな」というようなことをぼそりと呟いたが、それもまた良し、と特定の男は密やかに目を伏せた。
 そんな中、くらくらと頬を赤らめていた飛梅が、思い出したようにむくりと起き上がると、鏡花水月の方を見て言った。
「そういえば、桃の髪飾りも新しかったわ。」
「…先程の話を聞いていたわけですね。」
 慣れぬ酒を舐めながら、暫く口も開かずじっとしていた飛梅は、灰猫と氷輪丸の話を聞いていたらしい。それを思い出しつつ自分の主人の容貌を勘繰りたくなったのであろう。全く若い娘は、と灰猫は苦笑せずにはいられなかった。
「姐さん、違うのよ。違うの。何の根拠もなく言ってるんじゃないの。」
 飛梅は、自分より年齢が上の成熟した斬魂刀のことを呼び捨てにはしない。けれども灰猫や侘助には親しみを込めた呼び方をしてみたりする。灰猫や侘助は飛梅のことを可愛らしい妹のような子であると思っているので別段気にも留めないが。
「だって髪に付けるの勿体なさそうにしてたもの!付ける前そっと手に取ってみたりしてたもの!! 」
「それはまあ…惣右介が用意したんでしょうね。」
「そうでしょ、そう思うでしょ、鏡さん!」
「その呼び方はお止めなさいと言っているでしょう。」
 鏡花水月という名が長いからと言って、出会い頭に「月さん、水さん、花さん…それじゃ女の人みたいよね。じゃあ鏡、鏡さんでいいですか?」と年長の刀に向かって言ってのけたのは、幾百年昔のことであろうか。流石の鏡花水月も呆然と表情を失い、この子に現世で言うねーみんぐせんすとやらを問いただしたい。むしろ自分の能力を以って催眠でもかければ直るだろうかなどと血迷ったのも、今となっては昔の話である。おそらく、多分。
「でもあたし、あの子が心配だわ。」
「心配?」
 無邪気な顔をしていた飛梅が、急に「女」の顔をしてこちらを向いた。その鋭い眼光は侘助譲りか、と鏡花水月は些か眉をひそめて訝しい表情を見せたが、すぐにそれを戻して様子を窺うと、飛梅はやはり懸命な目をしてこちらを見据える。
「あなたの主人を悪く言うわけじゃないけど、惣右介さんは止めなさいって言ったの。あの人は優しいだけの人じゃないから止めなさいって。…でもあの子、止めなかった。」
「…斬術は指南しても、色恋にまで口を挟むのは少々驕りというものですよ。」
「分かってるわ。分かってるけど…でも、」
「…飛梅?」
 俯いてみせてから途中で言葉を区切ったかと思うと、途端にぷつりと何かが切れたかのようにその場にくず折れる飛梅を見て、鏡花水月がやれやれと溜息を吐く。倒れたこの子はやはり自分が連れて帰らなければならないのかと、そんなことを思いながら。
 するとこれまで固唾を飲んで見守っていた皆の中で、灰猫がぽつりと漏らした。
「全く、飛梅といい侘助といい、どうして自分の主人が選んだ男を認めてやらないんだろうねえ。」

―…あたしだったら、あの子が選んだんなら大層良い男だろうって、安心してやれるのに。

 灰猫の言葉に、鏡花水月が目を伏せて僅かに口の端を上げる。そのまま灰猫は暫く黙り込んだが、おかしなこと言っちまったね、と一言零すなり、その場に佇んでいた皆を散らした。





 どうしてこのように陰気なところへ導くのか、と白に問うと、おいで下さいませ、とまた同じ言葉を返された。宴を開くことになった時、果たして誰の精神世界が最も良いかという話になったが、暗がりならば侘助のところが良いであろう、と即決された。おまけに邸がある者とない者が存在する中、闇月夜の中にひっそりとした邸を持つ侘助は貴重である。
 紅が白に導かれたのは、邸宅の中でも最も陰湿な間であった。陽も差さず、しかし月明かりは仄かに覗く。けれども皆が酒宴を楽しんでいる間とは随分遠い。はて、これは、と訝しげな顔を浮かべ振り返ると、白の姿は既になかった。
 寒々しいのではないかと懸念していたが、どうやら間温めにと長いこと灯が使われていた模様である。爪先からそっと中に踏み入れると、やはり、と眉をひそめる。やはり神鎗である。余計なことを、思ったが、吉事の際の濃紺の羽織が目に優しく、そのまま中に足を踏み入れてしまった。
「…何やら白に案内されて来てみれば、やはり紅か。」
「言っておくが、我が望んだことではないぞ。」
「分かっているとも。」
 そう断ってから、神鎗はまあ座れ、と促す。紅はそれを見て、渋々と神鎗の前に腰を下ろした。寒くはないながらも、襖はちらりと開いている。そこからはささやかに月が覗いており、紅はふっと微笑を浮かべる。
「良い月だな。」
「ああ、やや白いがな。」
「それも良い。」
 そのようなやり取りを交わした後、神鎗が紅の前に置かれた杯に酒を注ぐ。紅はそれを手に取り即座に飲み下したが、神鎗は尚も酒を傾けた。それに少しばかり顔を顰めると、神鎗はさも面白そうな顔をして見ている。
「呑み比べでもしないか、紅よ。」
「…強いぞ?」
「なあに、潰してやるとも。たまには『刀』ではないお前が見たい。」
「斬魂刀としての資質を失った我など、ただの女でしかない。」
「良いさ…それもまた良い。」
 くつくつと杯を傾けながら、神鎗が微笑った。





 紅を送り出した後周囲を見渡すと、潰れた者か、意識はあるがちびちびと数人で酒を傾けている者しかおらず、白侘助はどうしましょう、と首を傾げた。すると背後から突然やんわりと肩を叩かれ、ふと後ろを振り返る。
「あら、まだ起きていらしたんですか?」
「ああ、俺は残ってないと。潰れた奴を処理出来ないだろう?」
 こういった時に彼と共に世話をしてくれる蛇尾丸の狒狒の方などは、蛇もろとも寝入ってしまっている。双魚理や花天狂骨、清虫なども同様である。主人が主人であるのでそういったことは身に付いているが、些か一度酒を始めると浸ってしまうのが常だ。蛇尾丸などは、戦闘となると狂気を見せるのにも関わらず、見かけによらぬと感心したものである。
「すみません、お気を遣わせて…。」
「いやいや、世話焼きの性分で勝手にやってるだけだから。」
 長い黒髪を中ほどで結ったその男は、主人に反して気さくで、年少やこういった席での酔っ払いの面倒もよく見てくれる。どちらかといえば十三番隊の隊長を思い出させるその人柄は皆に好かれるが、容貌はやはり主人と同じく人形のようであった。
 千本桜は、まだ時間が早いな、と時刻を確認すると、徳利を二、三本新たに持ってきてその場に座り、白侘助を呼び寄せた。
「どうだい、一杯やらないか。」
「あの、申し訳ございませんが私はお酒が…。」
「呑めなくても良いさ。俺んとこは白哉が付き合ってくれないからな、相手しちゃくれないか。」
「…謹んで、お酌をさせて頂きます。」
 そう言ってから徳利をそっと持ち上げると、千本桜の杯にそろそろと澄んだ色の酒を注ぎ込む。千本桜はそれを呑みながら、白哉はどうしてなかなかこちらに顔を見せないのかな、と苦笑しながら呟いた。白侘助は、あなたがあまりにからかうからですよ、と言おうとしたが、千本桜がいかにも懐かしそうな表情を浮かべていたので、やめておいた。


 


 主人が帰って来るまでに戻らねばならぬという者もいれば、否、主人の方も吉事の際は非番であるから、と残る者もいる。二人や三人でひっそりと呑んでいる者達は、こと主人同士の仲が良いかもしくは悪いかのどちらかで、この一度の逢瀬を大事にしたいと、弱い酒をやりながら談笑に勤しんでいた。
 これが終われば一年先だ。けれども主人がこの世を去れば、主人もろとも消え行く斬魂刀である。
 一年先はもしかすると、誰が消えているやも知れぬ。残酷ではあるがそれが事実だ。だからこそ刀は主人を敬い、進む道が正しくあるよう、深い泥の海に沈まぬよう、一心に見つめ続けている。
 一年後、またあの同胞と逢瀬が叶うよう、自分の最も美しい姿で、あの人に逢瀬が叶うよう、また潰れるほどに、和やかな酒が楽しめるように。



―…どうか、生きていて下さい。



「主人編」URL請求企画は終了致しました。ご覧下さった皆様、ありがとうございました!



*あとがき*

 ご免なさいorz
 大概趣味です。ほぼ趣味です。特に鏡花水月とかね、うん。もうイメージが白藍染をもうちょっとか細くしたようなお兄さんしか連想出来ませんでした…。
 とりあえず皆、まだデキてはおりません。(笑)大抵皆男→女。鏡花水月と飛梅に限り女→男。(笑)思いの他切ない終わり方になりましたが、どうやら日乱に恋の障害はない模様。(笑)
 ギンイヅと藍桃は、男側は黙認している模様。けれども女側はちょっと…みたいな。
 とりあえず、これをご覧頂いた方で、やっぱり裏の「主人編」が気になると仰る方は、上のリンクから詳細に飛んで下さいませ。(企画は一応終了しております)


*ちなみにこれ、一応企画の欄にございますが、過去作品をご覧頂かないと何が何やらなお話ですので、それでも良いと言って下さる心優しい方のみ、どうぞお持ち帰り下さい。報告は不要ですが、最低限サイト名は明記のほどお願い致します。

原作が。

2005-12-28 20:33:46 | 過去作品(BLEACH)
 もしあそこでこんなことになってたら。というあり得ない妄想。


 20巻178話。例のギン乱。


市「…ちょっと残念やなあ…もうちょっと捕まっとっても良かったのに…」
日「ふざけたこと抜かしてんじゃねえ市丸!!
市「快復早っ!!十番隊長さん三途の川渡っとったとこちゃうん!?」
日「それは何つーか、俺の中のエルフの血が…。
市「何の話や。
日「とにかくだ。不用意に松本に触るなあまつさえもうちょっととか言うな。
市「めっちゃ私情やないですか…。」
藍「というか君達早くしてくれないかな。
乱「ギン!あんたどこに行くつもりなのよ!!」

市「さいなら乱菊。ご免な…ええシーンやのに何乱菊の腰に手ぇ回しとるんやエロガキが。

日「いや、つい手が勝手に…。どうぞ早くお行きになって下さいお義父さん!
市「キミにお義父さんて呼ばれる筋合いはない。

市「…(仕切り直し)さいなら乱菊。ご免な…ちゅうか達者でな、ほんまに。


 えー…ごめんなさいorz「桃はどうしたんだよ日番谷君」というツッコミにつきましては、どういう書き方をしても日番谷君がやたらヒドイ男になるので突っ込みはナシの方向で。(汗)
 どうでもいいことですが、日番谷君が乱菊さんの腰に手を回しているところを想像すると、まるで迷子がお姉さんの服を掴んでいるようでとても微笑ましいです。(日番谷君に殺されそうだYO)



20巻170話。例の日番谷君到着時。



藍「予想より随分と早いご帰還だね。日番谷隊長は」
市「すんません。イヅルの引きつけが甘かったみたいですわ。せやけど別にあの子の所為やないんですよ?どっちかっちゅうたらそこの十番隊長さんがゴキブリみたいに這い回って来るんが悪いんや。
日「誰がゴキブリだ!!大体お前吉良に俺を足止めしろっつってねえだろうが!!!」
市「あら十番隊長さん、そこバラしたらあかんわー。せやってアンタボクの可愛え可愛えイヅルに手加減せえへんやろ?
日「そりゃあな。まあ吉良程度じゃ俺の(強調)可愛い可愛い松本をひれ伏させることすら出来ねえだろうが。
市「何か十番隊長さんツチノコとか食べた?
日「ツチノコとは何だ。せめてネッシーとかもっとでかいもんにしろよ。
市「や、そういう問題やないから。…何か悪いもんでも食べたんやないの?(可愛い可愛いて…)ちゅうか吉良程度て何や。ケンカ売っとんのか。

日「あーもうグダグダ言ってないでお嬢さんを俺に下さい!!

