TVless

　仕事から帰るとリビングのテレビが消えていた。テレビがついていないのではなく、テレビそのものがなくなっていた。昨日突然壊れたらしい。少しずつ壊れかけている予兆はあったので、寿命を全うしたのだと思う。２０年も使ったテレビだった。２０年も！ブラボー！メイド・イン・ジャパン！

　テレビがなくなったスペースにテーブルを寄せると、リビングはぐっと広くなった。ブラウン管のテレビというヤツはそこにあるだけで存在感アリアリな大きなモノだったのだなと思う。不思議なことに私はテレビがないと生きていけない人は何人も知っているがテレビがなくても平気だという人物は夫くらいしか知らない。

　夫の方も私と出会った時、私の部屋にテレビがないのが何より気に入ったというのだから、そういうところでは気が合うのかも知れない。当然のことながら買い替えという話は出ていない。正直薄型とか地デジ対応とか気にならないと言えば嘘になるが、それほど切羽詰った状況でもないことに気がついた。口うるさい親戚のおばさんが一人減ったようなものだ。

　しばらくはこのTVlessな生活を楽しんで過ごそうと思う。子どもは少々不便かも知れないが、それもまたよし。そうでなくてもこの世の中は情報の洪水だ。どれか一つくらいそのソースを絶っても大勢に影響はあるまい。いつかはきっとテレビを買うだろうけど、そのいつかが来るまでは断食道場にいるような気持ちになるのかな。まあいいや。秋の夜長は読書三昧ってことで・・・。