フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

目覚め

2005年09月19日 22時17分51秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
あれからどれ位眠っていたのか……。

「きゃ!」と、言う声に眠りから覚めた。
目を擦りながら体を起こすと、ハルナが真っ赤な顔をして、起きていた。

「ああ。おはよ……。具合は?ハルナ」
ハルナは顔を強張らせて何も答えない。
「何もしてねぇよ。それより、具合は?」
「……だいじょぶ」

ハルナはソファの背もたれにびったりとひっつくと、オレを上目遣いでじっと見ていた。

「女には不自由していないから、お前には手を出さねぇよ。安心しろ!」

オレはソファから起き上がり、扉に向かいながら背伸びをして、急いでリビングを去った。

やばかった。
オレは初めて夢の中でハルナを抱いている夢を見ていた。

もしかしたら、あいつに何かやってしまったのかもしれない。
オレは自己嫌悪に陥った。
「はぁ~。ロリコンかよぉ、オレは……」

夕食の間中、ハルナはオレから視線を逸らしっぱなしだった。
ヤツも意識しているらしい。
ってか、オレも目線逸らしマクリなんだけど。

「おこちゃまは早く寝ろよ」

二階に一緒に上がる時、オレはハルナにデコピンをして、ヤツを子供扱いした。
こうすることで、辛うじて「兄」としての立場を保っていたのかもしれない。

オレはこの時、まだ気付いていなかった。
ハルナを女として意識し始めていたことを……。




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2005年09月19日 21時50分07秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
ハルナがうちに来て1週間が過ぎようとしていた。
どこから聞きつけたのか、北尾が家にやってきて、「ハルナちゃんって子はどこ?」と、キョロキョロと部屋中を見渡した。

(バーカ。お前が、来ると知っててハルナを家に置いとく訳ないだろう)

ハルナはオフクロと一緒に買物に出掛けていた。

「うちのクラスの奴等がさ、ハルナちゃんのことで騒いでてさ。で、見に来たんだけど」

(お前みたいに手の早い奴に紹介する訳ないだろう)


ところが、ハルナの奴、先に帰って来てしまった。

「どうした?ハルナ?」
オレは北尾の目を気にしながら尋ねた。

「ちょっと、暑過ぎて、具合が悪くなって先に帰って来たの。おばさんは、3時に人と会う約束があるから途中で別れたの。私だけタクシーで帰ってきて、それで……」
「分かった。説明はもう良いから、とにかく、横になれ!」

俺は急いでリビングの冷房をつけ、ソファをベッドにした。

「悪いけど、北尾帰ってくれる?」

北尾はじぃっとハルナに魅入っていたようだったが、オレは家からヤツを追い出した。



ハルナの顔色が悪く不安のが気になったオレは矢部先生に電話し、状態を説明し応急処置を尋ねた。
自力で水分補給ができるような状態だったのでポカリスエットを飲ませた。
軽症度の熱中症との診断を受け、様子を見ることにした。

必死にやっていたから気付かなかったが、ベッドの上に横たわるハルナの肌蹴た胸元から小さな胸の谷間が見えて急に気持ちがざわめいてきた。
ハルナが小さく寝返りをうってくれたお陰で、オレははっと我に返った。

「こいつは妹!それにまだ中学生だ……。どうかしてる」

オレはいつの間にか額を伝わる汗を拭いながら、懸命に目を逸らそうと努力した。

暫くするとハルナが身震いをし出したので、冷房の温度を上げ、オレも一緒にソファベッドにもぐりこみ、ハルナを抱き締めた。
そして、思った以上に細く華奢なハルナの身体を抱きしめながら「妹。妹」と何度も自分に言い聞かせ、そのまま眠りに落ちていった。



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願掛け

2005年09月19日 10時25分18秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
オレは退院するなり、サボっていた頃の遅れを取り戻そうと、勉強を本格的に始めた。

「かずにぃ。お風呂どうぞ」

ハルナがバスタオルで髪を拭きながらオレを呼びに来た。
甘い苺の香りが部屋に広がり、理性が掻き乱される。

「……髪、オレが梳かしてやろうか?」
「え?!かずにぃが?出来るの??」

ハルナはくりくりと目を大きくさせながら尋ねた。

「任せなさい。プロです!」

リビングのソファに腰掛けながら、オレはブラシをハルナの長い髪にぐぃっと通した。

「痛い!痛い~!!かずにぃ、それすんごい痛い!!」

ハルナが、頭を押さえながら逃げた。

「かずにぃの嘘つき!」
「ごめん。ごめん。今度はきちんと梳かすから」
「かずにぃ、プロって嘘でしょ」

ハルナは不審の目をオレに向けた。

「はいそうです。すみません。でも、一度、長い髪ってやつを梳かしてみたかったんだよな」
「もう!私の髪で試すなんてひどいよぉ(≧△≦)」

ハルナは半泣きだった。

「今度は優しくするからやり方、教えろよ」

謝罪しても、ハルナはむっとしていた。
オレは半ば強引にハルナから櫛を奪い取るとソファに座りなおし、こっちにおいでと手を振った。
諦めたように、ハルナは、オレの前にちょこんと座り、梳かし方の説明を始めた。

「まずね。優しく髪の下の表面だけを通すの。それから、櫛が通るようになったら、段々深く櫛を入れていくのね。で、こんがらがったら、髪をその上のあたりで掴んで優しく通して……」

説明を聞きながら、オレはその通りにハルナの髪に櫛を通した。
優しく、ハルナが痛がることの無いように注意しながら。

「ハルナ。この髪、伸ばしてるのか?それとも、放置?」
「え!?えっとね、伸ばしてるの」
「ふーん。何で?」
「願掛け」
「何の?」
「ナイショ」
「教えろよ」
「言ったら願掛けにならないもん」
「そーなの?」
「そーなの!」
「ふーん……」

オレは長い髪を梳きながら、「この髪に他の男が触れませんように」と密かに願を掛ける自分自身に驚きを隠せなかった。




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