『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第128回音楽家講座~甲野善紀先生を迎えて~in鶴見 4月20日(木)

2023-04-22 19:30:52 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
10日間の長い旅とその最後となる屋久島での合宿を終えられて、一昨日、御帰京されたばかりの甲野先生。

「脳内麻薬が出ているので大丈夫です。」とは仰るものの、やはり心配ではありました。

しかし、屋久島で得られた新たな気付きのこともあり、より生き生きとむしろ若返っているのではないか?と感じられました。

屋久島の精気・精霊も先生と共に鶴見の会場にやってきたような感じもしました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(お話と技)
二か月前、ここで剣道雑誌の取材を受けたけれど、おそらくあまりに通常の基本からはかけ離れている内容だったので、多分使われることなく終わるのでは、と思っていたが、それが記事になり、この25日に発売されるという連絡を受けた。

編集側も、頭を抱えていたそうだが、剣道界も斜陽なこともあり、敢えて「踏み込んで」よく記事にしたなあと思う。

昔から結果として常に少数派になっていた。

一番伝えたいところが、常識とあまりに違うことに去年の11月に気付き、その後三か月くらいは混乱していたが、ようやく今、半年程経って落ち着いてきた。

一昨日まで10日間の旅で、その間も1,2時間しか寝ていない日が4日あったが、脳内麻薬でもっている。

特に屋久島での気付きが大きかった。

一番始めは通常のやり方で、離して持っていたのを2008年5月31日以降か、ずっと寄せて持つようになった。この時はもう30分程で、変化した。

それ以来、ずっと寄せて持っていた。
それが昨年11月から離して持つようになった。
(とはいっても最初の離して持つ持ち方とは違って)両手で持っているけれど、実質動かすのは片手ではないか、とやってみたら「なるほど、そうか!」とわかってきた。

4月16日、屋久島で初めて竹刀で離して持った影抜きが出来るようになった。

通常剣道の基本は決まっていて、両手を茶巾絞りで持ち助け合って使うというもの。

しかしこれだと、30年の経験者と3日目の経験者で打ち合っても切り結べるばかりで、初心者であっても、打ち崩されない。

(左右の手が協力し合うからそうなる)

右が主で、左が手伝わない。
左はナゾ。
左は右と刀を一体化させるようにだけ使う。

掌の上でバランスを取るような感じ。
左はそれだけに使うべき。

左小指が外れて包み込むように、右人差し指がつばに触れる様に持つ。

こうしたことがようやくわかってきた。

(こうなってくると)ものを学ぶという学び方はつくづく微妙な使い方があるとわかって、今更の様に「まず基本が如何に大事か」などとは、とても微妙な感覚なだけに言えない。「基本が大事」とは簡単に言えない。
これが今回の実感。

オランダ語などは、とても発音しにくく、ゴッホというのも、喉が痒くなるなるくらいの発音をしなくてはならないらしい。しかしそういう発音も、その環境の中に居れば自然に出来るようになる。

言葉で「基本」を伝えるせいで、いろんなことがだめになっている。

言葉で言って、それを真似る中で大事なものが失われている。
「教え方」はもっと工夫されるべき。
2020年2月に出た『巧拙無二』で職人の教え方の話がある。

一切やり方を教えず、ダメ出ししかされない。
ただ。その雰囲気の中で居る。
技の基本になることは言わない。

自分の周囲の稽古人の数名で抜群になった人はみな、その人の基本原理からして違う。
「ふんばらない」「蹴らずに動く」は共通しているが、皆夫々の別流派。

無文字文化圏の人は記憶力が良く、見取り能力に優れている。
カナダのネイティブ、アボリジニなど、助手席に座って3日もすると運転できるらしい。

文字がない方が感覚に入れられる。

・・・・・・・・・・・・・・・・
(竹刀で打ち合いながら)
通常のやり方であれば、止まるのが当たり前。
それが、右手を刀とどう一体化させるか、と左の小指を外しを「厳則化」。
空手の助け合い(内助の功)の手は、今の(男女平等の)ものとは違う。
(男女の役割がはっきりしていて)男性が台所に立ち入ることもいけないとされていた時代のもの。
どこかにある「助け合いの精神」を辞めるとわかりやすい。