市「キミみたいなんに乱菊はやれまへん!!!
藍「いい加減にしないかお前達…。」


 いい加減にすべきなのは私の頭です。(ホントにな)
 ちなみに「俺の可愛い可愛い松本」は書きながら自分で苦笑しました。(それならやめればいい)



職権乱用。(ギンイヅ:市丸DE阿弥陀様投稿作品)

2005-12-28 13:34:35 | 過去作品(BLEACH)
鳥が堕ちる
その仄白い頬を向けながら
鳥が堕ちる
その憂い顔を地に這わせながら



 鳥が欲しいと言う。
 年末といえば職務の滞りが激しく、それに比べて書類の量は通常の倍という悪循環を孕んだ時期である。ともすればその影響で沸いた発言をする者も珍しくはない。が、そういった発言をした人間が他でもない隊主であるということに、イヅルは些か頭を抱えた。
 鳥というとどの鳥が欲しいのですか、とその発言に付き合ってやると、文鳥だと答える。現世から仕入れてきたらしい藍染の本を試しに読んでみたところ、その題名が文鳥であったのだと。ホラ、夏目何とか。と彼が言うので、ああ、漱石。と心当たりのある名を口にすれば、そうや、そうやった。と納得したような声が返ってきた。
「ですが隊長、今は鳥より書類です。」
「ボクは書類より鳥なんよ。」
「そう仰いましても、決算が差し迫っておりますので。」
 今度はいつもの怠慢では済まされないんですよ、と軽い叱責が飛ぶ。先程からギンは落ち着かず、ようやく机に腰を下ろさせたところであったというのに、これはどうしたことか。
「そもそもなぜ文鳥なのです?」
「さっき言うた通りやろ。」
「ご覧になったご本の題名だけでその鳥を欲されるような方だとは存じておりませんが。」
 まず、漱石などを読もうと思うこと自体、珍しいを通り越して訝しい。貸してくれと言われた当の藍染も、さぞ首を傾げたことだろう。イヅルは特に気にせず努めようといった素振りで背を向けると、自分の職務机に座り筆を取る。ギンはそれを一瞥し、嘆かわしいとでも言うように溜息を吐いた。
「…ボクの副官はこないに冷たい子ぉやったんか。」
「副官だからといって、隊長の我侭を全て聞き入れなくてはならぬという決まりはございません。」
「せやったら、隊長命令て言うたらええんか。」
「それこそ職権乱用にございます。」
 たかだか鳥の一羽二羽を飼うか飼わぬかで仕事の進みを遅らせるなど、とイヅルは言うが、段々とギンの持つ筆の先がささくれていくのを見て目を伏せた。それに比例して書類は黒ずんでゆく。
「…自室でお飼いになる分にはご自由にどうぞ。」
 イヅルの言葉に、ギンの顔が色を取り戻す。他の隊員達は、なぜ隊長の自室のことまで副隊長が許可を下すのかと訝しく思ったが、それは野暮かと黙り込んだ。ギンは「せやったら今から」と席を立とうとしたが、そればかりはイヅルの手によって阻まれることとなった。



 あの後実際に漱石の『文鳥』を検分してみたが、いかに文鳥は可愛らしいものかという話では決してなかった。良さを語った部分は確かにあるが、話の焦点はそこにない。果たしてギンは文鳥のどこに惹かれたのやら、と書類を虚ろな目で見つめる。期末の決算を終え、隊舎内はどこか落ち着きを取り戻したようであったが、未だ仕事は山積みである。
 終ぞギンの思惑は分からぬままだが、結局彼は文鳥を購入したらしく、自室の隅に何とも繊細な造りの鳥籠が置いてある。初めて見受けた時には大層驚いたものだが、近頃はイヅルも餌を与えてやるようになった。既に成熟しているので手乗りにすることは叶わないが、それはそれで愛嬌があり愛らしい。
「名は何というのですか?」
「名前なんてあらへんよ。」
「え…。」
「まだ付けてへん。」
「しかしそれでは可愛がるにも味気ないでしょう。宜しければご一緒にお考えになりませんか。」
「あかん。その子に名前なんていらへんのや。」
 でも…と言うイヅルの頭を胸に引き寄せ、あやすようにしてそれを押し留める。イヅルは不穏に思いギンを見上げたが、あまりに侘しげな表情を浮かべていたので、何も言えずに黙ったままであった。
 それにしても、ギンの飼い始めた文鳥はイヅルの知り得るものとは随分と毛色が異なるようであった。文鳥というものは、イヅルの見知る限り頭部が黒く、嘴は紅く、肢体は淡い群青色をしている。しかし目前からイヅルを円らな瞳で見据えている文鳥は、嘴は紅いがそれ以外は全く白い色をしていた。
 文鳥の嘴に指を翳しながら、興味深げにそれを眺めているイヅルを見て、ギンが苦笑する。
「綺麗な子ぉやろ?」
「ええ…でも、白いですね。」
「白文鳥やて。こっちは野生のんが多いからあんまり見らんなあ。現世では店で普通に売っとるけどね。」
「現世でお買いになったのですか?」
「内緒やで。ほんとは容易う行ったらあかんのやから。」
 義骸に入ってまでどうして、と尋ねれば、答えられぬといった様子で目を伏せられた。元より細められた目であるが、伏せた様子などははっきりと見て取れる。とにもかくにも、白い文鳥でなければならぬらしい。イヅルは空見しただけであったので本の内容はよく覚えていないが、ふと思い出して「お話の中の文鳥も白かったですか」と尋ねると、「うん、多分白やった」とギンは答えた。
「それにしても、綺麗ですね。雪のようです。」
「うん、せやね。ボクの自慢や。」
 育てたわけでもあるまいに、誇らしげにギンが言う。しかしそれは何か別の意味合いを孕んでいるような気がしたので、イヅルは敢えて微笑み返した。 



 


 鳥が死んだ。
 何と言うことはない。あっけない、眠るような死であった。新春を迎えて暫く経った頃である。鳥ならばもしや野犬や猫にやられたかと思ったが、考えてもみればここに犬や猫など存在しない。それならなぜ、とイヅルは尋ねてみたが、どうやら病死らしい。元よりあまり頑丈な鳥ではなさそうであったので、そう言われてイヅルはああ、と納得した。
 ギンが隊舎に現れることはなく、後に残るのは多大な書類と、まざまざとした喪失感だけであった。少なくともイヅルは共に可愛がってきた仲であるので、思い入れがあった。朝起こしに向かった際、塞ぎ込んでいたギンの姿を思い出す。

―…またお飼いになれば宜しいじゃありませんか、とは、どうしてか言うことが出来なかった。

 冷酷無比と言われる男であった。他人の死など物ともせずと。しかしたった一羽の鳥の死でここまで茫然自失になるとは思わず、イヅルは走らせていた筆を止める。するとそれを見かねた三席が「どうぞお行き下さい」と声をかけた。仕事の方は大丈夫ですから、と。



「失礼致します。」
 返事はないが、予想していたことである。上品な仕草で襖を開くと、ギンの自室は暗がりにあった。まだ昼間であるというのに、暗幕を引いたかの如く薄暗く、陰湿である。ここは精神世界か、という感覚さえ覚えるような場所だ。ギンは昨夜敷いた布団をそのままに、敷布に横たわっている。イヅルは襖のところで声を出そうとしたが、それは思い留まって近付いてから身体を揺り起こした。
「隊長、お風邪を召されます。」
 起きろとは言わずに、何を引っ掛けてもいない身体に布団を掛けてやる。ギンは特に気にもしない様子であったが、一言イヅルか、と呟いたので、はい、と返事をした。
「鳥な、死んでもうた。」
「…存じております。」
 ギンの掌にひっそりと置かれているものを見て、ぎくりとした。やはり鳥の死骸である。ギンの顔に涙の跡などはなかった。ギンが泣くとは思ってもいなかったが、表情を見れば何とも切なげであり、飄々とした雰囲気は一切ない。しかしながら泣いた痕跡はどこにもなく、イヅルはいっそ泣いておしまいになればいいのにとぼんやり考えていた。
 いつもならば隊長という名を盾に取り、幾らでも自己主張を通す男なのにも関わらず、このように脆弱な部分をありありと見せ付けられては、恐ろしいというよりもむしろ安心してしまう。そうしてこのような部分を容易く見せるということは、少しは信用されているのか、とも。
 ギンは、暫くイヅルが声を出さずにいると、イヅルがいることを忘却したかのように亡骸を掌で包み、一声呟いた。

―…イヅル、と。

 確かにイヅルと言ったのだ。なのでイヅルは「はい」と応えたが、ギンは全くこちらを振り向かず、亡骸に向かってイヅル、イヅルと呼びかけ続ける。その度にイヅルは「はい」と返事をしたが、ギンに聞こえていないことは百も承知であった。
 そうして一頻りやり取りをした後、ギンは思い出したようにイヅルの髪を梳き、布団に招き入れた。特に何をするわけでもなく、そのままただイヅルを抱き締めていると、淡い花の香りがする。そこでようやく、イヅルの手に花が握られていたことに気が付いた。他でもない、手向けの花である。



 文鳥が欲しい、と、はじめにそう言ったのは本を借りた藍染の自室でのことだ。藍染は、ギンが本を借りることがまず珍妙なのにも関わらずこの期に及んで何を言い出すのかと狼狽したが、笑みは変わらずも表情は至って真剣である。
『白い文鳥が欲しいんやけど。』
『…吉良君に投影するのなら、カナリヤなんかが良いんじゃないのかい?』
 ギンの思惑を、藍染は容易く言い当てた。ギンは一瞬目を見開いたが、すぐに表情を戻し、更に笑みを深くする。藍染がイヅルに譬えたのは、儚い淡黄色が印象的な愛らしい鳥であった。しかしギンは、それでは駄目だと言う。
『えらい人に慣れるんがええ。…それに、白い方があの子に似とる。』
 普段の飄々とした笑みが一瞬違うものに変化したのを、藍染は見逃さなかった。ギンはイヅルを白いものに譬う。さながらに美しいと、そう譬う。しかしそれにはつまり、汚せぬものであるという意味合いも秘められているということを、藍染は知っていた。

