長い長いさんぽ ビームコミックスエンターブレインこのアイテムの詳細を見る |
須藤真澄著、「長い長いさんぽ」です。
以前、ポン助書店で「ゆず」を紹介したのですが、
この「長い長いさんぽ」は須藤さんの飼っている猫、「ゆず」のその後です。
実は「ゆず」を紹介した記事を書いた時には
コミックビームという雑誌でゆずが亡くなった事を知っていました。
この本のタイトルにもなっている「長い長いさんぽ」は
2ヶ月にわたってコミックビームに載ったものです。
最初はその事も含めて紹介記事を書こうと思ったのですが、
「長い長いさんぽ」が載っているコミックビームを手に入れるのは
その時点では難しくなっていましたし、いつかこの作品が単行本になった時に
あわせて紹介しようと考えたため、「ゆず」の記事は
やけにあっさりしたものになっています。
さて、「長い長いさんぽ」です。
初めてこの作品を読んだ時、嗚咽が止まりませんでした。
私は漫画を読んで涙を流す事はよくありますが、
嗚咽が止まらないという経験はありませんでした。
須藤さんのゆずに対する愛情、自分がしてしまった事への後悔の念。
そして、戻らない時間、戻らないゆずを少しでも取り戻そうとするかのような
傍から見れば痛々しい行動の数々。
そのひとつひとつが、こちらの心に衝撃を与えます。
大事なものを失ってしまった時の悲しみは、
こんなにも大きくて凄まじいものなのかと。
それでも人はそんな状態からも少しずつ回復していきます。
「悲しいのはなくならないけど
たぶんこの先もなくなんないんだろうけど
悲しいのの上に
幸せがパラパラふりかけられた感じがする
そーすっとそのまた上にゆずへの後ろめたさがパラパラって感じで
多分この先もこんなで
そうやって
すべてを抱いてなんとかやっていくんだろう」
長い長いさんぽの後に入っている作品の言葉です。
時間が悲しみを少しずつ癒してくれる、というのは使い古された言葉ですが、
その本当の意味を感じさせてくれます。
心揺さぶられる作品です。