(払えない手で)
人は何を見ているか?
触れられた瞬間にわかる。
「斬る」はなるべく抵抗のない世界。
これを相手はなるべく力を抜いてさぐる。
「止め手」でなく「斬り手」で。
全ての動きで円を描いて。

「こんな処に隠し部屋があったのか?」という気持。

(相手を制す手のうち取りで)
楽器演奏での音を出す前の手の置き方にも通じる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)
1.ピアノ
速いパッセージが動かしにくい。特に左手。

指紐で動きが軽くなり変化。


2.ヴァイオリン
長い音を出す時の助言が欲しい。

滅多に呼吸に関しては言わないのだが、これには、とても呼吸が関わっている。
ピタっと保には呼吸の関わりが重要。
息を鼻から出す。口からがダメなのは明らか。
右手をどうこうするというよりも鼻奥と喉の息の連絡がピタっと行くと良い。



3.琉球三線と歌
力まないで歌いたいし、弾きたい。

左右の指紐。巻いた瞬間からラクになったそう。
チューニング音から激変。


4.剣道での疑問
小学生の頃、習っていたが、一人の老師だけは、いつでもすぐにこちらのやろうとすることを全て読み、いつも打たれてしまっていた。これは何故か?

人は相手がどう思っているかわかる。
如何に自分のやろうとする感じを無くすかが大事。


5.江平(えだいら)の笛  白川受講
フルートでは起きない質の緊張が生れ、震えてしまう。
練習の時にはそれはなく、人前に立った時だけ。
また、当て位置が定まらず、毎回構え方の試行錯誤で苦労している。

階段を使ってタタタっと二段程駆け下りるような所作で、最後の足を付けないようにするのを4,5回繰り返す。

やった瞬間から肩の位置が落ち、安心感が戻る感覚に。
当初程の震えはないものの、やはり徐々に震えが生れ納得のいかないものに。


左右の首に祓い太刀
ストンとより落ちて、より響きは増すものの、まだ課題は残る。

・・・・・・・・・・・
(時間が余ったのでさらに質問を受け付けて)

1.猫背をなんとかしたい。

鎖紐の四方襷をかけているその途中から、丸まっていた背中がスルルっと伸びてきて一同驚愕。


2.歩行にも差し支えるくらいの足の痛みをなんとかしたい。

両足指の紐で、スタスタと歩けるように。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(所感)
圧倒的なシーンの連続だった。

なんといっても、先生の技の進展の凄さが、見ているだけでも伝わってきた。

「これ、竹刀での打ち合いの光景じゃあないですよね。」と思わず言葉が出て来る程、切り結ぶことなく、足元から崩されていく相手。
その相手は、かなり様々な武術をやりこまれた手練れの常連Oさん。

また動きの解説をする時の先生の動き全てが、より滑らかに美しいものになっていて、目が離せなかった。

その気付きからも導きだされる感覚に基づいた個別指導の数々も、自身の参考になるものばかりだった。

また、最後の質問コーナーでの紐の効果にもびっくり。
まるでサクラを仕込んでいるのじゃないか?という程の、映画の1シーンのような情景。
長年、やってきたけれど、あれほど目で見ていてわかる違いがあったのは初めて。

さて、自身の江平の笛は、もうこれもボロボロで、ちょっと嫌なループに入ってしまった感はあるものの、大分、出口が近くなったのを感じることができたのは、先生のお陰。

控室で「まあ、あとは、これですかね!」と鎖紐を頭に巻くのをやってくださったところ、こめかみあたりがすっきりして、嘘のように、落ち着いた震えなしの演奏が。

見ていたスタッフの鈴木さんもびっくりで「すっと整いましたね!?」

人の心と体に作用する丸紐の力を改めて実感した今回でした。

ご参加くださった皆様、会場スタッフの皆様、スタッフの鈴木さん、そして甲野先生、
ありがとうございました!

