いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

驚嘆すべき情愛~歌人の夫婦~

2018-08-03 18:38:52 | 読書
友人に薦められて

「歌に私は泣くだらう」という本を読んだ。

夫婦が出会ったのは、夫21歳、妻22歳のときで、
6年後、無事ゴールインした。
趣味の短歌の会で知り合った。
その後、
2人とも、プロの歌人になってしまい、
数々の賞を総なめにした。
夫は生業の大学教授という職をもちながら、妻は主婦の役割をこなしながら。

しかし、妻が54歳の時に乳癌にかかり、
10年の闘病生活ののち、亡くなった。
上掲の本は、その10年間の闘病生活を支えた、
夫が著した述懐である。
わたしと年齢が近いこともあり、実感は直に伝わってきた。

2人とも、プロの歌人であり、普通の人よりは、はるかに鋭い感性をもった人たちである。
読んでいて、何度も涙がでそうになった。
彼らの情愛の深さは、
「並ではない」というほかなく、
常識を超えるものである。
関連した書物(2人の共同エッセイ集や、夫、子どもの看病記など)
を読むと、それが、しみじみと伝わってくる。

ただただ、思いを寄せ合い、
相聞歌は、40年におよんで創作され続けた。

夫が妻に贈った相聞歌は500首、
妻が夫に贈った相聞歌は600首である。

夫は、京都大学名誉教授の永田和宏(72歳)であり、
妻は、河野裕子(64歳で病没)である。

最後に、妻の辞世を記しておく。

……

手をのべて あなたとあなたに触れたきに 息が足りない この世の息が

……














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