 思えば賭けであったのやもしれぬと、藍染は思った。おそらく最期まで付き従わせることは出来ぬと知るギンが、せめてと願った賭けであったのやもしれぬ、と。

 

 深い安息の中、重い瞼を押し上げる。しかし時刻はそれほど変化しておらず、ギンは抱き込んだままのイヅルの姿を確認すると、ほっと息を吐いた。ギンは、必ず最期まで時を共に出来る存在を一心に求めていたが、それが叶わぬということは知っていた。ギンが隊長という職を以って手に入れた副官は、決して死にまで付き添わせるわけにはいかない。
 藍染の自室でその本を手に取ったのは、ほんの偶然であったと言っても過言ではない。ただ、以前より文鳥という鳥は人によく懐くと聞き知っていたこともあり、興味本位で1頁目を開いた。小説にしては短い話であったので、そのまま最後までぱらぱらと読み進めた後、これを貸してくれと藍染に申し出る。彼はそれはそれは瞠目したが、興味があるのなら、とそれを許した。
 
 話の最後、小説の中でも文鳥は命を落とした。

 けれどもやはりそれは賭けであったのやもしれぬ。小説の中と全く同様の鳥を飼い、それをイヅルに投影させて世話をしてやる。職権を以ってイヅルに無理難題を押し付けてきた自分が世話をしてやることで最期まで生き延びれば、これより先もまるで共に歩むことが出来るかのような錯覚を覚えられるやもしれぬと、渇望が胸を襲った。
「…駄目やった、なあ。」
「何がですか?」
 ふと胸元を見れば、イヅルが目を覚ましていた。握られていた白い花は長く抱き込まれていたせいでひどく萎れているが、それを見たギンはああ、やはりこの子は白だと笑みを浮かべる。
「隊長、お元気になられたのでしたらお仕事をされませんと。」
「今日はもう終いやろ。イヅルもまだええやん、寝よ。」
「…それも隊長命令ですか?」
「せやね、隊長命令や。」
「…鳥の時といい…どれだけあなたは職権という職権を乱用されれば気が済まれるのですか。」
「…どこまで許してくれはる?」
 許しません、とすぐさま叱責しようとしたが、ギンの声が明るいとは言えぬのを聞き受けてそのまま沈黙を保つ。ギンはイヅルを胸に抱いたまま、浅く目を閉じた。どこまですればイヅルが離れてくれるのか、どこまですれば離れないでいてくれるのか、ギンには全く分からぬままである。するとイヅルは同じように抱き込まれたまま目を閉じるが、ギンの心の内を読むようにしてぽつりと呟いた。

「どれほど勝手をなさっても、僕は絶対にお傍を離れませんから。」

 そうしてイヅルは、ギンの寝間着の袖を掴んだ。ギンは目を閉じたまま、何も言わずイヅルに口付ける。ギンの表情が見えぬように、イヅルもひっそりと目を閉じた。
 ギンの手には変わらず骸が握られており、既に敷布に掠れて白い羽根が散り咲いている。けれども鳥籠は尚も何かを閉じ込めるのを待っているかのように少し開いていた。



鳥が堕ちる
その仄白い頬を向けながら
鳥が堕ちる
その憂い顔を地に這わせながら



■あとがき■
 僭越ながら「市丸DE阿弥陀」様に投稿させて頂いたギンイヅでございます。
 いや、本当せっかく素敵な御題を頂いたにも関わらずわけ分からん話になったと思いますが(汗)自分なりに「職権乱用」というテーマを模索してみました。
 結局市丸さんはあまり我侭になりませんでしたが(汗)まあいつものことかな、と…。(ぇえ)イヅル大事な男になりましたよいつも通り。(笑)

霞姫。(喜夜:喜夜祭様投稿作品)

2005-12-28 13:30:27 | 過去作品(BLEACH)
 夕凪に紛れる淡い月の色を眺めながら、鮮やかな色の着物に袖を通す。それはひどく狂わしい紅色をしていたが、一針一針丹念に彫られた花模様が繊細で美しい。一目でさぞ高価なものであろうことが見受けられる高尚な着物である。しかし普段の夜一からすれば珍しい、と喜助は被ったままになっている帽子をひっそりと畳に置いた。
 夜一が喜助の前に惜しげもなく素肌を晒すことは珍しくない。それは男と女の間柄であるから故であると他者は見るのかもしれぬが、決してそうではなく、ただ夜一がそういったことに頓着しないためであった。が、喜助は常にそのことを気に病んでいる。さも彼女のことは全て許容しているといった風な顔をしているけれども、胸の内はやはり宜しくない。
 しかし目前に佇む夜一の横顔は普段見ているものとは少々違うようで、喜助も同じく険しい表情を見せた。夜一は楽な服装を好んで着用しており、現世で服を与えられた時にも「着物なんぞより良い」といたく気に入った素振りを見せた。それ以来着物に袖を通したことなどなかったというのに、あちらから持ち込んだ着物を夕時になって突然手に取り自室へと消えた夜一を見て、これはどうしたことか、とテッサイなどは訝しい表情を隠せないでいる。
 そうしてそのことを喜助に知らせると、ああそう、と何ともなしに答えられ、そのまま慣れた仕草で夜一のいる部屋の入り口を開いたのだった。
「失礼しますよ、夜一サン。」
「おう、喜助か。」
テッサイはそこで場を離れたが、喜助は足音を立てずにおもむろに中に入ってゆく。元より女性の着替えに立ち入るような愚か者ではないが、内に佇むしなやかな背中に魅せられ、とうとう踏み入れてしまったのである。素肌を拝むため、というよりも、その凛と光の差す横顔に惹かれて。
今更、という間柄ではあるが、それはそれだと念のために「すみません」と謝罪しておくと、「何がじゃ?」とさも不思議そうに目を開かれたので、そのまま畳に座してしまった。
「綺麗っスねえ。」
「そうじゃろう、そうじゃろう。」
 二度繰り返し、夜一は襦袢をきつく締めた。すると着物のことじゃないのに、と喜助が薄く苦笑を浮かべる。その容貌からしても、吉事などに用いる着物であることは容易く分かるが、けれども果たしてなぜ今日という日に持ち出したのか、それは分からずじまいであった。
「今日は何かありましたっけ?」
「何もないぞ?…そろそろ年は明けるがな。」
 そう言って懐かしそうに目を細める彼女がいとおしく、掻き抱いてしまいたい思いを押し留める。それこそそんなことをしては今の状況につけ込んだようであると思ったためだ。喜助は話を逸らすような気持ちで、穏やかに口を開く。
「早いもんスねえ…一緒にコッチに来てどれくらいになります?」
「そうじゃのう…そろそろ一年と半年になるか。」
「おや、そんなになりますか。」
 喜助が罪を犯し、あちらを追放されてから既に一度年を明かしていたが、それももう二度目となる。夜一と喜助は目を細めたまま外を眺め、夕闇に染まる前は空気と共に空が白んでいたことを思い、雪が近いのやもしれぬと考えていた。
「それで、どうして何もないのにその着物を着てみようと思ったんスか?」
「正月に着ようと思ったんじゃが、長う着ておらんものじゃからどうなっておるか気になってな…。どうやらまだ着られるようじゃ。」
「虫なんかには喰われてないみたいっスね…。でも今年の正月は普通の格好だったじゃありませんか。」
「折角の正月じゃ。今年とは違う着物で脅かそうと思うてな。じゃが見られてしもうた。つまらん。」
 不貞腐れたように息を吐いた夜一を見て、それはそれは、と喜助が笑みを浮かべた。どんな形であろうとも、美しい姿を見せようと思ってくれたことは嬉しい。自分だけにではないだろうが、普段外見にはあまり頓着しない夜一のことである。
「…正月じゃなくても良いじゃないスか。綺麗ですよ。」
「いや、正月にも着るぞ。テッサイにはまだ見られておらぬからのう。」

―…本当は、いつもより綺麗なところはアタシにしか見せないで欲しいんスけどねえ。

 そうは思うが、夜一は無邪気に正月の算段を立てている。何とも可愛らしい、と感じてしまうところがまた忌々しい。喜助は、夜一のこういった奔放な部分も、もしくは凛とした部分も、時折見せる懐かしげな表情も、全て許容し、愛している。しかしながら、何の意識もなくこのように振舞うのは、些か残酷なのではないかとも思う。未だ彼女は、『女』としての自分の価値をよく知らぬままである。
「…そんなもの着なくても、充分艶かしいんですけどねえ、アナタは。」
「何か言ったか?喜助。」
「いいえ、何にも。」
 背を向けたまま、夜一が肩越しに訝しげな顔を浮かべる。喜助は畳に帽子を置いたままにして、ふと立ち上がり背後から夜一を抱き締めた。夜一は突然のことに驚いて喜助を振り返るが、額に口付けられ、そのまま押し黙った。
 


 夕闇はいつしか濃紺の空へと変貌し、夜一の紅を沈めるようにして二人の影に覆い被さる。するとふとした瞬間に、女美丈夫とも言える夜一が何とも儚い色を帯びているように思えて、少しばかり腕の力を強めた。霞がかった影の美しい人は、艶めいた黒髪を垂らして喜助の胸に身を寄せたが、大きく開かれた丸い瞳は終ぞそのままであった。



今宵は潜む 月の下
朧に浮かぶ 霞姫
今宵は土に 惑う紅
小さく微笑う 霞姫





■あとがき■
 僭越ながら「喜夜祭」様に投稿させて頂きました喜夜でございます。(タイトルは「かすみひめ」と読むのですが、~かすみひめ~とルビを振るよりもこちらの方が良い気がしたので。あしからず)
 とても好きなCPにも関わらずあまり書く機会に恵まれませんでしたので、これを機会にデビュー。(笑)素敵な場をありがとうございましたv
 夜一さんが無自覚に肌を露出するのを、喜助さんはあまり宜しく思っていないといいなあ、と。
 ジン太と雨がいつからいるのかはよく分かりませんが、この時はいないということで。

キャラソンCD感想。

2005-12-27 20:49:49 | 過去作品(BLEACH)
 いや、書かずにはいられなかった…。友人に「市丸ギンに1000円使うべきか否か」と真剣に質問したところ、「買っとけよ☆」とにこやかに言われたので、すぐさまCDショップへGO!(笑)…したところまでは良かったんです。うん。自室で初めて聴くまではな。



…。



 いや、もう市丸隊長某ゴリエと一緒に紅白出ようぜ!!!(笑)
 や、遊佐さんお疲れ様です。マジで。(笑)



 つうかあたしの1000円…!いやそれはいい。ジャケットと歌声(あくまで声。笑)だけで1155円(税込み)だ!そう思え自分!!


