フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

ヤブ医者

2005年09月13日 20時34分33秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
関節脱臼骨折。

オレは生まれて初めて聞くその病名に「ふーん」と首を傾げた。

「で、センセ。治るまでにどれ位かかんの?」

オレは足を前に投げ出すと、椅子に踏ん反り返りながら聞いた。

「うーん。ほら見てご覧」

先生はさっき撮ったレントゲン写真を板に差し込むと、背後のライトを点けた。

「見事に割けてるからねぇ。骨が……」

先生は目を細めてしみじみと写真を眺めていた。
50歳にはなろうかと思われる、そのヤブもとい、先生は、てっぷりとした腹をさすりながら「そうだなぁ……」と、勿体ぶるかのようになかなか答えようとしない。

……ボケてんじゃねぇのか?

苛立っているオレは、食って掛かった。

「で、いつ治るんだよ!」
「4ヶ月位かなぁ」
「冗談だろ!?こっちは1ヵ月後に試合があるんだよ!!」

オレはヤブ、もとい先生に立ち上がって掴みかかった。

その瞬間、ダーンと音を立てて床にすっ転んだ。

「いってぇーーーーーーー!!」
骨折した足だと言うことを忘れて急激に立ち上がったのがまずかった。

ヤブは、てっぷりとした腹を叩くとウムウムと頷いた。
「んー。今ので全治6ヶ月かなぁ」
「もっと早く治せよ!ヤブ!!」

オレは痛みを堪えながら、床の上に這いつくばり叫んだ。

「んー。それは難しいね。あ、言い忘れたけど、手術するからね、明日」
「手術?!ちゃんと説明しろ!ヤブ!!」
「全身麻酔だから大丈夫。痛くないよ。続きは君が落ち着いたらね。とりあえず、入院手続の説明を受けて下さいねぇ」

ヤブはそれはそれは嬉しそうにニヤリとほくそ笑んだ。



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故障

2005年09月13日 06時12分44秒 | 第4章 恋愛前夜編~カズトの章~
特に好きで始めたバスケじゃなかった。
だが、気が付くとオレは高校に入ってからもバスケをやっていて、バスケの無い生活は考えられない程になっていた。



夏の大会に向けて、その日も朝から練習をしていた。
しかし、朝から妙に体がだるく、どんなに体を動かしてもノリが悪い。

今日はやばいかもしれない
嫌な予感がした。



予感は的中した。

練習中、オレは汗で滑り易くなっている床に足を取られて滑ってしまった。
しかも、運の悪いことにオレの足の上に勢いよく二人の大男が倒れこんできて、下敷きとなってしまった。

「大丈夫か!カズト!!」

チームメイト達が駆け寄ってきた。

足はジンジンするけど、不思議と痛みは無かった。

「大丈夫だ。でも捻挫したみたいだ」

オレは二人に抱えられるようにして、保健室へ行き、湿布をして貰った。

しかし、足の状態は段々悪化し、遂には腫れあがって来た。
普通じゃないことにここへ来てようやく気付き病院へ行った。


関節脱臼骨折


それが診断の結果だった。



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