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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

ルドルフ RUDOLF The Last Kiss/ミッツィー・カスパー

2008-01-24 | RUDOLF The Last Kiss
 ハンガリー版には役名としてリストアップされていたミッツィー・カスパー。東宝公式サイトには役名がないので、女性アンサンブルのどなたかが演じられるのでしょうか。自称オペラ歌手というこの女性は、皇太子ルドルフお気に入りの娼婦で、マイヤーリンク事件の直前、一緒に死んでくれないかとルドルフが持ちかけていたといいます。
 娼婦、とはいっても身分の高い顧客専門の仲介人による、日本で言えば「傾城(けいせい)」、「松の位の太夫」といった感じの存在でしょうか。後のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がその仲介人の世話になっているところに、ルドルフと懇意にしている娼婦がスパイとしてもぐりこんだとか。当時のウィーンにはそんな「やんごとなき方々」の遊興の場があったようです。また、当時の宮廷は恋愛に関してかなりおおらかだったうえ、年若いプリンスであるルドルフはアイドル的な人気があった(写真を宝物にする女性も多かったそうです)ので、いつも女性からアプローチされ、恋多き男性だったようですね。
 そのなかでもミッツィーには家や高価な装飾品を与えたり、公式の場に同伴したり、皇太子妃ステファニーの感情を逆なでするようなことも少なくなかったようです。また、彼女との逢瀬には帝国警察の尾行がついていたため、ルドルフが繰り返し自殺をほのめかしていたこと、父帝が長命なので自分は政権の座にはつけない、ともらしていたことなどが記録として残されているそうです。ミッツィーはルドルフが自殺しないように厳重な監視をすすめたそうですが、それでもマイヤーリンク事件は起きてしまいました。
 遺書にも、ミッツィーには可能な限りの現金を与えるように書かれていながら、不思議とこの女性の「その後」を語るものがまったく見当たりません(ま、こういう付け焼刃な人間なので私が見つけられないだけなのかもしれませんが)。マイヤーリンク事件に関して、ハプスブルク家は厳然たる沈黙を守ってきたといいます。帝国警察とのやりとりがあったミッツィーもまた口止めされたことは想像に難くありませんが、知っていて止められなかったルドルフの死を彼女はどう背負っていったのでしょうか。歴史から姿を消したミッツィー・カスパー、日本の舞台ではどんな女性として蘇るでしょう。それとも、帝国劇場では姿を消したままになる? 

追記: 先週、閲覧数27万pv超えていました。いつもお付き合い頂いてありがとうございます。知らないことばかりですので、間違っているときは教えていただけると、とても嬉しいです。よろしくお願いします。