 とりあえず順を追って…。


1曲目:世界は既に欺きの上に


 何つーか、歌詞だけは存じておりましたが、


おォこら怖いわ あァこらいかんわ
こらしゃあないわ さすがに酷いわ


 …せめてもうちょっと声が明るければまだいいのに、やたらシリアス声で歌われると「呪いの呪文か!」と思います。(笑)


 某所様で言われていたように、確かにちょっとガクトっぽい。(笑)そして微妙にラルクっぽくもあり。あ、あの皆さん私勝手にラルクとか言ってますけどそのつもりでお聞きにならないで下さいね!(笑)


 つうかアレですよ。最後の方、「バイバーイ」って何度も途中途中に入れるのやめて下さいよ!
 それ以前に、サビに入った時点で私の中枢神経は既にヤバかったです。(『喜びの歌』とかとテンション同じやないか!とね)
 喜びの歌っつーとアレです。CMとかでよく流れてるクラシック。(ありすぎて分かんねえよ)いやアレはハレルヤとかと並ぶYO!(笑)
 市丸隊長そろそろオペラ座デビューっスかね!(えっそれならイヅルはクリスティーnッゴフゥ!)
 

 いや、サビのところの台詞「よく頑張ったねもう大丈夫だ」って…藍染隊長の…それともアレか?やっぱ市丸さんも密かにイヅルに対してそう思っていたというこt(黙れ)



2曲目:冬の花火


 ウワーア!松谷さん(乱菊さんの声優さん)上手ー!!(笑)


 ていうかね、全体的にね、悪い男に捨てられた感がヒシヒシとします。
 何かこう…市丸さんがいかにも口の上手い男って感じがするYO!!いや間違ってないけど何かこう…乱菊さん騙されちゃった!みたいな感じが。(笑)


棄て猫拾い また捨てて


 ってコレは乱菊さんのことですよね?そうですよね?じゃあダメだよ!「捨てて」の後に「拾い」とか書かなきゃダメだよ!!


 日番谷の坊に拾われた事実を省くなYO!!(そっちー!?)


 えー…勝手な女で申し訳ございません。(ホントにな)


 全体的に市丸さんというか遊佐さんのお声が高くて少年っぽいです。(笑)ていうか「愛されることが怖いだけ?」って…!もしそうならイヅルの襟を猫掴みして捧げてやって下さい乱菊さん。(コラ)

乱「ホラ、愛されることが怖いとか言ってんじゃないわよ!ここに可哀想なくらいアンタのこと好きな子がいるんだから!」
市「ら、乱菊!分かったから放したり!!ちゅうかイヅルをそない持ち方するんやない…!!
イ「た、たいちょ…。」

 みたいなうちのギンイヅ。とうとうへタレと言われた(友人談。笑)うちの市丸さん。え?いやそれは元からだよマイフレンド(爆)
 
 まず自分よりちょっとでも長身なイヅルを猫掴み出来るうちの乱菊さんが謎じゃよ。(ホントにな)

 多分乱菊さんは、この後日番谷隊長から「女が軽々しく男を持ち上げるんじゃねえ!俺の夢が壊れる!!」というような理不尽な叱責を受けると思います。(ぇえ)



3曲目:表裏Hyo-ri


 アハハハハハハハハ!!!!!(大変失礼)


 えー…心臓に悪いので、突然ランララーラララララとか本当やめてくれよ!!おや?普通の曲じゃないのvと前奏部分で思った期待はどこへ…!いや、歌は普通に良かったけどさ!!!


 とか思っていたら何と口笛が来たよ。
 あれも遊佐さんが吹いてるんですか。(笑)


 というか、


ボクはたやすう 剣は抜かへん
だから滅多に 笑顔以外になれへん

 って本当ですか。

その場 その時 いつも本音や
せやけど それは心の底と 裏腹

 って本当ですか。何か間違うてへんか。


 まあ、「えっ?もしかしてうちの市丸さんの認識って結構間違ってなかったんじゃねえの!?」と少しでもときめいたのは確かですよ。確かですけど(帰れ)


 しかし、市丸さんの言ってきたことが全て心の底と裏腹だということは、「ついておいで」とか「ご免な」とかも裏腹ってことですか。そう思うとムカつきますね☆(爽やかに)
 けれども明らかに「ご免な」は本心だったので抜かすとして、「嘘」とか「ボクとキミの仲やないの」とかそういう…!!
 ていうかまあ「ついておいで」はどう考えても裏腹とかそういうのには出来ないと思うのですが、ああもしかして心の中では「危ない目に合わされへん」って思ってたってことかな!(大変都合の良い解釈)


 まあ、「裏腹」が「浦原」に聴こえるというのは今更な事実として(笑)やっぱ「本音」はどう聴いても「本気」に聴こえますよ。間違い…?


 最後になりましたが、買ったことを後悔はしておりません。(笑)というか、都合の良い感想でごめんなさいorz(いつもそんなんだろ)

手のひらの破片(日乱。奈々嘉様より頂きましたv)

2005-12-27 20:48:49 | 前サイトでの頂き物
市丸が藍染達と去って現世へ行くまでの間の出来事だった。

しばらく気丈に振舞っていた松本もある日それが元で少し体調を崩した。

あいつは弱い自分をさらけ出すのを最も嫌う。だから強がる。

特に今回は過去から繋がりのある市丸が関わっているとあれば内心かなり滅茶苦茶だと思う。

俺はそんな松本を正直見ている事が出来なかった・・・



「すまねぇが俺もまだ本調子じゃねぇし、今日は松本も体調崩して休んでる。後は任せる。」

体調の状態から俺は今日も執務を早目に切り上げ、後の事を第三席に任せることにした。

その足で松本に何か持って行ってやろうと思って果物屋で林檎を2つ買って行った。

そして・・・

「松本居るか?」

と松本の部屋へ辿り着き松本を呼んでみる。とにかくこの林檎だけ渡したら帰ろうと思っていた。

「隊長・・・わざわざどうしたんですか?」

「ただの見舞いだ。滅多に倒れねぇお前が倒れたんだ、少しは心配してやんねぇとな」

「それはどう言う意味ですか?あたしの事人間と思っていませんね?」

元気そうに受け答えはしているもののやはりいつもの表情とは少し違っていた。

「せっかく来てくれたんですから上がってくださいvv」

「あっ・・ああ。」

そんな表情の松本をほっておくことが出来ず部屋へ上がった。

「松本、お前体調良くねぇんだろ?林檎剥いてやるから大人しく横になってろ。」

「でも・・・」

「隊長命令だ!」

「・・・大人しく聞きます。」

あまり良いとは思わなかったが、そうでもしねぇと松本は無理するだろうし・・・。

しばらくして何とか林檎を剥き終わり松本の元へ持って行く。

「隊長・・・あまり上手な剥き方とは・・・」

「うるせぇ・・・とっとと食え。」

俺が言うと渋々松本が林檎を食べ始めた。


「隊長、この林檎の形何だかガラスの破片みたいな形していません?」

「言われてみればそうかもな。」

「あたし・・・今回の事で心が砕け散った感じがしたんです。そして、その散った心の破片はまだ全部元には戻ってくれないんです。戻って来ない一部の破片はきっと何処かへ行ってしまったのね・・・」

松本は林檎を見つめ話し始める。

「隊長・・・あたし本当は怖いんです。このまま破片が全部見つからなくってあたしがあたしじゃなくなったら・・・」

「しっかりしろ松本!!何があろうとお前はお前何者でもねぇ、十番隊副隊長松本乱菊だろう?破片はどれだけ時間が掛かっても一緒に探してやる。」

「隊長・・・・」

松本はうつむいて静かに涙を流し始めていた。

「ほら、今日は思い切り泣け。俺が付いてる。」

俺は松本を抱き締めてやった。そして泣きやむまでその頭を撫で続けた。

「だから、強がるな。辛くなったら俺に寄りかかっていいんだぞ。」


俺は松本が元気になるならそれでいい。


松本が笑ってくれるならそれでいい。


今は大泣きしてもいい。


例え破片が全部見付かって俺を見てくれなくても


松本が居てくれれば俺はそれでいいんだ・・・







 いつもお世話になっております「stripped-diva-girl」の奈々嘉様より、相互記念リクで素敵な日乱小説を頂きましたv「男らしい日番谷君と少し弱い乱菊さん」ということでリクエストをさせて頂いたのですが、正にリクエスト通りに仕上げて下さいまして感激です…!
 傷心の乱菊さんを慰める日番谷君と、可愛らしい乱菊さんに心奪われました。(笑)
 奈々嘉さん、お忙しい中このように素敵な小説を下さいまして、本当にありがとうございました!私も頑張りますね…!!

メリークリスマース♪

2005-12-24 21:50:29 | 過去作品(BLEACH)
 そろそろ脳が限界状態になってきたところで(汗)クリスマスネタいきます…。

*藍染隊長と日番谷君はおかしく、市丸さんがツッコミです…。特にカッコいい日番谷君がお好きな方はご注意下さい。(いつもそんなんやろ)


 そもそもクリスマスって何ですか。(by吉良副隊長)


市「あーイヅル…クリスマスいうんはな、男が女(?)にちょこっと高価なモンをあげる日なんやで。」
藍「当たっているようで全然違うよ市丸。


 その分だとホワイトデーは「男がバレンタインデーに女にもらった3倍の値段を返す日」だと認識してそうだねお前は。(by藍染隊長)


市「どっから沸いて出はったんですか藍染隊長…。ちゅうかアンタは副官に何かあげてきたんですか。」
藍「吉良君、クリスマスというのはね、そもそもイエス・キリストという現世の偉人が…。
市「聞けや。
藍「雛森君にかい?あげてきたとも。女の子はこういうの好きだからねー。」
市「参考までに聞いとくけど、何プレゼントしはったん?」
藍「…紙キレを一枚。」
市「…現金とか言わはったらどつきますよ。
藍「いや、もっと現実的なものさ。」
市「…婚姻届とか言わはったら池に沈めますよ。
藍「ハハハそれでもないね。何を隠そう子供が出来た時に書く「命名」っていう紙だから。
市「アホかああああああ!!!!!!子供も産まれてへんのに何に使うんや!」
藍「それは心配ご無用。プレゼントは布団付きさ☆
市「ああそうですか。勝手にしはって下さい…。」
イ「市丸隊長がここまで突っ込みに回るだなんて、藍染隊長ってすごいんですね☆」
藍「いやいや吉良君キミには負けるさ☆」
市「もうどこへでも行けばええ…。や、イヅルは行ったらアカン!