次回は5月23日(火)に同会場同時刻で開催予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。





当て位置

2023-04-17 13:46:44 | 気付き
今更ではあるけれど、ツクヅク「当て位置」が大事と再認識できたのは、生徒さんのレッスンのお陰。

良いところまできているけれど、あと一息、もう一歩、が中々出来なかった方へのご助言で、ぽ~~んと出来た。

感覚も養われ、そういう時期になっていた、ということもあるけれど、今回初めて気付いた当て方によって、いともたやすく求めている音を得ることが出来た。

生徒さんは大喜び。

そして、これが私にとっても大きな収穫となりました。

毎回、吹き方が定まらない「江平の笛」。

全回は、私も聴講生で、その中で、時間をいただき、岩城先生のために、吹く、という流れだった。

久々に吹くこともあり、とても緊張してしまいズタズタ・・

それが、今回、ポスターに名前もあり、関根先生からの依頼で出演者として登壇することに。

会場も100名くらいのキャパのお部屋とのこと。

これは、もう「仕事」なので、久しぶりに吹くので緊張しちゃって、なんてことは言ってらんないじゃないか・・

9日の稲毛の本番が終わってからは、江平の笛中心でさらっていたけれど、やはり中々定まらない。

サっと構えて良い時は良いけれど、ダメな時はもう全然ダメで。

こんなことはフルートではあり得ない。

ということで、ずっと試行錯誤し、悩んでいたのですが、このレッスンでの気付きで、江平の笛の当て方、というのが確立されたのでした。

もちろんこれも途中経過の一つではあるけれど、これで、もう怖くない。

あまりに既存の概念とは異なっているので、詳細は書けないけれど、陽は、形状に誘われてしまっていたな、という反省。

生徒さんや公開レッスンでもよく言っていた。

「人は物の形状にすぐ誘われますからね。気を付けましょう!」と。

フルートではやらないことを、短くて軽い笛なので、思いっきりやっていた。

そして、この江平の笛の構え方が、さらにはフルートにも役立った。

リッププレートをどう取り扱うか・・

江平の笛にしても、フルートにしても、楽器へのしがみつきが激減。
感覚としては、鞘に刀を納めている、といったところか。

トウモロコシの薄皮にくるまれて実があるように、笛が収まっている。

安定差が増したことで、色々と良い事が。  \(^o^)/

(告知)岩城正夫 関根秀樹 師弟対談 『異質力の系譜 実験大学の特異点』4月30日(日)

2023-04-16 00:32:19 | 音楽・フルート
異質力の系譜~実験大学の特異点~
和光大学・岩城正夫 関根秀樹 師弟対談とワークショップ




4月30日(日)12:30~16:00
和光大学 D-202教室   2000円 学生500円  差し入れ歓迎
(和光大学へのお問い合わせはお控えください。)

天平時代の笛「江平の笛」(復元制作・関根秀樹)の演奏(白川真理)もあります。



・・・・・・・・・・・

師弟対談、とても楽しみです。

和光大学キャンパスは、江平の笛、そして拙作品「水月」が生れた故郷でもあり、
久々の里帰り演奏です。

対談の流れの中で「水月」を演奏予定。
後は成り行き次第ですが、その後の打ち上げで余興演奏であと2曲くらい(実は他にも色々ある・・)やるかも??

間際の告知となり申し訳ありませんが、お時間ありましたらどうぞお越しくださいませ。

和光大学は鶴川駅から徒歩でのんびり歩いて20分くらいだったかと思います。
緑豊かなのびやかなキャンパスです。
広い構内で迷うかもしれないので、徒歩の場合は開始時刻30分前に鶴川駅に到着するくらいが良いかもしれません。

大学の送迎バスは日曜日はお休みなので、徒歩が大変な方は駅からタクシーとなります。

(アクセス)
https://www.wako.ac.jp/info/access/map.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・
岩城先生(拙過去ブログより)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(追記)以下甲野善紀先生のツイートです。

4月30日、私は翠雲会主催の小金井の稽古会で講師をしておりますが、この日、和光大学で、木の枝と板を擦って火を起こす縄文人の技術を実験によって解明された岩城正夫先生と、この岩城先生の技術を受け継ぎ、進展された関根秀樹先生の師弟対談があります。
関根先生といえば、単に「火起こし」のみならず、サバイバル技術において、また実用刃物から様々な昔の職人技術等についても広範な知識と技術を持たれている日本で他に代わり手のない存在です。
残念ながら和光大学はこれほどの「日本の宝」ともいうべき師弟の価値に気付いておらず、今回の対談も大学の主催ではなく、OBの発案による自主企画との事。ですので「事務が混乱しますので、このイベントについて大学への問い合わせはしないでください。予約無しでも問題ありません」との事。
このような奇妙な但し書き付きでイベントの告知をするというのもおかしな事ですが、今という時代のおかしさを何とかしたいと思われている方々に、是非このイベントの事はお伝えしたいと思いツイートしております。御関心のある方は記の「原始技術を学ぶ会」のイベント告知のホームページをご覧になって、直接こちらにお申し込みください。【原子技術を学ぶ会】https://www.primitiveacademy51.com/





ピピチェック

2023-04-14 08:25:30 | ピピ
勿論、新しい参入者のチェックはピピの仕事。

早速のピピチェックが始まりました。

凄い集中力でクンクンと匂いを嗅いでいる。






「ピピ、何してるにゃ?」と呼びかけると、ギクっとした表情で顔を上げました。


ピアノは鍵盤に乗った途端に音がして驚いてすぐに飛び降りてからは、蓋が開いている時には乗らなくなってしまいましたが、足踏みオルガンは音がしないので、ゆっくりとキイの上を歩いていました。

・・似合う💓💓



弟宅&田島家 訪問

2023-04-11 22:17:59 | 旅行
午前中に南足柄の弟夫妻、ランチを挟んで、午後は二宮に越したばかりの従姉の和子ちゃんと田島さんの家を訪問しました。

富士山はやや靄がかかって見えましたが、真っ白。



なんでも富士山は標高が高いため、湿度が上がる4月に最も雪が多く降るのだそうです。

桜はすっかり葉桜となり、その代わりに花水木が満開に。



いつ付けるの?今でしょう?ということで、トリファリの花水木のブローチとイヤリングを選びました。

弟の家の玄関先のモッコウバラや、自然に生えてきたという菫が綺麗でした。




色々な話が盛り上がり4人で笑っていたら ジロが部屋の隅で背中で語っていて、面白かったです。昔飼っていた犬も同じことをしていたし、ピピもよくやる。



近所のフレンチで、ランチ。足柄牛、美味しかったです。




その後和子ちゃんの家に。

ようやく一階のリフォームが始まったばかり。
今日は例の足踏みオルガンを受け取りにやってきました。

教えてもらったサイズで段ボールで模型を作り、車に入るかどうか試したところ後部座席は入口が狭くだめでしたが、トランクはギリギリいけそう。

でも、実際にはどうか?と不安もありました。
今回やってみて、ダメだったら、日を改めて、レンタカーを借りてまた近日中に行くことにしよう、とダメ元で来たのですが、なんと、ぴったりと収まってくれました。

田島さんから「日頃の行いが良いんですね!」と。

4人でお茶して、職人さんがいるので、残念ながら和子ちゃんはお留守番でしたが、田島さんが海岸に案内してくれました。

家からほんの数分で海。




海岸は波に洗われてすべすべした石ばかりだったので、裸足になってエナジーチャージしながら歩きました。

リフォームが終わったら、またゆっくりお邪魔することを約束して帰途に。

オルガンは2階の踊り場か、着物部屋に置くつもりでしたが、やはりリビングにあった方が楽しめるしね、ということで、ピアノの横の窓際に。
こうすれば、ピアノの椅子を兼用できる。





和子ちゃんが綺麗に拭いていてくれたので、設置してすぐに蝶々、チューリップ、花、など弾いてみましたが、一気に幼稚園時代に戻れるなつかしさ。

何とも言えない柔らかな音色です。
これから色々と楽しめそう。
細部のデザインも味わい深い可愛いオルガンです。

ようこそ、オルガン!