花火を見上げながら、三人で人混みを掻き分けて歩いた。
男の子はちょっと安心した様子で、トオル君の肩車で花火を楽しんでいた。
やがて男の子の家族が見つかり、両親は興奮しながら、トオル君にお礼を言っていた。
トオル君が上海語で答えると、その流暢な話し方にとても驚いていた。
男の子はトオル君に教えて貰った日本語で「またね」と言いながら、私達に手を振ってくれた。
トオル君は、しきりに私の足を心配していた。
携帯で別荘へ連絡をすると、ふぅっと溜息を吐いてガードレールに寄り掛かった。
「車で迎えに来てくれるって。でも、海岸線沿いはすごく混んでいるみたいだから、遅くなるかもしれない。これ以上、腫れないといいけど」
そうこうしているうちに、花火も終盤に差し掛かり、大掛かりな打ち上げ花火がより華やかに夜空を彩り始めた。
私たちは道路際のガードレールに二人で寄り掛かりながら花火を眺めていた。
「あの子、無事に家族の元に帰せて良かったね」
「そうだね」
トオル君の手が自然に私の肩に掛けられ、私を抱き寄せた。
私は急に気持ちが落ち着かなくなって、花火どころじゃなくなってしまった。
「トオル君……あの、手……」
どうしよう……。
どきどきして、身体が硬直してくる。
「さっきの答えなんだけど」
「……へっ?!」
え?!と、聞き返すつもりが、喉がつっかえて変な相槌になってしまった。
トオル君は、お腹を抱えて笑いをかみ殺していた。
「もう!笑わないで!!」
「笑いのツボを押すハルナちゃんが悪いよ」
私がむぅっとして抗議すると、トオル君は咳き込みながら笑ってた。
私はあっかんべをするとむぅっとむくれた。
「トオル君なんか、嫌いです」
「……僕は好きだよ。君のことが」
そう言うトオル君の目は既に笑ってなんかいなかった。
「それが言いたくて、君を連れ出したんだ」
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男の子はちょっと安心した様子で、トオル君の肩車で花火を楽しんでいた。
やがて男の子の家族が見つかり、両親は興奮しながら、トオル君にお礼を言っていた。
トオル君が上海語で答えると、その流暢な話し方にとても驚いていた。
男の子はトオル君に教えて貰った日本語で「またね」と言いながら、私達に手を振ってくれた。
トオル君は、しきりに私の足を心配していた。
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「車で迎えに来てくれるって。でも、海岸線沿いはすごく混んでいるみたいだから、遅くなるかもしれない。これ以上、腫れないといいけど」
そうこうしているうちに、花火も終盤に差し掛かり、大掛かりな打ち上げ花火がより華やかに夜空を彩り始めた。
私たちは道路際のガードレールに二人で寄り掛かりながら花火を眺めていた。
「あの子、無事に家族の元に帰せて良かったね」
「そうだね」
トオル君の手が自然に私の肩に掛けられ、私を抱き寄せた。
私は急に気持ちが落ち着かなくなって、花火どころじゃなくなってしまった。
「トオル君……あの、手……」
どうしよう……。
どきどきして、身体が硬直してくる。
「さっきの答えなんだけど」
「……へっ?!」
え?!と、聞き返すつもりが、喉がつっかえて変な相槌になってしまった。
トオル君は、お腹を抱えて笑いをかみ殺していた。
「もう!笑わないで!!」
「笑いのツボを押すハルナちゃんが悪いよ」
私がむぅっとして抗議すると、トオル君は咳き込みながら笑ってた。
私はあっかんべをするとむぅっとむくれた。
「トオル君なんか、嫌いです」
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