そんでそんでー(・∀・)


桃「あ、あの、藍染隊長…封筒の中にこんなものが入ってたんですけど…入れ間違いでしょうか?」
藍「いや、間違いなく君にあげたものだよ?」
市「貸し、雛森ちゃん。空欄に「ぺ」て書いて総隊長に提出したるわ。
藍「全く市丸、お前って奴は上司と部下の友好関係を邪魔するんだから…。」
市「もう一回ボクの目ぇ見ながら言うて下さい。
藍「いいとも。市丸…。」
市「やっぱ気色悪いからやめぇ。


市「イヅルはええんか!仮にも初恋の女の子がこないな男に引っかかってもうて…。」
イ「僕は別に。雛森君が幸せなら…。」
藍「いやあ、市丸の部下でありながら君はなかなか理解があるようで嬉しいよ。」
市「やっぱあかん!イヅルの仲ええ子と藍染隊長が夫婦やなんてあかん…!!ボクの前途のためにあかん!!(本音)
桃「あの、市丸隊長…。落ち着いて下さい。」
藍「そうだよ市丸。雛森君が怖がっているじゃないか。」
市「いっちゃん怖いのはアンタや。
藍「あっ…そういえばもうちょっと仕事が残っているんだったね。夜のために頑張らないと…。帰ろうか、雛森君。」
桃「(夜…?)はいっ、藍染隊長!」



市「やっと落ち着いたわ…。なあイヅル、さっきみたいに(?)な、今日は何か贈りもんがもらえる日やねん。」
イ「えっ…申し訳ございません!僕何も用意出来てなくて…。」
市「ええからええから。何でも欲しいもん言うてみ?」


日「松本が欲しい。
市「うわ、出た。


市「そないなことは乱菊本人に言うたって下さい十番隊長さん。」
日「本人に言えねえから父親代わり(?)のお前に言ってるんだろうが。」
市「…ちゅうか、乱菊に欲しいもんあるかて聞かれたりしたん?
日「あわよくば「あたしがプレゼントですv」とか何とか言う松本が欲しいという気持ちを押し隠しつつ、真面目に仕事をするお前が欲しいと言っておいた。
市「そら結構なことや…。でも結局乱菊なんやね。


乱「あら隊長、こんなところで何なさってるんですか?」
日「…っ松本…。いやちょっとマリアナ海溝の偉大さについて討論を…。
市「落ち着きぃ十番隊長さん。
乱「そういえば隊長、クリスマスプレゼントの件考えてくれました?」
日「いやだから真面目に仕事をするお前が欲しいと…。」
乱「…それ以外で。
日「じゃあお前の使ってる印鑑を…。
市「何に使う気なんや。
日「いや、ちょっとこの書類に捺印しようかと思ってな…。」
市「婚姻届か。アンタまで藍染隊長みたいになんのやめてくれはりませんか。」
乱「印鑑?そんなんでいいんですか?」
市「お前も騙されるんやない、乱菊。
乱「とにかく、今夜は一緒にお祝いしましょうよ隊長v美味しいお酒もあるんですよ。隊長のお誕生日はロクにお祝い出来なかったし、今日しましょう、今日v」
日「そうだな。たまには一緒に飲むか。邪魔したな、市丸。」
市「や、ええけど…。(お持ち帰りされへんようにな、乱菊…。)



市「そんでや、イヅル。お前は何が欲しいん?」
イ「…お仕事をなさる市丸隊長が欲しいです。
市「えっあっそう来る?


イ「…じゃあ、今日一日市丸隊長のお暇を全部下さい。」
市「何や、そんなんでええの?ほんならイヅルは何をくれんのやろ。」
イ「え、あ…。」
市「ほんなら、ボクもイヅルのお暇、今日一日もろうてええ?」
イ「…今日一日と言わず、幾らでも。」
市「せやったら、何か食べにいこか。何食べたい?」
イ「それより隊長のお部屋でお食事をさせて頂きたいのですが…。駄目ですか?僕の料理では…。」
市「ほんま?イヅルの料理が一番好きやねん。おおきに。」


 めでたし、めでたし。(?)


~Fin~


■あとがき■
「ぺ」が苗字であるということは存じております。(言いたいことはそれだけか)三番隊のバカップル具合はもう気にしないであげて下さい…!五番隊と十番隊の隊長に副隊長が喰われたかどうかは神のみぞ知る。(逃げた)三番隊は…ねえ。(何)

狂気の白。(ギンイヅ+???)

2005-12-23 21:23:24 | 過去作品(BLEACH)
*オリキャラ視点で、イヅルに激しく夢を見ております。設定も捏造が著しいので、大丈夫と言って下さる方のみご覧下さい。





 その白い花が欲しいと鵺に問えば、鵺は馬鹿にしたように笑った。



 この世で意識を取り戻した時と同じ、柔らかい光が頬を差す。
 死んだ時には何が起こったのかよく分からなかったが、快い人に引き取られたお陰でこの頃世の中のことがようやっと見えてきた。どうやらこの世界では、霊力のある人間が優遇されるらしい。その人々は霊力を持たぬ人間には毛嫌いされているが、良い暮らしをしたいのならともかく真央霊術院というところに入学せよと、引き取ってくれた親は言った。
 ならば、と、特にやることもなかった俺は勉学に励んだ。元より微弱ながら霊力を授かっていたこともあり、頭だけでなく身体にもそれはよく身に付いたようで、学び始めた時の不安は確かな自信へと変貌していった。
 そうしてある程度体躯が成長してから、統学院へと試験を受けるべく向かったのだった。あまり裕福な家庭ではなかったので、落ちることは許されぬと、深く心に刻みながら。



 蕗のとうが土から芽吹き出した翌年、そろそろ摘み取るかと庭を見ていると、どうやら合格したらしいとの報告を受け、胸を撫で下ろす。しかしながら、改めて通知を受けた時にはやはり驚いた。成績を見れば首席とのことだったが、あまり霊力が高くはないことを自覚していたので、余計に目を見開いたのだ。
「今までありがとうございました。」
「良かったねえ、あんた。たまの休みには帰っておいでよ。」
「…はい。」
 正直、帰るつもりなんて俺にはなかった。けれども育ての親にそう言われては、頷くしかない。決して帰るのが嫌というわけではないが、ここに帰る度懐かしい気持ちに浸ってしまうのは駄目だ。それでは自立など出来ない。そう思った。



 入学式当日は、雨が降った。まるで俺の前途を暗示しているみたいじゃないか、と卑屈に思ったが、今日入学式を迎える者は皆同じことを考えているに違いない。どちらにしろ入学式は屋内なのだし、そんなことは気にするべきでないと自分に言い聞かせた。
「なあ、あの先輩可愛いと思わないか?」
「…そうか?俺は別に…。」
 今日の昼に声をかけられ、早速出来た友人はどうやら勉学よりも色恋に興じているようだった。彼が指を差していたのは柔らかい黒髪を二つに束ねている女子学生で、どうやら一つ上の学年のようだ。雰囲気は幼いが、確かに華奢で可愛らしい。
「何だよ。ほんとに勉強のことしか考えらんねえ奴だなあ。」
 呆れたように言われたが、それに怒気や蔑みは感じられなかった。どちらかといえば茶化すような物言いをされたので、こちらからも曖昧に微笑みかけてやった。可愛いとは思うけどね、ともう一度先輩の集団に視線をやると、一瞬だけ、一人の先輩と目が合った。本当にたった一瞬のことだったので男子か女子かも分からなかったけれども、多分あれは男子だ。制服の水色が微かに見えた。
「―…。」
「何だ何だ、好みの先輩でもいたのか?」
「いや…。」
 ほんの僅かな逢瀬だったが、確かに彼はこちらに向かって微笑んでいた。もしかすると俺を知っているのだろうか、と思ってみるが、そんなわけはない。会った経験はないし、まして俺が有名であるはずがないのだから。
 もやもやとした衝動を抑えつつも再度あちらを見るが、もう先輩方は行ってしまった後で、何故だかほっと胸を撫で下ろしてしまった。ただ、俺がどこを見ていたのか友人には気付かれたらしい。本当にこんな時だけ聡い男だ。
「ああ―…吉良先輩か。なかなか綺麗な人だけどありゃあ男だ。」
「分かってるさ…知ってるのか?」
「そりゃあ知ってるだろ。何たって二年の首席だ。入学してずっと首席護り続けてるって人だろ。」
「吉良…イヅルか?」
「何だ、お前も知ってるんじゃねえか。」
 当然だ。俺は入学してから、歴代の首席入学者と首席卒業者を調べ上げたことがあった。単なる興味本位というのもある。霊力がさして高くない俺が何故首席とされたのか、それが気になっただけのことだった。文献はやたら詳しく記されており、実技、学科それぞれの配点まで如実に表されていた。助かったといえば助かったが、来年同じところに自分の名が載るのかと思うと、気が気ではない。


 鵺は尚も笑う。お前に覚悟があるのかと。その花のために、命を棄てる覚悟があるのか、と。


 次にその人を見たのは、初めて実習を行った次の日のことだ。見た、というより、声をかけられた。当然別の者に声をかけたのだろうと一度目は振り返らなかったが、二度目、肩を叩かれてようやく自分が名を呼ばれていることに気付く。
「…何故、お…いえ、僕の名を知っていらっしゃるのですか?吉良先輩。」
「分かるさ。今年の首席入学生は君だろう?君こそ、何故僕の名を知っているんだい?」
「分かりますよ。昨年の首席入学生は貴方でしょう?」
「ほら、お互い様だ。」
 そう微笑みながらも、そんなに畏まらなくていいと親しげに話すその人は、ひどく物腰が落ち着いていた。白皙の美貌は遠目に見れば青白いが、近場で見ればさも艶かしい。しかしながら、頼りなげな体躯はやはり華奢であった。そして俺より随分と小さい。そこまで考えて、何を思っているのだろうと自分を叱責する。
「あの…それで、何用ですか?」
「いや、君達のところは昨日魂葬の実習だったんじゃないかと思って。」
「そうですけど。」
「無事に済んだかい?」
「ええ、まあ…。」
「そう…それは良かった。」
 何か思うところがあったような気はしたけれども、俺は尋ねることをしなかった。本当は。数ある学院の文献を読み漁ったことで、昨年の実習の一部始終は知っていたのに、だ。当然檜佐木先輩の名も存じ上げている。しかし、あれは痛ましい事件であったと、真相はそこまでしか知らない。そして、吉良先輩の所属していた組がその実習に参加していたことも。
「あの、昨年の実習のことなら存じております。ですから、今年は昨年のような出来事は…。」
「ああ、いや、気を揉ませてしまって済まない。しかし、君もよく知っていたね?」
「この学院のことなら、先輩方の名前まで存じております。」
 首席の、とは、あえて言わなかった。首席の名だけ調べたとあっては、どうも印象が悪いような気がしたのだ。何故か、どこかでこの人に良く思われようと思っている自分がいるのかもしれなかった。
「っははは…!」
 突然笑い声が上がり、どうしたのかと訝しげにそちらを見れば、吉良先輩が朗らかに笑っている。あまりそういう笑い方をする人ではないと思っていたので少し驚いたが、すぐに見開いていた眼を戻した。
「どうされたんですか?」
「いや、昔の僕によく似てるなあと思って。」
「貴方に?」
「うん。僕も去年のはじめは我武者羅に勉強したり、学院のことまで貪るように調べたりしたものだよ。それこそ、歴代の首席である先輩方の名前まで―…ね。この頃は死神の学だけに専念してるけど。」
 最後に発された言葉にはっとして、ふと恥ずかしく思う。首席の名のみ調べていたということは見破られていたのか、と。自分と似ている、ということであるから、分かりやすかったのかもしれないが。
「…なぜ、無差別に学ぶことをお止めになられたのですか。」
 俺が問うと、彼はやんわりと微笑んで、口を開いた。その表情はまるで哀れんでいるようにも見える。
「目標が定まったから…かな。」
「目標…。」
 うん、と彼は髪を揺らしながら言う。短く切り揃えられた髪は、淡い光を浴びて豊かな蜜色を放っている。青い眼すら光に塗れて燐光を差しており、美しいと、ただ美しいと思った。
「この生を賭けて仕えたいと願えるお方が見つかったんだ。その人のことは名前だけ知っていたんだ。随分昔の首席卒院生として名簿に名前が載っていたからね。」
「…その方の名は。」
 俺が尋ねてみても、先輩は頑として表情を崩さずこちらを見つめている。その口から他者の名が紡がれることは終ぞなかった。ただそれは俺に答えられないというよりも、その名を発することは恐れ多く、恥らうべきことだと思っているように見えた。
「…すみません。」
「いや、いいんだ。」
 そう言うと、彼は「ありがとう」と残してその場を去って行った。一体何のことに対して礼を受けているのか分からなかったが、強いて言うならばはじめの問いに対する答えか、と思うことにした。



