『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

荷葉之一水

2022-09-23 01:23:53 | 気付き
蓮の葉の上の水滴のこと。

これは2004年、新潮社から出た、甲野善紀先生と田中聡さんとの共著
『身体から革命を起こす』を頂いた折、先生がサインと共に、書いてくださった言葉です。




私のことも取り上げていただいた、記念の本。

先日の音楽家講座でのマイナスのカーブのお話を伺っている時から、ずっとこの言葉を想い出していました。

そして本日やっと、フルートでドンジョンのエレジーを吹きながら気付いたのは・・


蓮の葉はマイナスのカーブじゃないか!?
 

ということ。
  ・・・遅すぎる・・・

裏と表が変わるだけで、本当にもうガラっとかわる解釈。

転がる水滴の丸さのことばかり考えていたけれど(プラスのカーブ)そうではなく、
蓮の葉(マイナスのカーブ)のことを考えなきゃいけなかったのか・・!?


そして腕、肩周辺の滞りが激減して、演奏も大きく変わる。

ドンジョンのエレジーは「落葉」という別名もある。
この感覚にとてもピッタリと合う楽曲で、短い詩が添えられています。

  暗くなった大気の中を、最後の葉が溝に沿って転がってゆく。
  私の幸福もまた!(リシュパン)

内容は、なんともやるせないけれど・・
でも、この詩も、自身のことを嘆いているというより、自身のことを俯瞰して眺め達観している様な解釈になってくる。音楽の解釈も当然変わり、より楽曲自体の魅力が浮かび上がる。

こうしたものをやる時の植村泰一先生の御注意は
「お涙頂戴になるんじゃないよ」だった。


枯葉はただ溝に沿って転がってゆくだけ。

そして水滴はただ蓮の葉に沿って転がってゆくだけ。

本日9月22日の気付きは、最高の誕生日プレゼントとなりました。

もう64才なんて実感は全くなく、不思議な気がするばかりですが・・
それもこれも、フルートを始めとし、日常生活含め、何もかもが未達成、未完成だからこそ、気持ちも若くいられるのかもしれません。

久しぶりに取り出した本の表紙の先生が、お若くて驚きました。
考えてみれば、18年前なのだから、今の私よりもずっと若い年齢な訳で。
ちょっと不思議な気もします。




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掲載された、先生と出会う前と後の演奏中の写真も久々に見ました。
私も若かった。
着ていたドレスは皆サイズアウトしたので処分してしまったものばかり。
ぐすん。
ローラアシュレイ、スキャパレッリ、ジバンシー・・
靴は、5センチヒール、3センチヒール、ぺたんこルームシューズという変遷。



・・下駄になったのはこの本が出た後のことで・・
今は下駄に,布を巻き付けただけの恰好で吹いているのだからなあ・・


当時の私に「あなたは将来・・」と教えても絶対に信じなかったと思います。

過去の演奏フォームを見ると、ギャっと叫びたくなる。
出会った後の「見返り美人反転フォーム」では、相当マシとはいえ、やはりまだまだ笛にしがみついている。どれもフルートが重たそう。
14金だったから実際重たかったけれど・・

今年3月のフォームも今見ると、もろもろ気になる箇所だらけ。

若い頃に戻りたい、なんて全く思えません!!

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(追記・実際の演奏で)
腕先でマイナス曲線を描きながら構える。

おしり、頭頂部、腕先がドーム内側の壁面に降れつつ揺れながら演奏。

手指の紐が、この感覚に至るための大きな助けになる。

荷葉之一水は常に球体ではなく、のびちじみもする。


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