1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

2月11日・マリー・クアントの瞬間

2016-02-11 | ビジネス
旧・紀元節(紀元前660年の神武天皇即位の記念日)である「建国記念の日」の2月11日は、発明王、トーマス・エジソンが生まれた日(1847年)だが、ファッションデザイナー、マリー・クアントの誕生日でもある。ミニ・スカートを作った人である。

マリー・クアントは、1934年、英国イングランドのロンドンのブラックヒース地区で生まれた。鉱山両親はウェールズの鉱山労働者の家系で、父母ともに教師となり、ロンドンへ越してきた。
ゴールドスミス・カレッジでイラストを学んだマリーは、卒業後、ロンドンの高級帽子店に弟子入りした。
21歳のとき、ビジネス・パートナーのアレクサンダー・グリーンとともに、クアントは最初の店を出店。23歳のとき、グリーンと結婚し、二号店を出店した。女性用、男性用のセーターやカーディガン、ドレス、パジャマといった洋服をデザインして、それなりに成功をおさめていたクアントは、24歳のころのある日、
「街を歩いていて、ふと娘たちの会話を耳にした。『なにさ、サンローランだの、クリスチャン・ディオールだのって、あんなのは、アメリカの金持ちのデブデブオバサンの着るデザインよ。私たちイギリス娘はもっとヴィヴィッド・エンド・セクシィ(vivid and sexy=はつらつとしてお色気のある)なデザインがほしいわ』といった。(中略)
街できいたヴィヴィッド・エンド・セクシィということばが、彼女の頭の中でガンガン鳴ってやまない。そこで彼女、いくつかデザインしてみた。朝から晩までである。二、三日してつかれはてて、ふと街へ出た。立ちどまって、ボンヤリ街中を見ていた。
するとバスがとまった。そこはバスの停留所だったらしい。ロンドンのバスは二階建てで、階段が高い。中年の女性が、それに片足をかけた。スカートの下からひざっ小僧が見えた。それが女の眼にもひどく色っぽく見えた。チカ、チカ、チカと彼女の頭の中に火がまたたいた。ひざ上10センチのミニ・スカートはこうして生まれた。」(扇谷正造『トップの条件』PHP研究所)
彼女が売り出したミニ・スカートは、英国のみならず、世界中で大ヒットした。
1960年代には、クアントはホットパンツを発表し、これも大ヒット。
クアントは、32歳で大英帝国勲章(OBE)を受賞。衣類のほか、化粧品などのデザインもはじめ、世界的に活躍。
「ミニ・スカート」の名は、英国車の「ミニ」から付けたものだという。クアントは54歳のとき、そのクルマの「ミニ」の内装デザインを担当した。

ミニ・スカートのいいところは、インパクトのあるデザイン性もさることながら、従来のスカートよりすくない生地で作られて、しかも同じ値段、あるいはより高い値段で売れたという経済性にもあった。

頭のなかにもやもやしたものがあり、それがたまたま眼にした光景に結びつき「これだ」とピンとくるということは、ごくたまにあるものだ。まさに感激の瞬間で、人間はこういう瞬間に出会うために生きているのだろう。
(2016年2月11日)



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