 二度目に逢瀬を交わしたのは、冬のはじめの図書館であった。もう陽もとっくりと暮れてしまっていたが、本を返却するのを忘れてしまっていたのだ。幸い図書館は遅くまで開いている。司書の係はいないが、貴重な文献などは別の場所にあるため、大した額にもならない本などが置いてある場所は施錠が成されていないことが多いのだ。大体からして、施錠されていなくとも入る者を選ぶ高等結界が成されているこの学院において、そのような気苦労は無用ということか。
この学院は、こと期限というものにうるさい。返却日が遅れたとあっては、司書の係から叱責を食らうのは確実だろうと思い、暗い廊下をそろそろと駆けていくと、ふと入り口に差し掛かったところで人影を見受けた。
「全くいつになったら僕の課題を返してくれるんだい?」
「ちょっと待て!もうすぐ終わる。」
「何もこんなところでやらなくたって部屋に戻ってから写せばいいのに…別に本を役立てるわけでもあるまいし。」
「ダメだ!部屋じゃ寝る!!」
 遅くに何をしているのかと思えば、吉良先輩と共にあるのはどうやら阿散井先輩のようだ。阿散井先輩の前方にある机上には、二人分の用紙が置かれている。阿散井先輩が必死に眺めている方がおそらく吉良先輩の課題用紙だろう。用紙が黒く見えるほどに、文字がびっしりと書き込まれている。
「大体君って奴は毎回毎回ぎりぎりにならないと始めないんだから…。実習はあんなにはりきるくせに。」
「うるせえ。お前ももうちょっと手ぇ抜いてやれよ。写すのが面倒だろうが。」
「あ…の…。」
「「え?」」
 こちらへ向かう声が、一重なりになった。阿散井先輩は訝しげに俺の方を見たが、吉良先輩の方は一度笑って気まずそうに顔を背ける。それが可笑しく思えて吹き出すと、今度は阿散井先輩が一層深く眉をひそめた。



 思えば、あの日からだった。吉良先輩や阿散井先輩が、廊下などで擦れ違うと親しげに挨拶を交わしてくれるようになったのは。言ってみればただそれだけの関係なのだが、俺は本当に、心底嬉しかった。
 しかしながら、まともに会話を交わしたことは数えるほどにしかない。先輩方が卒業するまでに、ほんの数回だ。それでも俺は、彼の卒業の日のことをありありと記憶している。
死神の候補生が統学院を出て帰趨するところといえば一つしかないので、翌年に俺が後を追えばいいだけの話なのだが、もし話をするならばその時が最後であると思った。何故だか、一つ年を重ねた時、もう既に彼は遠くへ行ってしまっているような気がして、穏やかな気持ちにはなれなかった。
「…吉良先輩?」
「ああ…君か。」
 出会った頃と同じく、やんわりと彼は微笑む。飴色の髪は心なしか長くなったようで、話の繋ぎにまだ伸ばすんですかと問うとどうしようかな、と疑問符が浮かぶ。艶かしい肌の色は尚もそのままだ。けれども、初めて会った時のような情動は沸いてこない。あの時の俺ときたら、この肌に喰らいつきたいような邪念を抱いていたのだから。
 そうして黙り込むと、彼は「どうしたんだい?」と問うてから俺の頭を撫でた。最初に出会った時既に彼の背丈は追い越していたが、時折彼はこうして見上げながら頭を軽く叩く。しかしそれが心地良く思え、俺はまた罪を犯してしまったような気持ちになるのだった。
「あの…ご卒業、おめでとうございます。」
 暫く話してからようやっとそう口にすると、彼は「ありがとう」と呟いて笑みが一層深くなった。
「卒業されたら、どちらの隊に配属なさるんですか?」
 もし入隊試験に合格しなかった場合、帰る家などないと話していたのを思い出す。どうやら彼はこちら出身のようで、両親は早くに亡くしているらしい。
「うーん…まだ結果は分からないけど、五番隊、かな。」
「それでは貴方が仕えたかったのは、藍染隊長なんですか?」
「いや、違うね。僕が仕えたいと思っている人は、今五番隊にはいらっしゃらない。」
「今、は―…?」
 俺が入学するとほぼ同時に、五番隊の市丸副隊長が三番隊の市丸隊長へと呼び名を変えた。思えば、吉良先輩達が一年時に虚に襲われた際、救援に訪れたのは誰であっただろうか。他でもない、藍染隊長と市丸副隊長―…いや、市丸隊長だった。成る程、と思う。この人が渇望していた男は、あの人か、と。
「すみません、喋り過ぎました。」
「いや、君も頑張って。」
 そう言葉を交わして別れた。やはり、それきりだった。



 ***



 昔の話を思い出していた。ひどく、昔の話を。手足の感覚は既にない。数十年前彼の後を追って護廷へ入隊したはいいが、五番隊へと配属されることは叶わなかった。ただ、俺が入隊したのは九番隊で、副隊長である檜佐木さんは吉良先輩と仲睦まじかったので、もしかすると逢瀬が叶うのではないかと、そう思っていた。しかし実際には着々と出世し、気が付けば三番隊の副隊長として刀を振るっていた彼と、席はあっても下級であった俺が話をすることなどなかった。
 一度隊舎の前で顔を合わせたことならあった。彼は一瞬はっとしたようだったが、気のせいかと思ったようで、すぐに顔を背けた。俺を覚えていたわけでなく、ただ他の誰かと間違えただけかもしれなかったが。


―…吉良副隊長、あなたはあの時のことを、果たして覚えていらっしゃるでしょうか。


 聞こえていないことを知りながら、心の中で、静かに呼びかける。


―…ここで俺が死んでも、あなたの人生に影響することはないでしょう。ただあなたを残して死ぬ人間が、一人増えただけのことです。


 上空を見上げる。二度目の逢瀬を果たした時と同じ、暗い、暗い空だ。


―…これから幾度となく、あなたの前から男も女も、姿を消していくことでしょう。ただ、あの方だけはあなたを置いて行くことのないようにと、そう願っています。


 上空でまた鵺が笑う。馬鹿め、と。お前が命を賭したとしても、花はお前の命など望まぬ、と。


―…分かっているとも。しかし―…


「やはりあなたは、私を殺すんですね。」
「…そんだけのことしたんや。当たり前やろ?」
「…市丸隊長。」
「何や。」
 こちらへ向かう双眸は、闇に紛れて深紅とも翡翠とも取れぬ色をしている。
 この人の寝首を掻こうとしたのはつい先程のことだ。何故そのようなことを思い立ったのか俺にも分からない。ただ、過去の夢を見ていた。この人のことを凄艶な表情で語った彼のことを思い出していると、ふとした瞬間にただならぬ戦慄が走る。すると衝動的に、消さなくてはと思った。この人は―…いや、この男は、俺にとって唯一の汚濁の象徴だった。
 吉良副隊長に対して、歪んだ感情があったことは否定しない。根底から歪曲させ、その歪みに入り込んで俺のものにしたいと、そう思ったことは確かだ。しかし、それを実行に移そうとしたことはなかった。彼はこの男のものだと割り切っていた。が、何か自分の中で煮え切らぬものがあったのだろう。
 死神は首を刈られぬ限り死ぬことはない。そう聞き知っていたので一気に首を狙ったが、ましてこの男がそれに気付かぬはずはなかった。ただ、一突きで殺してくれなかったのはこの男の情けか。それとも非情か。
「市丸隊長。」
「せやから何や。」
「このことは、吉良副隊長にも報告されるのですか。」
「せえへんよ。自分を好きなようにしたい思うてボクの寝首掻く男の話やなんて、あの子の耳に良うない。」
「…はっ。」
 気付いていたか。俺が彼に懸想していることを。否、常に彼の傍にいながら、この男が気付いていないわけもなかった。遠目に吉良先輩―・・・いや、吉良副隊長のことを、どうにか話が出来ないものかと思い時折見ていた男の存在を、この男が知らぬわけもないのだ。
「…市丸隊長。」
「まだ何ぞあるんか。ボク早う寝直したいんやけど。」
「…吉良副隊長のことを、お大事になさって下さい。」
「…言われんでも大事にしとるわ。」
 今更そんなことを言うのか、と、さも煩わしそうに答えられたので、「はい」とだけ返した。市丸隊長は神鎗を構え直すと、冷めた声で一言残す。
「もうええな。」
「…どうぞ。」
 呟いたのと同時に、腹に強烈な痛みが襲う。始解をするのも愚かしいと思ったのか、その神鎗は短刀の形成を保ったままだ。意識が絶たれる瞬間、市丸隊長は確かに寝間着であったのに、その背に白い羽織が見えたような気がした。


―…ただ、あなたが孤独でなきよう。せめてこのように愚かな男がいたことを、記憶の端にでも留めて下さるようにと。


 やはり鵺が笑う。花はとうに儂が喰ろうてしもうたと、笑う。






■あとがき■
 何だか御免なさい…としか言いようが。orz
 ガードマン市丸。番犬市丸。ぶっちゃけイヅルの安全に人生費やしてる市丸。(お前んトコの市丸さん全部そんなんだよ)
 白い花はイヅルで、鵺は市丸さんです…。イヅルに夢見すぎな感じですみません。(涙)
 オリキャラ君の名前はあえて伏せてあります。ネタを考えた時にはもっといい子だったのにどこから道を踏み外したのか…アレ?(汗)
 本当はイヅルを侮辱した男をオリキャラ君が間違えて殺しちゃって、それがお偉いさんだったために処刑されることになって、最後にああいう風に呼びかける感じで終了、というはずだったのです。ここまでギンイヅ要素が濃くなるはずじゃなかったんですよ。(笑)…orz

33333HIT記念。

2005-12-22 20:31:11 | 過去作品(BLEACH)
 何というか、当サイトもお陰様で33333HITを迎えることが出来ました。遅ばせながら、記念小ネタでございます。(全然記念になっていないような気も)



市「…そういうわけでな、やっぱ33333HITいうことはボクらが出なあかんやろ?」
イ「出たところで何になるんですか。いえむしろ何する気ですか?


