1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

2月14日・豊田佐吉の熱中

2016-02-14 | ビジネス
2月14日は、ローマ時代に自由結婚を主張した聖バレンタインが処刑された日(269年)だが、世界企業「トヨタ」の創業者、豊田佐吉(とよださきち)の誕生日でもある。自動織機の発明者である。

豊田佐吉は、慶応3年2月14日に、現在の静岡県湖西市で生まれた。4人きょうだいのいちばん上で、父親は大工と農業をしていた。
通っていた寺子屋が途中で小学校に替わったという時代に育った佐吉は、父親について大工の修行をしていたが、紡績に興味をもち、ときどき家出をしては工場を見てまわった。
資金も教育もないうえは、発明によって立つべしと心を決め、18歳のころには、機織機(はたおりき)の改良に着手していた。
彼は出奔しては、ひと旗揚げるでもなく手ぶらで帰ってきて、納屋に閉じこもって機織機の研究を続け、わずかな田畑をすこしずつ売って、なお発明に注ぎ込み、試作品を作っては壊すことを続けたため、地元では変人扱いされた。
そうして、23歳のとき、木製の人力織機を発明し、特許申請をし、翌年に特許がおりた。
29歳のとき、機械式織機を発明。
37歳のとき、自動織機を発明。
39歳のとき、豊田織機株式会社を設立。これが現在の世界企業「トヨタ自動車グループ」に発展していくことになる。
豊田はその後も発明と改良を進め、生涯に取得した発明の特許84件、外国でとった特許が13件という発明王だった。
1930年10月、脳溢血と肺炎のため、名古屋の自宅で、没した。63歳だった。

豊田佐吉が作った豊田自動織機は、トヨタ・グループの本家である。
トヨタ自動車の大株主で、もちろん現在でも繁栄している。
豊田自動織機は、いまでは、会社の売り上げの半分以上は一般自動車、そして4割近くが産業用自動車と、自動車のメーカーになっている。

愛知県の豊田市とか刈谷市など、あの辺一帯は、トヨタの企業城下町というか、企業平野と呼ぶべき地方になっている。都市のなかに会社があるのでなく、会社のなかにいくつもの都市がある感じで、ものすごい数の世帯がトヨタを頼りにして生活している。もちろん、米国ほか世界各国にトヨタはある。豊田佐吉が根を作った木は、彼の没後、巨大な樹木に成長した。その巨木は、その地方を変え、日本を変え、また世界をも変えてしまった。
それもこれもすべて、家の田畑を売り払い、田舎の納屋で試行錯誤を続け、頭がおかしいと言われながらも途中でやめなかったおかげだと思うと、人生、やっぱり「一瞬先は光」なのである。
(2016年2月14日)


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