チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「『振り逃げ』という野球の奇妙に思われがちなルール」

2010年08月27日 00時10分18秒 | 野球新陰流(上泉偐勢守のホウボウ剣

野球 振り逃げ


[uncaught third strike/dropped 3rd strike]

baseballはじつにおもしろいゲイムである。
打者が一打席に3回ストライクを宣言されると、
strike out(日本では三振)となる。が、
それがそのままアウトになるとはかぎらない。
3つめのストライクの投球を捕手が
「正規の捕球」をしなかったとき、
打者はただちにアウトにはならず、
打者走者として一塁への進塁を試みることが許される。
守備側は打者走者自身に触球するか
打者走者が一塁に着塁する前に一塁に触球しなければ、
打者走者をアウトにできない。これを、
日本では「振り逃げ」と俗に言う。米国では、
"uncaught third strike(アンコート・サード・ストライク)"
もしくは
"dropped third strike(ドロップト・サード・ストライク)"
というが、
これも正確な呼称とはいえない。
地面に一度以上着地した投球をきっちり捕球しても、
それが要件を満たして3つめのストライクと宣言されれば、
"uncaught third strike"=「振り逃げ」
の状態になるのである。同様に、
空振りしなくても「いわゆる、振り逃げ」できる場合がある。また、
「いわゆる、振り逃げ」で一塁へ進塁できた結果自体を
「振り逃げ」と称することもある。たとえば、

3日前、LAA(ロース・アンジリーズ・エインジルズ・オヴ・アナハイム)の
松井秀喜外野手は、アナハイム・ステイディアムでの
対タンパ・ベイ戦で打順5番・DHとして"先発出場"した。
0対4とリードされた2回裏、先頭打者としてレイズの先発右腕、
ジェムズ・シーツが投じたカーヴに空振り三振。が、
捕手が捕球できないほどのボールだったため、
松井選手は一塁に走ってセイフ。これぞ、ティピカルな
「振り逃げ」である。ところが、
世の中にはとんでもない珍しいことが起こるものである。

♪あれは、3年まえ、留まる私、ホウムに残し、動きはじめた二者に♪
夏の甲子園神奈川地区大会準決勝。横浜スタジアム。
横浜スタジアムへは、氷川丸がまだ白い部分が多く
船体の下側がライトグリーンに塗られてたときに行ったきり、
もう25年くらいいってない。それはどうでも、
東海大相模vs横浜 4回表、この回3点先制後、
二死一、三塁、打者は9番ピッチャー菅野(原辰徳読売巨人監督の甥)。
2ボールズ&2ストライクス。右バッターズボックスへのカーヴが外角低めに
ストライク・ゾウンを大きく逸れるも、スウィングを取られて三振。
守備の横浜ナインは3アウトだと思ってすぐにベンチに引き上げてく。が、
やはり三振でアウトと思いこんだ菅野が三塁側ベンチに戻ろうとすると、
味方の三塁走者がホウムに帰塁し、ダッグアウトからは
「一塁へ走れ」と叫ばれてる。半ば訳も分からず、
菅野はバットを置いて踵を返して一塁へと、
ややぎこちなく走る。その間、一塁走者も本塁へ帰り、
菅野も二塁でいったん留まるも、そのまま三塁、そして、
本塁へと帰還。
これで、3得点が入ってしまったのである。
【「振り逃げ」で3得点……結果的にそれが決勝点(6対4)】
この一件は、米国のYouTubeにもアップされて、
論議を呼んだようである。

当該投球は一度地面に着いてからキャッチャーに捕球された。つまり、
「3つめのストライクにおけるアウト」の要件を満たしてなかった。よって、
打者は"三振という打球を打った"という事象で、
打者走者として一塁へ走ることができる状況になったわけである。
守備側にタッグ(いわゆる、タッチ)されず、あるいは、一塁へ送球されて
触球する前に着塁すれば「セイフ」となる。
「振り逃げ」とはまことにおもしろいベイスボールのルールである。

がしかし、球審のジャスチャーはどうみても「strike」ではなく
「out」のコールである。ただし、あくまでも「第3ストライクを宣言した」
として押し通されたようである。これが、
「outのコール」と認定されてしまったとしたら、問題は厄介である。が、
そうはならなかった。ともあれ、
「振り逃げ」は有効とされ、3得点も認められた。ちなみに、
打者の菅野に打点はつかない。そういうルールだからしかたない。が、
打者にタッグできたのにしなかった過怠を犯した
(球審がアウトは宣言してないという以上)捕手に失策がつかないのも、
どうかと思う。ルールに改善の余地がありそうである。
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