イ「ええと…とりあえず、33333HITありがとうございます。ここまで来れたのも皆様のお陰です。(管理人代弁)」
市「…で、何すればええの?」
イ「何か隊長適当に芸でも見せて下さいよ。何となくイメージ的に口からハトとか出せそうじゃありませんか。
市「どないなイメージやねん。ちゅうかイヅルもしかして喧嘩売っとるやろ?」


 口からハト出せそう=口の大きさ云々。(笑)


市「しゃあないなァ。ほんならマジックでもしたるわ。」
イ「えっ?ホントに出来るんですか!?」
市「うん。まずここに一個シルクハットがあるやろ?
イ「どっから出したんですか。


市「それでな、ここに子供時代の乱菊の写真入れると十番隊長さんが釣れー…
日「釣れねえよ。
イ「ひっ…日番谷隊長!?ていうか何で日番谷隊長なんですか市丸隊長。」
市「ネタに困ったらとにかく十番隊長さん出しとけいうんがこのサイトの鉄則や。
イ「えげつなー…。」


 えっいや別にネタに困ったりしてませんから!(苦しい言い訳)


日「それで、一体何だ愚兄。
市「や、その小ネタの収録は終わったで十番隊長さん…。(こちら参照。笑ちゅうかさりげなく懐に写真入れんなや。
日「いや、どうしたことか手が勝手に…。
市「いや、せやったらあげるからその辺にしとき。」


 そんなこんなでどうしたー。(・∀・)


日「そうか、33333記念か…。よし、頑張れ。
市「待ちい。(ガシッ)
日「何だ、悪いが市丸、俺はもうこの場に未練なんてねえんだ…。(写真も頂いたことだしな。)
市「邪念見えまくりやん!とにかくさっさとコサックダンスでも闘牛士の舞いでも踊ればええんよ!!!
日「くそっ市丸…また前の小ネタを掘り返すようなマネを…!」(こちら参照。
市「や、さっき掘り返したんアンタやからね。」
日「残念だが市丸…コサックダンスは疲れるし、闘牛士の舞は代々十番隊隊長のみに受け継がれる秘伝の奥義だからな、こんなところで披露するわけには…。
市「嘘つけ。


日「つうかそうこうしてる間にお前の副官あそこで酒呑んでるけどいいのか?」
市「イッイヅルー!?
イ「もういいです!隊長達はそこでふざけ合っていらっしゃれば宜しいんです!!僕が一人でストリップショーでもやりますから!!!
市「待ちぃイヅル!(ボクのところに)嫁入り前やのに…!!!あれほど酒呑んだらあかんて言うたのに…。」
イ「3番吉良イヅル脱ぎまーすv
市「せやからあかんて!(泣)
日「何か勝手にオーディション始まってるみてーだけどいいのかよ…。」


イ「あはははははは!!!!!」
市「イヅルー帰って来ぃー!」
日「俺は帰るからあとは頼んだ。」
市「逃げるんかコラ。


 このあと吉良副隊長が脱いだとか脱がなかったとか。


 相変わらずイヅルと日番谷君おかしくてすみません。ていうか市丸さんツッコミですみません。(涙)


 まず全く御礼小ネタになっていないところがすみません。(コラ)ところどころ過去の小ネタが紛れてるところが痛いYO!(泣)

千紫万紅。(日乱、日番谷君お誕生日記念フリーSS)

2005-12-20 00:00:00 | 過去作品(BLEACH)
*色々なお話とリンク致しております。特に「月下氷人」、「寒月の紅葉」、ちょこっと「夜を儚む」の内容を含みますのでご注意下さい。
*三番隊もやたら出張っております。それでも大丈夫と言って下さるかたはどうぞ↓





ゆるゆると、根底から蝕まれてゆくような感覚を覚える。
崩壊である。再び崩れ落ちることを知りながら、尚も身を起こすそれは、やはり崩壊である。
行き着く先は正しく死であるのに、生まれることを止めない、崩壊の名。
その名を―…再生と言う。



 屋根に氷柱が下がるようになった。死後の世界と言えど、尸魂界は楽園ではない。現世と同じく四季を抱く、ということはやはり冬も厳しいのだ。特に死覆装一枚のみ着用を許される死神にとって、冬は過酷以外の何ものでもない。夏は夏で暑苦しいのだが。
 さりとて、身に着けるものは死覆装以外にあって襟巻きくらいで、他にはこれといって何もない。確かに寒いという気持ちはあるが、動いていれば徐々に薄れてくる。そういった職に就いているのが、死神というものなのである。
 しかしながら、乱菊ほど襟元をしどけなく乱し、煩わしげに副官証を腰などに身に付けていれば、やはり気にはなる。服装面に規定は特に存在しないので口煩く言うつもりはないが、この厳冬の中その格好は如何なものかと思う。
「おい、松本。寒くねえのか?」
「いいえ、別に。隊長こそ寒くありません?」
「俺はお前に比べれば強いんだよ。羽織もあるしな。」
「ああ、子供の方が寒さには強いって言いますもんね。」
「…喧嘩売ってんのか?」
 乱菊が茶化すように言うと、日番谷がいかにも不機嫌そうに眉を顰めたので、「冗談ですよ、冗談」と同じ調子で誤魔化した。
 普段と同様胸元は開いていても、襟巻きをしているので別段冷えた風の感覚はない。いささか袖の内側に肌寒さを感じるが、耐えられないというわけではないので、黙っていた。
 任務に向かうのに、こんなにも息苦しさを感じたのはこれが初めてのことだ。



 暦を見れば―…愛しい期日が差し迫ってきている。



 昨年の日番谷の誕生日には、五番隊も連れ立って共に冬の花火を眺めた。今年の乱菊の誕生日には、日番谷からの贈り物を二人で食し、紅葉狩りの約束を取り付けた。するとやはり明日の日番谷の生誕祭には、何か返さなければならないであろう。部下として、というよりも、一人の女として、このままではならぬと自身が告げていた。
 任務は滞りなく進み、あっけなく幕を閉じてしまった。しかし早く終えれば終えたで、悩みは深くなるばかりである。むしろ多忙であった方が、日番谷の気も自分の気も別に削がれる。まして自分の出生日すら他人越しでなければ明かさぬ日番谷のことだ。実質的には一度ずつ贈り返しているのだから、日番谷にしてみればお互い様とでも思うであろう。元より、見返りなど気にしない男である。
 だがしかし、そういうわけにもいかない―…乱菊はよく分かっていた。そして、何かすべきと決めたからには、こうして一人執務室でじっとしているわけにもいかない。日番谷は任務終了の報告に行っているらしい。隊長副隊長同行の任務といっても、内容はそれほど大したものではなかったのだから部下に任せれば良いのにと思うが、彼はやけに律儀だ。
 そうと決まれば、と、乱菊はおそらく今日はもう終いであろうと見切りをつけて、執務室を後にした。



 上司との仲を向上させるためには何が必要か、と元来昔馴染みとして火急の際に頼ってきた男に問うと、訝しげに首を傾げられた。しまった、彼の副官に尋ねるべきだったかと後になって思うが、時既に遅しといったところか。
「何や、珍しなあ。」
「何がよ。」
「隊長と副隊長を仲良うするやなんて、乱菊がいっちゃん詳しいんやないの?」
「…え?」
 人の誕生日ん時はあない大層なこと言うとったくせに、とギンが口の端を上げながら言う。確かに乱菊は、ギンの誕生日に副官との仲を取り持つようなことをした。しかしそれとこれとは別問題だ。自分のこととなると、相手の性格も違えば状況も違う。
「そりゃ…あんたのことも吉良のこともあたしはよく分かってたもの。」
 しかし日番谷は違う。昔馴染みや後輩ではなく、ただ一人の男である。見てくれは少年であるが、他でもない一人の男である。ギンは乱菊の言葉にふうんと頷き、一瞬嘲るように笑ったかと思うと、おもむろに口を開いた。
「同じや。」
「は?」
「人んことも自分のことも、おんなじようにすればええんよ。大体十番隊長さんなんて物もらうのに拘るようなお人やないやろ?そんならこないだのイヅルみたいに、身一つでおめでとうて言いに行けばええんやないの。」
「吉良は知らなかったんだから身一つでも仕方ないでしょ。あたしは前から知ってたんだからそういうわけにはいかないじゃないの。」
「せやったら花の一輪でも添えたったらええ。」
「買いに行く暇なんてないわ…こんなことならもっと早く告白でもしとくんだった…。」
 部下として誕生日を祝うことは、乱菊にとって虚しいものであった。だからこそ今回も祝うことを躊躇い、まだ分からぬからと贈り物も用意出来なかった。しかし、だからといって想いを告げることも出来ない。試みたことは幾度となくあるが、自分の方が随分と年かさであること、日番谷にとっての桃の存在などを考えれば、段々と先延ばしにしてしまうのだった。
「せやけど、十番隊長さんは乱菊の誕生日、祝うてくれはったんやろ?」
「そうよ。もしかしたら脈があるんじゃないかと思って、その時一応『好きです』って言ったんだけど…わざと聞こえないように言ったからちょっとね。」
「せやったら、くっついてへんのに抱き合いよったんや?」
「なっ…何であんたがそんなこと知ってんのよ!」
 本当にギンという男は、いつどこに潜んでいるか分からぬものである。当のギンは息を殺して笑っていたので、こちらに向けた背を強く打ってやった。
「酷いなァ、乱菊…。そういや十番隊長さんて、自分から誕生日教えはったん?」
「そんなわけないでしょ。あの人はそういうことしないもの。去年桃から聞いたのよ。」
「…なァ、乱菊。ボクはイヅルに副官の義務で祝われたない思うて自分から言わへんかったやろ?」
「ええ、そうね。」
「十番隊長さんも、ボクと同じや。」
 どういうことか、分かるやろ?と悪戯をするように笑んで、ギンが呟く。何の根拠があるのよ、と言いつつも乱菊が立ち上がると、ギンがそれを引き止めた。
「花がないんやったら、イヅルの家の庭に咲いとるからもろうて行き。あの子非番やから家におると思うわ。」
「…やけにお詳しいこと。」
 ありがとう、と呟きながら、ふと乱菊が毒づいた。ギンはそれを慈しむような顔をして見つめていた。間違ってもこんな男を親にしたくはないが、乱菊はギンのその表情を、まるで母親のようだと笑った。せめて父親ではないかとやや不本意そうにギンが眉を寄せたが、そのままにして乱菊は踵を返した。



