オレは当時、家から園バスで20分のひまわり幼稚園に通っていた。
ハルナは、その幼稚園に週に1日だけある「ひよこクラス」に母親と通園していた。
ここでもハルナはオレの悩みの種だった。
ハルナはオレの姿を見かけると、覚束ない足取りで、おしりをあひるみたいに不恰好に振りながら、くっついて来た。
それを邪魔だと言う奴等もいて、ある時、ハルナに泥を投げつけ始めた。
かっとしたオレは馬乗りになって奴等を叩きのめした。
そんな感じで、何回かオレは登園停止処分を食らった。
お陰でケンカに強くなったけど、おふくろはますます、「ハルナちゃんのような可愛らしい女の子が私の子供だったらいいのに……」と愚痴を零し、次第に「女の子が欲しい」から、「ハルナが欲しい」と言い出すようになった。
オレはハルナを大切にしたいと思う反面、こういうおふくろの言葉を聞く度にハルナを苛めたくもなった。
矛盾してるなぁと我ながら思う。
だけど、どんなにオレがハルナに冷たくしても、ヤツはいつも一生懸命、オレの事を「かずにぃちゃ」と呼びながら追いかけてきた。
ある日、また幼稚園で、ハルナを苛める奴等をぼこった事件がおふくろの耳に入ったことがあった。
オレは何の言い訳もしなかった。
ただ、相手がシャレになんない怪我をしたこともあり、おふくろは幼稚園に着くなりオレを怒り、手を上げようとした。
その時、ハルナが泣きながら、オレにしがみついて、「ペンペン、めっ!かずにぃちゃ、いい子!いい子!!」とオレをかばったことがあった。
「泣くなよ、ハルナ。泣くなよ」
二人で抱き締めあってボロボロ泣いた。
それ以来、オレは絶対ハルナを苛めることは止めようと誓った。
守ってやると思った。
それは今も変わらないのに……。
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ハルナは、その幼稚園に週に1日だけある「ひよこクラス」に母親と通園していた。
ここでもハルナはオレの悩みの種だった。
ハルナはオレの姿を見かけると、覚束ない足取りで、おしりをあひるみたいに不恰好に振りながら、くっついて来た。
それを邪魔だと言う奴等もいて、ある時、ハルナに泥を投げつけ始めた。
かっとしたオレは馬乗りになって奴等を叩きのめした。
そんな感じで、何回かオレは登園停止処分を食らった。
お陰でケンカに強くなったけど、おふくろはますます、「ハルナちゃんのような可愛らしい女の子が私の子供だったらいいのに……」と愚痴を零し、次第に「女の子が欲しい」から、「ハルナが欲しい」と言い出すようになった。
オレはハルナを大切にしたいと思う反面、こういうおふくろの言葉を聞く度にハルナを苛めたくもなった。
矛盾してるなぁと我ながら思う。
だけど、どんなにオレがハルナに冷たくしても、ヤツはいつも一生懸命、オレの事を「かずにぃちゃ」と呼びながら追いかけてきた。
ある日、また幼稚園で、ハルナを苛める奴等をぼこった事件がおふくろの耳に入ったことがあった。
オレは何の言い訳もしなかった。
ただ、相手がシャレになんない怪我をしたこともあり、おふくろは幼稚園に着くなりオレを怒り、手を上げようとした。
その時、ハルナが泣きながら、オレにしがみついて、「ペンペン、めっ!かずにぃちゃ、いい子!いい子!!」とオレをかばったことがあった。
「泣くなよ、ハルナ。泣くなよ」
二人で抱き締めあってボロボロ泣いた。
それ以来、オレは絶対ハルナを苛めることは止めようと誓った。
守ってやると思った。
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