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『ほんとうのこと』
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8月24日・ポンペイ最後の日

2018-08-24 | 歴史と人生
8月24日は、『地中海』を書いた歴史学者フェルナン・ブローデルが生まれた日(1902年)だが、「ポンペイ最後の日」でもある。

西暦79年のこの日に、イタリアのナポリの近くにあるヴェスビアス火山が大噴火した。火山は大量の火山灰を噴き上げ、火山のふもとにあったポンペイの町に火山灰が降りそそいだ。噴火がはじまった翌日から、山頂の火口付近から火砕流が発生した。火砕流は、高温ガス、灰、岩石などがなだれとなって流れていくもので、時速百キロメートルほどの速度がポンペイを襲い、たちまち街全体を呑みこみ、街は埋もれた。
ポンペイの街には当時2万人ほどの人が住んでいて、そのなかの約1割り、2千人の人々が、あえてとどまったか逃げ後れたかして埋もれたらしい。

18世紀になってポンペイの発掘が開始され、きれいに区画された街路や、テーブルの上に整然と並んだ食器、焼きたてのパンなど、古代ローマの生活風景がそのまま現れた。生き埋めになった人間の遺体部分は腐ってなくなり、その部分は空洞になっていたという。

19世紀、英国の作家、エドワード・ブルワー=リットンがこの事件を題材にして小説『ポンペイ最後の日』を書いていて、小学校のとき、児童向けの文学全集でこれを読んだ。
澁澤龍彦の短編集『唐草物語』のなかの一遍『火山に死す』も、この事件を扱っている。
家や財産をそのまま置いて逃げだすのに忍びず、そのうちに噴火もおさまるだろう、明日になれば風向きが代わるだろう、と踏んで残った人が、降り積もっていく火山灰に埋もれていく景色というのは、なんとも形容しがたい味わいがある。
逃げるも人生、残るもまた人生、である。
いろいろな灰に埋もれ、母国が沈没しつつあると知れたなら、そこから逃げだしていくべきか否か?
(2018年8月24日)



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