 イヅルの家は静かであったが、彼にはそれがよく似合うと乱菊は思った。休日仕様の若草色の着物に袖を通したイヅルは、夕暮れ時に姿を現した乱菊を快く迎え入れる。寒かったでしょう、と問うイヅルをそれこそ母親のようだと思うが、黙っていた。
 温かい煎茶を乱菊の前に差し出し、穏やかにイヅルが口を開いた。
「今日はどうされました?」
「あの、花を、頂けないかしらと思って…。」
 途切れ途切れに乱菊が言う。ギンと同じようにイヅルが首を傾げるのを見て、可笑しく思いながらも躊躇いがちに事の始終を説明する。自分の気持ちはひた隠しに、ただ日番谷が明日に誕生日を迎えること、しかし何も用意しておらず、ギンに相談したところここを教えられたことなどを簡潔に続けていくと、イヅルはやはりギンと同じように、慈しむような顔で乱菊を見つめていた。
「それで、どう?」
「ええ、僕の庭に勝手に咲いた花ですから、幾らでもどうぞ。」
 イヅルの育てた花ではないと、前に言っていたのを思い出した。家を借りた時にはもう既に咲いており、前の住人のものかと大家に問うてみたが、違うと言われたらしい。世話をせずともぐんぐんと成長し、四季折々の情景を見せる庭は、イヅルの密かな癒しであった。
 庭に下りると、彩り朗らかな花々が咲いているが、総じて冬の花である。思えば冬の花というものは、これほど種類の多いものであっただろうか。中には春咲きのものまであるように見える。
「…どれがいいと思う?」
「そうですね…冬の花というと、あまり贈り物に適したものはないような気がしますが…。」
 椿は誕生日の贈り物に相応しい花ではないし、だからといって山茶花は切花にしてもどうだろうか。菫の花は小さく、篝火草は華やかだが、些か形が寂しい。すると残るのは、と捜すと、ふと視線の先に白い花が止まる。
「あの水仙、初めて見るわね。」
「ああ…ラッパ水仙と言うのだそうです。」
 勝手に咲いたとは言えど、家にある花の名は全て調べてある。そういったところが律儀だ、と乱菊は思った。その水仙は、花弁は白いが柱頭辺りの部分がやけに大きく、鮮やかな黄色をしていた。中には花弁が黄色いものもある。
「本当は、遅咲きの花なんですよ。三月頃にならないと普通は咲かないんです。」
「あら、それならどうして?」
「たまにね、そういうことがあるんです。」
 常々不思議な庭だと思っていた。山茶花の花が人間に懸想したり、少し前には時節を無視するかのように全く異なった季節の花が咲いたりもした。しかし目に麗しい花々は決して不快なものではないし、何か粗相をすることもないので出来るだけ世話をしてやっている。が、やはり山茶花の花には相変わらず好かれていないらしい。
「どうします、僕はそれが一番良いものと思いますが。」
「そう?」
「ええ、水仙の持つ言葉を前に調べたことがあるのですが、日番谷隊長にさぞ宜しいかと。」
 水仙にも花言葉というものがある。ラッパ水仙という花を文献により調べた時、丁度その本に記してあったのだ。花言葉にも様々な見解があり、著者によって異なるが、その本に書かれていた水仙の花言葉は、日番谷によく似合った。
「―…持って生まれた資質、というのですよ。」
「持って生まれた…。」
 天童と称される日番谷が、最も嫌う言葉ではあった。が、しかしその言葉は正しい。努力の結果とは言えど、日番谷が才を持って生まれたのは確かだ。乱菊は、だからこそそれを認め、胸を張れば良いと常日頃思っているのだが、日番谷はそういった賞賛をお気に召さないらしい。
「松本さん、それにラッパ水仙の花には、『尊敬』という意味もあるんだそうですよ。」
「え…?」
 自分より随分歳が下の彼を、幾度となく「立派な方です」と賞賛してきたが、彼自身がその言葉を信じることはなかった。それも当然のことだ。自分より年下の男を上司に迎え、不本意に思わぬはずがないと日番谷は思っているのだろう。乱菊のその賛美を、おべっかであると思うこともあったかもしれない。
「そうねえ…あたしはホントに尊敬してるのに。」
 少年の体躯を持ちながらも、日番谷は立派であった。外見にそぐわぬ冷静さと判断力を携え、歳若くして卍解を会得したにも関わらず自分の強さを驕らず、常に更なる高みへと思いを馳せていた。鍛錬を怠ることなく、常に更なる強さを模索していた。その姿を、憧憬せずしてどうするというのか。
「でも、ねえ…あたしの誕生日にはすごく嬉しいものをもらったのに、たった一輪の花をあの人は受け取ってくれるかしら。」
 別にあんたの庭の花を愚弄してるわけじゃないし、もっと多くってねだってるわけでもないのよ、と断ってから、乱菊はふと俯いた。「分かってますよ」というイヅルの声は、やはり優しかった。
「幾らでも、と言ったでしょう?数はどれだけ持って行ってもらっても構わないんです。でも松本さんが仰っているのは、そういうことじゃないんですよね。」
「ええ。ただ…。」
 言葉を切って、乱菊がその場にうずくまる。ああ、泣いているのだ、と理解したイヅルは、そのままにしてそっと屈んだ。
「何だか、期待してるみたいで恥ずかしいのよ。」
 確かに涙を流していることは分かるのに、声は震えずしっかりしていた。本当に、強い女性だ。そう思いながら、イヅルは松本さん、と呟くように呼びかける。乱菊は尚も顔を上げずに、ただ「何」と一言答えた。
「僕の時には気丈に『身一つでお行きなさい』と言って下さったのに、ご自分の時にはどうされました?」
「…やっぱりアンタもギンと同じことを言うのね。」
 これが今でなければ二人揃って同じことを言うなんて微笑ましい、と思うところであろうが、忌々しいとしか思えない。艶のある亜麻色の髪が冷たい地面に垂れたのを見て、ふとイヅルが乱菊の髪をたくし上げてやった。
「そうですか?今のあなたになら、誰でも同じことを言うと思いますよ。『いつもの強さはどうされました』と。」
「でも…。」
 反論しようとする乱菊を、イヅルは笑い顔で制す。それに何も言えなくなり、黙り込んだ乱菊の腕に先程切花にした水仙の花を精一杯持たせ、一言告げた。
「少なくとも、日番谷隊長はいつものあなたに花を頂きたいと思っていらっしゃいますよ。」



***



 当日になると忙しいかと思いきや、そうでもなかった。朝から桃が贈り物を持って来るくらいで、後はどこから調べてきたのか、浮竹や京楽などが朝から酒を持って祝いの言葉を述べにやって来ただけである。元より日番谷の誕生日を知っている者自体が少ない。もしかするとギンなどが冷やかしに来るのではと懸念していたが、どうやら気を遣ったのかイヅルに引き止められたのか、訪れることはなかった。
 水仙は早くから茎を水に浸しておいたので、未だ瑞々しさを保っている。そろそろか、と思い仕事を抜け自室に戻り、あり合わせのものではあるが出来るだけ包装をし、装飾を施していたところで背後から声をかけられた。
「何やってんだ?松本。」
「ぅおおぅっ!」
 思わず声を上げると、「もうちょっと可愛げのある声を出せ」と非難を喰らう。見ればそこには日番谷が立っていた。おそらく突如として仕事を抜け出したことを訝しく思ったのであろう。そのままつかつかとこちらへ歩みを進めてくるので、乱菊は咄嗟に集められた花を隠した。
「…何だ、それは。」
「何でもありません。」
 今ここで悟られたくはなかった。出来ればもう少し時を見計らってから渡したいと思い、あからさまに包みを背後にやる。当然日番谷はそれを許さない。日番谷は全て分かってやっているのだ。いざとなれば乱菊は自分に明かさなければならないということも、全て。
「隠しても無駄だ。どうせ後になれば分かる。」
「じゃあ後に分かって下さい。」
「だから今見せろって言ってんだ。」
 鋭い眼光に射すくめられ、それ以上抵抗出来ぬと理解した乱菊は、おもむろにそっと花束と化した水仙を差し出す。日番谷は瞠目したようだったが、今度はこちらから鋭い視線を一瞬見せたかと思うと、乱菊が口を開いた。
「…お誕生日、おめでと「待て。」」
 言葉を切られ、訝しげな顔をするが日番谷はどうと思った様子もない。それとも自分に誕生日を祝われるのがそこまで気に入らないのかとも思うが、そうではないらしい。
「お前に誕生日おめでとうなんて言われたくねえんだよ、俺は。」
「どうしてですか?そんなにあたしのこと気に入りませんか。」
「そうじゃねえ…生まれるっていうのはな、死ぬことだと俺は思ってるんだ。」
 日番谷の言葉に、乱菊は理解出来ないというような顔を見せる。日番谷はふと息を吐き出し、つらつらと声を紡ぎ出した。
「生きるってのは、死にに行ってるようなもんだ。つまり生まれるってことは、自ら死ぬためにこの世に出てくるってことだろ?」
「そう…ですね。そう考えれば。」
「だから俺は、誕生日をめでたい日なんて思わねえ。俺は、お前にだけは『誕生日おめでとう』なんて言われたくねえんだ。」
「それ、どういう意味ですか?」
「…分からないのか?」
 真剣な顔をする日番谷の目は強い。しかし、微笑みながら乱菊は尚も故意に言う。
「分かりません。」
「…お前が好きだって言ってんだろうが。」
 明らかに不本意に思うというような素振りで、日番谷が言う。乱菊は笑って水仙の花を日番谷の腕に持たせた。日番谷は、花だけは素直に受け取った。
「あたしも好きです、隊長。」
 やっとそう呟いたが、ふと泣きそうになって顔を背ける。しかし日番谷は、乱菊の顔を前に向けて袖で涙を拭ってやった。乱菊が屈まなければそういったことが出来ないのを悔しく思っているが、そのことを決して面には出さずあくまでも表情を崩さない。しかし、拭うついでに口付けるのは忘れなかった。口付けた後、乱菊は可笑しそうに笑っていたが、気にはしない。



ひらひらと、残響が舞う様を穏やかに見つめていた。
鮮明である。覚醒しながらも未だ身を起こさず息を潜める花の白さは、やはり鮮明である。
死を恐れながらも、共に生きることを選択した、その花の名。
その名を―…


 

【完】



*あとがき*

 日番谷隊長お誕生日おめでとうございまーす!(叫)

 そんなわけで告知通りに更新日時を捏造、捏造。(コラ)

 やっとくっついてくれました…。手が痛え。(涙)詩はですね、共に生きることを選択した花は言わずもがな十番隊です。(笑)
 何だか色々な話の集大成といった感じですが、ここまで三番隊が出張るとは夢にも思わず…。(コラ)もう市丸さんは乱菊さんのお母さんでいいじゃないか。(笑)いえ、最初は父親と表現していたのですが、穏やかに諭すのはお母さんでしょうがと思いまして。(笑)
 イヅルもお母さんでいいよ。(殴)
 日番谷君の誕生花も「あなたは完璧」という花言葉だったり、「あなたを護ります」とかいう花言葉だったりで大変おいしかったのですが、あえて水仙で。(笑)

 こんな話ですが一応フリーとなっておりますので、もしお受け取り下さる方がいらっしゃいましたらコピペでどうぞv報告、リンクは不要ですが、最低限サイト名は表記して下さるようお願い致します。