河野裕子の歌。
河野裕子は、54歳で乳がんにかかり、
大手術を受ける。
手術は成功したが、
もし再発したら、余命はいくばくもなくなる。
そして8年後、再発してしまった。
「蝉声」は、最晩年の歌集である。
病床にあって、それでも河野は歌を作り続けた。
……
ひと月も咲き続けゐる立葵あなたはよかったわねわたしの庭に来て
持久戦にもちてゆくより他はなしミルク半分をめつむりてのむ
子を産みしかのあかときに聞きし蝉いのち終わる日にたちかえりこむ
いついかにこの世を出でゆくこの身かと痛めるまぶたをしばらくおさむ
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