フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

朧月夜

2005年09月02日 22時09分31秒 | 第3章 恋愛パズルメント編~ハルナの章~
「かっずぼ~ん!たっだいま~!!」
声と同時に荷物をドサドサと下ろす音がした。

「リョーコか……」

かずにぃは、私をぎゅっと抱きしめると上半身を起こし、ブランケットでそぉっとくるんだ。

「おーい!いるんでしょ。夕飯買って来てあげたぞぉ。一緒に食べよー」
ドアがノックされ、ドアノブに手を掛ける音がした。

ど、どうしよう。
かずにぃの私を抱きしめる手に力が入った。

その時、カチカチカチッと引っ掛かるような音がした。

「あれ?鍵が掛かってる?まだ、寝てんのかな?」

リョーコさんの声が、リビングの向こう側に去っていった。
そうだった。かずにぃ、鍵を掛けていたっけ。
ほーっとして、肩の力が抜けた。
そして恐る恐る振り返ると、かずにぃは厳しい顔で扉の方を見つめていた。

「オレ、先に出るから。後から出て来いよ」
かずにぃは素早く服を着て、部屋から出て行った。

暫くするとリビングの方からリョーコさんとかずにぃの話声が聞こえて来た。

「あれ?やっぱ、起きてるんじゃん。ほれ、今日の医学概論の講義ノートだよん」
「ん。サンキュ。わりぃな。ちょっと寝坊しちゃってさ。」
「代返しといたからね。ギャラは高いよぉ!」
「マックのバーガーでチャラな」


リョーコさんの笑い声を聞きながら、私も慌てて床から服を手繰り寄せようとして、身体を折り曲げた。
と、同時に下腹部に微かな痛みを感じた。

痛い……

痛むお腹を庇いながら服を着て、窓際に歩み寄った。
ゆっくりとブラインドを上げると今まで見えなかった月の光が差し込んできた。

そして今頃になって震えが止まらなくなり、その場にしゃがみ込んでしまった。

どうしてさっき、とっさにトオル君の名前を叫んでしまっていたんだろう。
リョーコさんが帰ってこなかったら今頃、どうなっていたんだろう。

そう考えるととめどなく涙が溢れて、月の輪郭は見る見るぼやけて朧月夜になっていった。



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儀式

2005年09月02日 01時43分32秒 | 第3章 恋愛パズルメント編~ハルナの章~
かずにぃはベッドから身体を起こすと、机の引出しに腕を伸ばした。
そして箱を取り出すと、フィルムで出来た小さな袋のようなものを取り出した。

それがなんなのか分かった途端、恥ずかしさに体中が熱くなった。
私は慌ててブランケットで身体を隠し、かずにぃに背を向けて身を強張らせた。
「初めての時は、ナイフで突かれるみたいで痛かったよぉ」とトモは言っていた。

……恐い。

カチャカチャとベルトを外す音がする。
ズボンを脱ぎ、ふっと息を噴く音を背中で聞いていた。

通りの道を車が走る度にヘッドライトの明かりがブラインドから差込み、壁を照らしながら過ぎていく。
ほんの少しの時間だったかもしれない。
でも、それは凄く長い時間のように思われた。

かずにぃはくるりとこちらを向くと、素早く私を仰向けにし、ブランケットを剥いでしまった。
そして、片膝を私の両足の間に滑り込ませ、あっという間に私のショーツを脱がすと、半ば、強引に私の秘所に手を忍ばせ、

「大丈夫……」

と言いながら、両足を押し開こうとした。


その時、




ピンポーン




と、誰かがチャイムを鳴らす音がした。

「か……、かずにぃ、誰か来たよ」

「…………」

「ね、ね。かずにぃ、出ないと……」

声が涙声になっていくのが自分でも分かった。

お願い、出て。
そしてもう私を解放して……。
心の中で何度も願った。


「宅配だろ。時期、帰るさ。それより、こっちが大事」

突然、かずにぃは私の秘所に顔をうずめ、舌で愛撫し始めた。


あまりの恥ずかしさに私は身を捩り、咄嗟に叫んだ。

「だ、だめ!!いや!!!いや!!!助けて!トオ……ルく…………」

顔を挙げたかずにぃと目が合い、はっとした。


すると、玄関の方で鍵が開き、ドアが開く音がした。



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