ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

登録から10年

2017-09-16 10:38:09 | 日記
 弁護士登録をして、丸十年が過ぎました。長い年月が、嘘のように早く過ぎました。
 10年前の登録初日、新規登録者向けの研修を受けていました。研修の冒頭、司会の弁護士から「先生方」と呼びかけられました。いつの間にやら、知らぬうちに弁護士になっていた、という意外な気持ちになりました。いつから弁護士になるのか、登録日がいつなのかよくわかっていなかったのです。弁護士になれたと知って襲ってきたものは、つかみどころのない頼りない感覚でした。
 
 それまで司法修習生で、毎月給料が出ていました。大概の新規登録弁護士は、どこかの事務所に勤め、雇い主の仕事を手伝って給料をもらうのが当たり前でした。しかし、私は独立開業を目指したので、雇い主はいません。弁護士になった途端無給生活に突入でした。仕事のあても皆無でしたので、収入を得る目途さえも立ちませんでした。

 そして、雇われず、仕事のあてがないということで、弁護士になったら、することがなくなりました。
長い間目指したものが念願かなった途端、無収入、無為の生活です。夢が実現する前より悪い生活になるとは、全く予想もしていませんでした。登録の喜びが打ち消されました。
 
 暇でほぼ収入のない生活は、登録から8か月続きました。8か月たって、会規上国選の刑事事件を自由にとれるようになりました。そのころは、国選の刑事事件は報酬の安さから不人気で、いくらでも他の弁護士からもらうことができました。やっと安定した生活が送れると思いましたが、数年後、弁護士が増え、若手が国選事件に向かいました。生活の安定計画は崩れました。それから数年、今は民事事件で忙しくしています。刑事事件をしている暇がないので、私が他の弁護士に代わっていただいている始末です。

 定めのない自営業です。登録の時の不安な感覚は、過去のものとすることができず、あの日を思うと生々しく甦ります。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