『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第101回 音楽家講座 in 鶴見 12月15日(火)

2020-12-16 02:09:16 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
急に寒さが増しましたが、良いお天気となりました。

前日、金沢から帰宅されたばかりの先生は、今回の旅でも色々な収穫、進化があったとのことで、真っ先きに、それを披露。

それは肩を上げないための技法。

とはいっても、そんなに簡単なものではないなあ、・・と。

肘を上げれば肩は下がる・・といっても、ただ棒立ちでそれを行っても肩は上がるだけだ。

でも、通常一般に剣術で言われているところの

「脇をしっかりしめて」が、肩のつまりをもたらすということは、素人の私にもよくわかった。

ひじを上げても、かつ肩を落とすためには、あの下半身が不可欠・・?

これは、若干、私の最近の腕の交差の気付きにも通じるところもあり、また変化しそうな予感でワクワクです。

というのも、腕を迂回させる時に、肘は上がるから。胸鎖関節、鎖骨の変化も気になるところではある。

とあれこれ考えを巡らせている間にもどんどんとお話は進む。

払えない突きが、さらに速くなり、何が何やら。

「突くのをやめる」と言われても・・

でも、そのわからなさ加減が面白い。

このコロナ禍に関する様々なお話も。

「人間は納得したい生き物」

そして、その納得の仕方は個々に違う。

正解が一つしかない、というのが、そもそもおかしい。

現在のコロナ禍における、このなんともいえない鬱陶しさは、そうか、納得出来ていないからなのか?と思ったのでした。
納得は出来ていなくても、そうだったのか!?納得してなかったからなのか?と理由が具体的になるだけでも、若干はスッキリする。

「ピカソの絵は嫌いなのですが、それは観ていると具合が悪くなるから。そして、その具合の悪くなるのが、結構ひつこく続く。数日でおしまい、というのじゃあないんですよ。だからこそ、ピカソはきっと何かしらある画家なのでしょう。ただヘタなだけの絵を見て『あんな絵をみたら具合が悪くなるよ』と軽口をたたくことはあっても、それは単に比喩で、実際に気持ち悪くなることは、ないですからね。」

・・長らく後を引く程の具合の悪さをもたらす芸術・・・

私はピカソ作品でそこまで具合が悪くなったことはないけれど、
まあ、好んで観ることはないし、リビングに複製画を飾ることもないだろう。

昔、ミュンヘン留学中、バルセロナに一人旅をした。35年前??
リセオの劇場で、カヴァリエとカレラスを聴くために。もちろんガウディと白いゴリラも。

バルセロナのピカソ美術館で、子供時代の彼の非常に緻密な絵を観た時の驚きと違和感は強烈で、背筋がヒンヤリしたことを思い出した。

ピカソを好きな人も多いことだろうから、これも人夫々ということか。

・・・・・

前回は個別指導の希望が多く、7,8名だったのに、今回は2名、そして質問が1名。

毎回様相が異なるのも、この講座の面白いところです。

チェロでは、蕾の手の内で掌の中央を沈めて横隔膜を下げ、へそ位置に丸紐で大きく変化。

さらに少し足を引いて、上半身の重さを弓に伝えるやり方を。

これは、過去のチェロでの参加者みなさま、本当に大きく変化されたのだけれど、今回も。

実は、私のフルートもこれを使っている。

昨年夏、「法螺貝の気付き」で、それが「埋める」の前段階になっていたのだけれど、腕で楽器を口元に持っていくのではなく上半身で、というご助言を先生からいただいたのでした。つまりは「部分ではなく全体で」である。

能の動きでのご指導も、同様で、部分(軸足)でターンしてしまうような動きを全体で、ということなのだけれど、そのための稽古として杖を勧められていたことにはっとした。

今更ではあるけれど、着物が着崩れないように杖を稽古するのは、とても役に立つのだな、と再認識。

ということで、早速やろうと思う。

触れ方、手の内にとっての杖の効用は感じていたけれど、部分を作らないために、というのは、本当に今更だけれど、・・凄い!?

それは抜刀も同様で。

だからこそ、稽古着をちゃんと着て行った方が良いのだなと。

この2年間、ずっと着物離れだったけれど、前回の音楽家講座100回記念を機に、久々に着た。今回も着物。

やはり洋服の時とは身体の状態が異なる。久々なだけによくわかる。
何より、全く違う集中の仕方となるのを感じた。

そして、着物で杖と抜刀を稽古することで、また新たな世界が、と思う。

かつて稽古着も先生が用意してくださったのだけれど、「せっかくなので先生と同じ本格的な日本の藍染のものを」とお願いしてしまったばかりに、毎回藍の色落ちで手指が真っ青になり、すっかり辟易としてしまい、その稽古着は数回着ただけでお役御免となってしまったのでした。

その後一人稽古の時はいつも洋服のままだった。

普段着にしている紬も何着かあるので、それで久々にお稽古してみようと、思います。

着物でフルートというのも、2年間お休みだった。
これも前回、そして今回、受付が始まる前の15分程、ホールで吹いているのですが、やはり全然違った。相変わらず私はドレスよりも着物の方が良いパフォーマンスが出来るということも再確認。
なるべく着物で吹く時間を増やそうと思う。
・・下駄は履いているんだけどね。ドレスでも・・

そもそも甲野先生を知ったのは着物の雑誌で、さらには着物を着て吹いていたことで、様々な気付きと変化があったのだった・・ってなんて忘れっぽいんでしょう・・?

ということで、着物マイブーム再び・・?

最後の方は、大けがをした後遺症に苦しむ知人がいるのだけれど、何とかならないかとのご質問。

先生は丸紐、それも鎖に編んだ丸紐での四方襷を。

何度も見て知っている紐ですが、やはりその効用には目を見張る。

自分の身体なんて、紐一本でガラっと変わってしまうものなんだ、と思うと、本当に「これこそが正しい」なんて愚かな事は言えないよなあと改めて思うのでした。

「裏の裏はまた表」の紐のかけ方も面白かった。
でも、一人でやるにはどうすればいいんだろう?
これも遊んでみたいです。

ということで、今回もしみじみと、それも深く集中してしまったので、またまた先生のお写真を撮るのを失念してしまいました。

すみません!

・・せっかくガラケイは持ち直して小康状態でしたのに・・

着物を着た時の方が、私の集中力は各段に増す、というのも、前回に続き、2年ぶりに着物を着たからこその気付きです。

改めて、着物の凄さを再認識中。


ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
次回は来年1月29日(金)、同会場です。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします!