オレが小学5年。ハルナが小学1年の時だった。
近所の神社で祭りがあった。
オレとタケシとノボルの3人で思う存分祭りを楽しもうと画策していた。
けど、オレが祭りに行こうとすると、「ハルナも行きたい!」と、ハルナは駄々をこねた。
正直、ウザかった。
オレにだって、「男の世界」がある。
でもおふくろの命令は絶対だ。
「ハルナちゃんを連れて行かなきゃ、飯抜きだからね!」
…………くそばばぁ!
案の定、タケシもノボルもあからさまに「また、ハルナを連れてきたのかよ~」と不満をぶちまけた。
「しょうがないだろ!」
オレもさすがにおふくろの横暴とハルナの甘ったれぶりが頭に来ていた。
「巻いちまおうぜ」
タケシとノボルが言った。
そんなことをしたらどんな事態になるか当時のオレの脳ミソでも判っていた。
でもオレは友達とどうしてもハルナを気にせずに、思う存分遊びたかった。
「ハルナ!来いよ!」
オレはハルナを呼ぶと、チョコバナナを持たせた。
「10分だけいい。オレ達だけで遊ばせてくれ。お前はここで大人しくチョコバナナ食べてろよ。いいか?!ここでだぞ!必ず戻ってくるからな」
ハルナを置いてオレ達は、くじ引き、金魚掬い、花札……思う存分遊びまくった。
気付くと1時間は経っていたと思う。
慌ててハルナを待たせていた場所に戻るとヤツはその場所にはいなかった。
オレは焦った。
つい最近、知らないおじさんに連れて行かれた女の子が殺されたと言う事件があったばかりだったことを思い出したからだ。
犯人は確かまだ捕まっていなかった。
殺された女の子とハルナがダブった。
「ハルナー!!!どこだ!!ハルナーーー!!!」
オレは声を限りにあちこち探し回った。
ハルナを守ると言っておきながら、オレは自分の欲求を優先させてしまったことを死ぬほど後悔した。
無事でいてくれハルナ。
それだけを願って必死に探した。
その時、聞きなれた声が交番の方から聞こえてきた。
「かずにぃちゃ、迷子になっちゃったの。探して!!」
ハルナは、泣きながらお巡りさんに訴えていた。
「ハルナ!」
オレが近寄るとハルナのヤツは、オレにしがみついて泣き出した。
「かずにぃちゃ!大丈夫だった?!恐くなかった?」
「ばっかやろぉ。それ、オレのセリフだ。……独りにしてごめんな」
オレは力の限りハルナを抱きしめた。
祭りからの帰り道。
泣き疲れたハルナはオレがおんぶする背中で眠ってしまった。
家に帰るとおふくろとおばさん(ハルナの母親)が、玄関先で立ち話していた。
「でも、ホント、淋しくなるわ。あなた達がいなくなったら。ハルナちゃんもあんなにかずに懐いてくれているのに……」
深刻な顔した二人の会話が聞こえてきた。
「あら、かず、お帰り。まぁ、ハルナちゃん眠っちゃったの?」
おふくろは慌てて取り繕うような作り笑いをした。
「ハルナがいなくなるって、何?」
オレはギッとおふくろを睨み付けると単刀直入に尋ねた。
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近所の神社で祭りがあった。
オレとタケシとノボルの3人で思う存分祭りを楽しもうと画策していた。
けど、オレが祭りに行こうとすると、「ハルナも行きたい!」と、ハルナは駄々をこねた。
正直、ウザかった。
オレにだって、「男の世界」がある。
でもおふくろの命令は絶対だ。
「ハルナちゃんを連れて行かなきゃ、飯抜きだからね!」
…………くそばばぁ!
案の定、タケシもノボルもあからさまに「また、ハルナを連れてきたのかよ~」と不満をぶちまけた。
「しょうがないだろ!」
オレもさすがにおふくろの横暴とハルナの甘ったれぶりが頭に来ていた。
「巻いちまおうぜ」
タケシとノボルが言った。
そんなことをしたらどんな事態になるか当時のオレの脳ミソでも判っていた。
でもオレは友達とどうしてもハルナを気にせずに、思う存分遊びたかった。
「ハルナ!来いよ!」
オレはハルナを呼ぶと、チョコバナナを持たせた。
「10分だけいい。オレ達だけで遊ばせてくれ。お前はここで大人しくチョコバナナ食べてろよ。いいか?!ここでだぞ!必ず戻ってくるからな」
ハルナを置いてオレ達は、くじ引き、金魚掬い、花札……思う存分遊びまくった。
気付くと1時間は経っていたと思う。
慌ててハルナを待たせていた場所に戻るとヤツはその場所にはいなかった。
オレは焦った。
つい最近、知らないおじさんに連れて行かれた女の子が殺されたと言う事件があったばかりだったことを思い出したからだ。
犯人は確かまだ捕まっていなかった。
殺された女の子とハルナがダブった。
「ハルナー!!!どこだ!!ハルナーーー!!!」
オレは声を限りにあちこち探し回った。
ハルナを守ると言っておきながら、オレは自分の欲求を優先させてしまったことを死ぬほど後悔した。
無事でいてくれハルナ。
それだけを願って必死に探した。
その時、聞きなれた声が交番の方から聞こえてきた。
「かずにぃちゃ、迷子になっちゃったの。探して!!」
ハルナは、泣きながらお巡りさんに訴えていた。
「ハルナ!」
オレが近寄るとハルナのヤツは、オレにしがみついて泣き出した。
「かずにぃちゃ!大丈夫だった?!恐くなかった?」
「ばっかやろぉ。それ、オレのセリフだ。……独りにしてごめんな」
オレは力の限りハルナを抱きしめた。
祭りからの帰り道。
泣き疲れたハルナはオレがおんぶする背中で眠ってしまった。
家に帰るとおふくろとおばさん(ハルナの母親)が、玄関先で立ち話していた。
「でも、ホント、淋しくなるわ。あなた達がいなくなったら。ハルナちゃんもあんなにかずに懐いてくれているのに……」
深刻な顔した二人の会話が聞こえてきた。
「あら、かず、お帰り。まぁ、ハルナちゃん眠っちゃったの?」
おふくろは慌てて取り繕うような作り笑いをした。
「ハルナがいなくなるって、何?」
オレはギッとおふくろを睨み付けると単刀直入に尋ねた。
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