1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

6月4日・庄司陽子の延長

2024-06-04 | マンガ
6月4日は、映画女優、アンジェリーナ・ジョリーが生まれた日(1975年)だが、漫画家、庄司陽子の誕生日でもある。「生徒諸君!」の作者である。


庄司陽子は、1950年、千葉の茂原で生まれた。東京の高校を卒業後、18歳のときに、女性マンガ雑誌「少女フレンド増刊」に自作「海とルコックちゃん」が載り、少女マンガ家としてデビュー。「週刊少女フレンド」にマンガを発表するようになり、27歳のとき、同雑誌に「生徒諸君!」の連載を開始。
ある中学校の2年生のクラスに、ナッキーこと北城尚子という元気な女子生徒が転校してくる。成績抜群、スポーツ万能で、茶目っ気のあるいたずら好きのナッキーのまわりには、気の合う仲間が集まり、彼らは「悪たれ団」を名乗る。
活発な女の子、ナッキーを中心にした青春群像を描いた「生徒諸君!」は大ヒットし、テレビや映画になった。実写版の映画では、主人公のナッキー役と、病弱なナッキーの双子の姉マール役とを、小泉今日子が一人二役で演じた。
マンガ「生徒諸君!」はその後、高校、大学、社会人時代と、続編が描き継がれ、文字通り庄司陽子のライフワークとなった。
庄司陽子の作品には、ほかに「Let's豪徳寺!」「聖域―サンクチュアリ―」などがあり、「生徒諸君!」のシリーズは「生徒諸君! 教師編」をへて「生徒諸君! ―最終章・旅立ち―」「生徒諸君! Kids」として、世代を超え延々と続いている長寿作品である。


庄司陽子の「生徒諸君!」は、ずいぶん昔に、ナッキーが就職したあたりで連載が終わり、いったん終了したはずである。個人的には、活発なナッキーにはぜひ、アフリカかジャマイカあたりの黒人ミュージシャンと仲よくなり、手に手をとって外国へ飛び立つ、というような『ティファニーで朝食を』的な意外なラストを期待していたのだけれど、まあ、これもいいかな、と、最終回のページを閉じた。以来、長らく「生徒諸君!」を読み返すこともなかったけれど、あのナッキーの子どもたちが活躍する時代となり、感慨深いものがある。


庄司陽子は、木のペン軸にペン先を付け、ときどきインクつぼに挿してインクを補給しながら、右手の下に小さな紙を敷いて、下書きした画稿にペンを入れていく。


インタビューで彼女が語ったところによると、「生徒諸君!」はもともと、中学生のときの、バカバカしい、明るい青春を描こう、と構想されたそうだ。
当初、中学を卒業するところで終わる予定だった「生徒諸君!」は、高校時代、大学時代、卒業後まで延びた。長い連載がひと区切りついたときには、庄司陽子はさすがに虚脱感におそわれ、病気で寝込んだという。
それ以後も、ナッキーとその仲間たちは、作者の庄司陽子をひきずり起こして、ペンを握らせ、続編を描かせた。作品は中断をはさみながら、半世紀近く続いている。


すると、手をこまねいていず、とにかくはじめてみることが大切である。すこしだけのつもりではじめてみたらのってくることもあるし、はじめたそのものが自分を力ずくで引きずってゆくこともある。それが人生最大のテーマに育ったりもする。
(2024年6月4日)





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