2月27日は、神秘思想家、ルドルフ・シュタイナーが生まれた日(1861年)だが、ノーベル賞作家ジョン・スタインベックの誕生日でもある。
『怒りの葡萄』『エデンの東』の作者である。
ジョン・アーンスト・スタインベックは、1902年、米国カリフォルニア州のサリナスで生まれた。父親はドイツ系の製粉業者で郡役場の収入役をしていた。母親はアイルランド系の元小学校教師だった。ジョンは4人きょうだいの上から3番目で、唯一の男の子だった。
子どものころから読書好きで、聖書をよく読んでいたというジョンは、高校時代はバスケットボールの選手として活躍した。
17歳で高校を卒業したスタインベックは、さまざまな職業に就いた。製糖の試験所の助手になったり、農場や道路の工事現場、ビル建設現場などで働いたり、貨物船の水夫になったり、山荘の番人をしたりした。職業を転々とする途中、スタンフォード大学に入り、休学、また復学と、出たり入ったりしていたが、結局、23歳のときに大学を退学した。
退学した彼は作家を志し、ポケットに3ドルだけをもって貨物船に乗り、ニューヨークへ出た。そして小説を書いては、出版社にもちこみ、突っ返されることを繰り返した後、27歳のときにようやく『黄金の杯』が出版された。その直後にニューヨークの株式市場が大暴落し、世界恐慌がはじまった。
スタインベックの小説の売れ行きはかんばしくなく、その後も作品を出版社から突っ返されることは多かったが、32歳のとき、短編『殺人』でO・ヘンリー賞を受けたのを契機に風向きが変わった。数社から出版を断られていた『トーティーヤ大地』が、33歳のときに出版されると、これがベストセラーとなり、映画化権が売れた。
以後、『二十日鼠と人間』『怒りの葡萄』『エデンの東』などを書き、60歳のときにノーベル文学賞を受賞。1968年12月、ニューヨークの自宅で心臓発作のため没した。66歳だった。
スタインベックの『エデンの東』は、拙著『名作英語の名文句』でも取り上げた。
聖書の「カインとアベル」の話を下敷きにした小説『エデンの東』は映画化され、テーマ音楽も有名で、ジェームズ・ディーンが主演して大ヒットしたけれど、映画になったのは小説全体のごく一部である。映画にはない、ディーンが演じた青年の母親の若いころの話など、強烈におもしろい部分である。
スタインベックは、もっと読まれてもいい人だという気がする。
(2016年2月27日)
●おすすめの電子書籍!
『ここだけは原文で読みたい! 名作英語の名文句』(越智道雄選、金原義明著)
「エデンの東」「風と共に去りぬ」から「ハリー・ポッター」まで、英語の名作の名文句(英文)をピックアップして解説。英語ワンポイン・レッスンを添えた新読書ガイド。
『世界文学の高峰たち』(金原義明)
世界の偉大な文学者たちの生涯と、その作品世界を紹介・探訪する文学評論。ゲーテ、ユゴー、ドストエフスキー、ドイル、プルースト、ジョイス、カフカ、チャンドラー、ヘミングウェイなどなど。文学の本質、文学の可能性をさぐる。
●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com
『怒りの葡萄』『エデンの東』の作者である。
ジョン・アーンスト・スタインベックは、1902年、米国カリフォルニア州のサリナスで生まれた。父親はドイツ系の製粉業者で郡役場の収入役をしていた。母親はアイルランド系の元小学校教師だった。ジョンは4人きょうだいの上から3番目で、唯一の男の子だった。
子どものころから読書好きで、聖書をよく読んでいたというジョンは、高校時代はバスケットボールの選手として活躍した。
17歳で高校を卒業したスタインベックは、さまざまな職業に就いた。製糖の試験所の助手になったり、農場や道路の工事現場、ビル建設現場などで働いたり、貨物船の水夫になったり、山荘の番人をしたりした。職業を転々とする途中、スタンフォード大学に入り、休学、また復学と、出たり入ったりしていたが、結局、23歳のときに大学を退学した。
退学した彼は作家を志し、ポケットに3ドルだけをもって貨物船に乗り、ニューヨークへ出た。そして小説を書いては、出版社にもちこみ、突っ返されることを繰り返した後、27歳のときにようやく『黄金の杯』が出版された。その直後にニューヨークの株式市場が大暴落し、世界恐慌がはじまった。
スタインベックの小説の売れ行きはかんばしくなく、その後も作品を出版社から突っ返されることは多かったが、32歳のとき、短編『殺人』でO・ヘンリー賞を受けたのを契機に風向きが変わった。数社から出版を断られていた『トーティーヤ大地』が、33歳のときに出版されると、これがベストセラーとなり、映画化権が売れた。
以後、『二十日鼠と人間』『怒りの葡萄』『エデンの東』などを書き、60歳のときにノーベル文学賞を受賞。1968年12月、ニューヨークの自宅で心臓発作のため没した。66歳だった。
スタインベックの『エデンの東』は、拙著『名作英語の名文句』でも取り上げた。
聖書の「カインとアベル」の話を下敷きにした小説『エデンの東』は映画化され、テーマ音楽も有名で、ジェームズ・ディーンが主演して大ヒットしたけれど、映画になったのは小説全体のごく一部である。映画にはない、ディーンが演じた青年の母親の若いころの話など、強烈におもしろい部分である。
スタインベックは、もっと読まれてもいい人だという気がする。
(2016年2月27日)
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