フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

告白

2005年09月08日 22時09分39秒 | 第3章 恋愛パズルメント編~ハルナの章~
花火を見上げながら、三人で人混みを掻き分けて歩いた。
男の子はちょっと安心した様子で、トオル君の肩車で花火を楽しんでいた。

やがて男の子の家族が見つかり、両親は興奮しながら、トオル君にお礼を言っていた。
トオル君が上海語で答えると、その流暢な話し方にとても驚いていた。
男の子はトオル君に教えて貰った日本語で「またね」と言いながら、私達に手を振ってくれた。

トオル君は、しきりに私の足を心配していた。
携帯で別荘へ連絡をすると、ふぅっと溜息を吐いてガードレールに寄り掛かった。

「車で迎えに来てくれるって。でも、海岸線沿いはすごく混んでいるみたいだから、遅くなるかもしれない。これ以上、腫れないといいけど」


そうこうしているうちに、花火も終盤に差し掛かり、大掛かりな打ち上げ花火がより華やかに夜空を彩り始めた。
私たちは道路際のガードレールに二人で寄り掛かりながら花火を眺めていた。

「あの子、無事に家族の元に帰せて良かったね」
「そうだね」

トオル君の手が自然に私の肩に掛けられ、私を抱き寄せた。
私は急に気持ちが落ち着かなくなって、花火どころじゃなくなってしまった。

「トオル君……あの、手……」
どうしよう……。
どきどきして、身体が硬直してくる。

「さっきの答えなんだけど」
「……へっ?!」

え?!と、聞き返すつもりが、喉がつっかえて変な相槌になってしまった。
トオル君は、お腹を抱えて笑いをかみ殺していた。

「もう!笑わないで!!」
「笑いのツボを押すハルナちゃんが悪いよ」

私がむぅっとして抗議すると、トオル君は咳き込みながら笑ってた。
私はあっかんべをするとむぅっとむくれた。

「トオル君なんか、嫌いです」
「……僕は好きだよ。君のことが」

そう言うトオル君の目は既に笑ってなんかいなかった。

「それが言いたくて、君を連れ出したんだ」



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