オヨヨ金融道１

　今からＸ年前、物価が今の５分の１だった頃若くして親の財産を相続した者がいた。相続税を払っても彼には持ち家の他に２０００万円の預金が残った。
　そこで彼は考える。これ以上財産を増やす必要はない。会社をやめてアルバイトをしながら優雅に暮らそう。今辞めても退職金はわずかだが、バイト代と預金の利子から税金、年金と健康保険の保険料を払った残りをすべて使って生活する。それでいいじゃないか。
　そして彼はその考えを実行する。２０００万円は今の１億円に相当する。当時の金利が５％とすれば５００万円相当（今の物価で）の利子収入になる。彼の暮らしはしばらく快適だった。しかし年月が経つにつれて彼の生活は苦しくなっていく。さらに近年の低金利が彼の収入を直撃した。現在彼の利子収入は限りなくゼロに近い。バイト代から税金と保険料を払った残りでは生活費の半分にもならない。預金を取り崩してしのぐ年が続く。
　そんな時彼はニュースを見てショックを受けた。それは大卒で定年まで勤めた人の退職金の平均が２０００万円を超えるというものだった。なんと彼の預金額より大きい。昔２０００万も持っていれば金持ちだったのに。
　さて彼の誤算はどこにあったのでしょうか？正解は次回。